アサルトリリィ Abnormal Transition   作:0IN

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ラスバレ1章㉞

天葉「貴方から誘うなんて珍しいわね?」

 

蓮夜「試したいことがあってな。・・・迷惑だったか?」

 

 

彼女は彼に呼ばれて訓練場に来ていた。

普段なら訓練に精を出すリリィ達が多くいるのだが、今は2人以外に人影はない。

 

 

天葉「いいえ、元々暇だったから大丈夫よ。」

 

蓮夜「なら良かった。」

 

 

そう言うと彼は観戦席へと歩いて行く。

彼女は自身のCHARMに手をかけるが、彼が何も持っていないことに気づき1度CHARMから手を離す。

 

 

天葉「いつもみたいに色々持ってきてないのね?」

 

蓮夜「あぁ、今日は一本だけなんだ。」

 

 

そう言うと彼は観客席に置いてあるケースから一本の刀を取り出した。

 

 

 

天葉「変わった形ね・・・。」

 

蓮夜「色々と試行錯誤した結果こうなったんだが・・・やっぱり機能重視にするとどうしてもデザインがな・・・。」

 

天葉「・・・そうらしいわね。・・・よく百由から愚痴られるわ。」

 

 

彼は一通り刀を確認すると腰に携え彼女の元へと戻って来る。

それを見た彼女は先程までの雰囲気とは打って変わって真剣な眼差しでCHARMを取り出し構えた。

 

 

天葉「貴方のことだから、普通じゃないのでしょう?」

 

蓮夜「それは戦ってみてからのお楽しみということで!」

 

 

彼女の変化に気づいた彼は彼女から距離を置くと左手で鞘を、右手で柄を握ると地面を蹴って彼女へと急接近する。

素早く彼女へと接近した彼はその勢いのまま刀を抜き放つ。

最速で最短距離を攻める一撃、実践慣れしているリリィでも反応が困難であろう一撃を彼は放つが、彼女は後方に重心を移動させるだけで躱してしまう。

彼の一撃を躱した彼女は、振り抜いて無防備になった彼に横薙の一撃を放つ。

しかし彼も予想をしていたのか右足の力を抜く事で重心バランスを崩すと重力に身を任せ彼女のCHARMの下へと潜り込む。

彼女のCHARMが彼の頭上を通過した瞬間彼は再び足に力を入れると前方に飛ぶ。

お互いに前方へと進むことで2人の位置が入れ替わると振り返ると同時にお互いの得物を振り下ろした。

鈍い金属音を響かせながら弾き合うと2人とも弾かれた勢いを利用して身体を回転させながら再び斬り掛かる。

先程よりも重い音を響かせながら火花を散らすお互いの得物に力を込める2人、

 

 

天葉「力押しって、貴方にしては珍しいわね!」

 

蓮夜「試作機だからな、調整が済んでないんだよ!」

 

 

鍔迫り合いをする2人は埒が明かないと判断したのかお互いに後方に飛び体勢を整えると超近距離での接近戦を開始した。

 

彼女がCHARMを振り下ろすと、彼がそれを半身になって躱し。

彼が刀を切り上げると、彼女は上体を逸らして躱す。

 

相手の一撃を躱して斬り返す。

一手でも間違えてしまえば即敗北という状況で2人は相手を崩すためにお互い思考を巡らせる。

 

 

天葉「いつもみたいに距離は取らなくていいのかしら?」

 

蓮夜「わかってて言ってるだろ、」

 

 

彼女の言葉に彼は返すと彼女に突きを放つ。

それを見た彼女は手首のスナップを利用してコンパクトに切り上げることで彼の刀を弾こうとするがそこで彼女は違和感を感じる。

 

 

天葉(軽い・・・ッ!?)

 

 

彼の一撃が軽かったのだ、

彼女の予想よりも簡単に弾かれた彼の刀に不信感を持った彼女が彼の手を確認すると彼女は焦りの表情を見せる。

 

彼は突き出された刀を握っていなかったのだ。

指を開切り完全に得物を失ってしまった手、これだけならば彼女は焦らなかったであろう、

 

彼の親指が柄の上方に存在していなければ、

 

 

天葉「マズっ!!」

 

蓮夜「・・・。」

 

 

彼女に弾かれた刀は彼の親指を軸にして回転する。

刀は親指から手首へと軸を変えると一周し再び彼の手に収まった。

それに気づいた彼女の急いでCHARMを引き戻そうとするが既に動き出している彼とではあまりにも速度に違いがあり過ぎた。

それを察した彼女はすぐさまCHARMを手放すと後ろに飛ぶ。

勢いよく手放したCHARMは回転しながら落ちていくが彼はそれを気にすること彼女へと前進する。

彼女が離そうとした距離を一瞬で詰めた彼の一撃が彼女に届こうとした時、彼の視線から彼女が消える。

 

 

蓮夜「・・・ッ!?」

 

 

彼女を見失った彼はすぐさま周囲を確認しようとするが、背筋が凍る感覚に襲われたため思考を切り替え前転の要領でさらに前に出る。

彼が反転した世界で後方を確認するとそこには片足立ちでCHARMを振り抜いた状態の彼女の姿があり、そこ刃の軌道はちょうど彼の頭のあった場所を通り過ぎていた。

 

 

天葉「あっぶな・・・やってくれたわね!」

 

蓮夜「・・・それはこっちのセリフなんだが、」

 

 

距離を取り体勢を整えた彼が振り向くと、そこにはこちらに対して文句を言いながら靴を履き治している彼女の姿があった。

 

 

蓮夜「・・・CHARMに足を掛けて無理やり躱すって無茶するよ。」

 

天葉「成功したんだからいいじゃない、それになりふり構ってたら・・・ね?」

 

蓮夜「・・・。」

 

天葉「もう、躊躇わないわよ!」

 

 

彼が構え直すのを見ると彼女は先程彼にされたように急接近し、それを彼は迎え撃とうとする。

 

彼女はCHARMを背後に回し自身の身体で隠すと彼の懐に入り込み切り上げる。

それを彼は後ろに下がることで空間を作り刀を振り下ろした。

 

 

蓮夜「なっ!?」

 

 

自身の得物が彼女へと迫る中彼は彼女のCHARMを見て驚愕する。

 

彼女のCHARMはこちらに対して刃を向けていなかったのだ。刃ではなく腹による一撃、それを見てこちらの体勢崩すことを目的としていると判断した彼はもう一度驚愕することとなる。

 

彼の得物と衝突する寸前、彼女のCHARMの刀身が割れたのだ。

彼女は彼の刀と当たる寸前にCHARMを射撃形態にしたのだ。

それにより守りを失った彼女に彼の一撃が迫る。

彼は彼女の奇行に驚愕しながら得物を自身側に引くことで勢いを殺す。

 

彼が作った一瞬の隙、驚愕の連続で正常な判断が出来ない彼に彼女は勝負を仕掛ける。

 

彼が引き戻そうとしている刀を再び近接形態に変形させることで挟みこんだのだ。

 

 

蓮夜「ウッソだろお前!」

 

天葉「おりゃー!!」

 

 

彼女は自身のCHARMを使えなくすることで彼の刀を同じく使用出来なくしたのだ。

そのまま刀を巻き込むように自身のCHARMを引き戻そうとする彼女を見て、自身の得物が破壊されると判断した彼はすぐさま手を離す。

それを見た彼女すぐさまCHARMの軌道を修正し上へと振り上げる。

 

彼女の行動を見て彼は飛び上がると右手で柄を握り直しCHARMを足場に跳躍した。

それによりちょうど彼女がCHARMを射撃形態に変えたことにより拘束が解けた刀と一緒に彼は彼女から距離を取ると1度呼吸を整えた。

 

 

蓮夜「流石に今のは危険すぎるぞ!」

 

天葉「どうせ貴方なら止めていたでしょう?なら大丈夫よ。」

 

蓮夜「・・・躊躇いどころか、」

 

 

彼は彼女の行動を注意するが、彼女は彼の言葉を聞こうとしない。

それを見た彼の雰囲気が変わる。

 

冷たく突き刺さるような、鋭い刃の様な気配を纏った彼は得物を構えなおすと腰を落とし、

 

 

蓮夜「・・・行くぞ、」

 

 

彼は彼女に向かって駆け出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

天葉「その後、百由が来るまで1時間くらいかしら?ぶっ続けでやってたらCHARMが壊れちゃってね・・・。」

 

蓮夜「壊したのマジですまん・・・俺も調子に乗りすぎた。」

 

 

2人の話を聞いた彼女達の表情は引き攣っていた。

 

 

一葉「お二人共、お怪我はなかったのですか?」

 

天葉「なかったわよ?」

 

叶星「訓練にしては危険すぎないかしら?」

 

蓮夜「・・・俺も思うことはあるが、コイツとの場合だいたいこうなるからな・・・慣れたよ。」

 

高嶺「・・・慣れでいいのかしら?」

 

百由「良くないわよ!いつも壊れたCHARM直すのは私なのよ!」

 

天葉「・・・ごめんなさい。」

 

蓮夜「・・・。」

 

 

天葉の話を聞きヒートアップした百由を宥めていると、彼女の端末から着信音が鳴り響く。

それに気づいた天葉は端末を取り出し確認すると顔を青くした。

 

 

天葉「急いで帰らないと!!」

 

夢結「どうかしたのかしら?」

 

天葉「楠美が怪我したって!!」

 

蓮夜「マジか、様態は?」

 

天葉「分からないわよ!とにかく急がないと!今日はお暇させてもらうわね!」

 

夢結「え、えぇ・・・。」

 

 

そう言うと彼女は森の奥へと走り去って行った。

それを見た彼はため息を吐くと太刀をケースへとしまう。

 

 

蓮夜「アイツも帰ったし、俺も帰るとするか、」

 

 

突然のことに困惑する彼女達に彼はケースを持つとそう呟いた。

 

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