アサルトリリィ Abnormal Transition 作:0IN
夢結・梨璃「はあぁぁぁぁぁぁーっ!!」
崩れた市街地の中、2人の少女の気迫の篭った声が響き渡る。
2人の視線の先には異様な姿をしたヒュージがおり、そのヒュージ・・・特型ヒュージの付近には禍々しい黒い翼が落ちていた。
ヒュージも2人を妨害しようとするがその両腕はヒビだらけになっており上手く動かせないのか、その動きは鈍い。
そんなヒュージへと彼女達の虹色の光を纏ったCHARMが迫る。
勝利を確信した彼女達の刃が特型ヒュージに当たる寸前、
青白い光がヒュージを包むように爆ぜた。
梨璃「な、なに!?」
夢結「・・・これは!」
爆風により後方へと飛ばされた2人は突然のことに驚愕する。爆風に煽られた2人だが空中で体制を整えると特型ヒュージへとCHARMを向けながら着地し、後方へと下がる。
二水「梨璃さん!夢結様!大丈夫ですか!?」
梨璃「うん、大丈夫だよ。」
紅巴「何が起こったのですか!?」
夢結「・・・。」
梅「・・・夢結?」
2人の元に少女達は駆け寄ると2人の無事に安堵の表情を見せる。
しかし、夢結だけが焦りと困惑の入り交じった表情をしており、それに気づいた梅は彼女に声をかけた。
夢結「・・・よりにもよって、」
梅「だから、どうしたんだって!!」
自分の世界に入り込んでしまった彼女に梅が声を荒らげると、特型ヒュージを包む光が嵐のように吹き荒れる。
その勢いに少女達の身体は煽られそうになるが踏ん張ることで体勢を崩すことを阻止するが顔を腕で隠してしまうためヒュージのことが視認できない。
神琳「みなさん大丈夫ですか!」
雨嘉「うん、大丈夫。」
灯莉「大丈夫だよ〜!」
結梨「大丈夫!」
光が落ち着いたため神琳が皆の状態を確認すると各々が返事をする。
梨璃「・・・あれ、楓さんは?」
一葉「恋花様?」
叶星「・・・紅巴ちゃん?」
しかし、全員が答える中 楓、恋花、紅巴の3人からは返事が帰って来なかった。
それに気づいたリーダー3人が周りを見渡そうとした時、
夢結「・・・ッ!!」
突如梨璃の横に居たはずの夢結が吹き飛ばされる。
いきなりの事で彼女達の思考が停止してしまうが、梨璃はすぐに正気を取り戻し彼女へと駆け寄った。
梨璃「お姉様!?」
夢結「直撃はしていないから大丈夫よ。・・・でも、」
夢結は地面に転がるように着地することで衝撃を逃がすと梨璃に自身の安否を伝えながら自身の右手を見る。その言葉に安堵する彼女だが夢結の視線の先を見たことでその表情は一変し驚愕に染まる。
彼女の右手に握られているCHARMの柄から先がなくなっていたのだ。
そして彼女の周りには多くの金属片が散乱しており、それが彼女のCHARMの残骸であることがわかる。
梨璃が困惑する中、自身の現状を把握した彼女は自身を攻撃したであろう相手・・・特型ヒュージのいる方向を見る。
そこには先程までのヒュージの姿はなく違う存在が佇んでいた。
それは先程の堅牢な攻殻ではなく滑らかな表皮に覆われており、先程まで存在しなかった脚部を有し、その碗部は剣のように鋭く陽の光を反射し輝いている。
2対になっていた翼も6対に増えておりその翼からは青白い霧が溢れていた。
そして1番違う部分・・・それは頭部だ。
先程までは通常のヒュージのように単眼であったな現在の特型ヒュージは2つの眼球・・・そして薄気味悪く笑う口が存在していた。
そんな奇怪な姿へと進化した特型は自身の碗部を後方へと動かすと前方へと突き出した。
突き出された碗部は伸びていき未だに放心状態のメンバーへと迫る。
それに気づいた彼女は皆に防ぐように伝えようとするが、急激な寒気に襲われたことで口篭り自身のCHARMへと目を向けた。
夢結「そろそろ部品の交換が必要な頃だったけれど・・・。」
彼女は自身のCHARMを見つめながらそう呟く。
確かに彼女のCHARMは最近酷使していたため近日中に部品の交換が必要であったがそれでもこの壊れ方はおかしいはずだ。
元々彼女の使うCHARM・・・ブリューナクは攻撃と基本速度の向上に主眼を置いており防御能力はそこまででもないが、彼女の戦闘スタイルに合わせて重量を増加させることで強度もかなり向上している機体であった。
その強度はブリューナクの前行機であり防御性能に主眼を置いていたグングニルと同等でありその強度は現行するCHARMの中でも上位であったであろう。
しかし、壊れにくいはずのCHARMが壊れてしまった。
それが指す意味は、
夢結「皆避けなさい、アレの攻撃は防いではダメよ!」
現在この場にいるメンバーの誰も防ぐことが出来ないことを指していた。
それに気づいた彼女は防ぐのではなく躱すように彼女達へと伝える。
その声を聞いた彼女達は正気を取り戻し反射的に敵の攻撃を回避した。
それにより何にも当たることのなかった刃は彼女達を通り過ぎると背後にあった壁を陥没させながら突き刺さる。
叶星「なんて威力なの!?」
千香瑠「皆さん、絶対に当たってはいけません!?」
その破壊力に顔を青くしながら2人が必死な声を上げるとほかのメンバーもヒュージから距離を取る。
その間に刃を引き抜いたヒュージは碗部を鞭のようにしならせながら距離を詰めてくる。
その移動速度は早くはないが刃の密度が濃くまるで斬撃の壁のようだ。
それが迫る中夢結の元へと集まった彼女達は焦りの色を見せる。
一葉「・・・どうしましょう、このままでは相手に近づくことができません!」
叶星「足自体は早くないみたいだから距離感を間違えなければ当たることはないけど。」
梨璃「・・・それも問題なのですが楓さん達もいません!」
ジリジリと近づいてくるヒュージから距離を取りながら相談を続ける彼女達の前に夢結が出ていく。
梨璃「お姉様!?」
夢結「私がどうにかするわ、だから任せてちょうだい。」
一葉「・・・何が策があるのですか?」
梨璃「・・・でも、CHARMが、」
夢結「大丈夫よ、コレがあるもの。」
彼女は自身の背負うケースへと手を添えるとヒュージへと向かって駆け出した。
一瞬て最高速になった夢結はヒュージへと急接近する。
彼女がヒュージに近づくにつれて迫る斬撃の壁に臆することなく進む彼女を梨璃達が制止させようとするが、既にその時には彼女の目の前には死の壁がありもう止まることは出来ない。
そして彼女がその壁にぶつかる寸前、この後起こるであろう光景を想像した面々が目を逸らそうとしたその時、
彼女の右手が動いた。
梨璃「お姉様ッ!!」
梨璃の叫びと共に轟音が鳴り響く。
その轟音に耳を塞いで顔を背けた面々が夢結の方を見るとそこには、
夢結「・・・まだ、使いこなせていないから・・・荒っぽくさせてもらうわよ?」
碗部の刃を砕かれた特型ヒュージと、自身の身長の倍はあろう大剣を振り抜いた夢結の姿があった。