アサルトリリィ Abnormal Transition 作:0IN
二水「ふぅ、やっと一息つけますぅ・・・。」
鶴紗「・・・まだ終わってないけどな。」
神琳「あの人の雰囲気からして、間違いないでしょうね。」
2レギオンの面々と別れた梨璃達は前日に彼に案内された応接室へと来ていた。
彼女達は気を失っている楓をソファーに寝かせると、緊張が解けたからか酷使し続けた身体は崩れ落ちるように座り込む。
その中で梨璃だけが涼しい顔をしながら部屋に備え付けであるティーセットの準備を始めた。
梅「梨璃は疲れてないのカ?」
梨璃「いいえ、疲れていますよ。・・・ですけど、これくらいのことで休んじゃったら黒鉄さんに怒られますから。」
ミリアム「・・・流石に厳しすぎではないかのう?」
梨璃「確かに厳しいけど、私から頼んだよ。」
鶴紗「・・・これからのためか?」
梨璃「そうだね、・・・力が目覚めたら心が弱いと、だからね。」
美鈴「・・・そうだね、」
梨璃「美鈴お姉様・・・。」
美鈴「・・・普段はどれだけ気が強くても、ほんの一瞬の隙だけで呑まれるから、どうしてもその隙を作らないようにしなければ行けないんだ。」
梨璃が無理をしていないか不安になり問い掛ける彼女達に、梨璃は彼女達を安心させるように微笑みながら答える。
それを見た鶴紗が呟いた言葉に梨璃は少し表情を曇らせる。その様子に気づいた彼女達の雰囲気が暗くしていると、突如美鈴が姿を現し楓が寝ているソファーに腰をかけたながら彼女を心境を静かな口調で呟く。
梨璃「黒鉄さん曰く、私は絶対に目覚めるらしいので・・・。」
梅「まぁ、いつものことを考えるとそんだろうナ。」
梨璃「・・・本当に誰も信用してくれませんよね。」
鶴紗「・・・それは・・・な?」
二水「・・・はい、」
神琳「目に見えてますからね。」
雨嘉「普段の行動を考えた方がいいと思うよ?」
梨璃「・・・みんな、ひどいよ。」
ミリアム「そう言われてものう・・・。」
結梨「大丈夫だぞ、梨璃!」
梨璃「・・・結梨ちゃん、」
皆の新雑な言葉に徐々に影を落とし始める彼女に結梨が抱きついた。結梨の言葉に表情を緩め抱き締め返していると、ふと梨璃の脳裏に嫌な予感がよぎる。
結梨「梨璃のそう言うところが好きだから!」
梨璃「・・・そういえば、前にも似た事があったね。・・・結梨、嬉しいけど違うんだよ、」
既視感とともに嫌な予感が的中し彼女の目尻から一雫の光がこぼれ落ちる。
美鈴「・・・わかっていただろうに、」
ミリアム「いっそ、哀れじゃな。」
梅「ははは、でもこれが梨璃らしくていいんじゃないカ?」
楓「・・・うっ、なんの騒ぎですの?」
二水「楓さん、目が覚められたんですね!」
楓「・・・ここはいったい?」
神琳「黒鉄さんの秘密基地、でいいんですかね?とにかく、前日説明をして頂いた応接室ですよ。どこか具合の悪い所はありますか?」
楓「いいえ、ただ少し目眩が・・・。」
美鈴「それは疲労だろう。精神干渉されていたんだ無理もないさ。」
梨璃「楓さんは大丈夫なんですか?」
美鈴「ああ、干渉されそうになった形跡はあるけど、特に干渉自体はされてないみたいだね。他の2人も大丈夫みたいだよ。」
梨璃「そうですか、良かったです。」
美鈴「本当にそうだね。・・・だけどこれくらいなら君でもわかるんじゃないのかい?」
梨璃「・・・感覚的には理解出来るんですけど、ちょっと自信がなくて、」
美鈴「それだけ出来れば上出来さ、これから克服していけばいい。」
梨璃「はい!」
自信を持てない梨璃を慰めるように諭すような口調で声かける美鈴、彼女の意味深な発言に神琳は先程まで疲労の滲み出ていた表情が一転、真剣なものへと変わる。
神琳「・・・その言い方、やはりまだ終わっていないのですね。」
美鈴「その通り、まだあの子は生きているよ。」
二水「特型ヒュージがそうなんですよね?・・・ですけど特型は、」
雨嘉「うん、活動停止してた。」
美鈴「まぁ、本当ならそんなるんだけどね。」
彼女から再び放たれた意味深な発言に梨璃以外のメンバーが疑問を覚えていると、
梨璃「よく理解出来てないんだけど
美鈴「その考えていいと思うよ。・・・確実じゃないけれど、あの子は私と同じ支配型だ。」
梅「美鈴様と同じ・・・。」
美鈴「これも予測だけど特型ヒュージを支配した後に本体が服を着るように中に入ったんじゃないかな?」
楓「・・・それでは、振り出しに戻ったということでしょうか?」
美鈴「そうでも無いかな?・・・蓮夜が損傷を負わせることには成功しているから、しばらくは大人しくしているはずだ。」
神琳「・・・それは、ひとまず安心なのでしょうか?」
梨璃「そうでも無いよ。・・・支配型だと時間が経てば経つほど規模が大きくなるから。」
美鈴「それも人も支配するみたいだからね。民間人にも被害が出かねない。」
2人の言葉にことに深刻さを理解した神琳は口を噤むぐ。
それと共に室内に暗い空気が漂い出した時、
美鈴「この話は一旦置いておこう。それで梨璃、」
梨璃「どうしたんですか?」
美鈴「彼からの預かりものだよ。」
そういうと彼女は何も無い空間から大きな包みを取り出した。
それは、梨璃の身長よりも大きく、いきなり渡された彼女は前のめりになるが、包みを杖代わりにすることで転倒を避けた。
梨璃「あ、あの・・・これは?」
見覚えのない包みに梨璃が目を白黒させていると、
美鈴「これはね・・・梨璃、君の新しいCHARMだよ。」
彼女は静かな口調でそう言い放った。