アサルトリリィ Abnormal Transition   作:0IN

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ラスバレ1章㊻

梨璃「できていたんですか!・・・黒鉄さんはもう少しかかるって言ってましたけど、」

 

美鈴「最終調整が終わってないみたいなんだけど、君のCHARMが壊れたことを知ってね。・・・とにかく開けてみたらどうだい?」

 

 

梨璃は驚きながらも、美鈴に急かされるままに包みを開くと、その中には白亜の剣が入っていた。

 

 

梨璃「・・・これは、」

 

美鈴「・・・機体コードは『無垢百合』、黄昏を君専用に再構成し直したものらしい。」

 

梨璃「・・・無垢百合、ですか。」

 

 

剣の名を聞いた梨璃は再びそれへ目を向ける。

それは刀身から柄まで、全てが透き通るような白で染まっており、クリスタルのみが黄色に輝いていた。

今までのグングニルのようなランスタイプとは違い夢結が扱うブレードタイプの形をしており、その大きさから鶴紗のティルフィングと同じバスターソードタイプとでも呼ぶべきだろう。

その刀身を照明に掲げると光を反射し淡い黄色へと色を変えながら鏡にように梨璃の表情を写す。

 

 

ミリアム「グングニルとは全く別の形状じゃのう?」

 

鶴紗「かなり使い勝手が違うと思うんだが、大丈夫か?」

 

梨璃「うん、元々変わることはわかっていたから、練習もしたし大丈夫だよ。」

 

二水「それにしてもこの持ち手・・・すごい形ですね。」

 

 

珍しいそうに梨璃のCHARMを見る面々、その中で二水が彼女の握る持ち手へと目を向けた。

純白の刀身から伸びる柄、通常なら真っ直ぐと伸びているはずのそれが異様な形に変形しているのだ。持ち手の中半から銃ストックのように刀身側えと曲がってしまった柄、通常ではまず使われないであろう形になってしまっているのだ。

 

 

梨璃「これはね、受け流すためらしいんだ。」

 

神琳「受け流す・・・ですか?」

 

梨璃「私の体格じゃあ正面から受け止めるのは厳しいらしくて、わざと力の入れにくい構造にしているんだって。」

 

雨嘉「それじゃあ、攻撃に力が入らないんじゃ・・・?」

 

梨璃「元々守ることに重視していて、攻撃は二の次らしいよ。・・・それに力で斬る使い方はしないし。」

 

梅「なら、どうやって切るんダ?」

 

梨璃「そうですね・・・美鈴様。」

 

美鈴「わかった、皆着いてきてくれるかな?」

 

 

そういうと2人は部屋を出ていく。

それを見た梅達も2人に着いていくと、そこには学院の訓練所程の大きさの部屋があり、その中央に梨璃と美鈴がそれぞれ向き合うように立つ。

 

 

梨璃「お願いします!」

 

美鈴「・・・。」

 

 

梨璃の声と共に美鈴は彼女へと向けて駆け出した。

それを迎え撃つためにCHARMを正面に構えていると、彼女は腕を上げる。彼女の手には何も握られていないが一瞬彼女の手が霞むと共にブリューナクが握られていた。そして現れた刃は上段から梨璃へと襲いかかる。刃が彼女に当たる寸前、彼女は右手首を軸にするようにCHARMを回転させることで刃を受け流し美鈴へと迫る。

CHARMを振り切った美鈴へと柄を向けて使い出す梨璃だが、それを勢いに身を任せるように身体を捻じることで回避しもう一度刃を振り下ろした。

 

滑らかにかつ鋭く通る剣線、嵐のように荒々しくしかし舞を踊るかなように優雅なそれを、梨璃は自身の身体を回し円を描きながら受け流す。

 

 

二水「いつもの梨璃さんと違いますね。」

 

雨嘉「・・・うん、いつもならしっかりと受け止めて様子を見るのに、」

 

神琳「確かに・・・普段は夢結様の戦闘法の面影がありますが、これは別物ですね。」

 

ミリアム「・・・どちらかと言うと黒鉄さんに似ておるのかのう?」

 

梅「違うんじゃないカ?」

 

二水「私には良くんからないのですが・・・。」

 

鶴紗「・・・あの人はそもそも受けないからな。」

 

神琳「受けるにしても手首だけで流しますからね。」

 

結梨「良く分からないけど、梨璃、すごく静かだよ?」

 

神琳「冷静ということでしょうか?」

 

結梨「・・・分からない。」

 

 

2人の戦いを見ている彼女達は普段とは違う梨璃の戦い方に戸惑いの声をあげる。

その中で結梨だけが梨璃が放つ違和感を感じた。

 

 

結梨「ただ、すごく静かなの・・・いつもポカポカしていのに、」

 

雨嘉「・・・もしかして感情?」

 

 

結梨の言葉を聞き、無意識に言い放った雨嘉の呟いた一言に彼女達は一斉に梨璃の顔へと視線を向ける。

 

いつもなら陽だまりのような微笑み溢れる彼女の顔、しかし今その面影は存在しない。

そこにあるのは無・・・その無色透明な表情は何を考えているのか何を思っているのかすら理解することが出来ない。

 

彼女はただ冷静に正確に、自信に迫る脅威に対処し続ける。

攻撃をせず相手の攻撃に合わせて回転することで威力を抑えながら守りに徹する。

ただそれだけの動作を精密機械の如く行い続ける彼女には全くの焦りの表情は見えない。ただでさえ回転するという性質上、視界の移り変わりが大きく視覚情報を上手く処理することが困難になる。

それなのに彼女は丸でどこに攻撃が来るかわかっているかのごとく正確に相手の凶刃を捌き続ける。

 

普段から諦めることを嫌い、強い精神力を持つ彼女だとしてもこれは異常だ。

その異常性に気づいた彼女達は恐怖に支配される。

 

本当に彼女は私達の知る、一柳 梨璃なのかと、

 

 

二水「本当に梨璃さんなのでしょうか、」

 

神琳「・・・まるであの人見たいですね。」

 

ミリアム「黒鉄さんか?」

 

神琳「ええ、あの人も感情を表に出しませんからね。」

 

楓「訓練中、驚くような表情は出していますわよ?」

 

神琳「・・・あれは仮面ですよ。」

 

鶴紗「・・・嘘ってことか?」

 

神琳「はい・・・確信はありませんがあの人はわざと別の表情を出すことで自身の考えを悟られないようにしているように感じます。」

 

 

彼女達が話し合っている中でも着実に防ぎ続ける梨璃に、彼の姿を重ねていると彼女の動きが変わった。

自身の身体を回転させることで攻撃の威力を分散させ続けてきた梨璃だが、ここで1度後退するように大きく後ろに飛ぶ。

突然に変化した行動にも限らず美鈴はすぐさま梨璃へと再接近しながら鋭い一撃放つ。

それを見て先程と同じ光景が繰り広げられるであろうと考えていたその時、

 

 

美鈴「・・・ッ!」

 

 

梨璃は彼女の一撃を受け止めた。

先程まで回転することで受け流していたその衝撃は梨璃の身体を後方へ逸らす程の威力を持つが、彼女は膝を使い上手く力を分散させると鍔迫り合いをしたまま切っ先を地面へと突き立てる。

 

 

梨璃「・・・焦りすぎです!」

 

 

梨璃が叫ぶと美鈴の身体が宙を舞い、それと同時に切っ先付近の地面が砕け散り破片が勢いよく美鈴へと襲いかかる。

 

まるで弾丸の如き速度で迫り来る石片を美鈴はCHARMを巧みに使い逸らすしながら防御の合間に細かくCHARMを変形させ梨璃がいる場所へと牽制射撃を行うが既にそこには彼女の姿は存在しない。

 

それに気づいた美鈴が素早く周囲を見渡すと不意に彼女の下に黒い影が生まれる。

それに対して彼女がCHARMを振るうと、そこには己のCHARMを振るう梨璃の姿がありCHARM同士が触れた瞬間再び美鈴の身体が大きく弾かれる。

 

再び体勢を崩した彼女へと梨璃は接近し追撃を加えようとするが、それは体勢を整えた美鈴に防がられるが空中という足場のない世界にいいる彼女は反撃することが出来ない。

 

これを好機と梨璃先程の防戦一方の戦いが嘘のように攻める。それを美鈴は捌きながら反撃の機会を狙うが、弾かれる攻撃と弾かれない攻撃の二択に見切りかねており、彼女から徐々に焦りの表情が浮かび上がった。

攻守の逆転した状況はしばらく続くが、

 

 

美鈴「しまった!?」

 

 

美鈴は1度受け止めた梨璃の攻撃で弾かれたことで、CHARMを大きく弾かれる。

 

 

梨璃「これで、終わりです!」

 

 

梨璃のCHARMに触れた瞬間弾かれるか弾かれないかの二択・・・それは本来三択だったのだ。

 

1つ目は、『触れた瞬間に弾かれる。』

2つ目は、『触れても弾かれない。』

 

そして3つ目の『受け止めてから弾かれる。』

 

 

最初に梨璃がとった行動、それは受け止めたのちに彼女を弾くことで体勢を崩すことだった。

しかし、その後に迫る二択により選択肢の幅が狭まっていた彼女は本来存在する三択目を読み逃してしまったのだ。

 

それにより生まれた隙を梨璃は見逃さない。

手首を軸としてCHARMを回すことで直前の振るう動作を強引に突きへと変え、それにより生まれた遠心力を力と速さへと変える。

建て直しの時間すら与えず、本来の威力を超えた突きが美鈴へと迫る。

それを見た彼女は何か思ったのか左手をCHARMから離し自身を狙う刃へと向ける。

 

 

美鈴「強くなったね、梨璃。」

 

 

美鈴と刃が触れる寸前、彼女の姿が掻き消えと同時に梨璃の首筋に冷たい何かが触れる。

 

 

美鈴「・・・だけど、まだ負ける訳には行かないんだ。」

 

 

そして美鈴の声が背後から聞こえた梨璃が声の方へと視線を向けると、

 

 

そこには左手でCHARMを握る美鈴の姿があった。

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