アサルトリリィ Abnormal Transition   作:0IN

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先週は更新をお休みしてしまい申し訳ございません。
今週から再び更新していきますのでこれからも本作をよろしくお願い致します。


ラスバレ1章51

彼が再びディスプレイを操作すると彼女達の前にある画面が2つに増え新たな画像が移し出された。

そこには半透明の地球が2つ並んでおりその間に箱状の物体があることが分かった。

 

 

天葉「・・・これって地球よね?」

 

依奈「どうして2つも映し出されているのかしら?」

 

樟美「・・・?」

 

壱「樟美、どうしたの?」

 

樟美「何かおかしくないかな?」

 

天葉「おかしい?・・・どこかわかるかしら?」

 

樟美「・・・えっと、ここです。」

 

 

そう言って樟美が指さした先には右側に映し出された地球があり、それは一定の速度で左回転を続けている。

 

天葉「これってただの地球の画像でしょう?」

 

壱「見たところ違いは、左側のものと回転方向が逆であることでしょうか?」

 

樟美「・・・そこも確かに違うけど・・・違うの。」

 

 

壱は自身の思い当たる節を答えるが樟美の感じているものとは違うらしく首を傾げる。

違和感を覚えながらも、その答えを得られない樟美が必死に、その違和感を探していると二水が彼女の肩を叩く。

 

 

二水「樟美さん、樟美さん、」

 

樟美「ん?・・・どうしたの、二水ちゃん?」

 

二水「これ鏡合わせじゃないですか?」

 

依奈「・・・確かに、」

 

天葉「そう言えば気にしていなかったわ。」

 

樟美「天葉様、これです!」

 

天葉「おっと、いきなり飛びついたら危ないわよ?」

 

 

違和感の正体が判明し樟美は嬉しそうに天葉へと抱きつく、それを優しく受け止めた天葉は注意しながら彼女の頭を撫でる。

それが気持ちいいのか樟美は目を細め力を抜いて天葉に身体を預けると視線だけ画面に向き直る。

 

 

樟美「これはどういう意味なのでしょうか?」

 

天葉「それは・・・、依奈?」

 

依奈「いきなり振られても分からないわよ?・・・そうね、」

 

 

いきなり話を振られた依奈は天葉に呆れたような視線を向けたあともう一度画面を確認する。

 

 

依奈「・・・鏡合わせの地球以外に怪しいのは、この立方体くらいかしら?」

 

壱「もしかしてこの場所なのではないでしょうか?」

 

天葉「そうすると私達は地球と地球の間にいるってことにならないかしら?」

 

樟美「天葉姉様、そもそも地球は2つもありませんよ?」

 

依奈「そんな事も分からなくなったのかしら?」

 

天葉「そんなわけないでしょう。でもこの画像をそのままに表すとそうなるのよ!」

 

依奈「そんな非現実的なことあるわけないでしょう?」

 

天葉「そんな非現実的なことに巻き込まえてるのよ私達!?・・・さてはからかってるわね!?」

 

依奈「からかってないわよ?・・・」

 

 

笑う依奈に天葉がジト目で向けると彼女は話題を逸らすために画面へと目を向ける。

 

 

依奈「他に手掛かりはないかしらね?」

 

天葉「分からないわよ・・・もういっそのこと異世界とかでいいんじゃないの?」

 

樟美「天葉姉様・・・流石に投げやりすぎますよ。」

 

蓮夜「いいや、そうでも無いよ。」

 

樟美「・・・えっ?」

 

 

答えが見つからず、不貞腐れ始める天葉を樟美がなだめようとしていると彼から言葉を投げかけられる。

 

 

天葉「どういうことよ、もしかして本当に異世界なんてものがあるの!?」

 

蓮夜「あぁ、異世界と呼べるものは確かに存在している。そして本施設は世界と世界の間・・・世界の狭間と言うべき場所に存在している。」

 

梨璃「魔法のある世界とかもあるんですか!?」

 

夢結「・・・璃梨、そもそも私達リリィの存在自体が魔法のようなものよ・・・。」

 

 

彼の言葉に目を輝かせながら的はずれな質問をする梨璃に夢結は溜息をつきながら彼女を宥める。

 

 

蓮夜「・・・異世界、厳密的に言うならば並行世界とでも言うべきものは無数に存在するんだよ。そもそも私の考えではこの世界自体が世界の基礎となった世界・・・今は基軸世界としようか、その基軸世界から生み出された並行世界の1つであると考えている。」

 

依奈「並行世界ですって、それも私達の暮らしているこの世界は数ある世界の1つでしかないって言うの!?」

 

蓮夜「そもそも考えたことはないかい?・・・どうしてヒュージなんて言う自然の摂理に属さない生物が存在するのかと、」

 

全員『!?』

 

 

確かにそうだ。

人間のように摂理から離れた行為を行うものもいるが、生物は必ず自然の摂理の中で生きている。

これは人間も例外ではなく枠組みから外れては生きては行けないのだ。

例えば生物が生きていくためには栄養が必要であり、その取得方法は様々であれど必ず必要量の摂取が必要となってくる。

このように生物は必ず共通した当行動原理が存在するのだ。

 

しかし、ヒュージにはそれが存在しない。

そもそもヒュージは栄養の摂取をしないのだ。

たとえヒュージの栄養素がマギであるとしても、同じくマギを保有するリリィにはその性質は存在しない。

それはマギが自動車を動かすための燃料と同じく役割だからである。

つまり生物が生きていく上で必要な要素ではないのだ。

そしてヒュージを形作るヒュージ細胞は捕食・寄生・成長といった機能を有しているが再生という細胞が持つ基本的な機能を有していない。

確かにレストアードと呼ばれる損傷をネスト内で修復した個体なども存在しているがそれはマギによって損傷部を再構成しているだけであって細胞の力で再生している訳では無いのだ。

そう考えると彼女達の中でとある疑問が生まれる。

 

・・・『ヒュージとは本当に生物なのか』と、

そして・・・、

 

 

蓮夜「そしてリリィも、本来ならおかしい存在だ。・・・そう思わないかな?突如現れたヒュージと同タイミングにマギと呼ばれる未知のエネルギーが発見される。・・・タイミングが良すぎるんですよ。だからこそ私はこう考える。」

 

 

彼が言葉を紡ぐごとに室内どんどんと冷たくなっていく。

しかし画面の端に見える室温計では実際の室温に変化はない。

 

 

蓮夜「・・・マギとは、基軸世界から分離する時に生じた因果性のズレを修正するために、世界が修正時に生まれた力を矛盾点を出さないために本来なら存在しない新たな要素として作り出したものであると、そしてヒュージはそのマギという要素・・・それを世界に定着させるために作られた緩衝材ようなものなのではないのかと、」

 

 

それではこの寒さはどこから来るのか、

まるで聞いてはいけないことを聞いてしまったかのように彼女達の中に恐怖が駆け巡る。

それは恐怖であると同時に警鐘のように鳴り響き彼女達の脳裏から離れない。

そして心はここから離れようと叫ぶが身体は、まるで蛇に睨まれたか蛙のように1ミリたりとも動かなかった。

その中で彼はゆっくりと口を開き、

 

 

蓮夜「そしてリリィとはヒュージが現れたことによって生まれた一種の変異体・・・世界に存在するはずのなかったバグのような存在では無いかと考えている。」

 

 

彼の言い放った言葉、それは彼女達自身の存在を否定するかのようなものであった。

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