アサルトリリィ Abnormal Transition   作:0IN

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ラスバレ1章52

天葉「・・・どう言うことよ、

 

蓮夜「・・・。」

 

天葉「どういうことって聞いているのよ!!」

 

 

上手く声が出ないのか、掠れた音を出す天葉の口から言葉が紡がれる。

しかしその答えは誰からも帰ってこず、ただ沈黙だけが支配する空気(部屋)の中、彼は静かに目を閉じると、そのまま動かない。

 

そんな沈黙の中、今まで溜まっていたものを吐き出すかのように、天葉は絶叫の如く怒りの篭った言葉()を解き放つ。

部屋全体に広がる彼女の叫び呼応するように少女達の()理解の出来ない(正体不明の)感情()渦巻く(突き立てられる)

 

 

今、彼はなんと言った?

・・・変異体?

・・・存在するはずがない?

・・・バグ?

 

彼は何がそうだと言った?

・・・ヒュージ?

いいや、違う。

彼はヒュージ以外のマギを持つ生物を指し示していた。

 

それは何だったか?

少女達はその答えを自身の記憶の中から探す。

しかし、少女達にはその答えが出てこない。

 

・・・いいや、違う。

少女達はただ認めたくないのだ。

 

理解してしまえば、それを認めてしまうから、

理解してしまえば、自身()がおかしくなってしまうと分かっているから、

 

 

天葉「答えなさいよ!!・・・そのために私達をここに呼んだんでしょう!!」

 

蓮夜「・・・。」

 

天葉「・・・答えなさい、答えてよ・・・私達はなんなの?

 

 

答えが帰ってこない天葉は怒りのあまり彼の元へと歩いていきそのまま胸倉を掴みながら叫ぶ。

その声はとても悲痛であり、言葉を紡ぐ事に弱々しくなっていく彼女の声は震えと共に濡れていく。

 

彼女は怖いのだ。

それは自身の事ではなく・・・ただ大切な自身の大切な人(シルト)の身を案じるが故に、

自身の事など彼女はどうでも良かった。

しかし彼女には己の身よりも大切な、どんなことがあろうと必ず守ると誓った存在がいるのだ。

そんな彼女が、最愛のシルト(江川 樟美)が存在するはずのなかった人物だった言われ、まるで存在を否定するかのような言葉を彼女は認めることが出来ない。

 

 

天葉「私達リリィがいるからヒュージが生まれたって言うの?」

 

蓮夜「・・・それは違う、先も言ったようにヒュージが生まれたからこそリリィと言う存在が生まれたと言える。」

 

 

天葉の悲痛な叫びが響く中、やっと彼は沈黙を破る。

 

 

蓮夜「それにこれは、私達のような存在が通って来た(地獄)だ。・・・それと同時にこの真実は私達が向き合わなくては行けない(この世界を生きるための)課題(道標)でもある。」

 

天葉「か・・・だい?」

 

蓮夜「・・・そう、これは生きとし生けるもの全てが直面する命の課題()そのもの、そしてこの課題を達成することが本来世界が定めた運命(物語)なのだから、」

 

 

ここで彼は今まで閉じていた瞳を開く、そこには彼女をそして少女達に対する優さが込められていた。

 

 

蓮夜「だから大丈夫、だって君達はこの世界が(僕達のように)産まれてくることを望んだ存在な(許されていない存在ではない)のだから、」

 

 

彼は優しげな口調でそう呟くと、彼女を席へと促す。

そこには彼女の大切な少女がおり彼女は微笑みながら天葉を迎え入れた。

 

 

天葉「・・・。」

 

蓮夜「落ち着いたかな?」

 

天葉「取り乱してごめんなさい、もう大丈夫よ。」

 

 

樟美の頭を撫でながら落ち着いた口調で返事を返す彼女を見た彼は1度微笑むと再び表情を変える。

 

 

蓮夜「・・・それでは話を戻しましょう、これから話すことはあまりに非現実的ですが、これから話すことは全て真実であり、この場に皆さんの知りたいと考えているものの答えです。」

 

 

そこから彼は、彼女達が知りえたい事、彼等(異能者)が持つ異常性について語り始めた。

それは彼の言う通りあまりにも非現実的であり、決して真実だと確信を持てるものではなく、直接見ることがなければただ妄想を語っていただけとしか感じることが出来なかったであろう。

しかし同時に彼の口から紡がれる言葉には、彼女達の持つ常識を根本から破壊するだけの力を秘められていた。

 

 

高松「・・・にわかに信じ難いが、君がここまで念入りに準備をしての行動に移しているのだから真実なのじゃろうな。」

 

蓮夜「はい、今お話したことは全て真実であり、そしてこれから直面するであろう危機でもあります。・・・ですが、」

 

高松「どうかしたか?」

 

蓮夜「いえ、こうも早く信じて貰えると考えていなかったため、少し驚いただけです。」

 

高松「なに、ただ君を・・・いいやリリィ達を信じているだけじゃ。これでもワシは君にも信用されていると思っておるのだが、それほどでもなかったか?」

 

蓮夜「いいえ、信頼しているからこそ、この場に呼ばせて頂いた次第です。」

 

 

ここまで信頼されていたことが予想外だったのか高松に訪ねる。

すると彼は1度全員の顔を見渡すと微笑みながら答えを返した。

 

 

蓮夜「・・・ただ、やはり信じられない人も多いようなので、数例証拠を見せようかと思います。」

 

 

高松の答えに満足したのか彼は1度頷くと彼に習うように周りを見渡した。

そこには元々真実を知っているため静かに彼の言葉を待つメンバーと、内容が内容のため半信半疑となり周りと相談するメンバーに別れていた。

それに気づいた彼は立ち上がると入口前まで歩いていきドアを背にするように佇んだ。

 

 

蓮夜「・・・いきなり刺激的なものを見せても行けないでしょうし、これにしましょうか。」

 

 

彼は1度目を瞑ると右腕を前方へと突き出した。

それを見て首を傾げる面々だが、すぐにその表情は驚愕へと変わる。

 

 

叶星「・・・えっ?」

 

高嶺「どういうことなの・・・?」

 

 

驚愕する彼女達の視線の先、そこには叶星の使用CHARMであるクラウ・ソラスの姿があった。

それを確認した叶星はすぐさま自身の座る椅子横に置いてあるケースの中を確認した。

そこには入れた時と変わらぬ姿のまま収められたクラウ・ソラスの姿があり、それに安堵すると同時に困惑の表情を見せる。

 

 

叶星「蓮夜君、ちょっとそれを見せてもらえるかしら?」

 

蓮夜「構いませんよ。どうぞ、」

 

 

彼は彼女に対して言葉を返すと、静かにCHARMを握る手を話した。

彼が手を離すと同時に、CHARMはその輪郭を朧気にしながら姿を眩ませる。

いきなり現れたそして消えたCHARM、そのあまりに非現実的な光景に唖然としていたがすぐに正気を取り戻した消えたCHARMを探す。

少女達が周囲を見渡すと消えたCHARMはすぐに見つかる。

CHARMは叶星の座る席に置かれており、叶星は予想外のことに驚きながらもCHARMの全身を見渡していた。

 

 

叶星「これ、私のCHARMよ。」

 

紅巴「で、でも叶星様のクラウ・ソラスはそこにありますよね!?」

 

叶星「ええ、でもカスタムや調整部・・・それに戦闘でついた傷が同じなの。」

 

定盛「そうすると同じCHARMが2機あるということになるのでは?」

 

高嶺「そうね、でも叶星が持っているCHARMはこれだけよ。・・・それにクラウ・ソラス自体がオリジナルと叶星の限定先行機他数機・・・百合ケ丘にこの機体があるはずがないわ。」

 

定盛「百合ケ丘の人が研究用に作ったとかはないんですかね?」

 

紅巴「・・・それも考えられるけど、傷も全く同じだとすると無理よ。」

 

灯莉「デッサンみたい〜☆」

 

蓮夜「デッサンよりは模写に近いが、その考え方であっているよ。」

灯莉「わ〜い!正解だ☆でもでもどうやって作ったの?」

 

蓮夜「今言った通り模写したんだよ。私の能力は先程も説明したが見たものに干渉する力、それを利用して彼女のCHARMを空間に転写実態のある幻影を作ったんだ。・・・本当は物質としても複製可能なんだけれど、それをしては色々と問題になってしまうからね。」

 

定盛「つまりこれは精密にできたハリボテみたいなものなんですか?」

 

蓮夜「大まかに言えばそうだけど、転写時に性能も同時に転写されているため普段使用しているものと同じ間隔で使用可能になっているんだ。」

 

天葉「それってアーセナル泣かせじゃない!?」

 

蓮夜「今回は性質から説明のために使ったけれど、これは元々非常時のためのものであり普段は使用しないよ。・・・けれど、まだ信じられない人がいるようですので、」

 

 

彼の視線の先、そこには悩ましい表情をしている依奈の姿がありその目には疑いの色が見え隠れしていた。

それを見た彼は入口の前から横に移動するとその先の廊下へと視線を向ける。

 

 

蓮夜「姐さん・・・お願いします。」

 

 

彼は静かに呟くと、つられて皆の視線が廊下へと向くが、いくら待とうと視線の先に変化は起きない。

 

 

???「・・・やっと出番かい?」

 

 

静寂に包まれた部屋、その中にいる誰とも違う声が響き渡る。

 

樟美「・・・えっ!?」

 

壱「・・・そんな、」

 

天葉「うそ、でしょう?」

 

高松「・・・なるほど、」

 

依奈「・・・どうして、貴方はもう、」

 

 

アールヴヘイムの面々の表情が驚愕の色に染まる。

彼女達の今までにない動揺ぶりにヘルヴォル、グラン・エプレの面々は激しく動揺した。

 

 

一葉「どうかなさったのですか!?」

 

叶星「大丈夫かしら、あの人に何かあるの!?」

 

高松「・・・。」

 

 

一葉や叶星が必死に声をかけるが彼女達は反応せずただただその人物を見つめ続ける。

その中でも、高松は冷静に表情のまま思考を巡らせていた。

 

 

依奈「・・・美鈴様!!」

 

美鈴「2年ぶりだねみんな、」

 

 

彼女達の視線の先、

 

そこには2年前・・・甲州撤退戦で散り、白井 夢結に深い傷を与えた存在、

 

川添 美鈴の姿があった。

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