アサルトリリィ Abnormal Transition 作:0IN
蓮夜「それでは続きと行きましょうか。」
天葉「ちょっと、流石にさっきのを見て続けようとは思えないわよ?」
蓮夜「いつもの事なのでお気になさらず、あの人は元々死んでいるので死にませんし度々夢結から制裁を受けていますからね。」
天葉「そういう問題じゃ・・・。」
先程とは別の意味で混沌とした空気を無理やり元に戻そうとする彼に天葉は異を唱えようとするが、彼はまるで直前に断末魔をあげていた彼女のように受け流し話を進め始めた。
蓮夜「能力の詳細は省かせて頂きますが、私の力は視覚領域内に干渉するものです。・・・このように予め紋章として能力を制作しそれを視覚を通して発動します。」
依奈「・・・それなら貴方の目線にさえ気をつければいいってことよね?」
蓮夜「本来ならそうですが私達異能者・・・その中でも知覚型は特性として知覚範囲が拡張されるため基本的に全方位を知覚することが出来ます。私の場合は視覚ですので自身を中心として全方位を知覚することが可能です。」
依奈「そうなると確かに脅威ね。・・・奇襲も不意打ちも基本的に効かないものそれに、」
天葉「現物と全く同じものを複製出来るんでしょう?なら消耗戦になるとしたら悪夢だわ。」
再開された彼の説明に聞いた天葉と依奈は、その力の異常性と脅威を理解すると共に思考を深めていく。
その後も彼女達と彼の応答は続いていき、
蓮夜「ですので、本日3レギオン相対した特型ヒュージ・・・彼女には接触しないで頂きたいのです。」
一葉「それは出来ません!!」
蓮夜「どうしてでしょうか?」
最後に彼が放った言葉に一葉は食いかかる。
一葉「特型ヒュージは3レギオンで撃破することになっています。それなのに私達以外が撃破したとなってしまえば余計な混乱を、」
蓮夜「建前でしょう?」
一葉「・・・えっ?」
一葉の言葉を遮るように放たれた言葉、それを境に彼の雰囲気が一変する。
蓮夜「戦績を上げるための建前だと言っているんですよ。・・・元々ヘルヴォルは先代の問題により世間的にもかなり危険視されていますからね。それを払拭するには分かりやすい功績、撃破困難な特型ヒュージの撃破という戦績が現状最も簡単に手に入りますからね。」
一葉「そういう訳では、」
蓮夜「それにエレンスゲとしても兵器転用のためにデータが欲しいのでしょうし、例えば特型の特性を利用した強化リリィの実験用の素体の確保・・・あとはヒュージ細胞の人間への移植時の拒絶反応実験のためのサンプルでしょうか?」
一葉「何を言って・・・?」
蓮夜「今年は既に
茜「・・・先輩!?」
先程までは変わっても冷たいだけだった彼の雰囲気、しかし今の彼からはその冷たさも感じなかった。
蓮夜「いくら潰しても、潰しても無尽蔵に湧いて出てくるあの
そこにあるのはただの無、
何も変化は感じられず、ただ理解の出来ない言葉を並べていた。
しかし、それと同時に彼女は不思議な感覚に襲われる。
まるで溶岩の中でのような異常な熱さが肌を焼き、だが身体の芯は極寒の中に晒されるかのように凍てつくような。
相反する2つを同時に受けるような違和感のある感覚、それを何も感じとることの出来ない彼からは伝わってくるのだ。
茜「音羽!!」
音羽「・・・元々不安定だったけどより酷くなってる。」
蓮夜「・・・どれだけの人を傷つければ気が済む?どれだけの人を悲しませれば気が済む。・・・ただ平穏に過ごしたいだけなのに?ただいつもの日常を送りたいだけなのに、」
明らかな異常事態に皆が固まり動けない中、茜と音羽だけが立ち上がり武器をとる。
茜「・・・アタシ達で止められると思う?」
音羽「・・・理性はあるみたいだからそもそも大丈夫だと思うけど、飛んだら無理、」
一葉「これはどういうことで、」
茜「一葉は黙っててください!!」
音羽「これ以上刺激したらどうなるか分からない。」
2人の会話を聞き我に返った一葉は現状を聞こうとするが、圧力の籠った言葉で止める。
その間も彼は何かを呟きながら手を握りしめる。
その手からは鮮血が流れ落ちており、彼の瞳はその血のように鮮やかな赤に点滅していた。
音羽「どうする?」
茜「一旦皆を外に避難させるとかどう?」
音羽「それをしてる間に落ち着きそうだけど、少し出てきただけみたいだし、」
夢結「その通り、大丈夫よ。」
彼の現状に判断を迷っている2人の耳に夢結の声が響く。
それと同時に廊下から先程の鎖が現れると彼の右手に絡みつき、彼は鎖に気づくとそれを掴み深呼吸を始める。
彼が呼吸をする度に彼の纏っていた気配は薄れていき徐々に本来の空気へと戻っていく。
夢結「落ち着きなさい、私ならここにいるから。・・・そこにいる彼女達はアレらとは無関係よ。」
蓮夜「・・・そうだね。ありがとう、」
廊下から気を失った美鈴を引きずりながら現れた夢結は鎖を手繰り寄せながら彼へと近づき優しく声をかける。
その時には部屋の空気は戻っており、少し疲労があるのか息の絶えた口調で彼は返事を返すと1度瞳を閉じた。
それ後1度深呼吸をすると再び開けるとそこには本来の黒色に戻った瞳に戻っておりそれと同時に彼が纏う雰囲気も普段のものへと戻っていた。
蓮夜「ご迷惑をお掛けしてしまい申し訳ありません。」
一葉「い、いえ、」
蓮夜「・・・こちらの勝手で申し訳ありませんが1度休憩もしましょう。各々認識の擦り合わせも必要でしょうし、」
叶星「そ、そうね。」
蓮夜「梨璃さん、茜、音羽頼めるかな?」
梨璃「分かりました!」
茜「了解です、」
音羽「・・・了解、」
彼が3人に了承を取ると彼女達は各々のレギオンメンバーを促し部屋を出ていく。
蓮夜「起きているのでしょう?姐さんは天葉達をお願いします。」
美鈴「やっぱりバレてたか、わかった任せてくれ、」
彼女達が出ていくのを確認した彼は気を失っている美鈴へと声をかける。
すると彼女は何事も無かったかのように立ち上がり依奈達を連れて廊下へと歩き出した。
天葉「夢結、」
夢結「どうかしたのかしら?」
天葉「・・・少しいいかしら?」
他の面々が外へと出ていく中、天葉だけは夢結の前で足を止め声をかける。
それを聞いた夢結は1度彼へと視線を向けると彼は1度頷き、それを見た彼女は天葉とともに部屋を出ていった。
蓮夜「それでは理事長代行も、」
高松「ここでいい、」
蓮夜「そうですか、ならこれを、」
高松の返事を聞いた彼は彼へと腕輪状の輪を渡す。
蓮夜「それがあれば本質内の資料を閲覧することが出来ます。身につけてテーブルに近づければキーボードが出ますのであとはPCと基本的に変わりません。」
高松「・・・感謝する。」
蓮夜「いいえ、それでは少しお時間をもらいます。」
腕輪の説明を簡単に済ませると彼も退出するために扉へと足を進める。
高松「・・・黒鉄君、」
蓮夜「・・・。」
高松「・・・無理だけはしないように。」
蓮夜「お気遣い感謝します。」
お互いに背を向け合う中、高松の言葉に彼は一言返事をする、その声には微かに暖かい何かが宿っていた。