アサルトリリィ Abnormal Transition   作:0IN

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ラスバレ1章55

天葉「・・・本当になんでもありね。・・・ここは、」

 

 

天葉達は美鈴に案内されて部屋を後にすると、そこには緑豊かな庭園が広がっていた。

色とりどり花たちが咲き乱れる中、その中央には風景に合わせるように設置されたアンティーク調のベンチ型の椅子とテーブルがそしてそれを囲うように水路が巡らされており外と内は4箇所に架かる小橋によって繋がっている。

 

 

依奈「室内に庭園って・・・空もある見たいだけどどういう構造をしているのかしら?」

 

樟美「外は普通の廊下でしたのに扉を開けたら外ですからね?」

 

天葉「もうどっちが外なのか分からないわ。それに部屋の大きさが廊下にあった扉の間隔と合ってないわよ?」

 

壱「そもそもどうやってこのような広大な施設を管理しているのでしょうか?」

 

依奈「まあ、説明されても分からないでしょうから気にしないようにしましょう。」

 

 

各々に疑問を口にしていく面々だが、誰からも答えが返ってくることはなく促される持ったままに椅子へと座った。

 

 

夢結「・・・聞きたいこととは何かしら?」

 

天葉「単刀直入に聞くわよ。・・・夢結、貴方はいつから知っていたの?」

 

 

一同が座り一息つくと夢結は天葉へと言葉を投げかけた。

それに彼女は決まっていたようですぐさま夢結へと質問をする。

 

 

夢結「そうね・・・私がこの力のことを知ったのは先日あったネスト攻略の前日、ヒュージの百合ケ丘襲撃事件が起きた日ね。」

 

 

夢結は1度考えるような仕草を取ると顔の前まで左手を上げ鎖を出しながらながら彼女の質問に答える。

 

 

天葉「それまでは彼がこのようなことをしていたことも知らなかったかしら?」

 

夢結「そうよ、彼とは幼少期からいるけれど2年前から最低限の会話しかしてこなくなったから・・・それも私が拒絶していただけのことですけれど、」

 

天葉「・・・なんかトゲがある言い方ね。・・・つぎの質問よ。・・・さっきのは何なの、まるで別人だったわよ?」

 

夢結「・・・怒りよ、G.E.H.E.N.A.への、ね。」

 

天葉「・・・怒り?」

 

夢結「そうよ、貴方達も彼がG.E.H.E.N.A.を良く思っていないことは知っているわね?」

 

 

意味ありげな夢結の言葉にその場にいる全員が頷くと彼女は立ち上がった。

 

 

夢結「彼は甲州撤退戦後から2年間G.E.H.E.N.A.の違法施設に侵入しては破壊を繰り返しているの。」

 

天葉「・・・はぁ!?」

 

夢結「その時に、色々と見ているのよ。・・・無理矢理に身体を弄られた子や、致死率の高い実験を強要された子・・・リリィどうして殺し合いをさせていた場所もあるそうよ。」

 

依奈「・・・何よ、それ、」

 

夢結「強化リリィも必ず成功する訳では無い、むしろ成功率の方が低いのではないかしら。失敗時の症状として精神の崩壊や身体の機能不全などが主なのだけれど・・・そうした失敗した子達はどうなると思うかしら?」

 

 

夢結はただ冷静に言葉を紡いでいく。

しかし、彼女の足元は赤く染まっておりそれは彼女の右手が流れていた。

 

 

夢結「まず精神崩壊を起こした子は兵器に転用されるわ。意思もなくただG.E.H.E.N.A.の命令に従う兵隊(人形)ね。」

 

天葉「・・・。」

 

夢結「けれどこれはまだマシな方よ。」

 

天葉「・・・えっ?」

 

夢結「・・・身体の機能不全に鳴ってしまった後達は処分されるのよ。・・・まるでゴミのように焼却炉にね。」

 

天葉「何よ・・・それ、」

 

 

彼女の言い放った一言、それは少女達にはあまりにも重いものだった。

 

先の兵器転用は予想もできた。

だが処分とはなんだ。

 

いいように利用して使えなくなれば捨てる。

そんなこと人に対する行いでは無い。

 

それではまるで、

 

 

天葉「玩具だって言うの・・・。」

 

夢結「大まかに言えばそういうことになるわ。」

 

天葉「そんなの、そんなの・・・。」

 

夢結「流石に全ての場所で行われている訳ではなく、しっかりと埋葬する場所もあるけれど1部では起こっているのよ。」

 

 

夢結は1度言葉を区切ると彼女達へと視線を向ける。

 

青ざめるもの、想像してしまい吐き気を覚えるもの、信じられないもの、そして怒りを覚えるもの、

 

様々な感情が入り交じる中夢結は目を閉じ深呼吸する。

まるで自分自身を落ち着かせるように、

 

 

夢結「それを見続けているからこそ人一倍被害者に対してそしてこの事態を引き起きた人達に強い思いがあるのよ。」

 

天葉「・・・。」

 

夢結「まぁ、それだけでは表には出さないでしょうけれど、」

 

依奈「・・・え?でもさっきは、」

 

夢結「それは無理をし続けてきた代償よ。」

 

樟美「代償・・・ですか?」

 

夢結「ええ、彼はこの力に目覚めてから7年なのは聞いたわね?」

 

天葉「ええ、」

 

夢結「そして他の人達は長くても4年・・・お姉様ね。」

 

 

夢結は1度この部屋に入ってから1度も口を開かない美鈴へと視線を向ける。

しかし彼女は話す気がないのか目を閉じたまま静かに佇むだけだった。

 

 

夢結「お姉様は特殊だったから負担が大きかったのだけれど、意思の強いお姉様が4年で潰れる程の精神負担がかかるのよ。・・・それを何も知らない少年が耐えられると思う?」

 

 

そこで天葉達は彼女言いたいことが理解出来た。

確かに美鈴も精神の未熟な少女ではあるがリリィとしての訓練などで強い精神を持っている。

そんな彼女が数年で限界が来る精神負担になんの訓練も受けていない年行かない少年が耐えることが出来るのか、

 

 

夢結「耐えられるわけがないわ。特に彼のは精神負担はお姉様よりも軽いけれど精神以外にも肉体、脳への負担も大きいの、それを幼少期の彼に耐える・・・ましては制御なんて無理なのよ。」

 

天葉「・・・なら、どうして無事なのかしら?」

 

夢結「それは彼の能力に耐えられるまで急成長させられたからよ。」

 

依奈「・・・成長、」

 

夢結「彼は覚醒するのが早すぎたの・・・だから無理矢理耐えられるレベルに作り替えられたのよ。」

 

天葉「・・・。」

 

夢結「彼の言動がおかしくなることがあるでしょう?それもこれが原因で無理矢理成長させられた分、彼の精神の成長が止まっているから・・・彼は知識上の会話を元に喋っているだけでまだ覚醒した時の精神のままなのよ。」

 

 

普段の彼を見る限り想像も出来ない現実、

彼女の言う通りなら彼はここにいる誰よりも幼いのだ。

しかし今の彼(作られた彼)だけを知る彼女達には想像が出来ない。

 

 

夢結「信じられないでしょうけれど事実よ。そして覚醒した時の精神状態が不安定だったこともあって彼はずっと精神が不安定な状態で生きているの。・・・そして7年前のあの日に彼は取り残されている。」

 

天葉「・・・。」

 

夢結「だから普段は冷静を装っているけれど1度スイッチが入ると一気に不安定になるのよ。・・・今回の彼は一葉さんの言動がトリガーになった見たいね。」

 

 

あまりにも重いものないように目を伏せていた天葉は夢結へと視線を向ける。

そこには先程よりも多くの赤を流し続ける右手と、悲痛な今にも泣きそうな夢結の姿があり、この事実が彼女に取ってどれほどの苦痛なのか伺えた。

そして彼女を見た天葉は1つの疑問に気づく、

 

 

天葉「夢結、最後に1つのいいかしら?」

 

夢結「ええ・・・どうぞ、」

 

天葉「貴方、今『あの日』って言ったわよね?」

 

夢結「・・・そうね。」

 

天葉「・・・それが私には貴方がちょくせつその光景を見たみたいに聞こえたのだけれど、」

 

夢結「・・・。」

 

天葉「知ったのは最近なのでしょう?ならなんで『あの日』と言ったのかしら?」

 

夢結「・・・少しおかしな話をしましょうか、」

 

天葉「・・・えっ?」

 

 

天葉の言葉を聞いた彼女は1度笑うと静かに口を動かし始める。

 

 

夢結「人が胸を刺されたらどうなるかわかるわよね?」

 

天葉「・・・いきなりどうしたのよ?」

 

夢結「身体の中心を冷たい何かが通り抜ける感覚、」

 

天葉「何を言ってるのよ・・・、」

 

 

言葉を重ねる毎におかしくなっていく彼女に天葉は止めようとするが彼女は止まらない。

 

 

夢結「理解出来ないまま噴水みたいに赤い何かが吹き出すの、」

 

天葉「ちょっと!!」

 

夢結「ねぇ・・・天葉、」

 

天葉「・・・1度おちつ、」

 

夢結「もしも、私の心臓()2つ目(作り物)だとしたらどう思う?」

 

天葉「・・・えっ、」

 

 

突如放たれた言葉に天葉は疑問する持てなかった。

なぜ当たり前の常識を聞いてくるのか、

なぜ体験しなければ出てこないような言葉が彼女から出てくるのか、

そもそも、2個目の心臓とは何のことなのか?

 

考える中天葉は1つの結論に至り、美鈴へと視線を向けた。

すると彼女は閉じていた目を開いておりただ静かに夢結を見つめている。

それを見た彼女は有り得ないと思いながらも確信する。

そして自身の考えるが間違っていることを願うが、

 

 

夢結「・・・もしも、私が死んでいると言ったらどう思うかしら?」

 

 

彼女から返ってきた言葉は天葉の予想して言葉であり、

 

それを言い放った彼女の瞳からは大粒の雫が流れていた。

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