アサルトリリィ Abnormal Transition   作:0IN

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先週はご連絡もせずにお休みしてしまい申し訳ございません。
今週からは平常どうりに投稿を再会しようと考えています。
これからも本作をよろしくお願い致します。


ラスバレ1章66

夢結「本当に厄介ね!」

 

蓮夜「・・・。」

 

 

密談を終えた日の夜、夢結は蓮夜と戦っていた。

場所は先程茜と模擬戦をした街であり、あの時の悲惨な状況が嘘かなように綺麗に整った街並み、しかし街の中でも都会と言われるような規模であるはずのそこは2人しかいないため異様なほどの静寂に包まれていた。

 

その中でお互いの獲物がぶつかり合う音だけが響く中で冷静な彼とは正反対に彼女は焦りの表情を見せていた。

2人が正反対の反応を見せる理由、それは2人の状態にあった。衣服の上からもわかるほどの切り傷ができている彼女に対して彼の服には塵一つ付いていない。

これ程の差ができてしまった理由、それは彼女が1度も攻勢に出られていないから・・・いいや、彼女は彼にペースを握らせないために攻めていた。しかしどれだけ必死に攻めてもそれが攻勢にまで繋がることは無かった。

身体能力では圧倒的に上であるはずの彼女は1度も攻勢に出れない理由は2つ。

 

1つ目は彼の距離操作が上手いこと、どれだけ彼女が距離を変えようとしても彼はそれを許さず付かず離れず彼女の最も戦いにくい距離を保ち続けているからこそ彼女は全力で己の獲物(大剣)を振るうことが出来ない。

 

そして2つ目は・・・、

 

 

夢結「本当に躱し辛い!」

 

蓮夜「・・・。」

 

 

彼の使う武器にあった。

今の彼女は彼の攻撃を避け続けていた。本来彼女の武器である大剣は彼女よりも大きなことから相手の攻撃を盾として受け止めての反撃やその長大なリーチから相手の攻撃範囲外からの強烈な一撃に向いており本来回避を優先する武器ではない。

しかし彼の使う武器・・・大鎌は彼女に防御の選択肢を与えない。

彼の獲物である大鎌は全長2mと彼女の獲物にリーチで勝るわけでもなくその横から生える刃の性質上細かい攻撃には向かない。その対策だろうか石突が槍状になってはいるがそれでも彼女の回避を選択する理由にはならないはずだったのだが、先程欠点としてあげた細かい攻撃に向かない刃が彼女から回避という選択肢を奪っていた。

 

 

夢結「防御の上からでも刃が襲ってくる・・・使う人が少ないから気づかなかったけれど盾殺しとして優秀ね。」

 

蓮夜「・・・だから使ってる。」

 

 

盾殺し・・・横に長く伸びている刃が備え付けられている性質上例え障害物があったとしても対象に届いてしまうのだ。

初めは受けてから反撃する戦法を取っていた彼女だが、その性質に気づいた今では常に回避することを余儀なくされている。彼女が躱す以外選択肢のない状況かで彼は縦横無尽に大鎌を振るい続ける。右から左へ、上から下へ、右手から左手へと様々な角度から襲いかかる連撃、その全てが長物系の特徴である長い持ち手を利用した巧みなリーチ操作により攻撃の距離感を読ませてはくれない。そして戻しの遅さを石突の刃で埋めるため攻撃同士の間に割って入ることもできないため彼女は常に回避を余儀なくされていた。

ならば長物系の宿命である武器の内側に入ればいいと考えるのだが、彼もそこまで甘くは無い。

 

 

蓮夜「ちょっと前に出すぎだよ。」

 

夢結「ッ!!」

 

 

彼の言葉にすぐさま獲物を背後に移動させる夢結、そんな彼女の背後から強い衝撃が襲いかかる。

彼女を襲った犯人は先程から致命の一撃を狙い続ける彼の大鎌であり、その刃は彼が引き戻す動作をするのに合わせて彼女へと襲いかかる。

 

元々鎌とは農業に使われる道具であり穀物や雑草などを刈り取るために作られたものであり、手元へと引き戻すことで対象を切るのが正しい使い方であり、本来ならこれこそが大鎌の正しい使用法だと言える。

 

そしてこれこそが同じ槍や斧などの長物にない鎌という武器の持つ最大の利点でもあった。

その利点とは対象を引き寄せる能力、

対象の外から囲いように刃を置くと同時に自身へ向かって引くことで背後から襲いかかる一撃、それは奇襲であると同時に相手が自身から距離を取ることに対する牽制を同時に行うことができる。

この一つの動作で2つ同時に行う能力こそが大鎌の最大の利点あり、それと同時に最大の欠点でもある。

この動作の性質上相手は必ず自身の獲物の内側に入ることになる。それは離れられないと同時に内側に潜り込まれると同義だからだ。

 

それを理解しているならば彼女は何も遮るもののない彼に肉弾戦を仕掛ければだけのだが、彼女の取った次の行動は回避だった。

全身を限界まで捻りながら大鎌の支柱側へと体を逸らす夢結、そんな彼女の脇腹を掠めるように鋭い何かが突き出される。

 

 

蓮夜「よく躱せたね。」

 

夢結「何回も同じことをされれば慣れるわよ!」

 

 

それは先程まで彼女の背後から襲いかかっていた大鎌の石突でありそれは彼の背中に沿うように突き出されている。

引くと同時に背面から突きの動作へと流れるように移行する二段構えの奇襲、それをかすりながらも回避に成功した彼女は身体の捻りを利用して大剣振り向く。それは無理な体勢から放たれた一撃だったが、彼自身も無理な体勢で攻撃に及んだために隙ができてしまっている今の状況で彼に回避する術は無く。

 

この一千一隅のチャンスに夢結が小さく微笑んだその時、

 

 

蓮夜「なら、これは見せたことないよね?」

 

夢結「しまっ!?」

 

 

彼は大鎌の刃付近を掴むと突き出した石突を蹴り上げながら倒れることで身体を沈めた。

彼が倒れると同時に直上を進む刃、それは鎌の柄にぶつかることで甲高い金属音を上げながら柄を押しのけるように通り過ぎる。

それにより生まれた衝撃により回転する大鎌を手首の動きだけで制御した彼は力の流れに身を任せるように身体を回すと先程通り過ぎた大剣に向かって振り下ろす。

突如襲いかかった上からの衝撃に落ちる刃、それは地面に接触すると深々と突き刺さり大量の砂埃を巻き上げながら停止した。

それに気づいた夢結はすぐさま獲物から手を離し距離を置こうとするのだが、

 

 

蓮夜「ちょっと遅かったかな。」

 

 

既に彼女の首筋には己の敗北を告げる刃が添えられていた。

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