アサルトリリィ Abnormal Transition 作:0IN
静寂な街並みの中で蓮夜は何かを考えているのか空を見上げる。
蓮夜「・・・。」
美鈴「そうだろう?」
蓮夜「・・・確かに否定はしません。」
美鈴「なら大丈夫・・・ということでやろうか、」
美鈴の言葉に彼が返信をすると、それを聞いた彼女は1度微笑み、霞のようにその姿を消した。
夢結「どういうこと?」
音羽「・・・どうもこうも言った通り、あの人は殺すことに向かない。」
梨璃「確かにあの人は優しいですけど・・・でも躊躇わないような?」
音羽「言い方が悪かった。・・・あの人の力の性質が殺傷に向かなすぎる。」
神琳「・・・ですが、以前見せてもらったのですよ?」
音羽「・・・それはどういう状況?」
神琳の言葉に質問を上げかける音羽、それを聞いた彼女はあの日・・・
音羽「それは状況が良かっただけ。」
神琳「状況・・・ですか?」
音羽「あの人能力系統はわかる?」
神琳「・・・確か刻印でしたね。」
音羽「じゃ、その特徴は?」
神琳「自信の能力の発動点となる感覚器官に刻印を発生させ、その刻印を通すことで能力を行使するでしょうか。」
音羽「・・・
神琳「確か
音羽「そう・・・次にあの人の戦い方は?」
神琳「・・・。」
夢結「ミドルよりの
音羽「・・・そこまでわかってるなら疑問に思わない?」
夢結「・・・能力系統のレンジと彼のレンジが噛み合ってないことかしら?」
音羽「そう、それがあの人の持つ能力の
そこまで言うと音羽は何処からか取り出した小型のホワイトボードに何かを書き始めた。
その頃蓮夜はビルの狭間、大通りに1人立っていた。
その右手には大太刀が握られているが顔が俯いており、手にも力が入っていないのか剣先は地面に突き刺さっている。
蓮夜「・・・。」
そんな彼はしばらくする無造作に太刀を握る手を上げた。
まるで力の籠っていないゆっくりとした動き、それはただただ虚空を切るがその剣先が頭上へと至った時、
蓮夜「・・・。」
空が・・・空間がヒビ割れた。
まるで蜘蛛の巣があるかのように広がるヒビ、それは徐々に範囲を拡大するともにその密度を濃くしていく。
ヒビが彼の視界を覆い尽くした瞬間周りの全てが地理となった。
彼の足元にある道も周りのビルもそしてヒビ割れた空も全てが塵となり消える。
美鈴「相変わらず、やることが派手だね!」
蓮夜「・・・。」
美鈴「前よりも酷くなってないかい?」
蓮夜「・・・知りません。」
そんな中で姿を保つものが二人いた。
1人はこの現状を作り出した蓮夜本人。
そしてもう1人は、そんな彼の後ろに佇み美鈴の姿だった。
目の前に広がる惨状を呆れたような表情で見ている彼女の輪郭は揺れている。
その声を聞いた彼は持ち手を軸に回転させる要領で声の方向へと切りかかる。
美鈴「流石にこれくらいだと当たらないよ?」
躱す素振りを見せない彼女に襲いかかる刃、その刃は標的の身体を両断する。縦一線に左右に別れる美鈴、しかしその表情は崩れない。
蓮夜「ならこれなるどうですか?」
余裕の表情を見せる彼女に彼が一言返すと辺り一帯に複数の黒い球体が現れるとそれは彼女を囲うように動き始める。
美鈴「・・・これ1人に向けるものじゃないんじゃないかな?」
蓮夜「・・・1人じゃないでしょう。」
美鈴「いや、ここにいるの僕だけだからね!」
蓮夜「・・・遠慮なくどうぞ。」
そんな彼の言葉と共に辺り一帯が闇に呑まれた。
音羽「・・・出来た。」
そこには縦に並ぶ『干渉』『抵抗』『強化』の文字とその下に『24』という数字が書かれていた。
夢結「・・・これは?」
音羽「私達が調べた能力傾向を簡単に表したもの。・・・異能の能力は大きくわけてこの3つに別れてる。」
梨璃「まるでゲーム見たいですね?」
音羽「その方がわかりやすいから、・・・例えば、」
梨璃の質問に答えた音羽は手早くホワイトボードに文字を書き足すと再び彼女達へと向ける。
そこには新しく『干渉2』『抵抗8』『強化5』と書かれていた。
音羽「一応これは例、5を基準として数値が高い程その力が強く、低いと弱くなる。」
神琳「そう言われましても何を指すのか分からなければ理解できませんので・・・。」
音羽「『干渉』は外への因果干渉強度、『抵抗』自信内での被干渉への耐性強度、『強化』は何かの情報量への拡張強度。・・・簡単に言うと『干渉』は攻撃力、『抵抗』が防御力、『強化』が補助力。それを下のリソースから振り分ける。」
梨璃「そこまでゲームに似せなくても・・・あれ?これ下の数値から振り分けるんですよね?でも合計で15しかありませんよ?」
ゲームで例えようとする音羽に苦笑する梨璃、そんな彼女は違和感を感じて彼女へと問いかける。
すると今度は文字と数字の間に(3)と書き足した。
音羽「・・・一つの項目に3のリソースがかかるようにしてる。」
夢結「それって意味があるのかしら?」
音羽「本当ならない。・・・あの人がいなければ、」
夢結「・・・蓮夜が?」
音羽「・・・。」
そう言葉を残すと音羽はホワイトボードを書き直す。
そこには、
『干渉(3)21』
『抵抗(0)0』
『強化(0)0』
(24)
と書かれていた。
夢結「・・・これは、」
神琳「・・・あまりにも歪ですね。」
梨璃「・・・極振り?」
ミリアム「・・・極振りじゃな。」
鶴紗「・・・極振りだな。」
音羽「そこの3人は置いといて・・・これがあの人の能力を表したもの。・・・『干渉』に特化した力、だからこそどんなに不利な状況下でも相手の能力を上からねじ伏せられる。」
楓「つまりあの人は異能者同士の戦いに置いて絶対的な有利性があるということではありませんか?なら殺傷力が低い理由が分かりません。」
音羽「確かにそう、どんな能力にも有利に立てる。ある意味で理不尽までの圧倒的な相性差があの人の最大の強み。だからこそあの人は戦闘に関して無類の強さを持つことができる。」
そこまで言うと音羽は1度ため息を吐くとホワイトボードをテーブルに置くと目を細め。
音羽「でもあの人は殺すことに向かない。・・・能力の性質が戦闘型ではなく補助特化型だから、」
部屋内皆が持つであろう疑問の答えを呟いた。