アサルトリリィ Abnormal Transition 作:0IN
美鈴「けほ、けっほ・・・酷いじゃないか、全身煤だらけだよ!!」
蓮夜「普通重力崩壊内でそれだけなのがおかしいんですよ?」
美鈴「それ、君にも言えるからね?」
蓮夜「自分の行使したもので損傷を受けるわけないでしょう・・・でも流石にここまで聞かないと嘆きたくなりますよ。」
先程までビルが立ち並んでいたはずの街中、しかし現在はビルも道も何もかもが消えていた。
その中で太刀を降ろしながら項垂れる蓮夜とその後ろで咳をしながら服に着いた煤を払う美鈴だけが存在している。
蓮夜「正直ここまで殺傷力が低いとは思いませんでした。・・・戦うだけなら強いのですが、」
美鈴「・・・天は二物を与えずって言うからそれじゃないかな?」
蓮夜「・・・はぁぁぁ、早く直したらどうです?」
美鈴「そうだね。・・・君が荒っぽいから穴だらけになったじゃないか。」
自身の力の無さにため息を吐きながら振り返る彼、その視界の先には彼女の姿が映るが、その姿は先程までとは違っていた。
その身体はまるで虫食いになったかのように抉られている。
だがそれも数秒経つとその傷も霞とともに元通りに戻ってしまった。
美鈴「これで大丈夫!・・・さぁ、まだまだやろうか!!」
蓮夜「・・・本当にどうにもなりませんね、これ・・・そうだ。」
傷が治った瞬間彼へと襲いかかる美鈴、そんな彼女を見て何か思いついたのか自身の両手へと視線を向けた彼は彼女が斬り掛かると同時に姿を消した。
蓮夜「・・・。」
美鈴「君の十八番はどうしたんだい?」
蓮夜「少し思うことがありましてね。試そうと思ったんですよ。」
数瞬の後、彼女の目の前に姿を表す彼、そんな意味の無い行動に訝し見ながら様子をみていると彼の両手と周囲に光の粒子が現れる。
その今までに見たことの無い現象に彼女が距離をとると光が形を作りながら収縮し、光が解けると同時にその姿を表した。
蓮夜「使いたくなかったんだけどな。」
美鈴「・・・それは?」
蓮夜「今まで使えなかった。・・・使う気になれなかったものですよ。」
美鈴「君が様々な武器を扱うことが出来ることは知っているけど、」
蓮夜「確かに姐さんどころか誰にも見せたことがないですね。・・・そもそも思い出したのも最近ですし、」
美鈴「そうじゃない・・・それが、そんな使用することを考えてないものが武器だと言うのかい?」
蓮夜「・・・とにかく続きと行きましょう。そうじゃなきゃ、分からない。」
そういうと彼は両腕と周囲に付けられた
夢結「補助特化?・・・あれで?」
音羽「疑問もわかる、けれどこれが真実。」
梨璃「確か音羽さんも茜さんも勝てないんですよね?」
音羽「死にはしないけど勝つのは無理、」
楓「お2人は戦闘型なのでしょう?」
音羽「そう、私は少し怪しいところがあるけど茜は完全な戦闘特化型、」
二水「ではあの人はそもそも非戦闘員であるのに戦闘員より強いと言うことですか!?」
音羽から告げられた驚愕の事実、それを聞いた彼女達は信じられないものを見たような表情になる。
しかし彼女の言葉に嘘を感じられず質問を重ねる毎にそれが現実だと認識させられる。
神琳「どうして補助特化だとわかるのでしょうか?」
音羽「あの人の能力が万能だから、」
楓「万能なら戦闘でも有利になるでは?」
音羽「異能だと違う、万能ということは干渉するために違うものにまで干渉しなくてはいけないということ、だから彼の作用する干渉は全て間接的な干渉になってしまう。」
夢結「なら私も間接的な干渉になるわ。」
音羽「貴方の場合、干渉した存在を憑依させることで能力を行使する。これは憑依する干渉と憑依した存在を用いた干渉で別の干渉になる、だから違う。」
梨璃「・・・でも、それなら武器で攻撃すればいいのでは?黒鉄さんもそうしてますし?」
音羽「確かにそう・・・でもそれは抵抗がある場合。」
神琳「ここで抵抗ですか?」
音羽の言葉に疑問を持った神琳が質問すると、彼女はテーブルに置いてあったカップとティーポットを手に取ると紅茶を入れだした。
神琳「・・・?」
音羽「抵抗は簡単に言うと器の中を自身の色で染め上げることで他の色を受け付けないようにすること、でも。」
カップに入った鮮やかな朱色をした紅茶を見つめる音羽、それを見て皆が視線を向けると、彼女は徐に傍に置いてある角砂糖を入れる。
音羽「それは外からの色を受け付けないだけ、直接入れられた色は混ざって濁ってしまう。」
鮮やかな朱色が薄く濁ってしまった紅茶、その中に今度はミルクを入れた。
音羽「それは入れられた量や種類によって本来の色を無くしていく。」
完全に白く濁ってしまった紅茶、それを彼女は一口含みテーブルに置くと、そこには微かな水滴だけが残された何も入っていないカップだけが残された。
音羽「抵抗は相手の抵抗を薄くすることにも使える。だからこそ抵抗のないあの人は普通の手段で仕留めることが出来ない。」
夢結「・・・だからこそあの太刀なのね。」
音羽「そう、あの人の太刀が持つ力は干渉・・・その名の通り刃に触れたものに干渉する力、その力を使うことでやっと可能性が生まれる。」
神琳「つまりそれを使わせなければ負けることはないということですね?」
音羽「そういうこと、・・・そしてその能力も直接触れないといけない。だからあの人と戦う場合太刀に触れなければ殺されることは決してない。」
夢結「・・・。」
音羽「思い当たる節がありますね。」
夢結「・・・ええ、」
音羽「あの人は貴方に太刀は向けない。だからこそ貴方はあの人と本気で殺し合うことが出来る。」
夢結「・・・。」
音羽「・・・だからもう一度言わせてもらう。」
表情を暗くした彼女へと近寄る音羽、彼女の瞳が夢結を見つめた時、
音羽「夢結様、貴方にはあの人と殺し合いをしてもらう。」
彼女の口から再び聞きたくない言葉が紡がれた。