アサルトリリィ Abnormal Transition 作:0IN
夢結「・・・どうすればいいの?」
他の面々が行動を起こす中、夢結は1人森の中を歩いていた。
その表情は暗く頭痛がするのか数分事に頭を抑えている。
夢結「蓮夜と・・・。」
彼女は悩んでいた。
音羽の言葉を信じるべきか否かを、
夢結「・・・どうすればいいのかしらね。『黒薔薇』貴方ならわかるかしら?」
そんな中彼女は、背負っているケースへと手を添えるとその中身に対して語りかけた。
対異能者用CHARM『黒薔薇』
それは彼が制作した
2人の写し身と言うべき存在である、その刃に彼女は答えを求めたのだ。
これ以上彼を
・・・これ以上自身が
夢結「苦しみたくない、結局私は我が身がかわいいのね。・・・本当に嫌になるわ。」
自身の中に浮かんだ
血管が浮かび出るほど強く握られた拳はすぐに青白く血の気を失っていき、その隙間から赤い雫が零れ落ちた。
夢結「ッ!?・・・ここは、」
どうしても自身の保身に意識が向いてしまう自身の心、そしてそれを抑えきれない自身の意思に彼女の心情はより荒れていく。
そして己への憎悪を胸に歩き続ける彼女、その足は何かぶつかる事でその動きを止めた。
そこにあったのは1本の木だった。
本来ならば何の変哲もないただの樹木、しかしそれを見た彼女は激しく動揺する。
夢結「・・・なんで、なんでここに着いてしまうの。」
慌てて彼女は周囲を確認する。
見渡す彼女の視界に移るものは前にある1本の木と青い空のみ、そこは森を一望できる丘の上であった。
夢結「・・・な・で、・れ・・方のこ・えなの?・・・私に・をさ・・・のよ。」
彼女は膝から崩れ落ち呆然し始めると掠れた声で何かを呟き始めた。
手と同じように全身の血の気が抜け青白くなっていく肌に自身を抱きしめことで熱も求める彼女。しかし改善されるところか全身が震え出してしまう彼女は必死に止めようとするが止まらない。
夢結「止まって、止まって、止まって、止まって、お願い止まって・・・。もう終わったのよ、それに決めたでしょう。・・・私はい、」
音羽「ここが貴方の傷ですか?」
夢結「!?!?・・・音羽さん?」
背後から突然かけられた声に彼女の肩が跳ねる。
そして声の主に覚えがあった彼女はぎこちない動きで後ろへと目を向けると、そこには予想通りの人物、先程彼女に難題を出した音羽の姿があった。
夢結「・・・なんでここに?」
音羽「追わせてもらいました。」
夢結「そう・・・で、傷とは?」
音羽「それは貴方が1番理解しているはず、」
夢結「・・・そうね。音羽さん、ここは私が死んだ場所なのよ。」
音羽「・・・それを蓮夜さんがどうにかした、」
夢結「そうよ、ここは私が生まれ変わった場所であると同時に彼が異能者として生まれ変わった場所でもあるの、・・・そして今も彼を苦しみ続けている原因を作り出してしまった場所でもあるわ。」
音羽「・・・。」
顔を俯かせたまま自分達に起こった
夢結「・・・本当は私を殺したいのでしょう?」
音羽「なんで、ですか?」
夢結「貴方、蓮夜に対して思いがあるのではないかしら?」
音羽「恋愛に興味ありませんよ。」
夢結「それはわかっているわ。・・・信仰ね。」
音羽「・・・。」
夢結「そして貴方は彼の幸せを願った。・・・でも元凶である私を彼は守ってしまう。」
音羽「・・・。」
夢結「別に先程貴方の言ったことを信じない訳では無いのよ。むしろ真実だと思ってるわ。」
音羽「・・・なぜ?」
夢結「それは似てるからよ。」
音羽「?」
夢結「・・・貴方からすると納得いかないでしょうけれど私も貴方も蓮夜の幸せを望んでいる。」
音羽「・・・」
そこまで言うと徐に笑いだす夢結、それを見下ろす音羽の顔には表情はなくただただ彼女を見つめ続ける。
夢結「それに私もそうなのよ。」
音羽「・・・。」
夢結「私は私自身を殺したっ!?」
夢結が音羽へと向き直った瞬間、乾いた音と共に彼女の頬に痛みが走った。
音羽「・・・ふざ・・な、」
夢結「音羽・・・さん?」
音羽「ふざけるな!!」
夢結「!?!?」
音羽「自身を殺したい?貴方はあの人の気持ちをわかってるのか!!どれだけ傷ついてもどれだけ救いがなくても、それでも足掻き続けて来たあの人の痛みを悲しみを!!」
夢結「そ、それは、」
音羽「わかってるはずだろ!だって繋がってるんだもんな!!あの人がどれだけ貴方が大事なのか貴方がいるだけであの人が救われていることが!!」
夢結「で、でも・・・。」
音羽「でもじゃない!!わかってるならなぜその言葉が出る!!」
荒々しい口調で問い詰める音羽、その姿は普段見せる彼女とは似ても似つかないものであり、関わりが深い訳では無い夢結でもそれが以上であると理解出来た。
音羽「ああ、そうだよ!憎いよ!!平穏の中をただ生きる貴方が!あの人の異変に気づけなかった貴方が!自分の世界に閉じこもり本当の地獄も知らないで自分が可哀想みたいになっていた貴方が!」
夢結「・・・ッ!」
彼女の言葉に夢結は表情をしかめる。
その理由は明白、彼女の言うことが全て真実だからだ。
もしも彼の状態に早く気づいていれば、あの時に電話を切らなければ、彼はここまで苦しまなかったのかもしれない。
しかし、それが出来なかった。・・・我が身可愛さに自分の世界に逃げていた。
だからこそ彼女の言葉を否定したくなかった。
音羽「本当だったら私の出て貴方を始末したい。でもそれをしたらあの人は壊れてしまう。そうしたらあの人は死ねずにただ壊すことしか出来ない獣になってしまうんだよ!」
夢結「・・・、」
音羽「出来るなら私が救いたかった。あの人が私を救ってくれたように、でも私じゃああの人達を救うことが出来なかった。」
夢結「・・・、」
音羽「私じゃ救えない程にあの人を壊した貴方が憎い!でもなあ!!」
夢結「・・・、」
表情を曇らせていく夢結に向かって音羽は手を振りあげた。それを見た彼女はこの後自身に起きることを予想出来たが夢結は無言のまま彼女を見つめ続ける。
彼女の怒りが理解出来るから、彼女の願いがわかるから、そしてその願いのせいで彼女が苦しんでいることも、そしてその原因が自身にあることも。
だからこそ受け入れるために夢結は動かないのだ。
少しでも彼女の怒りを受け入れるために、
彼女の手が振り下ろされるのを確認した夢結は目を閉じる。数瞬後には痛みが襲い掛かるであろうと予想した夢結だが、
しかし夢結の予想することは起きなかった。
音羽「・・・あの人にとっても私にとっても貴方が希望でもあるんだよ!」
夢結「・・・え?」
肩に何かが乗せられた感覚に夢結が目を開けると、そこには涙を流し自身の肩を掴む音羽の姿があった。