アサルトリリィ Abnormal Transition 作:0IN
蓮夜「帰ってくるのも、久しぶりだな。」
彼の目の前には「黒鉄」と表札に書かれた一軒の家があった。彼は休日を利用して実家に帰って来ていたのだ。
彼は鍵を開けて中に入ると、
蓮夜「埃が溜まってるな・・・まぁ、半年近く帰ってきてないし当たり前か・・・。」
彼はドアを開けて玄関に入ると廊下の奥へと進んでいき一番奥にあった扉を開けた。
そこは物置のようで棚やダンボールが積まれている。
彼は部屋に入るとすぐ右にある棚から本を抜け出しその奥に手を入れる。
手が壁に当たりそこにマギを流すと、
床が沈み階段が現れた。
そこを降りるとそこには大型の機械や本棚などが並んでいた。そこを奥へと進むとそこには大量の鎖が巻かれた彼の身長よりも大きな長方形のアタッシュケースが2つとその半分位の大きさの正方形のアタッシュケースが存在し、
蓮夜「今のままじゃたま同じことになる・・・コレを使うしかないか・・・。」
彼はアタッシュケースを取ると近くにあった作業台へと移動し、背負っていた壊れたままのCHARMを下ろしてアタッシュケースを開いた。
その中には、
大量の大振りなナイフ、自身の身長よりも長い大太刀そしてその大太刀よりも長い大鎌が入っていた。
3日後、梨璃と二水はベンチに座っていた。
梨璃「今回は大丈夫だったけど、今度はどうなるか分からない・・・次に同じようなことがあったら今度こそ結梨ちゃんが・・・皆が傷ついてしまうかもしれないから・・・。」
二水「梨璃さん、ちょっと変わったみたい・・・。」
梨璃「そうかな?」
二水「うん、強くなったと思う。」
梨璃「そうかな・・・だったらそれお姉様のおかげだよ。」
二水「羨ましいです・・・。」
梅「大丈夫!ふーみんならきっといいシルトになれるって!」
二水「うわぁっ!?」
梨璃「梅様!」
二水の後ろから梅が現れた。
梅「本当に誰もいなかったら、私がシュッツエンゲルになってやろうか。」
二水「本当ですか!」
鶴紗「当分シルトは取らないんじゃなかったのかよ・・・先輩・・・?」
梅「そうだっけ?」
ベンチの影からひょっこりと猫を頭に乗せた鶴紗が現れる。
神琳「あら、先を越されましたね。」
梨璃「神琳さん、雨嘉さん。」
梨璃が声の方を向くと、神琳と雨嘉がいた。
雨嘉「あれ?さっき楓も見掛けたけど?」
雨嘉が当たりを見回していると、
神琳「出ていらしたら?」
神琳が草むらに向かって声をかけると、ガサガサと動き出し中から楓が現れた。
楓「あら、どうなさったんです皆さん?・・・雁首をお揃えで・・・。」
梅「お前照れてるのか?」
楓「こういうウェットなシチュエーションは、私の柄にそぐいませんから・・・。」
梅「柄って柄か・・・。」
二水「みんな集まっちゃいましたね。」
梅「居ないのはミリミリと夢結あとは蓮夜と結梨か・・・。」
神琳「ミーさんは昨夜『百由様の研究を手伝うのじゃ!』とか何とかおっしゃていたから夜なべでもしたのでしょう。」
梅「ミーさん?」
神琳「長いので。」
梨璃「結梨はリハビリに行っていて、確か黒鉄さんは数日前からご実家に帰っているはずですけど・・・。」
楓「どうかいたしまして?」
梨璃「・・・わたしこの頃お姉様と会えていなくって・・・。」
雨嘉「たしかにこの何日かミーティングルームでもお見かけしない・・・。」
梅「あれ?講義や演習にはちゃんと出てるぞ。」
梨璃「最後にお会いしたのは、ここに一緒に美鈴様のお墓参りに来た時で・・・。」
その頃、
夢結「・・・。」
彼女は自身の端末にメールが来ており確認すると送り主は百由で、話したいことがあるから部屋に来て欲しいというものだった。
その頃梨璃はリハビリが終わった結梨と合流し、
結梨「結梨、頑張ったんだぞ!」
梨璃「結梨ちゃん本当によく頑張ったね!・・・確かこの後は百由様のところに行くんだっけ?」
結梨「CHARMが壊れたから、百由に直してもらうの!」
梨璃「私も一緒について行こうか?」
結梨「1人で行けるもん!」
2人がたわい無い会話をしていると、
梅「なあ梨璃、今度パーティーやろうよ。もちろん夢結も呼んでみんなで!」
梨璃「でも、今はもっと訓練して・・・。」
雨嘉「根を詰めるのもいいけど息抜きも必要だよ。」
神琳「生活にはメリハリもありませんと。」
二水「そうだ!ラムネパーティーなんでどうです?」
梨璃「え、ラムネ?」
梅「蓮夜に頼んでお菓子とかも作って貰うのはどうだ!」
鶴紗「賛成!!」
結梨「賛成!!」
神琳「鶴紗さんに結梨さん・・・すっかり餌付けされてますね・・・。」
雨嘉「だけど美味しいのはたしか・・・。」
梨璃「ラムネか・・・。」
夢結は百由の部屋の前に来ていた。
部屋のドアを開けると中にはコンソールを操作している百由とミリアムがおり、
百由「いらっしゃい。」
ミリアム「おお、夢結様。」
夢結「ごきげんよう?」
ミリアム「じゃわしは一休みじゃ・・・。ふわぁ〜ごゆっくり。」
ミリアムはそう言いながら部屋か出ていった。
夢結「また徹夜?」
百由「ええ、まぁ・・・気にしないで、好きでやってるから。」
夢結「毎日ご苦労さまね・・・。」
百由「えっ?・・・あんた私に気を使った?」
夢結「いいえ・・・別に・・・。」
百由「ウソウソ、ウソ!孤高の一匹狼としてリリィからも1歩引かれたあの白井 夢結がよ!!」
夢結「あの・・・えっ・・・。」
夢結は照れくさいのか顔を逸らすとそこには、
夢結「世間話をするために読んだわけじゃないのね・・・。」
百由「回りくどい前置きは後回しにして・・・後回しにしたら後ろ置き?・・・いや、違うか・・・ごめんね、私もちょっと覚悟がいるのよ。」
夢結「・・・。」
百由「聞きたいのは美鈴様のこと・・・。」
夢結「・・・ッ!?CHARMのことではないの・・・。」
百由「これは元々夢結が契約していたダインスレイフだけど・・・2年前の甲州撤退戦の時、最後に使ったのは誰?・・・美鈴様よね。」
夢結がダインスレイフを眺めていると、
百由「このCHARMね・・・術式が書き換えられているの・・・。」
夢結「えっ!?」
百由「知らないか・・・じゃあカリスマのことは?」
夢結「カリスマ?お姉様が?」
百由「カリスマは本来リリィ同士で使うレアスキルよ・・・仲間の士気を高め結果としてレギオン全体の能力を向上させる。その性質から支配のスキルとも呼ばれているわ・・・ただ、美鈴様はリリィではなくヒュージに対してそれを使った形跡があるの・・・。マギとはヒュージ使って古い秩序を破壊し、新しい世界を作る意志だとする説もあるわ・・・だけど今私たちが管轄するヒュージの行動にはこれまでにはないパターンが現れるようになったの・・・何かがヒュージを狂わせ闇雲な凶暴性が増しているような・・・変化の現れた時期はコレを回収した戦いの前後と一致するわ・・・2年前に仕込まれていた何かにそこでスイッチが入ったとしか・・・。心当たりある?」
夢結「分からない・・・お姉様は強くて優しくて、立派なリリィだった・・・それしか分からないわ・・・。」
百由「そう・・・。」
夢結「ごめんなさい・・・。」
百由「気にしないで。」
夢結「!?」
百由「どうしたの?」
夢結「いいえ、何も無いわ・・・。」
百由「そう・・・。そうだ!あともうひとつ、これはまだ誰にも話していないのだけど。書き換えられた術式の深層領域に彼が使うものと同じ形式の術式が使われていたわ・・・。」
夢結「・・・えっ?」
百由「可能性の話だけど、彼が何か知っているのかもしれない・・・なにか不審な点とかはなかった?」
夢結「特にはないはずよ・・・。」
百由「わかったわ・・・何か気がついたら教えてちょうだい。」
夢結「ええ・・・。」
夢結は部屋から出で行き。
百由「はぁー、そんな簡単に昔みたいに戻れるわけないわよね・・・。」
彼女は映し出された術式を見ながら、
百由「あなたは何か知っているの?」
ここ数日連絡の取れない彼に対してそう呟いた。
その術式の中央には、
彼のルーンである〈ユル〉と〈ハルガ〉のバインドが存在していた。
彼女が考え事をしていると、
結梨「百由ー!来たよ!」
結梨が部屋に入ってきた。
百由「いらっしゃい、結梨ちゃん。」
結梨「百由、結梨のCHARMは直せそうなの?」
百由「それがね・・・。」
百由は奥から結梨のグングニルを取り出して作業台に乗せた。
ボロボロになっていたグングニルは綺麗に修復されていたが、中心にあるはずのクリスタルコアがなくなっていた。
百由「大体の部分は直せたんだけど・・・CHARMの心臓と言えるクリスタルコアが壊れちゃってね。こればかりはそう簡単に直せないのよ・・・。」
結梨「そうなの?」
百由「ええ、綺麗に砕けちゃったからね・・・蓮夜が修復しているんだけどまだ応急処置が終わった程度みたいなのよ。だからCHARMに付けたらすぐに壊れちゃうかもしれないのよ。それにグングニルのパーツ自体がほとんど新品だからね・・・馴染ませるのに時間がかかるし・・・。」
結梨「新しいのだと行けないの?」
百由「新品パーツの1つや2つなら問題ないんだけど、そう取り換えだったからね。新品だとどうしてもマギを馴染ませるのに時間がかかるのよ・・・。特に元々使っていたコアを新品に馴染ませのは時間がかかるから誰かが使っていたパーツとかだったらそうでも無いんだけどね。」
結梨「・・・?」
百由「あら、ごめんなさいね。だから直るのは彼から聞いた話だとコアの修復に約3日で、明日には帰ってくるから4日それにCHARMに付けて馴染ませるのに1日だからあと5日ぐらいで直ると思うわよ。」
結梨「わかった!」
百由「直ったら呼ぶから。」
結梨「うん!」
結梨は元気に部屋から出ていった。
梨璃「お姉様」
夢結が廊下を歩いていると突如腕を掴まれ、振り返るとそこには梨璃がいた。
梨璃「捕まえました!お姉様!」
夢結「・・・!」
夢結は目を見開きながら梨璃の方を見ている。
梨璃「あの、みんなが私のためにラムネパーティーを開いてくれるって・・・お姉様も来てくださいますよね?」
夢結「ごめんなさい、今は・・・。」
夢結がその場を離れようとすると、
梨璃「待ってください!」
梨璃は夢結の腕を掴んだ。
夢結もう一度梨璃のいる方を向くがその目線は梨璃に向いておらず彼女の後ろを見ているようであった。
梨璃「お姉様?」
夢結「・・・やめて。」
梨璃「!?」
夢結は梨璃を振り払う。
夢結はそのまま何処かへ行ってしまう、
梨璃「お姉様・・・どうして・・・。」
梨璃はその後ろ姿を見ながら動けないでいた。