アサルトリリィ Abnormal Transition 作:0IN
夢結と梨璃は先程までヒュージと戦っていた場所に戻っていた。
梨璃「結梨ちゃーん!黒鉄さーん!」
一緒戦っていた蓮夜と結梨を探すが見つからない。
梨璃「お姉様、どうしましょう!結梨ちゃんも黒鉄さんもいません!」
夢結「結梨はあの前に逃げたかもしれないけれど・・・彼は・・・。(完全に左腕使えない状態で出血量も多かったはず・・・早く見つけないと!!)」
夢結は冷静でいるように見えるが内心ではかなり焦っていた。
ミリアム「さっきこっちに何か飛んできたようじゃが・・・二水、何かわからんかの?」
ミリアムの言葉に二水が鷹の目で確認すると、
二水「人です!多分大鎌の人!」
神琳「あの爆発に巻き込まれたのでしょうか・・・。」
梅「早く助けないとまずいぞ!」
梅は縮地を発動し救助へと向かった。
梅「おい!大丈夫・・・か・・・。」
そこには、うつ伏せになり左肩から先がなくなり下半身も皮1枚でギリギリ繋がっている状態の人物がいた。
神琳「これは・・・。」
想像以上の悲惨な光景に梅、神琳、鶴紗を除き皆がそちらを見れない状態になっていた。
鶴紗「これじゃ・・・リジェネーターだったとしても・・・。」
神琳「せめて誰なのかだけでも確認しないと・・・。」
神琳が彼の顔にかかったフードをとった。
神琳「・・・えっ?」
梅「おいおい・・・嘘だろ?」
鶴紗「先輩・・・。」
二水「先輩?・・・ッ!黒鉄さん!」
同じ一柳隊に所属する黒鉄 蓮夜がそこにいた。
その頃夢結と梨璃は小さなドーム状の何かを見つけた。
梨璃「何でしょうか・・・これ?」
夢結「私も分からないわ。」
2人が近づくと、ドームは崩れ中から結梨が出てきた。
結梨「梨璃!夢結!」
2人の姿を見つけると結梨は2人に抱きつく。
梨璃「結梨ちゃん!良かったよ!」
夢結「結梨無事だったのね。良かったわ。」
梨璃「結梨ちゃんも見つかりましたし、あとは黒鉄さんだけですね!」
夢結「本当ね・・・どこにいるのかしら・・・。」
結梨「蓮夜ならあっちにいると思う。」
そういうと結梨は避難区域の方を指さした。
梨璃「なんでそう思うの?」
結梨「あっちから蓮夜を感じるから?」
夢結「とにかく行って見ましょう。避難区域の近くならもう誰かが見つけているかもしれないわ。いなくてもみんなに手伝って貰えば彼を見つけやすくなるわ。」
梨璃「分かりました!」
結梨「うん!」
避難区域に向かっていると、
梨璃「あっ!みんな!」
一柳隊のみんながいた。
そちらに近づくと彼女達が険しい表情をしていることがわかった。
梨璃「みんなどうしたの?」
楓「梨璃さん・・・。」
みんなが梨璃達の方を振り向くがその顔は暗く誰一人目を合わせようとしなかった。
夢結「あなた達無事だったのね、よかった・・・わ。」
夢結が近づ来て彼女達が見ていた方を見るとそこには、悲惨な姿になった彼がいた。
夢結「えっ?・・・嘘よね?・・・だってさっきまで・・・えっ?」
彼女には理解できなかった。
ただ呆然とした顔で彼へと近づき、
夢結「・・・。」
彼の脈を確認するが脈はなく、彼の目は開いておりその目は生気の宿っていない虚ろなものになっていた。
彼女の顔がどんどんと青くなり、身体が震え始める。
予想はできていた。
理解もできていた。
ただ、理解したくなかった。
家族を失い、美鈴様を失い、自身を呪い、嫌っていたその中で唯一自身を支えてくれていた彼がいなくなる。
それを認めたくなかった。
けれど現実は自分を庇って突き刺され彼は死んでしまった。
彼女が最も恐れていた光景の1つ、
自分中で何かが壊れ始める音が聞こえる。
やっと開放されたあの地獄にまた引きずり込まれる感覚におちいる。
やはり私は誰かと関わってはいけない。
この言葉が頭を埋め尽くす。
その時自分の頬が濡れていることに気がついた。
彼女は泣いていた。
当たり前だ、親しい人を失って悲しくないはずがない。
夢結「あなたも私を置いていくの・・・。」
彼の右手を掴みながら呟いたそこ言葉は、身勝手であったが彼女の心の叫びでもあった。
私が大切だと思った人はみんな私を置いて先に行ってしまう。
夢結「置いていかないで・・・。私を1人にしないで、」
その時に初めて気がついた。
自分は彼に恋心を持っていたと、
だがもう遅い、彼はもういない。
気づく機会はいくらでもあった。
だが彼女は気付かないふりをし続けてきた。
その結果がこれだ。
選択を間違え続けて行き着いた先がこれだ、
進んだ時は戻せない。
自分の中の何かが壊れるのも時間の問題だ。
これが壊れてしまったら絶対に治ることはない、その確信があった。
だが崩壊は止まらない。
酷い喪失感に襲われ始める。
だけどそれ自体に恐怖心はなかった。
全ては自業自得だ。
受け入れるしかない、
梨璃やみんなにはバレないようにしなくては、そして少しずつ離れていこう。
最後に残った一欠片に亀裂が入った。
その時、
『パキパキパキパキ!』
彼から奇妙な音が鳴る。
結晶のようなものが彼の傷口から生え始める。
夢結「・・・!?」
その結晶は無くなった彼の左腕、皮1枚で繋がった下半身を形取った。
『チッ、チッ、チッ、チッ』
秒針のような音が聞こえ始める。
結晶が流動し色が変わる。
それは彼の身体を再現していく。
『カチン』
時を戻したかのように彼の身体が元に戻った。
蓮夜「・・・ここまでボロボロになるのは久しぶりだな・・・。」
何事も無かったように彼が立ち上がり周りを見ると、
蓮夜「・・・見られちまったか・・・。」
その光景にみんなが呆然としている。
当たり前だ、あの状態から何事も無かったかのように立ち上がったのだ。
普通ではありえない。
この光景の異常さに誰もが固まってしまう。
その中夢結が立ち上がり、
夢結「・・・・馬鹿!!」
蓮夜「!?」
彼の背後から彼女が抱きつく。
夢結「死んじゃったんじゃないかって思ったじゃない!」
突然の行動に彼も困惑するが彼女が震え上がら涙を流していることに気がつくと彼女の頭を撫でて、
蓮夜「心配させたみたいだな・・・ごめん・・・。」
その場には彼女の泣く声がこだましていた。
しばらくして彼女が泣き止み、
夢結「ごめんなさい・・・もう落ち着いたわ。」
蓮夜「お前がこんなに泣くのも何時ぶりかな?」
夢結「・・・泣いてないわ。」
恥ずかしかったのか、顔を赤くして彼女は俯いている。
蓮夜「お前達も迷惑をかけたな・・・すまない。」
梅「それはいいんだが・・・。」
鶴紗「・・・さっきのはなんなんですか!・・・あんな怪我リジェネーターでも再生不可のなはず・・・。」
蓮夜「・・・。」
鶴紗の言葉に彼は黙ってしまう。
神琳「話しずらいことでしたら・・・。」
蓮夜「いや、話すよ。これ以上黙っている訳にも行かないからな・・・ただこれは他の人には聞かれたくないから場所を用意できたらでいいか・・・。」
鶴紗「それでいいです・・・。」
その後他の学院の生徒たちと合流すると彼女達は先程の戦闘の衝撃で湧き出てきた温泉に向かい彼ははとある場所へと向かっていた。
蓮夜「姐さん・・・やっとだ、やっとあいつは開放されたよ・・・。」
彼は百合ケ丘の共同墓地に来ており目の前には川添美鈴と書かれた墓石があった。
蓮夜「だけどあいつもこっち側に来ちまったよ・・・あなたの言った通りな・・・俺はこれからもあいつのことを見守っていくつもりだ・・・だから姐さんも・・・。」
夢結「こっち側とは何かしら?」
蓮夜「!?」
振り向くとそこには夢結がおり、
蓮夜「梨璃さん達と一緒じゃないのか?」
夢結「ええ、梨璃達はまだお風呂に入っていると思うわ。」
蓮夜「一緒に居てやんないでいいのか?」
夢結「大丈夫よ・・・それよりもあなた、姐さんってお姉様のこと?・・・あの人とあったことがあるの?」
蓮夜「ああ、ちょっとあってな。」
夢結「・・・そう。」
彼女は彼へと近づきそのまま彼に抱きつく、
蓮夜「どうしたんだ?」
夢結「・・・。」
彼女は彼の胸に顔をうずめて息を整え始める。
少し経つと彼女は顔を上げ、
夢結「あなたが死んじゃったんと思った時、私気づいたの・・・私は蓮夜のことが好きだって・・・。」
蓮夜「・・・。」
夢結「あなたが居なくなってしまうと思った時、私の一番大切な人があなただったんだって気がついたの・・・。どんなにつらい時でも私のことを支えてきてくれたあなたが・・・。」
蓮夜「・・・。」
夢結「だから・・・その・・・私と付き合ってください!」
これは不器用な彼女の精一杯の言葉だった。
彼女は彼の返事を待つ。
蓮夜「・・・ごめん。」
夢結「・・・えっ?」
蓮夜「夢結・・・俺は君とは付き合えない。」
彼の言葉が静かにその場に響いた。