アサルトリリィ Abnormal Transition 作:0IN
蓮夜「・・・なんというか、場違いなところで告白しちまったな・・・。」
夢結「ええ・・・自覚はあるわ・・・。」
2人は墓地のすぐ側で微妙な顔をしていた。
2人とも墓地のすぐ近くで告白って・・・と思っているのだ。
蓮夜「・・・まあ、考えたってもう遅いしな。」
夢結「ええ、そうね・・・。」
気まずい空気となる。
その空気を帰るために、
蓮夜「そういえば夢結、お前の異能ってなんなんだ?俺のは紋章眼って言うんだけど。」
夢結「その名前は、あなたが決めたの・・・?」
蓮夜「やめろ!そんな痛いやつを見る目で見ないでくれ!・・・俺が決めたんじゃないから、異能の知識を引き出すと自然と名前が解るからやってみてくれ!」
彼の必死な弁解を聞いた彼女は、彼に言われた通り先程頭に知識が入ってきた時の感覚を頼りに異能の知識を引き出す。
すると、
夢結「・・・天獄纏ね・・・。」
蓮夜「・・・。」
夢結「私が決めたわけじゃないのだからその目はやめなさい!あなたは知っているでしょう!」
その名前があまりに痛い名前に彼が引いてしまい彼女が怒り始めた。
蓮夜「いや・・・なっ?まさか俺のより痛いとは思わなくって・・・その・・・ごめんなさい!」
夢結「・・・解ればいいのよ。」
彼がすぐさま謝り事なきを得た。
蓮夜「まあ、名前的に強化型の憑依系か?」
夢結「憑依系?強化型?」
蓮夜「その知識はまだ得ていないんだな。俺も異能から引き出した知識だが、まず異能は大まかに3種類に別れるんだよ。知覚型、強化型、感応型の3つだな。知覚型は自身感覚器官などを触媒に知覚範囲に干渉する能力で、強化型は読んで字のごとく自身そのものを強化する、そして感応型は自身を中心に一定範囲内の他の存在に力を伝播されて間接的に干渉する能力だな。」
夢結「知覚型と感応型は同じでは無いの?」
蓮夜「同じく決められた範囲内に干渉する能力だが、知覚型は直接的に・・・例えば空間を操作したりするんだが、感応型は間接的な干渉・・・例えば一定範囲内の味方の能力を強化するとかだな。」
夢結「そう考えると違うわね。」
蓮夜「話を戻すがその強化型には変化系、憑依系があるんだよ。変化系は自身の身体の一部又は全体を変化させる能力で、憑依系は自身に何かしらの概念的存在を憑依させて強化する能力だな。」
夢結「その考え方なら私は強化型の憑依系であっているわね。それであなたは違うかしら?」
蓮夜「あってるぞ。俺は知覚型の刻印系だな。
知覚型には刻印系と起点系の2つがあってな刻印系は自身の感覚器官、俺の場合は眼を発動点にして自分の知覚範囲に干渉する能力、起点系は自身の知覚範囲に起点を作りそこを中心に能力を発動する、起点は範囲が刻印系よりも広い場合が多いが干渉力が刻印型に劣るらしい。」
夢結「そうなのね・・・そうすると感応型も2種類あるのかしら?」
蓮夜「ああ、感応型には共鳴系と支配系があるな。」
夢結「・・・支配・・・。」
蓮夜「共鳴系は自身と他者を繋ぐことで能力の供給や増幅をする能力で、支配系は他者を自身に繋ぐことで干渉する能力だな。まあ、ここは結構曖昧だけど・・・。」
夢結「曖昧?」
蓮夜「感応型だけその性質が備わっているが本質が違うって場合が多いんだよ。」
夢結「例えばどのようなものがあるのかしら?」
蓮夜「例えばだが、共鳴系で共鳴した相手を鼓舞してその人物に加護っていう形で障壁を展開する能力とかな。」
夢結「それってもしかして・・・。」
蓮夜「名前までは引き出せなかったが多分お前の予想が合ってると思うぞ・・・。とまあ、こんな感じでこれだけは基本系統は関係ないな。」
夢結「わかったわ。」
蓮夜「それで・・・不死の呪いって言ったが恩恵はなんだったんだ?」
彼が一番気になっていたことはこれだ。
そもそも超越者の呪いは恩恵の効果の中で自身の望まないものを指すものだ。
もし呪いが不死だと言うのなら恩恵もそれほどのものになることは確実、恩恵によっては姿が変わるものもあるのだその場合はすぐに対処をしなくてはいけない。
今のところ容姿の変化はないがないかしらのことがトリガーとなり変化するものかもしれないのですぐに知らなければいけないことだ。
蓮夜「ちなみに俺の恩恵は『理外者』、概念からの干渉を受けずらくする恩恵でこの恩恵の効果で常に異能の能力の一部を受けることになる呪いを持ってる。」
夢結「それがどうして不死の呪いに?」
蓮夜「俺の眼は今7つあるんだよ。その中の再生の眼の効果で自分の最高の状態に戻り続けるって言うものがあるんだ。それで身体が老いる前に戻り続け、ついでに次元の眼でその状態に固定されるから歳を取らくなるんだ。そもそも老衰も概念だから干渉をほとんど受けないし・・・。」
夢結「つまり3つも不死の呪いを持っていると・・・。」
蓮夜「簡単に言うとそうだな・・・。」
これは塞ぎ込んでしまうと彼女は思った。
ひとつならどうにかなるかもしれないが3つではどうにもならない。
蓮夜「おっと、話が逸れたな。それで夢結の恩恵はなんだったんだ?」
夢結「私の恩恵は『精霊化』よ。自身の存在を概念存在に変質させる。概念そのものになるから老いることを死ぬこともないらしいわ。」
蓮夜「存在の変質なら容姿は変わらないのか?」
夢結「基本的には変わらないわ。だけど異能を使用すると少し変わるらしいのよ。」
蓮夜「さっきの角と翼か?」
夢結「ええ、私の能力は悪魔と天使の存在概念を自身に纏わせることで自分自身をその存在に変化させる能力なの。」
蓮夜「なんで悪魔と天使なのに精霊化なんだ?普通恩恵は異能に強く影響を受けるはずだが・・・。」
夢結「それが、精霊自体は中立で善性に傾くと天使に悪性に傾くと悪魔になるらしいのよ。」
蓮夜「そうなのか、初めて聞いたはそんなこと・・・。」
夢結「私もよ・・・。」
蓮夜「それならレアスキルがルナティックトランサーじゃなく類似スキルだったってことでどうにかなるな。」
夢結「そうかしら?」
蓮夜「夢結のルナティックトランサーは元々容姿変化するから誤魔化せるだろう。」
夢結「そうならひとまず安心ね。」
蓮夜「そもそもルナティックトランサー自体が変質してるかもな。」
夢結「えっ?」
蓮夜「ちょっと使って見てくれないか?」
夢結「いいけれど、暴れてしまったら・・・。」
蓮夜「安心しろ俺が止める。」
夢結「わかったわ。」
夢結は彼の言葉を信じてルナティックトランサーを発動した。
するといつもなら憎しみに呑まれるはずなのに思考がしっかりとできて感覚が研ぎ澄まされる。
髪の色も変化するが、いつもの真っ白な髪でなく輝くような銀色に変わっていた。
夢結「!?」
いつもとは違う感覚に彼女は困惑する。
蓮夜「やっぱりな、レアスキルが変質してる。」
夢結「どういう事なの?」
蓮夜「異能者になると元のレアスキルから変化するらしいんだよ。姐さん・・・美鈴さんがそうだった。」
夢結「お姉様が・・・。」
蓮夜「美鈴さんの元々のスキルはカリスマだったんだよ。それが異能に覚醒してラプラスに変化したらしい。」
夢結「そうだったのね・・・もしかして!お姉様が苦しんでいたのは・・・。」
蓮夜「ああ、呑まれかけてたんだ。あの人は・・・あの人の異能は特殊でな、止めることができないんだ。」
夢結「私が気づいてあげていれば・・・。」
蓮夜「それは無理だ・・・あの人は異能まで使って隠していたからな・・・お前も異能に覚醒してわかっただろ?異能には異能でしか対処できない。」
夢結「・・・だけど・・・。」
彼女の表情が暗くなる、
わかっているが苦しいのだろう。
蓮夜「・・・もうそろそろ出てきたらどうですか?」
夢結「・・・?」
彼が彼女の後ろを見ながらそう言った。
夢結は不思議そうに後ろを見るがそこには誰もいない。
蓮夜「もう条件は達成してるんでしょう?なら早く出てきてくださいよ。俺も夢結に謝りたいですし。」
夢結「何を言っているの?」
蓮夜「気まずいんですか?・・・そんなにうじうじしているなら強制的に引っ張り出しますよ?専門外ですけど今の俺なら見えていればそれくらいならできますから。」
???『待ってくれ!』
夢結「えっ!?」
夢結は自身の後ろから聞こえた声に驚愕する。
この声に聞き覚えがあるからだ。
夢結「お姉・・・様?」
その声は彼女のシュッツエンゲルであった川添 美鈴のものだった。
美鈴『夢結・・・。』
夢結が振り返るとそこには、
あの頃のままの姿の川添 美鈴の姿があった。
美鈴「今までつらい思いをさせてしまったね・・・ごめん。」
夢結「お姉様!!」
夢結は彼女に抱きつく。
夢結「お姉様・・・わたし、私謝りたくて!」
泣きじゃくる彼女の頭を撫でながら、
美鈴「いいや、夢結が謝ることじゃない。謝らないといけないのは僕なんだ。」
夢結「そんなはず!」
美鈴「あるんだよ・・・だってあの時夢結は僕を傷つけていないのだから。」
夢結「・・・えっ?」
彼女は困惑する。
間違いなく彼女はダインスレイフで美鈴を貫いているはずなのだ。
あの時の感触は今でも手にこびりついている。
それではあれはなんだったのか?
彼女の中でこの疑問が駆け巡る。
美鈴「あの時夢結が貫いたのは僕の分身・・・つまり偽物の僕なんだ。」
夢結「偽物?」
美鈴「ああ、私はあの時にはもう重症をおっていてね。夢結をどうにか助けないと思って・・・そのせいで苦しませてしまったね。」
夢結「それならお姉様は生きていたのですか!」
美鈴が顔を俯け、
美鈴「いいや、僕はあの時に死んでしまったよ。」
夢結「なら今私の前にいるお姉様は?」
美鈴「簡単に言うなら幽霊かな?肉体がない魂が具現化した存在、それが今の僕だよ。」
夢結「それも異能の力なのですか?」
美鈴「そうだよ。」
夢結「・・・蓮夜、あなたは知っていたの?」
蓮夜「・・・知ってた。」
夢結「ならどうして教えてくれなかったの!」
蓮夜「それは・・・。」
夢結「教えてくれれば私はこんなに苦しまずに済んだのに!もっと早くお姉様に会えていたのに!」
彼女は彼を問い詰める。
どうして教えてくれなかったのか、
支えるという言葉は嘘だったのか、
彼の言葉が全て嘘だったのか、
そう思えてしまう。
先程の告白も彼の思いも、
そして私の思いも、
全てが偽りなのではと思ってしまう。
この気持ちは彼が私に埋め込んだものでは無いか、
そう考えてしまう。
自問自答を繰り返すにつれどんどんと悲しみが湧いてくる。
もしもそうなら、
震えが止まらなくなる。
美鈴「夢結!!」
夢結「!?」
美鈴の言葉で我に返る。
美鈴「彼は言わなかったんじゃなくて言えなかったんだ・・・。」
夢結「・・・えっ?」
美鈴「僕の異能『虚実霊域』の能力に死んだ時に1人の人間を対象にその人の守護霊になるっていう力があるんだ。その条件が対象者が幻影の私に打ち勝つこととこの事を対象者が知ってはいけないというものがあるんだ。そして私の幻影はこの事知るものの接触に強く反応する。だから彼は教えることができなかったんだよ。」
夢結「そうなの・・・?」
蓮夜「・・・ああ、姐さんに話によると姐さんが異能者であることを知っている時点でダメらしいからな・・・俺の言葉は絶対に夢結には響かない・・・だからお前を幻影から解き放ってくれる人を梨璃さんみたいな人を探してたんだよ。」
美鈴「だから彼を責めないであげてくれ。彼も被害者なんだ。」
夢結の中に強い罪悪感が生まれる。
夢結「ごめんなさい・・・。」
蓮夜「いいんだよ。ああなったらみんなこうなる。」
美鈴「蓮夜・・・君にもつらい思いをさせたね。ごめん・・・。」
蓮夜「姐さん・・・これは俺が自分が好きでやったことだ・・・だから謝らないでくれ。」
美鈴「だけど・・・君は・・・。」
蓮夜「・・・姐さん。」
美鈴「なんだい?」
蓮夜「謝るよりも先に言うことがあるんじゃないですか?」
美鈴「・・・!?」
彼女は気がついたようで2人に向き直り、
美鈴「2人とも、ただいま!」
夢結・蓮夜「「おかえり(なさい)!!」」
こうして2年もの間続いた呪縛はついに終わりを告げた。
本当の意味で夢結を救うことに出来ました。
これは私の自分勝手な考えですがこのような形でもいいのではないかと考えています。