アサルトリリィ Abnormal Transition   作:0IN

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お待たせしてしまい申し訳ありません。
ギリギリ一週間で出せました・・・。

これからは2、3日ぐらいで出せたらと考えています。
モチベーションの向上にもなりますので感想も書いていただけると嬉しいです。

これからも本作をよろしくお願いいたします。


Fallen Eyes編
追憶①


夢結「どういうこと?」

 

 

彼女の目の前に広がる景色は自分の記憶にある景色と変わらず現実と言われても納得してしまうほどにリアルだった。

 

彼女は獣に堕ちる時のような暗い世界を予想していたが予想外の光景に動けなくなる。

 

 

夢結「・・・何かがおかしい?」

 

 

彼女が周囲を見ているとは違和感感じた。

 

その違和感の正体を探すと、

 

 

夢結「音がない・・・。」

 

 

そう風に揺れる木々の音も周りを歩く人の話し声・・・そして足音すら聞こえないのだ。

だが違和感はそれだけではない。

 

 

夢結「それに・・・私に気づいていない?」

 

 

もう1つの違和感・・・それは、彼女のことを誰も気づいていないことだ。

今彼女は百合ケ丘の制服を来ておりこの制服は世界的にも知られているため嫌でも注目されるのだ。

この人混みの中なら誰がこちらを見る人が必ず居るはずなのに誰もこちらを見ない。

 

いいや違う、

見てはいる・・・いるのだが、

 

 

ちょうど前を歩いている人が彼女に手を振る。

 

その人は彼女へと近づき、

 

そのまま彼女の身体をすり抜けて通り過ぎた。

 

これは異常だ。

確実に接触したはずなのに触れた感触がないのだ。

 

その異常に自身の身体を確認すると、

 

 

夢結「!?」

 

 

夢結の身体が透けていた。

 

腕を翳すと腕の向こう側の景色が見える。

まるで自分という存在が薄くなってしまったかのように、

 

 

夢結「もしかして・・・。」

 

 

彼女は近くの建物の壁へと手を近づける。

彼女の手は壁に触れて止まったがその感触は壁と言うよりも空気の塊に触れている感覚だった。

 

その次に通りかかった女性の手に自身の手を重ねようとする。

その手は触れた感触もなく通り過ぎた。

 

 

夢結「やはり・・・実体がないのね。」

 

 

今の自分には実体がなく物質には触れることが出来ない、彼女はそう考えた。

 

 

夢結「お姉様の言葉からここは彼の心の中・・・つまり彼の心象風景のひとつということ・・・なら、彼の知っている物だけが映し出されるはず・・・なのにどうして彼がいないの?」

 

 

美鈴の言葉通りならここは彼の心の中つまり彼の記憶や想像を元に作り出された世界のはずだ。

 

 

つまり彼はこの情景を見ている。

でなければここまでリアルな情景にならないはずだ。

 

想像ならこの位簡単だと考えるだろうがここにいる人は誰一人同じ顔の人がいない。

 

もしも同じ顔の人又はほとんどが同一の人がいればその可能性も捨てきれないがこの場合はそれは有り得ないだろう。

 

ならばすぐ近くに彼が居るはずなのだが周りを見渡しても彼の姿が見えない。

 

 

彼女が考えながら彼のいる可能性が高い彼の家がある場所へと向かう、

 

音のない世界の中彼女が進んでいると彼女の横を電車が通った。

彼女が歩く道の隣は線路となっており1度止まり電車の中を見る、電車の音は聞こえないが中の人もやはり現実と変わらない。

 

 

このことを考えていても意味がないと考えた彼女がそのまま歩き始めようとすると、

 

『ガタンゴトン!ガタンゴトン!』

 

 

夢結「!?」

 

 

電車の音が聞こえた。

 

だが彼女の近くには電車はなく先程自身を追い抜かした電車もかなり離れた位置にいた。

 

確かにこの距離でも聞こえるだろうがそれにしてはハッキリとしすぎている。

 

 

夢結「さっきは聞こえなかったはず・・・なのにどうして?」

 

 

聞こえた時と聞こえなかった時の違いが分からず彼女がまた首を傾げた。

 

 

『ブロロロロロッ!!』

 

 

次は車の走る音が聞こえる。

 

しかしその肝心の車の姿が見当たらない。

なのにまるですぐ近くにあるかのように音が聞こえる。

 

その後も彼女は何回も車や電車などの走る音が聞こえるがその音の発信源が見つからない。

 

だが、彼の家に近づくほどにその頻度が増していくことは分かった。

 

彼の家の周辺まで着くと、

 

『ザワザワッ、ザワザワッ。』

 

周囲の人の会話声なども聞こえ始めた。

だが、その声はまるで遠くから聞いたかのように霞んでおり上手く聞き取れない。

 

 

ようやく彼女が彼の家の前に着くと玄関が開きそこから幼い彼が姿を表した。

 

いきなりのことに慌てて彼女は姿を隠そうとする。

だが彼女が動こうとするが間に合わず彼と目が合う。

 

しかし彼の目には彼女は写って居なかったようで彼女の身体をすり抜けて家の敷地外へと歩き出した。

 

 

『コツ、コツ、コツ、コツ』

 

 

今まで聞こえていなかった足音が聞こえた。

 

彼女がその音の発信源を探すと、

 

 

夢結「・・・私の足元から。」

 

 

その音は彼女の足音から聞こえた。

だが彼女は今動いておらず足音が鳴るはずない。

 

なのに足音は彼女の足元から聞こえる。

 

 

夢結「もしかして・・・この音は彼が聴いているもの?」

 

 

その足音は彼の歩く動きと連動しており彼女はこれは彼が聴いている音なのではないかと考えた。

 

 

それなら今までの謎が納得いく。

 

彼が近くに居なかったから音が聞こえなかったのだ。

 

そして電車の音も彼の家に近づいた時に聞こえた。

他にも周りにいない車の駆動音が聞こえたのも彼の家の前を車が通ったのだろう。

 

この世界は彼の認識でできている。

だからこそ彼の知り得る情報以外はないのだ。

 

 

するとひとつの疑問が新たに生まれた。

 

それなら彼が見ていないはずの場所がなぜあそこまで現実と同じだったのかだ。

 

 

この世界は彼の認識でできている。

だからこそ彼の周り・・・つまり彼の聴こえていた音しか聞くことが出来ないのだ。

 

なのにこの世界は現実と変わらないほどにリアルに見えるのか?

 

その疑問が彼女の中で駆け回る。

 

 

夢結「音や匂いはないのになんで見ることだけはできたのかしら?」

 

 

そう、今まで気が付かなかったが音だけではなく匂いも感じない。

 

そして彼女がいた位置から彼の家までは軽く1km以上あった。

 

つまりこの世界は彼を中心に少なくとも直径2kmはあるのだろう。

 

 

夢結「今の私はこの時代の彼と感覚が同調しているはず・・・なのにどうして彼の見ていないはずの場所が見えるの?・・・なんで視覚だけ・・・視覚!」

 

 

彼女は自身の呟いた言葉からあるひとつの仮説を立てた。

 

 

夢結「もしかして彼の知覚範囲だと言うの!?この世界の全てが!?」

 

 

彼の能力は視覚を利用した知覚範囲内に干渉する能力だ。

つまり彼の能力には視覚が重要なのだ。

 

そして彼の異能である紋章眼は異能の中でも知覚型と言う部類になっており知覚型には特性 知覚範囲強化が存在する。

 

彼から聞いたその効果には物体の透視や視覚範囲の拡大、視力の強化があった。

 

だから彼は目だけでは見ることが出来ないのだ視覚域や遠く離れた場所、そして壁などで中が見えない場所も見えると言っていた。

 

つまりこれは彼が見ていた世界なのだ。

目の前にいる彼の容姿からこの彼はおおよそ小5、6だろう。

 

つまりこの時から彼はこの世界を見ていた。

いつから見ていたかは分からない。

 

だがこの世界を見るには良さない彼には無理があるはずだ。

 

情報量が多くなればなるほどそれに見合った思考能力や精神が必要だ。

けれどまだ彼の年齢ではそこまで精神が成長しているとは思えず思考能力に至っては大人でも無理があるはずだ。

 

それなのに彼は平然としている。

 

何か無理しているようにも見られない。

 

 

異能者なのだから当たり前なのかもしれないが彼女には彼が無理をしているのではないか心配でたまらなかった。

 

そう考えているうちに彼がどこかに行ってしまう。

 

それに気が付いた彼女はすぐに彼のあとを追いかけて行った。

 

 

 

 

彼を追って行くとどんどんと周りの人少ないなっていく。

彼が向かっていた場所は森の中だった。

 

彼女の記憶の中ではここは危険区域の近くで一般人は普通近づかない場所のはずだ。

 

森の奥で彼は立ち止まった。

 

 

蓮夜『・・・ふぅ。』

 

 

彼は大きく深呼吸をする。

 

 

蓮夜『誰もいないな・・・。』

 

夢結「!?」

 

 

彼の話し方は彼女の記憶にある彼のとは全くの別物になっており彼女はこの変わりように固まってしまう。

 

彼は深呼吸を繰り返しそっと目を閉じた。

 

 

夢結「・・・何をする気なの?」

 

 

彼女が彼が何をしようとしているか確認しようとすると、

 

 

夢結「・・・あっ、ガァぁぁアアア!!

 

彼女の目に今までに味わったことの無い激痛が走った。

 

 

 

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