アサルトリリィ Abnormal Transition   作:0IN

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過去③

暗い森の中を進む。

 

普通なら生い茂る木々によって月の光が遮られており何も見えないはずなのだがまるで昼間のように辺りがハッキリと見えた。

 

その中を彼は走り抜ける。

 

 

夢結「こんな夜遅くに・・・どこへ向かっているのかしら?」

 

 

彼女は後を追いながらそう考える。

このような夜遅くにどこへ行こうと言うのか?

 

まさか昼間のアレをまた行おうとしているのか?

 

しばらく走り続けると彼が足を止めた。

すると何かを探すかのように周りを見渡し始めた。

すると彼は視線をとある方向に向けて目を細める。

 

 

蓮夜『今日はあっちだな。』

 

夢結「・・・今日は?」

 

 

何かを確認し終わった彼の姿が霞んだ。

まるで霧状の何かに包まれたかのように彼の姿が捉えられなくなる。

 

その霧はすぐに晴れたが中から出てきた彼の服装が変わっていた。

 

先程まで寝間着を来ていたが今は黒を基調とした戦闘服を来ていた。

それはまるで軍隊が着ているようなものだったが一般のものとは違い関節部や背中に大量の機械群が装着されており脹脛や肩部、腰部に大型の推進器のようなものが取り付けられていた。

次に彼が両手を前に出すと空間が一瞬歪み彼の手に2丁の突撃銃が握られていた。

彼はそれを背中に向けると背中についてる機会からアームが伸びてきて2丁とも保持し収納する。

その後拳銃を太腿に、散弾銃を背中に昼間作っていた刀を三本纏めて保持するホルダーを両腰後ろに1つずつ装着した。

最後に折り畳め式の大型狙撃銃を腰上にそして彼の身丈ほどの太刀を左越しに付けると軽く飛び跳ねなどし始めた。

 

 

蓮夜『・・・装備に以上なし。・・・行くか。』

 

 

そういうと彼は先程向いていた方向へと駆け出した。

 

 

夢結「・・・確かこの先は。」

 

 

彼女の記憶が正しければこの先は危険区域のはずだ。

最近ではケーブの出現回数も減っているが少し前まではかなりの頻度で出現していたはずだ。

 

確か2~3年前はここにケーブが発生することが分かっておらずヒュージが市街に出現してしまい人的被害が出る寸前にまでなったことが記憶に新しい。

 

何しろ・・・。

 

その時危険区域の方向から大きな音が聞こえた。

 

 

夢結「まさかこの頃からヒュージが・・・!」

 

 

そう現在彼女が見ているのは役6~7年前だ。

その頃はケーブが発生していたか分からないがもしそうなら、

 

 

森を抜けて視界が開ける。

そこは無人の街になっておりそこに存在する建物のほとんどが瓦礫と化していた。

 

その瓦礫の一部が盛り上がり始めた。

彼が突撃銃を取り出したその時、

 

瓦礫の中から十数体のヒュージが飛び出してくる。

そのほとんどはスモール級だが中に数体がラージ級の個体だった。

 

 

ヒュージを目視すると彼はすぐに射撃を開始する。

放たれた弾丸は一直線に飛んでいきヒュージへと襲いかかった。

その弾丸は1発1発では大したダメージを与えられないがスモール級個体の身体を削っていく。

だがラージ級には傷一つ与えられていなかった。

 

彼は射撃を続けながらヒュージへと向かって突撃する。

ヒュージに近づくにつれてヒュージの被弾数がまし削る勢いが増していった。

 

ヒュージとの距離が無くなる寸前彼の背中のアームが動いた。

脇を通す形で散弾銃が彼の手元に送られる。

それを確認すると突撃銃を上に投げ散弾銃を掴んだ。

投げられた突撃銃はまるで糸で引かれたかのように彼の背中に着いているラックに収納される。

 

彼は散弾銃を手にするとすぐさま前方のヒュージに向けて撃ち込む。

それにより2体のスモール級が砕け活動を停止した。

彼は沈黙したヒュージを見ずにすぐに後ろへと引いた。

 

彼が先程まで立っていた場所には無数の針のようなものが刺さっている。

その針はスモール級の触腕と繋がっており彼が好きを見せると考えて打ち込んだかと思うほどのタイミングで打ち込まれたそれはコンクリートでできた地面を貫いていた。

もしこのようなものが当たっていたら一溜りもなかっただろう。

 

 

夢結「ヒュージが考えて戦っている?」

 

 

このヒュージ達は思考ができるのか?

彼女はそう考える。

 

 

夢結「それはないわね。この頃はまだお姉様は・・・。」

 

 

だがその答えは否、

 

そのような行動をするヒュージは確かにいたがそれは美鈴が使ったダインスレイフがヒュージに干渉することで始まったことだ。

この世界は自身が11~12歳頃つまり甲州撤退戦の最低でも4年前のはずなのだ。

だからこそ思考することは有り得ないと断言できた。

 

彼女が思考していると彼が動き出した。

その右手には太刀が左手には拳銃が握られており散弾銃は背中に戻っている。

彼はそのままヒュージの群れに突っ込みスモール級に太刀で斬り掛かる。

太刀による一撃でスモール級一体の胴体を両断する。

次に左から襲いかかるヒュージの攻撃を身体を後ろに逸らすことで躱しそちらを見ずに拳銃を発砲、その弾丸はヒュージの脚部に辺り体勢を崩した。

そのヒュージを回し蹴りで吹き飛ばす。

次に後ろからラージ級が飛び掛って来たのでそれを身体を捻りその反動で右に逸れることで躱す。

その時にヒュージが通るであろう場所に弾丸を置くように撃ち込むとまるで吸い込まれるようにヒュージの胴体に命中し突撃銃では傷一つ付かなかった装甲にヒビが入った。

そこに間髪入れずに太刀を突き入れるとそのヒビが広がりそのまま装甲が砕けた。

そこに追撃を加えようとするが横からスモール級が襲いかかってきたため後ろへと下がる。

 

その後はヒット&アウェイを続け着実に相手の頭数を減らし始めた。

スモール級の数が残り一体になった時ラージ級三体が一斉に彼へと襲いかかる。

それを太刀でいなしながら交代するが後ろの瓦礫からスモール級が数体這い上がってきて挟み撃ちに会ってしまった。

 

それを好機と感じたのかヒュージたちの勢いが増す。

彼は脇にある瓦礫に目を向けると瓦礫の一部が宙に舞いそれを足場にする事で上空に逃げた。

 

ヒュージはそれを追って瓦礫を登り始める。

ヒュージが彼の足元まで迫ってきたタイミングで彼は瓦礫から飛び降りて腰に吊るした刀を6本とも上空へとばら蒔いた。

そんな彼を追ってヒュージも飛び出すと、

 

先程ばら蒔いた刀がかなりの速度で降り注ぎヒュージ達を貫いた。

それによりスモール級三体と先程装甲を砕いたラージ級一体が活動を停止し地面に縫い付けられた。

彼が空中で体勢を整え着地するとヒュージを縫い付けていた刀が再び宙に舞いその切っ先を残りのヒュージへと向ける。

 

彼は太刀を収めて拳銃を持ち2丁とも別のヒュージへと向けて弾丸を撃ち込む。

それによりラージ級の片方とスモール級にヒビが入るがそのようなこと気にしないと言わんばかりに彼に襲いかかった。

 

だがそのヒュージは後ろから飛んできた刀に貫かれて先程のヒュージと同じ運命を辿ることとなる。

ついに残り一体となったヒュージに彼は畳み掛ける。

拳銃と宙を舞う刀によって着実に削られたヒュージは脚部が砕けてしまい動けなくなった。

彼はすぐに太刀へと持ち替えて相手に急接近する。

 

 

夢結「良かった・・・怪我もなさそうね。」

 

 

その光景を見て彼女はホッとしていた。

彼女は彼が戦い初めてから気が気でなかっただろう。

今も心臓の鼓動が激しいため煩くてたまらない。

今彼が自身のそばに居るのだから無事だったのは当たり前なのだがやはり見ていると彼が大怪我を追ってしまうのではないかもしかしたら・・・と考えてしまう。

 

だが結果は彼は無傷でヒュージを圧倒するという結果だった。

 

 

それと同時に彼女は彼との差を強く認識してしまう。

 

今の自分ならあれくらいのヒュージなら楽に殲滅できるだろう。

だが彼と同じ歳で、つまり初等部時代にできただろうか?

 

無理だ。

確かに初等部で自身は上位に入っていた。

だがそれは初等部での話しだ。

初等部では訓練はするが実戦は絶対に有り得ない。

もしもこの頃の自身が実戦に出ていたら恐怖で何も出来ずに座り込みそのまま・・・。

このように自身が温室で危険のない訓練をしていたのに対して彼は命懸けでの実戦だ。

先程の戦い方は初めてでは無いはずだ。

つまり彼は死と隣り合わせの場所で戦い続けているのだ。

 

だからこそ差ができてしまう。

 

彼女が彼との差を感じていると、

 

 

『ドガーーン!!』

 

 

彼のいる方向から轟音が鳴り響くと共に体全体に激痛を感じた。

 

彼女は痛みに耐えながら振り向くとそこには、

 

瓦礫に埋もれた彼とそれを見下ろす巨大な影、

 

ギガント級ヒュージが立っていた。

 

 

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