アサルトリリィ Abnormal Transition   作:0IN

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過去⑬

?『・・・。』

 

 

夜の森、その中を少年が走り抜ける。

少年が体勢を低くして木々の隙間を縫うように進むと、

 

少年の左右にある木々の下から人影が襲いかかる。

人影はまるで黒い靄のようなものに覆われておりその容姿を確認することができずその手には大振りの片刃大剣のようなものが握られている。

その人影はそれぞれの得物を上段に構え少年を両断するために迫る。

刃が少年に触れる寸前、少年の姿がまるで元からいなかったかの如く掻き消える。

人影が得物を振りきった直後2人は瞬時に得物から手を離し振り下ろした勢いをそのままに前転の要領で前へと出てその走り出す。

すると先程まで人影があった場所に無数のナイフが降り注ぐが既にその場から離れている人影には当たらない。

そのナイフは地面に当たる寸前、ナイフは直角の軌道を描きながら人影を追いかける。

人影は追うナイフにどうにか対応するが得物がないため躱すしかなくどんどんと逃げ場を失っていく。

しばらく躱し続ける人影が、ついに人影がナイフに取り囲まれてしまう。

逃げ場を失った人影に向かってナイフが襲いかかるが人影はまるで煙の様に霧散して消える。

人影が消えたことでナイフは地面に落ちる。

するとナイフが散らばる場所の中心に少年が姿を現した。

少年が周りを警戒していると木々の影から4人の人影が襲いかかる。

そのタイミングは全てが一致しており、その一つ一つが少年の退路を潰すようになっておりまるで刃でできた檻の様に少年を閉じ込めた。

少年は正面にいる人影へといつの間にか握られている大鎌を振り下ろした。

その一撃によって人影を弾き飛ばすことに成功するが残り3方向から刃が迫る。

少年は大鎌を振り切った勢いを利用し手首のスナップで刃を背後へと回り込ませて後方にいた人影の一撃を押される。

そのとき少年の体がぶれて半透明な少年の形をした何かが大鎌で左右の人影を迎撃した。

人影はそれを危険と感じたのかすぐさま後ろに下がり警戒している。

 

すると少年が右の人影へと向かってナイフを投擲し左の人影へと襲いかかる。

人影は大鎌での横薙ぎを自身の得物で防ぐが後ろから飛んできたナイフが突き刺さり体制を崩してしまう。

少年はその隙を逃さずに瞬時に体を捻り大鎌の向きを反転させて人影の胴体を薙ぐ。

その斬撃は人影の胴体に吸い込まれるかのように迫りそのまま人影を両断した。

体を上下で分断された人影は先程のように霧散する訳ではなく光の粒子のようなものに分解されるように徐々に体が薄れて消えていった。

 

少年はそれを確認することなく体を反転させる。

すると背後には人影が迫っており得物を横薙ぎに振っていた。

それを背面跳びの容量で躱しながら通り過ぎ間際に空中で体を拗じる要領で回転させてその勢いで大鎌を振り下ろす。

それにより体がを切り裂かれた人影は先程のものと同様に消滅した。

少年が体制を整えると目の前に刃が迫る。

少年の目の前には得物を振り下ろす人影がおり、その人影には先程投擲したナイフが刺さっていた。

先程牽制を無視して迫り来る一撃に彼は目を見開くがすぐに冷静さを取り戻し視線を上空へと向ける。

すると少年の姿が再び消えたと思うとすぐさま人影の真上に姿を現した。

すぐに姿を霧散させようとした人影に大鎌を振り下ろす。

だが、当たる寸前に人影が姿を消してしまう。

それを確認すると彼は森の中へと身を潜めた。

 

すると、静寂が続き辺り一面に草木のざわめきと風の音が包み込む。

しばらく息を潜めていると、再び人影が姿を現した。

 

?『・・・』

 

その人影は肩を抑えながら当たりを警戒している。

先程の攻撃を掠めていたのか肩には大きな切り傷がありそこから光の粒子が漏れていた。

 

そのまましばらく観察していると人影の前に新たな人影が現れる。

その人影は当たりを確認するとすぐさまもう1人の人影に手を向けて近づいた。

その瞬間を待っていたと言わんばかりに彼は木の後ろから飛び出す。

 

すぐに人影もこちらに気付くが少年は既に人影の目の前まで来ており手に持つ大鎌で新たに現れた人影の首を薙ぐ。

 

その大鎌は人影の首筋で止まる。

 

すると少年は顔を上げて、

 

 

蓮夜『・・・これで勝負ありですね。』

 

 

その言葉に反応した人影はこちらに顔を向ける。

すると人影を覆う靄が晴れるとそこには美鈴の姿があった。

 

 

美鈴『・・・。』

 

蓮夜『姐さん?・・・終わりましたよ?』

 

 

無言の彼女に彼が違和感を感じていると突如隣にいた人影が動き始めた。

 

 

美鈴『・・・残念だけど、まだ終わっていないよ。』

 

蓮夜『!?・・・まさか!』

 

 

彼女の発言の意味に気づいた彼はすぐに大鎌を引き彼女の首を裂く。

すると彼女は粒子になって霧散してしまった。

 

 

蓮夜『これも囮か!』

 

美鈴『その通り!』

 

 

背後から声が聞こえたためすぐに振り返るとそこにはCHARMの銃口を突きつける美鈴の姿があった。

 

 

美鈴『今回は僕の勝ちだね。』

 

蓮夜『姐さん・・・分身の数増えたんですね。』

 

美鈴『正解・・・1人増えて6人まで可能になったんだ・・・それで今回は僕の勝ちでいいかな?』

 

蓮夜『・・・その前に姐さん今日は空気が乾燥してますね。』

 

美鈴『?・・・それがどうかしたのかい?』

 

蓮夜『乾燥してると静電気が起こるから嫌いなんですよ・・・ちょうど今日みたいな日は特に・・・。』

 

美鈴『まさか!』

 

 

彼女は何かを察したのかすぐさま後ろに引こうとするが、

 

 

蓮夜『遅いですよ?』

 

 

彼の一言と共に辺り一帯に光が奔る。

その光が収まると彼女とその分身は地面に倒れてしまった。

 

 

美鈴『やってくれたね・・・。』

 

蓮夜『最後まで油断したらダメなんですよ。』

 

美鈴『また負けたか・・・今回は勝てそうだったんだけどね。』

 

蓮夜『まあ、これで俺の50連勝ですね。』

 

美鈴『そんなに負けてたっけ?』

 

 

彼の言葉に彼女は苦笑する。

ここ最近の2人の戦いは基本的に彼が勝っていた。

出会い初めて1年程は彼女が勝ち越していたがそこからはどんどんと負け越しを重ねて今ではいい所までは行くが勝つことができないまでの実力の差が生まれているのだ。

 

 

美鈴『本当に強くなったよ君は!』

 

 

だが、彼女はまるで気にせずに彼の成長を喜んでいた。

元々彼女は援護を得意としているからなのか勝敗を全く気にしない彼女に彼は困惑してしまう。

普通彼女の年齢なら落ち込んだりするほどのことであるはずなのだがそのような兆候が全くないのだ。

それは彼も同じで2人はまるで子供とは思えない思考をしている。

 

 

2人の姿を見ている夢結は悲しみを感じていた。

この2人には子供としての思い出が薄いのだ。

それをまじまじと見させられている彼女はまるで胸を締め付けられるかのような痛みを感じる。

 

 

夢結「あの頃の彼は・・・。」

 

 

そしてあの頃の彼・・・子供の頃の蓮夜が偽りだったこととで彼女は自身の思い出が崩れるような感覚を味わい続けていた。

その度に呑まれそうになり彼女も限界が近づいている。

 

 

夢結「・・・教えて、どうすればあなたを・・・。」

 

 

なのに、目的である彼を救う手掛りが見つからない。

そこから現れる焦りが彼女を蝕む。

既にこの世界に来てから数年が経ちその間に様々のものを見ていた彼女は消耗していた。

既に顔色も悪く足もおぼつかなくなるまで消耗している彼女は目を閉じる。

 

「やはり、私ではダメなのか。」

 

この言葉が頭を埋めつくした。

それでも何とか抗おうとするが、

 

それもここまで、

 

彼女の意識は薄れていく。

 

 

夢結「・・・蓮夜・・・。」

 

 

彼女は霞んだ視界に映る彼へと向かって手を伸ばす。

そしてついに彼女の意識が消えるそのとき、

 

 

美鈴『蓮夜・・・前にも聞いたが、君は夢結ことをどう思っているんだい?』

 

蓮夜『そんなの決まってるじゃないですか・・・好きですよ。・・・ずっと昔から、』

 

 

彼の言葉に消えかけていた彼女の意識が呼び覚まされる。

 

 

蓮夜『夢結といる時が俺に取って1番の救いなんです・・・こんなおかしい・・・異常な思考を持った俺に光を与えてくれる彼女が・・・。』

 

 

そうつぶやく彼の手は震えていた。

彼も怖いのだ。

 

自分が周りと違うことに、

 

それは知っていた。

だけど、彼女は自身が彼の救いになっていると思っていなかったのだ。

何度もそう言っているが本当なのか疑問に思っていた。

そして、

 

 

蓮夜『夢結の前でだけ俺は俺でいられる気がするんです。夢結にだけは子供としての自分でいられる・・・そんな気がするんです。』

 

 

夢結「本当だったのね。」

 

 

彼女は涙を流す。

 

偽りではなかったのだ。

自身の・・・2人の思い出は、

 

 

蓮夜『だから俺は夢結を守るんです。俺を俺で居させてくれる・・・夢結を守るために、そのためならなんだってしますよ。・・・ただ、夢結が居てくれるそれだけで俺はいいんです。恋人とかそんなんではなく・・・ただ、話が出来れば・・・それだけで俺は救われるんですから。』

 

 

夢結「傍にいる・・・。」

 

 

彼女の頭をその言葉が駆け巡る。

その言葉を聞いた彼女はまるで掛けていたパズルのピースを見つけたような感覚に陥った。

あとはそれを嵌めるだけ、

そこさえ分かれば全てが噛み合う。

そんな気がしてやまない。

 

彼女はその答えを必死に探す。

記憶を漁り彼の言葉を1字1句思い出す。

 

 

美鈴『恋人か・・・僕は応援するよ!』

 

蓮夜『茶化さないでくださいよ・・・。』

 

美鈴『茶化してないさ・・・僕は夢結のシュッツエンゲルとして君が彼女にふさわしいと思っているんだ。・・・それに君にもね。』

 

蓮夜『俺の何処がふさわしいんですか?』

 

美鈴『君なら必ず夢結を幸せにするために力を注ぐはずだ。そうだろう?』

 

 

夢結「・・・力を注ぐ。」

 

 

蓮夜『当たり前じゃないですか!たとえ俺が不幸になっても夢結だけは幸せにしてみせます。だけど・・・自分で言ってなんですが俺はかなり面倒な性格してますよ。もしも彼女に危険が及んだら俺は命すらも賭けます。・・・そんな俺なんですもしかしたら彼女を幸せにするどころか悲しませるかもしれない。』

 

 

矛盾しているその言葉だがそれが彼の心に抱えている不安だった。

それが原因で彼は前に進めずにいるのだ。

 

 

夢結「・・・命を賭ける。」

 

 

美鈴『だからこそだよ。そんな危なっかしい君だからだ。・・・夢結なら君のことを絶対に離さない。もしかしたら縄で縛ってでも止めるかもしれないよ。』

 

 

夢結『・・・離さない。』

 

 

蓮夜『そんなことはさすがに・・・ありそう・・・下手すると鎖で、』

 

 

夢結「・・・鎖・・・縛る。」

 

 

カチリと、全てが噛み合う音が聞こえた。

 

 

夢結「何を勘違いしていたのかしら、そうよ!離さなければいいのよ!」

 

 

彼女の心に希望が芽生えた。

ついに見つけたのだ彼を救う方法が、

 

 

夢結「それにはあれが必要ね・・・蓮夜・・・もう少しだけ待っていてすぐに見つけに行くから。」

 

 

この時彼女の目的は定まった。

 




ただいまアサルトリリィラストバレットで私が所属しているレギオン「蒼き焔」でメンバー募集をしています。
本レギオンは同じくハーメルンに投稿されている「アサルトリリィ-蒼焔のリリィ」作者であるレリさんが隊長をしているレギオンです。
ただいま後衛(回復、支援、妨害)を募集しております。
レギオンマッチは週3回(水曜、土曜、日曜)の22:00です。
積極的に参加可能な人はぜひ入隊をよろしくお願いいたします。
入隊はレギオン「蒼き焔」隊長の蒼月 焔さんまでよろしくお願いします。
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