アサルトリリィ Abnormal Transition   作:0IN

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過去⑭

美鈴『それはそうと蓮夜・・・君は本当に強くなったね。』

 

蓮夜『そうですか?』

 

美鈴『ああ、もう僕では勝てないくらいにね。』

 

蓮夜『そうだとしたら嬉しいですね。』

 

美鈴『君の能力は制御が難しい・・・それを君は手足のように自在に使えるんだ。それだけでも相当な実力がないと無理さ。』

 

蓮夜『それを言うなら姐さんもですよ。姐さんの能力はどちらかと言うと戦闘向きの能力じゃないのに戦闘向きの俺と互換なんですから。・・・それに制御と言ったら・・・。』

 

美鈴『僕のは例外さ。確かに僕の能力は支援向きの能力だけど、それは君もだろう?』

 

蓮夜『まぁ、そうですね。俺のも解析特化ですから・・・結局は使い方ですよ。』

 

美鈴『そうだね、僕のも乱戦には強いから・・・それにしても面白いことを考えたね瞳の合成とは・・・。』

 

蓮夜『色々試した結果ですよ。いつもは左右の瞳の能力を別々に発動してるイメージなのでもしも重ねて使ったらと思って試してみたら成功って感じですね。・・・まあ、合成と言うよりも直列的な発動に近い感覚です。』

 

美鈴『能力の同時発動ができる君ならではだね。・・・それでどれくらいの組み合わせがあるんだい?』

 

蓮夜『そうですね、今のところは・・・「化学錬金」「次元屈折」「幻想世界」「並列存在」の4つです。』

 

美鈴『「幻想世界」と「並列存在」はわかるんだけど「化学錬金」と「次元屈折」とは?』

 

蓮夜『「化学錬金」は操作と情読の組み合わせで知覚範囲ないの原子を操作することで化学反応を起こす能力です。そして、「次元屈折」は操作と次元の組み合わせで過去または未来の自身の存在だけを連れてくることで瞬間的に複数の行動を取る能力ですね。』

 

美鈴『原子の操作ということはもしかして・・・核使えたりするのかい?』

 

蓮夜『姐さんの予想通り・・・メルトダウン(核熱暴走)可能です。・・・最悪の場合反陽子爆発も・・・。』

 

美鈴『絶対に使ってはダメだ・・・被害が予想もつかない。』

 

蓮夜『わかってますよ。・・・だから基本は電撃や小規模な爆発での牽制用です。』

 

美鈴『それなら問題なさそうだね。』

 

蓮夜『そんなに心配しなくてもやりませんよ・・・。』

 

 

彼は不服そうに彼女を見る。

彼女はその光景に苦笑しながら自身の手に視線を向ける。

 

 

美鈴『僕もそれくらいの力があったら・・・。』

 

蓮夜『姐さん・・・。』

 

 

彼女の顔に影が落ちる。

 

彼女の能力は支援型だ。

つまり彼女単体での戦闘能力はさほど高くはない。

そこを悔やんでいるのだろう。

 

自分よりも幼い彼が自身よりも強い力を持っている。

それを妬ましく思う気持ちもあるだろうが彼女が最も感じているのは怒りだ。

 

強い力にはそれ相応の代償が伴う。

彼の場合は人との繋がりと肉体への多大な負荷だ。

異常とも言える程の大量の情報により無理やり成長させられた精神により他者との間に溝が生まれてしまい人との関わりを拒絶してしまい、能力による瞳への負荷により何回も潰れては再生する地獄のような苦しみを味わい続けているのだ。

とっくに精神が壊れていてもおかしくはないこの状況で彼が彼であり続けられるのは彼の1人の少女のおかげであることは既に知っている。

 

だからこそ怒りが湧くのだろう。

何もできない自分自身に、

歳下の少年1人救えない川添 美鈴本人に、

 

その証拠に彼女が自身の拳を強く握る。

 

 

蓮夜『姐さんは強いですよ。』

 

美鈴『・・・蓮夜?』

 

蓮夜『だってそうじゃないですか・・・姐さんには強い心があるじゃないです・・・俺はそっちの方が羨ましいんですよ・・・こんな力よりも・・・。』

 

美鈴『・・・。』

 

 

彼の言葉を聞き彼女は言葉を発せなくなってしまう。

 

知っていたのだ。

彼が自身の力を呪っていることに、

 

求めていたのとでは無いこの異質な力、

これは彼の人生を大きく変えてしまった。

 

彼の歳なら同い年の友人と年相応に遊び学ぶ・・・それが当たり前なのだ。

 

だが彼にはその当たり前がない。

遊ぶことも学ぶこともそして同年代との交友さえも全てがこの力によって無縁となったのだ。

 

彼女自身は幼いがある程度精神が成熟した歳である12歳で異能者になったため影響は薄かったが、彼の場合は小学3年生・・・つまり9歳で異能者になったのだその影響は計り知れない。

そして彼女と出会うまで彼は1人だったのだ。

 

先も分からない真っ暗のようなその(運命)を、

 

だから今の彼が生まれたのだ。

自身を呪いそれでいて救いを求める。

自身から周りとの関わりを絶とうとしていて人との繋がりに飢えた。

相反する矛盾を抱えた人間が、

 

この精神性がどれほどの苦難から生まれたものか彼女には理解できない。

ただそれが壮絶であったことのみがわかる。

 

当たり前だ。

彼女はその過程は知っているが経験をしていない。

知識はある・・・ただそれだけなのだ。

彼女では決して体験する事のない経験(地獄)

 

彼女は不意に寒気を感じる。

 

もしかしたら自分自身が同じ道を歩んでいたかもしれない。

それが彼女の精神を凍てつかせる。

果たして耐えることができるのだろうか?

彼の場合は偶然手を差し伸べた彼女が・・・夢結がいたから耐えられたのだ。

そのような相手のいなかった自身に耐えられるのか、

 

不可能だ。

耐えられるわけがない。

 

今ですら限界が近いのだ。

だが彼はその倍以上の時間を過ごしている。

それがどれだけの苦痛か理解していたはずなのに彼女は彼に取って残酷とも言える一言を言い放ってしまったのだ。

 

いいや、理解しきれていなかったと言うべきか、

 

彼本人の苦しみを完全に理解できない彼女には無理があったのだ。

それでも彼女は彼に負担をかけないように気をかけていた。

だが、その言葉の小さな亀裂が積み重なった結果大きなヒビとなったしまったのがこの結果なのである。

 

 

美鈴『・・・蓮夜・・・。』

 

 

彼女は意を決して彼に話しかけようとした。

 

その時、

 

 

蓮夜『大丈夫ですよ・・・。』

 

 

彼が言葉を紡いだ。

 

 

蓮夜『わかっているんです・・・姐さんがいつも俺に気を使ってくれていることは・・・。』

 

 

木に寄りかかっていた彼は立ち上がった。

 

 

蓮夜『確かに俺はこの力を呪っています・・・だけどそれだけじゃないんですよ。』

 

 

彼は彼女へと視線を向ける。

その瞳にはハッキリとした意志と力がこもっていた。

 

 

蓮夜『この力があるから・・・普通なら男性が持つことの無いヒュージと戦うことの出来る力があるから、夢結の力になれるかもしれない。』

 

 

彼はそこまで言うと彼女に向かって微笑み。

 

 

蓮夜『それにこの力があったから姐さんにも会えたんです。・・・だから全てを恨んでいるわけじゃないんですよ。』

 

美鈴『・・・あはは!』

 

 

彼女は笑ってしまう。

たまらなく嬉しかったからだ。

ずっと助けられてばかりいた(・・・・・・・・・・・・・)自分が、彼に恩返しが出来ていたことが、

 

 

美鈴『そうか!僕も君の助けになっていたんだね!』

 

 

彼女は笑い終わると何かを考え始める。

 

しばらくすると何か思いついたのか顔を上げて彼の顔を真剣な表情で見つめた。

 

 

美鈴『決めたよ。・・・僕は夢結のシュッツエンゲルであるとともに君のシュッツエンゲル(守護者)の誓いを結ぶ!』

 

蓮夜『何言ってるんです!?そもそもそのシュッツエンゲルってい言うのは百合ケ丘専用なんでしょう?それを学院外でリリィでもない俺になんて。』

 

美鈴『そんなことは関係ないさ。どうせ、学院に書類を提出する訳ではないのだからバレることもない。』

 

蓮夜『そうかもしれませんが・・・夢結と結んでるんですよね?聞いた話ではシュッツエンゲルを結べるのは1人だけと聞いたのですが・・・。』

 

美鈴『確かにノルンのような特殊な例を除くとシュッツエンゲルは1人としか結ぶことを許されていない。だから考えたんだよ・・・君、黒鉄 蓮夜と白井 夢結を2人で1人とすればいいということがね。』

 

蓮夜『俺と夢結じゃ別人のような・・・。』

 

 

彼が呟くと彼女は微笑み。

 

 

美鈴『いいや、2人で1人なんだよ・・・君達は。・・・まあ、その理由はいずれわかるさ。・・・それでどうするんだい?僕とシュッツエンゲルを結ぶか結ばないか、』

 

 

すると彼は何か諦めたような表情になり、

 

 

蓮夜『こうなった姐さんは梃子でも動きませんからね・・・わかりました結びましょう。』

 

 

彼の返事に満足したのか彼女は頷き、

 

 

美鈴『うんうん、恥ずかしがらないでそれでいいんだよ。』

 

 

彼女の言葉に彼は顔を逸らした。

 

人との繋がりに飢えている彼にとってシュッツエンゲルというものは繋がりを認識しやすい彼の求めているもののひとつだった。

だが、同時に他者との関わりを避けていた彼にとっては決して簡単に答えられることではなかったのだ。

だからこのような態度になってしまう。

 

それをわかっている彼女は楽しそうに笑い。

 

 

美鈴『それならシュッツエンゲルの誓いは成立だ。これで君は僕のシルト(護るべき者)であり僕は君のシュッツエンゲル(守護者)になる。だから誓いよ・・・決して君に辛い思いをさせないことを。』

 

蓮夜『・・・姐さん。』

 

 

彼女のその言葉に彼は自然と笑みを浮かべる。

今まで庇護者(護る側)であった彼が加護者(護られる側)になったのだ。

自分を護ると言ってくれた彼女に憧れを抱いていると、

 

 

美鈴『ということで・・・これからは姐さんじゃなくてお姉様・・・またはお姉さんと呼んで貰うね。』

 

蓮夜『・・・えっ?』

 

美鈴『なんならお姉ちゃんでも構わないよ!』

 

蓮夜『姐さん・・・色々と台無しです・・・。』

 

 

彼女の一言により彼の中にあった憧れが消えてしまう。

だが彼の中()には温かい何かが灯っていた。

 

 

 

それからまた2年が経ち、

 

 

蓮夜『姐さん・・・今日は遅いな?』

 

 

彼はいつもの場所で彼女を待っていた。

あの話の結果彼は未だに彼女のことを姐さんと呼んでいる。

だが、その関係は協力者や利害関係のような固いものではなく、姉と弟のような優しく温かいものとなっていた。

 

 

蓮夜『いつもこの時間には来てるはずなのに・・・何かあったのか?』

 

 

まるで何か不吉なことが起きるかのような気配を感じて彼の中で不安がよぎる。

いつも遅刻した事の無い彼女が来ていない・・・これがその予感に拍車をかけた。

 

彼がこの予感が当たらないようにと思っていると、

 

 

美鈴『ハァハァ・・・。』

 

 

彼女がやってきた。

だが、その様子はおかしい、

いつも涼しい顔をしている彼女が何か焦るような表情で息を荒くして来たのだ。

それが彼の予感が当たったことを示していた。

 

 

蓮夜『姐さん!どうしたんですか!』

 

 

彼はすぐに彼女へと駆け寄る。

彼女に近づくとすぐに彼女の身体を支えて近くの木に寄りかからせる。

 

 

美鈴『・・・ありがとう。』

 

蓮夜『いいえ、大丈夫ですよ。・・・姐さんは一旦休んでください。』

 

美鈴『休んでいる場合じゃないんだ!』

 

 

彼女はなにかに狩り立たされるように立ち上がろうとする。

それを彼は無理矢理であるが抑えて再び彼女を座らせた。

 

 

蓮夜『・・・焦っても何も解決にはなりませんよ?・・・一旦落ち着いて。』

 

 

彼の言葉に彼女は自身が冷静さに欠けていたことに気づき大きく深呼吸をする。

しばらく深呼吸をしていると次第に落ち着きいつもの彼女に戻った。

 

 

美鈴『ごめん、僕としたことが。』

 

蓮夜『大丈夫ですよ。・・・それでどうしたんですか?そんなに慌てて?』

 

美鈴『・・・慌てないで聞いて欲しい。』

 

 

彼女の顔が真剣な表情になる。

だがその表情は今までに見た彼女の表情のどれよりも真剣さを帯びておりこの話がそれだけのものであることが伺えた。

 

彼女は一瞬言葉を溜めると、

 

 

美鈴『甲州でヒュージの大進行が始まった。』

 

 

彼女はそう呟いた。

 

そして彼は悟った。

これが自身の感じた不安の正体であると、

 

 




ただいまアサルトリリィラストバレットで私が所属しているレギオン「蒼き焔」でメンバー募集をしています。
本レギオンは同じくハーメルンに投稿されている「アサルトリリィ-蒼焔のリリィ」作者であるレリさんが隊長をしているレギオンです。
ただいま後衛(回復、支援、妨害)を募集しております。
レギオンマッチは週3回(水曜、土曜、日曜)の22:00です。
積極的に参加可能な人はぜひ入隊をよろしくお願いいたします。
入隊はレギオン「蒼き焔」隊長の蒼月 焔さんまでよろしくお願いします。
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