アサルトリリィ Abnormal Transition   作:0IN

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過去⑰

辺り一帯に金属同士がぶつかり合うような音が鳴り響く、

 

その中を上々ではない数の何かが走り抜けた。

何かは木々の間を抜けて進む。

その生物とは思えない程異形な姿をしており、

その体は鋼鉄のような輝きを放っているがその動きは生物のように滑らかであった。

 

何かが持つ大きな刃物のような爪は、その足が地面を抉り木々を切り裂きながら進んでいく。

破壊の権化のようなその姿を持った何か・・・ヒュージの動きは何か焦りのような感じるものであった。

ただただ前へ、物の何かから逃げるように同族であるヒュージすらなぎ倒しながら進んでいく、

ヒュージは自由意志がないためにこのような行動をせずにただ周囲の同族以外の生物を殺戮するためにのみ動く、

そのはずがそこにいるヒュージはまるで捕食者から逃げる小動物のような動きをしている。

 

木々の間を進むヒュージの群れを影が通り抜けた。

その陰に気が付いたヒュージの群れが足を止めた。

 

その時、

その場にいた全てのヒュージがその胴体を切断されその活動を停止する。

 

ヒュージだったものの残骸の上に影が姿を表した。

 

蓮夜『この辺り一帯のヒュージは一掃できたか・・・。』

 

 

彼がいた。

少し息は荒いがその身体には傷もなく、彼の着ている黒色のロングコートにはホコリひとつすら着いていなかった。

 

 

蓮夜『・・・姐さん達が到着するまであと三日・・・俺は俺の仕事をしますかね。』

 

 

彼女から甲州撤退戦の話を聞いた彼は数日後山梨に来ていた。

 

 

蓮夜『・・・まだリリィは拠点の設置のために動いていないな・・・なら今動くが吉か、』

 

 

すると彼は霧のようにその姿を霧散させて消える。

数秒経つと木の上に姿を現し、木の枝を足場にしてそのまま森を進んで行く。

しばらく進んでいると木々がなくなり広い草原が顔を出した。

彼は地面に着地すると立ち止まり前方を確認する。

 

 

蓮夜『・・・見つけた。』

 

 

彼の目線の先・・・そこには黒い壁がそびえ立っていた。

彼はそれを確認するとすぐさま上空へと跳躍しまるでそこに足場があるかのような足取りで空へと登った。

登っていると壁が途切れ彼を月明かりが照らす。

それからしばらく彼は上へと進み、空気を強く踏み締めた。

すると足元に波紋が広がりそこに彼は降り立つ。

彼は周りを確認すると視線を下に向けた。

数秒経つと彼の表情が歪み険しいものへと変わっていく。

 

 

蓮夜『・・・これは想定よりもヤバそうだな・・・。』

 

 

彼の見ているものそれは、

 

 

蓮夜『この前確認した時よりも規模が大きくなってる。』

 

 

直径数キロにも渡る黒い球体・・・ネストがあった。

 

 

蓮夜『・・・この前見た時よりも一周り・・・いや、二周りは大きくなってるな。・・・俺が先に来て良かった。』

 

 

彼の頬を汗が伝う。

そのネストの成長速度は彼の予測を超えており、もしも彼が来る前にほかの誰かがこれを発見していたらと思うと・・・彼の背中を冷たい何かが通り過ぎた感覚が襲った。

 

 

蓮夜『これは早く取りかった方が・・・ん?』

 

 

彼がその腰に下げてある彼の身長程の長さを持つ大型のアタッシュケースに手をかけようとすると突然携帯が鳴り出した。

 

 

蓮夜『こんな夜遅くに・・・ってことは、』

 

 

何か心当たりがあるようなことを呟きながら彼は画面を見ずに携帯を取り出し耳に当てた。

すると、

 

 

美鈴『蓮夜・・・今大丈夫かい?』

 

 

スピーカーから美鈴の声が聞こえた。

 

 

蓮夜『やっぱり姐さんですか・・・どうしたんですかこんな時間に?』

 

美鈴『いや、いつも君とあっている時間帯だからどうしてるのか気になったんだよ。』

 

蓮夜『今辺り一帯の障害になりそうなヒュージを一掃したところです。』

 

美鈴『つまりこれからなのかい?』

 

蓮夜『はい、これからネストに強襲をかけます。』

 

美鈴『本当に大丈夫なのかい?・・・君一人で・・・やはり僕も行った方が・・・。』

 

蓮夜『大丈夫ですよ・・・ネストの成長速度も想定の範囲内ですし、これなら1人でもどうにかなります。ですので姐さんはアールヴヘイムの・・・夢結のことをよろしくお願いします。』

 

美鈴『すまない、君に危険なことばかりさせてしまって・・・。』

 

蓮夜『姐さん、こういうのは適材適所ですよ。俺ならリスクなくこういう裏のことが出来ますが、逆に夢結のことを守る・・・表のことは出来ません。・・・姐さんなら夢結のことを守ることが出来ます。だからいいんですよ!お互いにできることをやれば!』

 

美鈴『・・・そうなのかな?』

 

蓮夜『そうです。だから、何も気にしなくていいんですよ。』

 

美鈴『わかった、こっちのことは任せてくれ・・・だから、そちらのことは頼むよ。』

 

蓮夜『はい!任せてください!』

 

 

彼は通話を切ると大きく息を吸い、

 

 

蓮夜『・・・ふぅ、行くか。』

 

 

彼は1歩前へと踏み出しネストへと向かって飛び降りた。

ネストの外壁にぶつかる瞬間彼は左手を前に出す。

外壁と掌が触れた瞬間火花が飛び散る。

 

 

蓮夜『・・・グッ!』

 

 

彼のロングコートの裾が飛び散り腕に幾つもの裂傷が走る。

 

 

蓮夜『・・・・ァァァアアア

 

 

彼の肩まで裂傷が達したその時、

ガラスが割れる音と共にネストの外壁が割れる。

 

彼は外壁にできた穴を通り抜けてネストへと侵入する。

 

 

蓮夜『・・・物理障壁。』

 

 

落下する中彼は再びアタッシュケースに手をかける。

その時、下から光線が彼に向かって襲いかかる。

 

 

蓮夜『チッ!』

 

 

彼は身体を捻って光線を躱しアタッシュケースにマギを流した。

するとアタッシュケースが分解され中から中身が姿を表した。

それは彼の身長よりも長く反り返った刃が月の光を反射して怪しく輝いた。

 

 

蓮夜『さあ、次はどう来る・・・。』

 

 

彼が刃・・・大鎌を構えると再び彼を光線が襲いかかった。

それを彼は大鎌を振るうことで光線を切り裂き防ぐ、

 

そこから数十秒彼が光線を迎撃し続けると地面が見え始めた。

 

彼は地面に音もなく着地するとそこに光線では無い何かが襲いかかる。

彼それを切り付けるが相手の勢いを殺し切れず吹き飛ばされてしまう。

そこに光線が襲いかかるがその光線が当たる直前彼の姿が消えた。

 

しばらくすると彼が先程光線が通り過ぎた場所の横に現れて攻撃が来た方向を見ると、

 

 

そこには、2体のアルトラ級ヒュージが佇んでいた。

 

片方は、圧倒的な装甲と両腕が砲門のようなになっており四本足で地面を踏みしめた超重量級。

 

そしてもう片方は、細身の異形の姿をしており腕もなく球体の並んだような尻尾のような器官から大きな針が生えている軽量級。

 

この全く正反対の印象を受ける2体が彼の前に佇んでいた。

 

特に異形のアルトラ級は異常であり腕以外にも足もなくその体は空中に浮いていた。

 

本来アルトラ級は人型が基本でありこのような異形の姿をしたアルトラ級はかなり特殊であった。

 

 

蓮夜『これは結構厄介そうだな。』

 

 

彼はすぐに体制を前に倒して異形のアルトラ級に接近する。

 

その時何回もアルトラ級が針で彼を串刺しにしようとするが彼は瞬時に姿を消して横に現れるを繰り返しどんどんと距離を詰めた。

 

異形は突きでは当たらないと考えたのか今度は針を横凪に薙ぎ払う。

それを彼は跳躍することで回避しそのまま尻尾に乗って異形の胴体へと近づいた。

彼は近づきざまに異形の胴体を切り付けるとその装甲を深々と傷つけるがすぐにその傷は再生し何事も無かったかのように彼に襲いかかる。

それを躱し大鎌で逸らし弾いていると異形の針が地面に深々と突き刺さり一瞬動きを止めた。

その隙に彼が再び異形の懐に潜り込もうとした時、

彼は空中を蹴り瞬時に後退を始めた。

すると、先程まで彼のいた場所と彼が進もうとした場所に二条の光線が通り過ぎた。

 

 

蓮夜『あの砲撃が厄介だな・・・。』

 

 

彼が大鎌を異能のアルトラ級へと向けて、

 

 

蓮夜『引きずり込ませてもらう。』

 

 

彼がそう呟くと一帯を光が呑みこんだ。

光が収まるとそこは何も無い白い空間が広がっておりそこに彼と異形のアルトラ級のみが存在していた。

 

 

蓮夜『これで邪魔もないな・・・。』

 

 

そういうと彼はアルトラ級へ向けて駆け出した。

 

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