アサルトリリィ Abnormal Transition 作:0IN
いつも静寂さが漂う街は今騒音が鳴り響いていた。
皆が寝静まり光の消えている真夜中であるはずなのだが、今日は街全体に光が灯っており住人達がある方向へと走っている姿が見えた。
その中屋根の上を走り抜け人々とは真逆の方向へと進む小さな影があった。
蓮夜『・・・まだ家の方までは来てないか!』
彼は何かを探すように周囲に目を配りながらどんどんと前へと進んで行った。
その先では金属同士がぶつかり合うような甲高い音と爆発音・・・そして激しい光が弾けていた。
蓮夜『どこにいるんだよ・・・!父さん!母さん!』
彼が探すもの・・・それは彼の両親だった。
彼は美鈴の連絡を受けてすぐに鎌倉府へと戻って来ていた。
その時に瞳へ多大な負荷をかけてしまい片目が弾け飛ぶがそのようなことを気にせずに彼は自身の家へと向かう。
その間に逃げ惑う人々が目に移り最悪の事態を想像するがその考えを頭を振ることで振り払いながら足を早めた。
そして家に着くとすぐに中を確認するがそこには両親の姿はなく彼はすぐに避難所へと目指して駆け出す。
そして彼は避難所へとたどり着くがそこにも2人の姿はなかった。
そして彼は今までに通ってきた場所にも2人がいなかったことから自分を探しに戦闘地域・・・いつも彼の行く森へと向かったのではないかと考えた。
彼はすぐさま駆け出し、そのまま戦闘地域に目を向けるとそこは色々な波長がいり混じり探しにくくなっているがそこから両親の反応が僅かに感じ取ることが出来た。
すると彼はすぐに転移しようとするが片目が潰れていたため転移が不可能になっていた。
蓮夜『負担をかけすぎた!・・・頼むから間に合ってくれ!』
彼は残っている片目で能力を使用し現在彼の出せる最高速で2人の居るであろう場所へと向かった。
そして彼が反応があった場所の近くまでたどり着いたその時、
前にあったビルが倒壊し始めた。
周りから悲鳴が響く中彼はその足を止めた。
蓮夜『・・・ぁっ・・・あああ。』
そこは彼の目指していた・・・両親の反応があった場所だった。
蓮夜『・・・嘘だろ。』
彼はうわ言を呟きながらたどたどしい足取りで前へと進む。
崩れたビルの瓦礫の前に膝をついく。
そのまま彼は上を向いてただ元々ビルであったものを見つめていた。
しばらく放心してると再び瓦礫が崩れ始めた。
その瓦礫が彼にぶつかり彼が倒れると、そのまま瓦礫に埋もれてしまった。
瓦礫に呑まれた彼はすぐにそこから脱出しようともがくが、目の前に落ちてきた2つの光るものによって頭が真っ白になってしまった。
それを見た彼は目をそらそうとするが瓦礫が邪魔をして顔を逸らすことが出来ず、まるで意思があるかのようにそれは彼の前へと転がってきた。
そんなわけが無い、
嘘であってくれ、
この2つの言葉が頭を駆け巡り脳内をかき混ぜる。
しかしその瞳に映るものによってそれが現実だと認識させられてしまう。
蓮夜『・・・うそ、』
脳がそれを理解する事に頭がクリアになっていき同時に絶望感が彼を襲う。
蓮夜『・・・うそ・・・だ。』
彼の考えうるな方でも最悪な結果の1つが、
蓮夜『・・・嘘だ。』
現実となった。
蓮夜『嘘だ!嘘だ!嘘だ!嘘だ!嘘だ!嘘だ!』
それは・・・赤く染った、両親の結婚指輪であった。
蓮夜『・・・嘘だ!!!』
その時彼の中で何かの切れる音が聞こえた。
蓮夜『ぁ・・・ぁぁぁ・・・。』
彼の身体がまるで痙攣するかのように激しく震える。
蓮夜『・・・ぁぁぁ・・・ぁぁ・・・。』
しばらくすると痙攣も落ち着いたが再び静かになった。
夢結「・・・蓮夜?」
彼女は恐る恐る彼へと近づく。
その間も彼は身動ぎもせずにいるが、その静かな様子とは裏腹にとてつもなく嫌な気配が辺り一帯に漂っていた。
そして彼女の手が彼の肩に触れようとしたその時、
蓮夜『あ・・・?』
夢結「ッ!?」
蓮夜『ははは・・・はははははは・・・あははははは!!』
唐突に彼が狂ったように笑い始める。
辺り一帯に笑い声が響き渡りその声はまるで周りの音をかき消すかのように全てを呑み込んだ。
そして彼の声に呼応するように彼を呑み込んでいる瓦礫が大きな音を立てながら振動し始める。
振動は次第に多くなっていき周りの瓦礫が崩れ始める。
次第に大きくなる音に鉄骨同士がぶつかり合っているのか金属音も響き始める。
瓦礫が崩れる彼が瓦礫の外に出るとゆっくりと身体が浮いていき地面から足が離れて浮遊を始めた。
その間も彼の笑い声は止まらずに、なお響き続ける。
蓮夜『あははは・・・は・・・。』
急に笑い声が止まった。
彼の顔がゆっくりと上がる。
彼女は彼の顔を覗く。
するとそこには、
なんの感情のこもっていない、
無表情の彼がそこにいた。
夢結「蓮夜!しっかりしなさい!」
彼女が彼に向かって声をかけるが聞こえるはずもなく彼を包み込み不穏な空気がより濃くなっていき・・・。
蓮夜『・・・。』
その場にある全てが消えた。