アサルトリリィ Abnormal Transition 作:0IN
閑話2-①
灰色の世界、無数に鉄の塔がそびえ立っている。
鉄の塔・・・ビル群の並び立つ都市の大通りに1人の青年が佇んでいた。
???「・・・。」
彼は全身の力を抜いるが、その瞳を目まぐるしく動かし当たり全体を見渡していた。
その手の中には槍が握られておりその槍からは怪しい光が漏れ出していた。
彼が緩やかな動作で背後を向く。
そこには前方と同じくビル群がそびえ立つだけなのだが、彼は槍を持ち替え何かを迎え撃つような姿勢を取った。
槍から漏れ出す光が強まった瞬間、
???「・・・ッ!」
ビルのガラスを突き破りながら黒い影が彼へと迫る。
1秒にも満たない刹那の時間で接近した影が彼に武器を振り下ろすがそれを彼は焦る様子もなく弾く。
地面に降り立った影は両足と左手を地面につけて勢いを殺しながら後退する。
勢いを殺しきった人影が上体を起こした。
そうするとその姿がはっきりと見え始め人影の正体が女性だと分かった。
彼女の手には大振りの刀が握られており左腰後ろには手に持つものとは真逆に小ぶりな刀が収められていた。
彼女が体勢を整え終わるまで見ていた彼は槍を再び構え直し彼女へと向ける。
彼女はそれを確認したのか一気に距離を詰める。
彼は彼女の軌道線上に置くように槍を突き出すが彼女は輪郭が歪み出すと共にその姿をかき消した。
それを見た彼は瞬時に自身の上方へと槍を翳すと、その瞬間姿を消していた彼女が現れて彼へと刀を振り遅した。
ぶつかり合う槍と刀、先程は彼が勝った力勝負だが今回は彼が吹き飛ばされるという結果となる。
後方へと吹き飛ぶ彼は自身の身体を回転させると地面へと左脚を向け、左脚が地面へと触れた瞬間に蹴り上げバク転しながらその勢いを殺す。
彼女は体勢を崩している彼へと追撃のために接近しようとするが、何かを察知したのかすぐに止まり首を傾げる。
すると先程まで彼女の頭部があった位置を大針が通り過ぎ背後にあったビルへと深々と突き刺さった。
彼女が動くを止めた隙に体勢を整えた彼は体勢を低くするの彼女へと急接近する。
彼女が彼の動きに認識した時には彼の姿は彼女の足元まで来ておりその手に持つ槍を彼女へと向けていた。
それに気づいた彼女は後ろへと飛ぶと同時に刀から左手を離し腰にあるもう一本の刀へと手を伸ばす。
彼女の手が刀へと届きその刀身を引き抜こうとしたその時、
???「勝負あり・・・かな?」
背後から声が聞こえた。
彼女の首元に槍が添えられており、背後を見ると彼が槍を突き出している姿が写った。
彼の言葉を聞いた彼女は身体の力を抜き刀を鞘へと収めると同時に背後へと振り返り。
???「今日もダメだったわ、」
???「だけど昨日よりもよく戦えていたよ。」
彼女の不満そうな言葉へ彼が苦笑しながら返す。
???「・・・そうは言っているけれど・・・能力も使っていない人に言われても励ましにはならないわよ。・・・蓮夜、」
???「・・・あはは、そう言われても本心なんだけどな・・・本当に強くなったよ夢結は、」
拗ねたようにそっぽを向く彼女・・・『白井 夢結』を彼の・・・『黒鉄 蓮夜』は苦笑しながら宥める。
夢結「まぁ、いいわ。・・・それで評価の程はいかがだったのかしら?」
蓮夜「よく力を使えるようになって来たと思うよ。能力の制御も使い方も問題ないレベルだし技の駆け引きも問題ないかな?・・・ただ視覚情報だけで行動を選択している感じがするからそこは直した方がいいかな?」
夢結「視覚以外ね・・・聴覚とかかしら?」
蓮夜「あとはマギの動きとかも重要かな?」
夢結「・・・分かったわ。次から試して見ましょう。」
蓮夜「それじゃ、帰ろうか、」
彼がそう言い放つと突然世界が崩れだした。
ビル群が崩れ地面もその色を失うが周りからは音が一切せず粉塵もまわない。
そして世界の色が完全に消え去ると2人の目の前に1枚の扉が現れた。
彼がその扉を開けるとその先には大きめの部屋が存在しそこには大きめテーブルとそれを挟むように大きめのソファーが2つ並んでいた。
2人は部屋へと入ると片方のソファーへと並んで座る。
夢結「・・・本当によく出来ているわね。・・・あの訓練室、」
蓮夜「これくらいないと異能の訓練なんて出来ないからね。」
彼はそう言いながら振り返ると考え深そうな顔をしながら扉へと視線を向けた。
蓮夜「地球規模の仮想世界の固定化とその情報のランダム生成・・・作った時は本当に大変だったな、」
彼の瞳から光がなくなり遠くを現実逃避をするかのように今度は壁を見始める。
夢結「・・・れ、蓮夜?」
蓮夜「・・・本当にアイツらが暴れるからこの規模の作らなくちゃ行けなくてね。・・・どれだけ壊せれては改良してを繰り返したことか・・・。」
夢結「ちょっと、落ち着いて・・・、」
蓮夜「何回やっても、何回やっても砕かれ燃やされ蜂の巣にされ・・・途中から深夜のテンションで作業したな〜あはは、」
夢結「それ以上考えないで!考えたら酷いことになるわよ!?」
彼女は突如暴走し始めた彼を止めるために肩を揺さぶりながら声をかけ続ける。
しばらく揺さぶり続けると、彼は正気を取り戻したのかその目に光を取り戻した。
蓮夜「・・・ごめんね。夢結・・・ちょっと黒いもの出てきたみたい。」
夢結「・・・大丈夫よ。・・・だけど安心したわ。」
蓮夜「安心?どうして?」
夢結「・・・昔の感情豊かだった頃の貴方に戻ったからよ。今までの貴方は少し暗いような・・・感情が薄かったような印象があったから、」
彼女は嬉しそうに言葉を紡ぐ。
その表情を見た彼は微笑みながら彼女の手を握った。
蓮夜「・・・戻れるとは思ってなかったんだ。」
夢結「・・・。」
蓮夜「今まではもう全てを諦めていたから・・・。」
夢結「・・・蓮夜。」
蓮夜「だけどもう大丈夫・・・君のおかげで僕は戻って来れたんだ。」
彼女には彼の言葉に何か熱いものが宿っているように感じた。
その熱は暖かく心地よいものであり彼女の
蓮夜「・・・夢結、本当にありがとうね。」
夢結「ふふっ、どういたしまして、」
2人はお互いの手を強く握る。
その手の温もりを感じるために、強く握り締めたその手から温もり以外の何かを感じた。