アサルトリリィ Abnormal Transition 作:0IN
依奈「とは言ったけれど・・・どうしましょうか天葉?」
天葉「どうしましょうって、そんなの耐えるしかないんじゃない?」
2人のことを見送った依奈は天葉に意見を求める。
周囲を青白い人影に囲まれ2人とも重傷と言っていいほどの負傷をしているのにそのやり取りは軽い。
天葉「それにしてもこれってどういうことなのかしら?あの子たち見るからに大怪我なんだけど?」
依奈「・・・大怪我で済むのかしら?・・・見るからに致命傷の子もいるわよ?」
幸いにも人影の動きは遅くその距離が2人の余裕となっていた。
その中で彼女達は人影を観察する。
先程の左腕で無い者、
足が無い者、
脇腹に大きな穴が空いている者、
酷いものに至っては顔の右半分が消失しているものまで存在していた。
その人影・・・少女達の服装もバラバラでありシエルリントのものやルドビコイルマが多く見られ、中には最近百合ケ丘と連携を取っているエレンスゲや百合ケ丘、御台場女の制服も存在している。
統一性の少ない集団だが一つだけ少女達全てに該当するものが存在した。
それは眼だ。
生気ない濁り切った眼。
それだけが少女達に見られる慣例性でありそれと共に最も異様な部分でもあった。
依奈「どうやったらあの状態で生きていられるのかしら?」
天葉「こういうのって映画で見たことがあるわね。・・・確かゾンビだったかしら?」
依奈「現実にそんなものあるわけないでしょう?」
天葉「それならマギも一緒でしょう。それにG.E.H.E.N.A.とかならやりかねないわよ?」
依奈「・・・。」
天葉の言葉に依奈は無言になる。
それを同意と感じた天葉は苦笑するとその表情を真剣なものへと変える。
天葉「お話は一旦終わりね。」
依奈「ええ、」
2人はお互いに視線を向けると立ち上がった。
そして依奈はCHARMを少女達へと向け、天葉はCHARMを杖がわりに自身の身体を支える。
依奈「絶対に生き残れるわよ!」
天葉「当たり前よ!樟美を泣かせる訳には行かないわ!」
依奈が前へと飛び出す。
少女達はそれを追いかけるようにその体を彼女の方へと向けると射撃音と共に少女達のいる場所の地面が吹き飛んだ。
音のする方向は先程まで依奈がいた場所でありそこを見ると射撃形態のCHARMを持った天葉がおりその銃身からは煙が立っていた。
天葉は再び射撃をしようとするが身体が射撃の反動に耐えきれず倒れる。
依奈「ごめんなさい。」
倒れた天葉を見た少女達が彼女を襲おうとそちらへ向きを変えるとその背後から依奈がCHARMの腹で薙ぎ払った。
それによって吹き飛ぶ少女達は木々に衝突し手足の折れた物や酷いものでは枝が腹部に刺さった者までいるが、少女達は何事も無かったかなように少女達は立ち上がる。
依奈「痛覚がないの!?」
その事に驚く彼女だが身体は無意識に次の行動へと動いている。
依奈は近くにある木々の中から太いの枝を選びCHARMで切り落とすとそれを天葉へと向かって投げる。
それに気づいた天葉はその枝を掴むとそれを右手に持ち支えとして左手でCHARMを構え直し射撃を再開した。
天葉「ありがとう依奈、」
依奈「どういたしまして、援護は任せたわよ!」
天葉「任せなさい!」
依奈が近ずいてくる少女達を押し戻し、天葉が行動を阻害する。
これを繰り返すこと数十分経ち2人の表情には焦りと共に疲労が見えた。
依奈「きゃっ!!」
天葉「依奈!」
疲労による一瞬の思考の乱れ、それが彼女達の動きを狂わせた。
動きが一瞬鈍った依奈のCHARMが弾かれる。
それにより無防備な身体を晒してしまった彼女を少女達が襲った。
振り下ろされるCHARMを身体を捻じることで躱す彼女だが手首を掠めてしまいそこから鮮鉄が舞う。
それを見た天葉は慌てて依奈の周囲に群がる少女達へと射撃を行うが、
天葉「なに!?」
彼女の足首を何かが掴まれたような圧迫感が襲った。
天葉はすぐに確認するとそこには地面から生えた無数の手が存在しておりそれが彼女の足を掴んでいた。
天葉「離せっての!」
天葉はCHARMを近接形態に変え手の生える地面へと突き立てる。
そのままCHARMを射撃形態に変えるとその勢いのまま射撃、その勢いで手を無理やり引き剥がした。
天葉「依奈!大丈夫!」
依奈「ええ、掠っただけよ。」
依奈は彼女へと返事を返しながら落としたCHARMを持ち上げようとするが、
依奈「・・・えっ?」
彼女の手に力が入らずCHARMは滑り落ちた。
予想外の自体に困惑していると彼女の背後を弾丸が通り過ぎた。
天葉「依奈!急いで!」
依奈「え、ええ。」
天葉の叫びにも似た声に我に返った依奈は自身の拳を握ろうとするが手首から先が動かない。
依奈「まさか・・・天葉!手の健が切れたみたい!」
天葉「嘘でしょう!?」
彼女の手が動かない理由、それは先程の怪我で手の健が切れたからだ。
それにより武器を失った彼女はジリジリと追い詰められていく。
天葉「依奈!どうするのこれ!?」
依奈「はっきりと言ってもう積んでいるわね?」
天葉「そうだとしても私は諦めないわよ!依奈もでしょう?」
依奈「当たり前よ!」
そういうと依奈は再び少女達の方へと駆け出す。
飛び出してきた依奈に反応して少女がCHARMを振り下ろすが彼女のそれを横に倒れるように躱すことで横を通り過ぎる。
そしてCHARMを振り下ろし隙をできた少女へと天葉の射撃が襲った。
その弾丸により少女の腹部に風穴が生まれるがそれでも少女は止まらない。
2人は相手を傷つけない戦闘は不可能だと悟り自身等が生き残るための最適解・・・相手の行動不能へと戦闘方法をシフトする。
依奈が囮となりそれで生まれた隙に天葉が少女達の手足を撃ち抜き動けなくするが、それでも少女達は進み続ける。
たとえ手足が欠損しても表情一つ変えずに襲い来るそれに彼女達は恐怖を覚えた。
天葉「もう、なんなのよ!」
依奈「天葉!後ろ!」
天葉は余りにも非現実的な状態に怖気付い1歩後ろへと引いた。
その彼女の背後に煙があがるとそこから腹部に風穴の空いた少女が姿を表した。
少女の持つCHARMは振り下ろされる直前であり天葉の頭上に刃が迫る。
それに気づいた依奈は彼女の元へと飛び込み右腕で天葉の身体を押した。
それにより体勢を崩した天葉は横へと倒れる。
天葉「依奈!?何を・・・ッ!?」
依奈「〜〜!?!?」
振り下ろされたCHARMから天葉をずらすことには成功したがそれは完璧ではなかった。
無理な体制で天葉を押した依奈は腕を戻すことができず、唐突なことに反応出来なかった天葉はその足をCHARMの軌道に残ってしまう。
そして2人から鮮血が飛び散る。
それと同時に2人は焼かれるような激痛に襲われた。
2人は自身に起こっている激痛の発生源に目を向けるとそこには先程まであった彼女達の手足は存在していなかった。
両腕を失った依奈は倒れたまま動けず、両足を失った天葉は身体を翻するとCHARMの射撃で抵抗する。
しかし少女達は先程までの動きとは全く別物となっており歴戦のリリィと同等の動きで天葉へと迫る。
その顔は僅かに笑っておりそれがより恐怖を煽った。
天葉「ごめん・・・樟美、」
天葉の瞳はその光景に絶望に染まる。
そして一粒の雫を流しながらそっと目を閉じた。
すぐに自身を襲うであろう刃の群れ、
しかしそれはいつまで経っても彼女達を襲わない。
それに不思議に思った天葉は少しづつ目を開く。
樟美「・・・天葉姉様!!」
天葉「樟・・・美?」
一瞬白んだ彼女の視界、
白い世界に色が戻るとそこには彼女のシルトである樟美の姿があった。
彼女の背後には依奈を支える壱の姿があり、その後ろでは誰かが少女達を抑えていた。
涙を拭い霞んだ視界を無理矢理戻しその誰かを確認する。
そこには、
蓮夜「・・・。」
大振りの槍を持った彼の姿があった。