アサルトリリィ Abnormal Transition 作:0IN
そこは何も無く白く染め上げられた場所だった。
地面どころか音もなく空もない。
その中で5人だけが色を持ちその存在感を放っている。
蓮夜「さて、ここなら邪魔は入らないな。」
壱「ここは何処なのですか?」
樟美「・・・異界の門?」
天葉「いいエ、ちがウわネ、」
蓮夜「ここは俺が造った場所と思ってくれればいい。」
彼はそう答えると右手をそっと持ち上げた。
掌を上に向け身体の横へと持ち上げた手へと彼は視線を向ける。
蓮夜「・・・時間がないから始めようか。」
彼がそう呟くと掌の周辺の景色が歪み不明瞭になる。
蓮夜「・・・来てくれ、
彼が呟いた言葉に彼女達は首を傾げる。
何故彼女の名前を呼ぶのか?
彼女の今この場に居るはずがなく百合ケ丘を離れ鎌倉府に居るはずだ。
彼女達がそう考えていると、不明瞭になっていた景色が晴れる。
壱「夢結様!?」
樟美「・・・なんで?」
天葉「・・・、」
歪みが晴れた場所には先程までいなかった夢結の姿があり、彼女の左手は彼の右手の上に添えられておりそれを支えにするようにゆっくりと地面へと降りていく。
夢結「蓮夜?・・・急にどうしたのかしら?・・・そういう事ね。」
彼女は音もなく地面へと降り立つと彼へと問いかける。
彼へと視線を向けた彼女は周囲を見渡すと納得したような表情になる。
夢結「何を手伝えばいいのかしら?」
蓮夜「2人のこととアレを引き上げてくれるかな?」
夢結「わかったわ。それで2人の方は固定すればいいのね。」
蓮夜「うん、それでアレは外へ・・・大変かもしれないけどお願いね。」
夢結「問題ないわ。・・・けれどその後は、」
蓮夜「分かってるよ。あとは任せて、」
2人は手早く会話を終わらせると天葉達の前へと移動する。
蓮夜「樟美さん、壱さん、2人は天葉達の手を握って彼女達に呼びかけて、」
樟美・壱「「はい!」」
彼の言葉を聞き終わる前に2人は即座に行動に移した。
彼女達は2人の手を握るとそれを額に当て眼を閉じる。
それを確認した夢結は天葉達の間へと移動した。
彼女の手袋から淡い光が漏れだし掌から白と黒の鎖がそれぞれ2本ずつ飛び出す。
夢結「制約・・・『私〈白井 夢結〉は2人の存在を縛ることでこの世界に繋ぎ止める。』」
彼女がそう呟くと左手から飛び出した白い鎖が天葉達の中へと入り込む。
その鎖は彼女達の身体の中へと伸びていき何かを探すように蠢く。
そしてしばらく動き続けると鎖がピンと張り彼女の身体から複数の鎖が飛び出し空中に波紋を出して固定される。
夢結「契約・・・『私〈白井 夢結〉は2人に巣食うモノを取り去ることで2人に自由を与える。』」
続いて彼女が呟くと今度は右手の黒い鎖が2人の中へと入り込んだ。
鎖は先程と同じく何かを探すように動き続けると、鎖がピンと張る。
それを確認した夢結は黒の鎖を思いっきり引っ張った。
すると鎖はどんどんと2人の身体から引き抜かれていき彼女達の体内から鎖の先端が飛び出す。
鎖の先端は青白いモヤを貫いとおり、そのモヤは怪しい光を放ちながら不気味に点滅していた。
夢結「蓮夜!」
彼女が彼に向かって叫ぶと彼女の後ろにいた彼がモヤへと向かって飛び出す。
彼はモヤに接近すると太刀を抜き放ち両断した。
切り裂かれたモヤは徐々にその形を失いその存在を薄め消えていった。
蓮夜「夢結!もう少し頼む。」
夢結「ええ!」
彼は太刀を地面に突き立てると両手で2人に刺さる白い鎖を掴むと結晶が彼の手を覆った。
その結晶は鎖を伝い天葉達へと伸びていき彼女達へと入り込む。
すると彼女達の身体から・・・手足のある場所から結晶が生えだした。
それは徐々にその形を変えていきながら伸びていく。
しばらく増殖と変形を続けていた結晶がその活動を止めるとそこには結晶でできた手足が存在していた。
それを確認した彼は鎖から手を話すと鎖も彼女達の中から抜けていく。
彼女達の体内から鎖が完全に抜けると、結晶が砕けそこから失ったはずの彼女達のてありがその姿を表す。
その手足は青白く冷たかったが、徐々に赤みを取り戻し熱を帯びる。
蓮夜「2人とも、終わったぞ。」
彼の声を聞き樟美達は目を開ける。
彼女達の視界に写し出されたものは、静かに寝息を立てる天葉達の姿でありそれを見た彼女達の瞳から涙が零れ落ちた。
樟美「天葉姉さま!!」
壱の身体から力が抜け座りこむ横で樟美が天葉へと抱きついた。
天葉「痛った!?樟美!?」
その痛みで目を覚ました天葉はその状況に目を白黒させる。
だが樟美はその事に気付かず天葉を強く抱きしめた。
天葉「痛い!痛いって、樟美!!」
天葉は樟美を止めようと声をかけるが彼女は止まらない。
それを見て諦めたような表情になった天葉は空を見上げる。
天葉「・・・そういう事ね。・・・もう、樟美は甘えん坊なんだから、」
落ち着いた天葉は思考がまとまると共に現状を理解するとそっと彼女の頭をそっと撫でる。
すると樟美は落ち着き抱きしめる力が弱まる。
その後も撫で続けると樟美は泣き疲れたようで寝息を立てた。
それを確認すると彼女の頭を自身の膝に乗せ、彼等へと視線を向ける。
天葉「・・・それで、さっきのはなんだったのかしら?」
蓮夜「・・・。」
天葉が放ったその言葉、
それは彼女達を核心へと進ませる