アサルトリリィ Abnormal Transition 作:0IN
暗闇と静寂が支配していた部屋に悲鳴に似た絶叫が響き渡る。
蓮夜「違う!しょうがなくない!」
夢結「れ、蓮夜!?」
蓮夜「僕があの時に仕留めておけば!あの時にもっと早く辿り着いていれば・・・!」
彼は勢いよく立ち上がると頭を抑えながら蹲る。
彼の突然の行動に驚いた彼女は一瞬呆然としてしまうがすぐに我に返り彼の側へと近寄る。
蓮夜「・・・いつもなんだ!・・・いつも僕は間に合わない!」
夢結「どうしたのよ!?蓮夜!!」
彼を落ち着かせようと、彼女は必死に呼びかけるが、彼は聞こえておらず落ち着く様子もない。
蓮夜「・・・夢結の時も!・・・姐さんの時も!」
彼は自身の喉を壊さんばかりに叫び、
彼の叫び声は大きくはあるが、その中に寂しさを感じた。
蓮夜「・・・今回も!・・・それに、」
ここで彼の様子が落ち着き、その声にはより明確な感情が感じ取れた。
その感情は、
蓮夜「・・・父さんと母さんの時も、」
夢結「・・・貴方は、」
それは恐怖だった。
彼は、今まで失い続けてきた。
大切な人の危機に彼は1度も間に合ったことがないのだ。
ほんの少し早く異能に目覚めていれば、
ほんの少し早く超越者の存在を知れれば、
ほんの少し早くたどり着ければ、
そう少しなのだ。
この少しの時間が彼へと恐怖を与える。
いつも間に合わなかったから、力を求めた、
いつも間に合わなかったから、知識を求めた、
いつも間に合わなかったから、早く行動力を求めた、
しかし彼は間に合わない。
力を求めれば、全てが終わった後に力を得る。
知識を求めれば、後戻り出来なくなってから情読を得る。
行動力を求めれば、早いことが裏目に出て本当に大切な時に間に合わない。
このように彼は
だからこそ彼は自身を責める。
どうしても自身を責めずには居られない。
蓮夜「もう少し早く・・・そうすれば夢結に辛い思いを、」
夢結「・・・。」
彼は想像してしまったのだろう。
また
それが彼を蝕み続ける。
やっと訪れた
やっと見つけられた
やっと手に入れた
今まで諦めていた全てを取り戻してしまったからこそできてしまった心の歪み。
それは取り戻したものが増える度に大きく強くなっていく。
蓮夜「僕がしっかりしないと、・・・もう嫌なんだ!失いたくないよ。」
夢結「・・・蓮夜。」
蓮夜「もう1人はやだよ。・・・怖いよ・・・。」
そんな彼を見た夢結は動けなくなる。
どう声をかけてあげればいいのか?
今まで声をかけられるだけだった彼女にはそれが分からない。
いつも彼女は失う側であり与える側ではなかったからだ。
彼は彼女が怯えていた時、ずっと支えていてくれた。
蓮夜「・・・だから失敗なんかできないんだ。・・・もう間違えは許されない。」
夢結「・・・蓮夜!」
彼女は強く彼を抱き締める。
どれだけ突き放そうと彼は何も言わずにただ支えてくれていた。
だから今度は彼にもしてあげよう。
彼女にはそれしか思い浮かばない。
夢結「無理をしないで、・・・大丈夫よ、私は決して貴方を1人にしないから。」
蓮夜「・・・。」
彼女は声を濡らしながら彼を抱き締めた。
その瞳からは雫が零れ落ち、抱き締める腕は大きく震える。
彼の
しかし彼は蝕まれ続け、今も苦しみ続けている。
それが彼女には耐えられなかった。
本当に泣きたいのは彼なのだろう。
けれど彼は涙を流せない。
今まで泣くことすらも忘れていたのだから、
だから彼の代わりに涙を流す。
きっとそれは何の解決にもならないがそうしなければいけないと感じたから、
蓮夜「・・・なんで泣いてるの?」
夢結「・・・悲しいからよ。」
蓮夜「・・・僕のせいなの?」
夢結「・・・いいえ、違うわ。」
蓮夜「やっぱり僕はダメなんだ、」
夢結「・・・違うのよ。」
蓮夜「君を悲しませたくないのに・・・僕じゃ」
夢結「貴方が苦しんでいることを気づけなかったことが悔しくて・・・それなのに何もしてあげられなくて、・・・それなのに私のことを心配してくれる貴方をいる姿を見ていると悲しくなるの、」
蓮夜「・・・。」
夢結「貴方には幸せになって欲しいのよ!・・・貴方の幸せを奪い続けていた私が言えることではないことは分かっているわ。けれど、私は貴方に今まで苦しんで来た以上に幸せになって欲しいの!」
それこそが彼女が持つ本当の願い。
彼が幸せになること、
彼女は彼の幸せを奪い続けることで生きていた。
本当なら既にこの世に居ないはずの彼女を彼は自身を生贄にすることでこの世界に彼女の存在をとどめ続けていたのだ。
存在維持の代償がただ1人の少年の幸せを奪い続けること満たされるのだろうか?
その答えは否、
彼は幸せだけでなく彼の全てを捧げることで1人の少女を繋ぎ止める続けていたのだ。
記憶も感覚も感情も、
彼に残る全てを犠牲にすることで、彼は彼女を幸せにしようとした。
しかしその結果は彼女を苦しめるだけだった。
だから彼は自身を責め続けるのだろう。
彼は自身の