アサルトリリィ Abnormal Transition   作:0IN

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今年最後のレギオンリーグ最終日記念で2話投稿します。
2話目は20日0:00を予定しております。


ラスバレ1章⑳

蓮夜「なんで君はそんなに僕を、」

 

 

責めないの?

彼はそう言おうとするが、それを彼女は強く抱き締めることで無理矢理止める。

 

 

夢結「・・・責めないの、でしょう?」

 

蓮夜「・・・うん、・・・だって!」

 

夢結「出来るわけないじゃない、・・・貴方はもう十分に苦しんで来たのよ。・・・それなのに私は貴方を責めることなんてできないわ。」

 

蓮夜「苦しんで来たか、・・・僕は全然苦しんでないよ。それを言うなら夢結の方が、」

 

夢結「そんなことないわ。・・・だって私は貴方から貰った・・・いいえ、貴方から奪った幸せの中で生きてきたのよ。」

 

 

彼は自身のことに対して関心がない。

違う・・・関心がないのではなく、持つことができないのだ。

2年以上感情を失っていた彼には自身への関心などない。

それどころか生存本能すらも欠如しているのだ。

ただ一つ残っているものは白井 夢結(大切な存在)への感情(使命感)のみ。

 

 

夢結「・・・そうよね。・・・貴方は分からないのよね?」

 

蓮夜「・・・?」

 

夢結「・・・今までずっと削り続けて、」

 

蓮夜「・・・どうしたの?」

 

夢結「・・・もう擦り切れてしまっているのよね。」

 

 

彼女の声を言葉を紡ぐ度にその声を濡らして行く。

抱き締める力も強くなっていき彼の身体が軋み始めるが、それでも彼女は離さない。

 

 

夢結「・・・ごめんなさい、こんなになってしまうまで気づいてあげてあげられなくて、」

 

蓮夜「・・・なんで泣いてるの?」

 

 

彼女は彼の言葉で初めて自身が涙を流していることに気づくが、それと同時に胸を締め付ける悲しさもその強さを増す。

 

 

夢結「・・・ごめんなさい、・・・私にはこれしか言えないの、」

 

 

もはや嗚咽となった彼女の声が部屋全体に響き渡る。

なんでこうなってしまうまで気づいてあげられなかったのか?

彼女の中を、この言葉が埋め尽くす。

 

 

夢結(ああ・・・そうなのね。)

 

 

ここで彼女は気づく、

彼女の中にある本当の思い()を、

 

 

夢結(・・・貴方は、)

 

 

彼がこの2年間・・・いいや、10年間の間抱えて(望んで)いたものを、

 

 

夢結「・・・蓮夜、」

 

蓮夜「・・・なに?」

 

 

彼女は1度彼から離れると彼へと声をかける。

その声は先程までのように悲しみの混ざったものではなく優しみのこもった安らぎを感じさせる響きだった。

彼は彼女へと視線を向ける。

そこには先程まで泣いていた彼女はいなかった。

 

 

夢結「・・・今まで、よく頑張ったわね。」

 

蓮夜「・・・えっ?」

 

 

そこにあったもの、

 

それは満面の笑みを浮かべた穏やか表情をした彼女だった。

 

 

夢結「どれだけ辛かったかは、私には想像も付かないけれど・・・苦しかったでしょう?寂しかったでしょう?」

 

蓮夜「・・・。」

 

夢結「誰にも相談出来なくて、全てを1人で抱え込み続けて、よく頑張ったわね。」

 

 

そう言うと彼女はゆっくりと彼を自身の胸に抱き、そっと頭を撫でる。

 

 

夢結「でも、もういいのよ?」

 

蓮夜「・・・やめて、」

 

夢結「・・・いいえ、やめないわ。」

 

蓮夜「・・・なんで責めないの?」

 

夢結「貴方はこれまでずっと1人で頑張って来たのよ?責めることなんて出来るわけないわ。」

 

蓮夜「責めてよ!・・・僕には、・・・僕にはこれしか、」

 

夢結「分かっているわ。・・・分からないのでしょう?」

 

蓮夜「・・・!?」

 

 

彼の肩が大きく揺れた。

その反応に彼女は苦笑する。

 

 

夢結「それならこれから学んで行きましょう?・・・私にも貴方にも時間は沢山あるのだから、」

 

蓮夜「・・・。」

 

 

彼は自身を責めることしか知らない。

ならどうすれば彼を蝕み続けるものを取り除くことが出来るのか?

 

彼の言葉を受け入れる?

 

彼を蝕み続けるもの()を見て見ぬふりをする?

 

彼の言葉通り彼を責める?

 

いいや、そんなことでは彼をどうにかすることなんてできない。

ならば、どうすればいいのか?

 

そんなこと簡単だ。

 

 

夢結「だから一緒に頑張って行きましょう。」

 

蓮夜「・・・本当に?」

 

夢結「もちろんよ。」

 

蓮夜「・・・どれくらいかかるか分からないよ?」

 

夢結「ええ、何日だって、何ヶ月だって、・・・何年だって待つわ。」

 

蓮夜「どうしてここまでしてくれるの?」

 

夢結「・・・そんなこと分かりきっていることでしょう?」

 

 

彼女はそう言うと再び腕を離す。

そして彼の頬に手の平を添えると、

 

 

夢結「・・・貴方のことを愛しているからよ。」

 

 

彼の唇へとそっと自身の唇を重ねた。

 

彼女が得た答え、

 

それは、彼の心を解かすことだった。

 

彼の心は失ったと共に閉ざされてしまったているのだ。

まるで凍り付きたかのように、

だから彼女がしなくてはいけないこと、

 

それは、彼の固まってしまった心を解かしてあげること、

 

彼が閉ざしてしまったものを開きその中にある彼の(全て)を前を向いて歩いて行けるように導いてあげることこそが彼女が出来る彼への最大の恩返しであった。

 

 

夢結「だからもう自分を責めないで、何かあっても貴方の隣に私がいるから、」

 

蓮夜「ゆ、夢結・・・。」

 

 

彼は上擦った声を上げながら彼女へと抱きついた。

それを彼女は抱きしめ返す。

 

その時彼の中で何かが染み渡る。

それは彼の奥底に眠るものまで浸透していき固まった心を少しづつ暖め始めた。

彼の心が完全に解かされるまでまだまだ時間がかかるだろう。

 

しかし、この時に真の意味で何かが動き始めた。

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