第一話「熱き炎の戦士!仮面ライダーバーサ、誕生!」
ヒーローになりたい
昔から正義感が強かったライトは人助けをしていくうちにそんな夢を持つようになった
叔父である
ライト「仮面ライダー、か〜」
存在しないのはわかっている
ポケモンだって空想上の生き物だってのもこの歳になればわかる
でも、叔父さんの研究を否定はしたくはないし、俺にだって信じたい気持ちはある
なんたってこんな夢を持ってしまったんだから、力を求めるのは当然だ
この本は500年程前に起きたことを元に書かれている、だが、その全貌はよく分からない
次の瞬間、地下の方から爆発音が聞こえたのと、この家が少し揺れた
叔父さんだ
ライト「また失敗?」
カズマ「いいや、成功だ!」
少し黄ばんだ白衣を着て、さっきの爆発の影響だろうか、いつもより髪がチリチリになった三十代前半の男が笑顔で地下室の階段から上がってきた
カズマ「見ろライト!これはこの間出張で手に入れた化石なんだか、どうやらポケモンのものらしくてな、復元しようとしたんだ」
ライト「それが成功したの?」
カズマ「いや、ダメだった」
ダメだったんかいと、ツッコミたくなった
カズマ「だが、そこからポケモンのものと思われる遺伝子の一部が出てきたんだ、そこからようやくできたのがこれ!」
叔父さんは待ってましたと言わんばかりに懐から二つの物を出てきた
一つは細長い箱のようなもので、上半分は赤色に、下半分は白色になっていて、その境には黒い線が入っていて、その中央が少しだけ窪んでいる
カズマ「これは《メガドライバー》、僕が開発した《メガストーン》の力を引き出すことが出来る代物だ」
もう一つは、黒いブレスレットみたいなやつで、本体に虹色の丸い石がはめ込んである
カズマ「そして、これが《メガリング》、これで《メガシンカ》と同等の力を引き出すことが出来る」
ライト「これが、何なの?」
カズマ「これであとメガストーンさえあれば、『仮面ライダー』に変身出来る」
ライト「か、仮面ライダー?」
カズマ「そう、かつて世界を救った英雄、仮面ライダーに等しい力がに入る」
ライト「本気?仮面ライダーとか、ポケモンとか」
カズマ「あぁ、僕は信じてる。ポケモンの存在も、仮面ライダーの存在も」
叔父さんはパソコンの方に視線を変えると、パソコンを操作し、ニュースのページを開いた
カズマ「最近、人間の仕業では無いであろう怪事件が多発している」
ライト「あぁ、ニュースで見たよ、人がミイラ化する事件だろ?」
カズマ「僕は、これがポケモンの仕業だと推測している」
ライト「え!?でもポケモンって500年前に絶滅したはずじゃ?」
カズマ「あぁ、確かに絶滅したように見えたかもしれない、だけど彼らはまだ生きてる」
パソコンから目を離した叔父さんは今度は本棚から本を五冊ほど抜き出し、その奥にあったのだろう、ジュラルミンケースを出してそれを開いた
そこにはピンポン玉サイズくらいの石が何個か入っていた
カズマ「これがメガストーン、ポケモンの魂が宿った石だ」
ライト「ポケモンの魂?」
叔父さんはさっきまで俺が呼んでいた本を持った
カズマ「この本によると、ポケモン達は光の柱に飲み込まれメガストーンになった、と書いてある。だが、死んだとは書いていない。現に、このストーン触ってみろ」
叔父さんはジュラルミンケースからメガストーンを一個取り出して俺に渡してきた
ライト「温かい…?」
カズマ「そう、温めた訳でもないのに、そのストーンは常に温かいんだ、それは推測によるとガーディのもの、きっとそのストーンは500年前からその状態だ」
これがポケモンが生きている証拠だと、叔父さんは断言した
ライト「…これは?」
俺はジュラルミンケースからまた一つメガストーンを取り出した
しかしそれは、まるで本物の石のように灰色で表面がザラザラしている
カズマ「それが僕にもわからん、メガストーンであることは間違いないのだけれど、どのポケモンのストーンなのか一切わからん、温もりも感じないし、そのストーンこそ、本当に死んでしまったんだろう」
ライト「…そうかな?」
カズマ「え?」
俺にはこの石が、少しだけ温かく感じた
カズマ「ところでライト、一つお前に頼みがあるんだが」
少しして叔父さんが口を開いた
ライト「何?」
カズマ「大事な話だ。ライト、僕と一緒に旅に出ないか?」
ライト「…は?」
叔父さんはいつも突拍子のない事を言う、だけど今回は
カズマ「ここ数ヶ月、同じような怪事件が多数報告されている」
本気だ
カズマ「この仮面ライダーの力があれば、ポケモンにも対抗出来る。
一緒に世界を救おう」
ライト「…本気?」
カズマ「僕はいつだって本気だ、僕は世界を救って、世間にポケモンのことをもっと知ってもらいたいんだ。それが僕の夢だ」
夢という言葉が俺の耳をぴくりと動かした
叔父さんは俺の肩を優しく掴んだ
カズマ「お前にも、夢があるだろう。ヒーローになりたいっていう夢が、これがあれば、世界を救える力が手に入る」
俺は、顔を上げたが叔父さんの手首を掴んで肩から離した
ライト「やめてくれ!もうその事は。確かにヒーローにはなりたい!だけど力なんか求めてなんか…」
少し荒く喋ったが、言葉が詰まる
さっきと考えていたことと真逆じゃないか、俺
俺が黙り込んでいると
カズマ「あっ、す、すまない。お前の気持ちも考えないで、叔父失格だな。何も今すぐ旅に出発する訳じゃない、気持ちが整ったらまた話そう」
そう言うと、叔父さんはまた地下室に戻って行った
俺はしばらくそこに立ち尽くしていた
今日は日曜日だった
ここ、トキワシティは自然豊かな町だが、決して田舎でもなく、高層マンションや、いくつかのビルも立つ
俺はこのトキワシティの常磐中学校に通っている、だが、それもあと少しだ
卒業したら俺は働くつもりでいる
この窓からの景色もあと一年間の間限定だ、海が見えるこの席は俺の特等席であった
俺は本当ならこの町には住んでいない、諸事情により、今は母さんと一緒に隣町の叔父さんの家に居候させてもらってる
家に帰ることは苦ではない、帰れば母さんだって居るし叔父さんやユイ叔母さんだっている
だけど今日は
ライト「帰りたくねーなー」
その言葉が聞こえてきたのだろう、帰りの挨拶が終わった直後、
担任のジュンコ先生がそばに来た
ジュンコ「ライト君大丈夫?何か悩み事でもあるの?」
ライト「あー、ごめん先生、ただの独り言」
ジュンコ「本当に?何かあったらすぐに先生に言うのよ?」
ライト「は、はーい」
ジュンコ先生は、今どき珍しい若くて優しい先生だ、いつも俺を気遣ってくれる
昔にあったことをきっかけに先生は学校をまたいできた
ただ最近は少しだけうざったらしくなってきたのが現状だ
ジュンコ「あ、あと、今度の国語の授業でね、作文の授業があるんだけど…。その、テーマが『夢』なのよ、大丈夫かな?」
ライト「……」
ジュンコ「あっ、嫌だったら、テーマは変えられるから安心し…」
ライト「大丈夫?って、何が?」
ジュンコ「えっ?でも…」
ライト「その言葉に関連することがに見当たらないけど?」
ジュンコ「あっ、あらそう?」
先生は少しだけ不思議な表情をした
ライト「じゃあ先生、また明日」
ジュンコ「え?えぇ、また明日…」
涼しい廊下を歩いていく、もう校舎には誰もいない
《見ろよ!こいつの夢、ヒーローだってさ!》
明日は火曜日か、長い一週間になりそうだな
《なれっこないのに、だっせ〜!》
家に帰ったら何をしようか、まずは叔父さんに謝らないと
《くだらね〜夢だな!》
気づけば俺は廊下の壁を思いっきり叩いていた
ライト「……くだらなくねぇ…」
独り言をした俺の声はどこまでも続く気がした
ライト「母さん、ちょっと話があるんだけど」
帰宅してすぐ俺は母さんを呼び止めた
リビングの机に向き合う状態で座った俺は昨日叔父さんに言われたことを伝えた
アケミ「そう、旅ねぇ」
ライト「……」
沈黙の中、母さんは深く目を閉じていたが、ふと顔をあげるとある一言を発した
アケミ「良いんじゃない?」
ライト「え?」
アケミ「いい機会じゃない?貴方には世界を見に行って貰いたいの」
ライト「え?でも信じるの?叔父さんの言う事」
アケミ「それがカズマ君の夢なんでしょ?だったら、応援しないと」
ライト「そうだけど、そんな叶いっこない夢なんか…」
アケミ「ライト」
俺の言葉を遮るように、母さんは言った
アケミ「貴方にも、夢があるでしょ?ヒーローになるっていう偉大な夢が。そんな夢を持った貴方が他人の夢をそんな風に言っちゃ駄目。お母さん、少しガッカリしたな」
いつも優しい母さんだが、今日はなんだか、突き放されてる気がする
まるで、そろそろ独り立ちしろとでも言っているかのようだ
席を立ち、コーヒーを作った母さんは、「貴方にも、いずれわかるわ」と言って自室へと向かった
部屋に戻った俺は、学校の疲れとさっきのこともあり
ベットに思っきりダイブした
薄目で、机の上に置いた叔父さんの発明品を見る
ライト「……はぁ」
ふかふかのベットで俺を包んでくれた
気づけば俺は眠ってしまっていた
起きた時はまだ外は明るかった
ライト「長い一日だなぁ」
そう、本当に長いのはここからだった
地下室ではなく遠くの外の方で爆発音がした
急いで家の外に出た俺は、その状況を飲み込むのに少し時間がかかった
俺の家は少し高い位置にあるから町を上から眺めることが出来た
そこはまさに地獄絵図だった
破壊されたマンション、高さが半分以上もないビル
あちこちで燃える民家
一位何が起こっているのか分からなかった
カズマ「ライト!」
叔父さんも家から出てきて俺のそばに来た
カズマ「何だこれは?……まさか!」
ライト「叔父さん、やっぱりこれって…」
カズマ「あぁ、間違いなく『奴ら』だ…」
俺はその言葉を聞くと急いで家に入り、自室へと向かうと
《メガドライバー》と《メガリング》を持った
ライト「これでホントに戦えるんだろうな…?」
独り言を言った俺の目を、一点に集中させたものがあった
それはさっき叔父さんに貰った灰色のストーンだった
俺はそれも握りしめると、颯爽と家を飛び出し、叔父さんと一緒に町へと向かった
ライト「なんなんだよ、ここ」
まるで戦争にでも巻き込まれたかのような有様だった
ただ、それが間違いだと、俺達はすぐに気づいた
ライト「植物の、つる?」
町中に張り巡らされたつると思われるものがあった
俺はその後を辿ると、あるものを見つけた
ライト「何だこれ?」
それはつるでぐるぐる巻きにされた『何か』だった
間を縫って解けば何とか中身を見ることが出来る
俺はつるの間に指をかけ思いっきり広げた。するとそこには
ライト「これ……人?」
中には完全にミイラ化した人が入っていた
初めて見る死体に俺は吐き気を覚えた
もしかしたら生きているかもと淡い期待を思い、俺はその人の肩を持って少しだけ揺すってみた
カサっ、という音とともに見えたのは
その人の腕が取れていたそして揺すってみて気づいた
この人、異様に軽い
ライト「う、うわぁぁぁ!」
俺は膝から崩れ落ち、耐えきれなくなって叫んでしまった
俺はこの人を知らない、知るわけが無い
だけどこの人はきっと、何の罪もないのに殺されたんだ
『奴ら』に
カズマ「どうした!ライト!」
心配した叔父さんが俺に駆け寄って来てくれた
その死体を見た叔父さんは「なんて惨い」と言った
だが、本当の悪夢はここからだ
『あれ〜?ここら辺の人間は全員狩り終わったと思ったのに〜
まだ生き残ってたなんてね〜』
俺達の後ろの方から聞こえた声
スリスリと地面を這いずる音と共に緊張感が湧いてくる
ゆっくりとしか振り向けなくなってしまった俺は横目で確認した
その姿はまるで蛇のようで巨大な蔓のような見た目をして、体の所々がローリングしていて、色は緑や黄緑、白色であるが黒ずんでいる
そして目が赤い。ドスの効いた赤で今にも命をえぐり取られそうだ
カズマ「やはり貴様らか!ポケヤミー!」
怒りが籠った叔父さんの言葉は、空に消えていった
『ん〜?僕のことを知ってるの〜?珍しい人間もいるもんだ』
その言葉が聞こえる度に俺の心の中がメキメキ言ってることに気づいた
『じゃあ〜自己紹介をするよ〜、僕の名前は『ジャローダ』、ここら辺の人間は僕の蔓でぐるぐる巻きにして、栄養を全て吸収したんだ〜、ホント人間ってのは
愚かだよ』
ライト「なんで殺した」
『ん〜?』
気づいた時には俺は立ち上がり、『奴』を睨んでいた
とぼける『奴』を目にして俺の沸点は最高潮まで達していた
ライト「なんで殺したかって、聞いてるんだァ!」
俺は感情に身を任せ、そこら辺に落ちていた鉄パイプを拾い、『奴』に向かって振りかぶりながら走った
次に感じたのは、痛みだった
どうやら俺は、『奴』に凪払われたらしい
コンクリートの壁にぶつかり、そのまま地面に伏せていた
『やっぱり愚かだねぇ〜、自分が非力なことに全く気づいてないんだから〜』
ライト「やってみなきゃ、わかんねぇだろ」
俺は痛みを耐え再び立ち上がり、懐から《メガドライバー》と《メガリング》を取り出し、《メガドライバー》を腰に押さえた、するとドライバーの左端から銀色の帯が出てきて俺の腰を巻くように回り、右端にくっ付いた
メガドライバー!
渋い電子音声が流れた
続いて《メガリング》を左腕の手首辺りにはめる
リングの内側でバッチリハマった感覚があった
メガ!リング!
またしても電子音声が流れ、少しびっくりした俺
そして最後に、この灰色のストーンをドライバーの中央にはめて…
ライト「あれ?はまんない」
何と、ストーンが少しだけ大きくてドライバーにはまんなかったのだ
『あれ〜?ど〜したのかな〜?』
あたふたとする俺を煽る『ジャローダ・ヤミー』
すると奴はまたしても俺に蔓を伸ばしてきた
何とか避けることは出来たが、後ろのコンクリートの壁がボロボロになっていた
一方、カズマの心の中ではある葛藤が生まれていた
(しまった!あのドライバーのくぼみはガーディストーンをベースに作ったから、灰色の石では寸法が合わないんだ!)
ライト「クソ!なんでハマらないんだ!」
そんなことを知らないライトは『ジャローダ・ヤミー』の攻撃を避けながら奮闘していた
俺は、やっぱり無力なのか?非力なのか?ヒーローには、なれないのか?
『よそ見してる場合〜?』
すかさず『奴』が攻撃をしてくる
だが、体勢を取っていなかったため、俺は『奴』の攻撃をもろに食らった、ストーンは手から離してしまった
ライト「がはぁ!」
またしても地面に叩き潰された俺は、意識が遠のくのを感じた
あぁ、俺、ここで死ぬのか
思えば、なんの達成感もない人生だった、夢を叶える事も、親孝行も、友達作りだって、出来なかった
それでも、いい人生だったのかな?
『ここまでよく頑張ったよ〜、じゃ、お疲れ様〜』
カズマ「ライトーーー!」
ふと俺は、父さんのことを考えた、母さんの話によると、俺が生まれて間もない頃、突然旅に出たまま、十五年間姿を消したままだと言う。顔も覚えていない。声も聞いたことがない。だけど、
今から逢いに行くよ、父さん
……
戦え
え?
戦え!
誰だ?渋い男の人の声?
戦え!!
ライト「ハッ!」
目覚めた俺は『奴』の攻撃を躱し、再び立ち上がった
『なに?どうしてまだ動けるの?』
ライト「誰だか知らないけど、俺の目を覚ましてくれたんだ」
『馬鹿な、非力な人間が、僕達に逆らうなァ!』
ライト「あぁ、確かに人間は弱くて非力だ、だけどな!人間は心が強い!どんなに苦しい状況でも、人間同士助け合って、ここまで生きてきたんだ!だから俺は!」
今まで溜まっていたものを全部吐き出すつもりで俺は叫んだ
ライト「俺は絶対に!お前らのようなやつには負けない!」
『小癪なァ!貴様!何者だ!』
ライト「俺は波山ライト!ヒーローになる男だ!」
突然、地面に落ちていたあの灰色のストーンが浮かび出し、
ものすごい速さで『奴』を一発攻撃して、俺の目の前に浮かんだ
そして、光り輝くと同時にメキメキっと卵の殻が割れるように、灰色のザラザラした部分が剥がれて、その本来の姿を見せた
ガーディストーンとはまた違う色で、薄いオレンジ色の石の内側に濃いオレンジ色と黒色の二色が重なっている
俺はそれを手に取り、ドライバーの中央にセットした
セット!!メガシンカヘンシーン!!
メガシンカメガシンカ!メガシンカメガシンカ!
軽快な音楽と一緒に
俺は両手を大きく前に出し、両腕を左回りに大きく広げて、一周回して左手を胸の前え、右腕を右側に大きく広げた
ライト「変身!」
そして、その右腕を折り曲げ、右手で左手に付いている《メガリング》の虹色のストーン《キーストーン》を押し込む
バシャーモ!!
ババッバッバッババッバッバシャーモ!
バッバッバシャーモ!!
俺の身体全体を球体の様なものが包み、明らかに俺の身体が強化されていくのがわかる、何か熱いものが俺を包んでいく
ライト「ハッ!」
俺を包んだ球体を覇気で割り、力を解放する
赤と黒の脚、胸部から肩にかけて生えている羽毛、緑色の眼に二本の鶏冠、これが、これが仮面ライダー!
ライト「熱き炎の戦士!仮面ライダーバーサ!!」
俺は、仮面ライダーバーサへと変身した
To be continued
次回予告
仮面ライダーバーサへと変身を遂げたライト
世界を救うため朝堂カズマと旅に出ることを決意する
しかし、目の前に現れたのは、二人目の仮面ライダー!?
第二話「決意の先にあるもの」