至高の悪夢   作:巳傘ナコ

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5話 《影の支配者》と《力の一端》

 

残党連合との攻防始まって一時間、戦闘前に取り込んだ影の負荷によって昼間の身軽さを無くしたモリアはほとんどその場を動くことなく戦いを進めていた。

 

 

影の美術館(シャドー・ミュージアム)!』

 

 

昼間は本体同様小柄だった影法師(ドッペルマン)は船の残骸を取り込んだ影響か、ずんぐりむっくりした形へと変わった影は駆けて、這って、跳ねて、潜っては現れてを繰り返し残党連合を翻弄しながらその数を着実に減らしていたが、モリアの合図に合わせその姿はインクを零したよう墨溜まりに変わり、モリアの足元へと帰還していく。

 

再び足元に現れた影に合わせるように小柄だったモリアの体が3メートルほどのずっんぐりむっくりしたものへと変わり、大きく膨らんた腕を振り下ろし、数名を叩き潰し、潰せなかった連中を衝撃で吹き飛ばす。

 

 

『ちったァ楽しませろよ、似非海賊共ォ!!』

 

 

「なっ、なんなんだよありゃっ!!」

 

 

全身がマグマになったり、地震人間になったりと馬鹿げた事が五万と起こる、この世界でも影を操り、肉体を巨大化させ、他者を朝日と共に消す……〘カゲカゲの実〙を詳しく知らない者から見れば一つの悪魔の実では到底起こし得ない事象に数で押し潰せ!と意気込んできた残党連合の表情に恐怖が宿る。

 

 

『馬鹿なテメェらに特別に教えてやる…影の美術館(シャドー・ミュージアム)は肉体に追従する影って絶対的理を覆す【影革命】と他の影を取り込み肉体を強化する【影の集合地(ジャドーズ・アスガルド)】って技の混合応用技。

岩やら船やらの影をアタシの影が取り込んで、【アタシ】のみにその【重さ】と【質量】を反映させる。

最初こそ身動き取るのも一苦労だったが、結果は上々!!

慣れてくりゃ、肉体的変化も抑えられるんだろうが、これはこれで便利じゃねぇーか!』

 

 

巨大化した肉体の動かし方やそれに伴う重さなど慣れきってない使用法に苦心しながらも、それをおくびにも出さずに笑って残党を1人、また1人と叩き潰していくモリアが態々分かりやすく説明するも残党達は聞く耳を持てなくなっていた。

あえて手の内を明かす様、人をおちょくる様な態度、それらが怪しく見えてしょうが無いのだ。

何か裏があるのでは?コレも作戦なのでは?徒党を組んだだけで統率力無い有象無象の連中が抱いた不安と疑心は瞬く間に拡がっていく。

 

 

「ぼ、ボケっとすんな、野郎共! 銃だの大砲だのまだ手はあるっ!!」

 

 

『中々、頭が回ると褒めてェが、アタシが対策してねぇとでも?』

 

 

そんな連中にも格上が居たらしい。

潰した海賊団の船長でもやっていたのか、ソイツの一言でモリアを囲むように築かれていく陣。

合図と共に引鉄が引かれ、四方八方から飛んでくる大小問わず様々な弾が飛んでくるがモリアは難なく躱していく。

その程度が可能な化け物は珍しくないと手を安めない残党にそろそろ飽きたと溜め息吐く少女。

 

 

『テメェ等の諦めの悪さに免じてアタシが【奇跡】を見せてやる……影の世界(アナザー・ワールド!!)

 

 

それは世にも珍しい光景、少女が言ったように【奇跡】のなせる技だった。

なんせ無数の銃弾がその場で跳ね返されるわけでも、落ちるわけでもなく、空中に静止したまま【止まっている】のだから……

そんな銃弾を落とし物でも拾うかのように一つ、また一つと摘んで行く少女。

 

 

『【奇跡】はお気にめしたか、雑魚共?』

 

 

周囲取り囲んでいた弾を全て摘み取る少女の姿に、数と武器の優位性に縋りヤル気を取り戻した残党達の顔に再び恐怖が戻った。

 

 

『生憎と銃弾(ゴミ)をコレクションする気は無くてな…ほーら、返てやるよ♪』

 

握っていた弾を一発一発指で弾くと、銃弾はモリアから1メートルも行かない場所に落ちていく。

にも関わらず指で弾を弾くたびに残党が一人、また一人と悲鳴を上げて倒れ、その体に傷は無いにも関わらず残党達は揃って「打たれたっ!!」「痛ぇ!痛ぇよぉっ!!」と痛みを訴える。

 

 

何が起きてるのか分からず慌てふためき、みるみる内に統率力無くして行く残党達を見ながら元凶であるモリアは内心笑いが止まらなかった。

なんせ残党達にとっては【最悪の奇跡】の正体は能力使った【小細工】で、タネを明かせば至極簡単な物。

 

【技名】とソレを目視させることで植え付けた【イメージ】である。

モリアが技に名前をつけて口にするのは、イメージが大切な特殊能力を使いやすくする為でもあるが、一番の理由は誤った警戒を与えて誤った対処をさせる事と、敵を油断させて隙を着くためである。

欠片蝙蝠(ブリックバッド)を経験した者の前で欠片蝙蝠(ブリックバッド)と言えば、当然その対策をとるだろう。

しかし、実際に発動した技が違うものなら一瞬隙が生じて、無防備となり、攻撃の起点が生まれ、わざわざ名を言う事でソレに警戒を向け、ソレ以外への警戒を削ぐ。

 

実際、残党達はモリアの強さは攻撃も防御も影から這い出た影法師(ドッペルマン)によるものだと認識していた。

モリアも敢えて攻撃も防御も実体化した影法師(ドッペルマン)を起点として行っていた。

故に影の美術館(シャドー・ミュージアム)で実体化を解いて、モリア身体強化が起きたとき残党達はモリアは強くなったが影法師(ドッペルマン)の力は無くなったと勘違いし、足元の影が丸くなった事にも、銃弾の影を足元の影が絡め取った事にも気付けなかったのだ。

 

 

モリアがこの時、発動させたのは【影の暗躍(ダークリープ)

ただでさえ覇気の才能無いモリアが、才能溢れた者が使いこなすように五感研ぎ澄ますなんて精神の消耗凄まじいことをせずとも良いようにと作った技である。

それはモリア自身の見聞色を足元潜む影法師(ドッペルマン)にのみ集中させることで、どんなに早い攻撃で目では追えずとも、ソレが物体による攻撃であれば必然的に生まれる影を自身に届くより先に広げておいた影に接触する影で飛んでくる方向と数を探知するための、例えるなら蜘蛛の巣のようなモノ。

自身で躱せるモノは躱し、対処できないものは【影法師(ドッペルマン)】で方向をズラして対処するだけである。

当然タネがバレないように目視で確認するのは難しい程度にというオマケつき…

 

 

【奇跡】として起こした出来事は【影革命】の応用技である【影の世界(アナザーワールド)】だ。

影が【力】を持つのは【カゲカゲの実】を食べた【ゲッコー・モリア】だからこその力であり、それ以外の影に【力】は無い。

【銃弾】の殺傷力は誰が見ても明らかだが、その【影】には一切力がない。

自身の足元に広げた【力】ある影を使って、殺傷力皆無な【力】ない影を止めただけである。

周囲には【空中で静止】したように見えるが、実際は足元の影が捕まえている状態である。

 

 

そして、モリアの支配下に入った事で【力】を得た銃弾の影に欠片蝙蝠(ブリックバッド)を融合させ、銃弾を弾く動作に合わせて放つ。

実弾が命中したわけでは無いため肉体的損傷はないが、モリアの影が入った銃弾の影が接触した瞬間カゲカゲの能力の影響下に入り、対象の影を通してダメージのみを本体に伝える。

 

 

『海賊の戦いってのはこんなもんか? ちげェだろ? さぁ、立てっ! 根性見せろっ! 折角見逃してやったのに挑んできたんだ……悪夢を見る覚悟して来たんだろ?』

 

 

そこからは圧倒的な蹂躙だった。

能力者は影を通して影を操り、影を通してダメージを与えるのに、能力者以外は影を攻撃しても一切意味がない。

理不尽や不条理をまかり通す【悪魔の実】の中でもこれほど極悪な物はそうそうない。

しかし、なにより厄介なのはどんな能力も使い手次第……今後、敵対するであろう者の一番の不幸は理不尽詰め込んだような【カゲカゲの能力】と【ゲッコー・モリア】という史上最悪の使い手によって【最凶】になってしまったことだろう。

 

 

 

 

……………………………………………………………………………

 

この小説でのカゲカゲの能力解説

 

 

おおまかな部分は一緒!(たぶん…)

 

・自身の影を操れる

影状態で戦えるのは能力者であるモリアの影だけです。

 

 

・他者の影を奪える

影には本体と同じ力と技術があるが、性格も色濃く残っている。

奪った際にモリアの支配下に入るまでの時間は本体の強さや性格に強く影響される。

 

・死体や生物を象ったモノにカゲを入れることで【ゾンビ】を作れる。

原作踏まえてのオリジナル解釈として、絵画や敷物が【ゾンビ】化していた要因を生物の一部を使用してないと無理とします。

入れ物のサイズによって使う生物割合は変わります。

 

 

・能力者以外の影への関与

今回の話でも出ましたが、能力者以外の影への関与は基本意味がありません。

ただ、モリアの能力作用下(基準としてはモリアの力が作用し、本体に戻るまで)に入った影は能力者以外も触れるようになります。

 

・影と肉体

影が無い状態で日光に当たれば消滅しますが、消滅進んで指一本状態になったとしても影が戻れば消滅部位は戻ります。

 

・影への攻撃

此方も今回出ました。

原作で、影を取られて気絶した描写がありましたので多少変更加えます。

本来実体に追従するのが影の本質であるため、影への攻撃が実体へ外傷として反映されることはありませんが、痛みや衝撃としては反映されます。

 

・この小説の【カゲカゲの能力】はモリアの力が反映しない影は普通の【影】です。

モリアの力が作用して初めて理超えた実体と影の結びつきが生まれます。

当然ながら能力者以外が影法師等に攻撃してもモリアには影響出ません。

此方は出来るが、アチラは出来ないという理不尽詰め込んだ能力

 

 

 

 

 

技の細く説明

 

影法師(ドッペルマン)

モリアが能力使って攻撃、防御するさいに全ての起点となる技。

モリアの能力で具現化してはいるが、能力者本人の影ということもあり細かい指示出さなくても、ある程度自分で判断して動ける便利な子である。

その形は基本モリアと同じだが、それ以外にもなれる。

 

・海の影響

奪った影や影法師に海水かけても意味がありません。

理由は影は能力の副産物であり、影が能力者ではないためです。

原作同様、影を入れた者には海やソレに関する要素(塩)は効果あります。

これはアニメであったシーンで、海に落ちたルフィは脱力しますが、能力自体が消えた訳ではありませんでした。

シキやバレットが海楼石の手錠付いたまま監護から脱獄したらトレーニングしていた事から能力者本人の実力次第では完全には無理でも海に浸かっていたり、海楼石の手錠付けていても脱力や全力出せなくてもある程度戦える、または動けるのではと判断します。

 

 

【影革命】

実体に追従するという理をモリアの影を介する事で逆転させる技。

原作だと、そこまで詳しい描写無いのでオリジナル設定追加

【生物】の影は支配下か否かが単純に【影革命】の可不可です。

支配下の定義としてモリアに影を取られてるかどうかです。

 

【生物外】の影は形を変えたり出来ませんが、モリアの影を混ぜることで、それ本来が持つ【特性】を活かす事は可能です。

岩なら重さ、銃弾なら威力や速度などです。

ただ、影法師が腕に岩を取り込んだからといって、本体のモリアの腕が岩になるわけではありません。

 

支配下に置きやすい順としては、無機物の影≫体の一部の影≫体の全体影です。

理由としては自我の有無です。

無機物には自我無く、切り取った体の一部は既に頭の影と離れてる為無機物に近い扱い、体全体は影本体の性格や力量次第で大きなブレがあります。

 

銃弾の影が銃弾として効果発揮したのは能力者自身の影を混ぜてるからです。

船や岩の影でも使えますがサイズに比例して影を混ぜる割合が大きくなるのと、影の攻撃動作が大きくなるため避けられる可能性高まるため普段は使いません。

 

 

影の美術館(シャドー・ミュージアム)

小説オリジナル技です。

これはモリアの影に無機物を取り込んで【モリア】にのみ特性を作用させる技です。

なぜ【のみ】を強調するのかというと、【世界】的には反映されない力だからです。

簡単に言うなら、10トンの岩を取り込んでもモリアの体重が【世界的】に10トン増えるわけではありません。

あくまで【モリア】個人の体感、認識、感覚という小さな世界にのみ反映されます。

DB初期の甲羅修行のように【モリア】は10トンの枷を付けて生活してる状態と成果はありますが、影法師の体型?は現在のモリア体格に見合ったサイズであり、影の体積増えたからと言って本体に影響出ることはありません。

そのため【取り込んだ影】の質量のみがモリアに作用しますが、それによって身体的にもムキムキになったり太ったりはしません。

 

折り紙を思って頂けると分かりやすい……のかな?

一枚の折り紙なら普通に破けますが、ソレを何回も折って小さくします。

同じ一枚の紙で有ることは変わらないのに、小さく折った紙は折る前と違って簡単に破けない的な理屈です。

 

これじゃ、モリア強くなり放題と思った方も居るでしょう。

此処でこのトレーニングのデメリットです。

 

モリア=折り紙

 

筋肉や体格=折り紙の一枚辺りな耐久度

腕力=枚数

 

一折り事に増す厚み=枚数相当

100枚束=100折り

枚数相当≠耐久度

 

とした場合、確かにモリアという一枚の折り紙を100回折れば100枚束と同じ強さを得ますが、耐久度は+されません。

一枚の紙の耐久度を1とした場合、100枚束は100の腕力に耐えられますが、1枚を100回折っても耐久度1は変わらないため100の腕力には耐えられません。

100の力を振るう筋肉や体格出来上がってないモリアがこの方法で鍛えて得た100の力を振るうのは危険なわけです。

当然ながら同時並行して身体も鍛えてるので振るえる力は上がって行きますが、それでもこの諸刃の剣を持つ理由は強敵に会ったときに【力がなくて負けました】なんて逃げをしたくないからです。

 

影の暗躍(ダークリープ)

小説のオリジナル技

新世界の強者と比べて覇気の才能少ないモリアが効率よく才能以上の効果を発揮するために作った防御兼カウンター技。

見聞色を周囲に向けて発動し、広範囲を見聞きするのは才能無いモリアには負担が大きいです。

そこで、見聞色を自身の影にだけ発動させることで、H×Hの円のような働きが影を通して可能となります。

同時に自身が反応するより、影法師(ドッペルマン)が対象することも可能。

 

 

影の暗躍(アナザーワールド)

小説オリジナル技

影に与えた影響を現実に反映させる技。

ただし、本体がある影を操ることは出来ない。

出来ない例

ルフィとの殴り合いで支配下に無いルフィの影を操り軌道を変えたりは出来ません。

 

出来る例

ゾロが持つ刀の影を反らして軌道を反らすことは可能です。

 

此処で覇気が作用します。

ゾロがこの時刀に覇気を纏い、覇気の質や練度で上回ればモリアの影への干渉を押し切ることが出来ます。

質や練度としたのは覇気の才能ある者=強いとしないためです。

才能があっても未熟であれば上回れません。

逆を言えばモリアより才能無くても質や練度上回れば押し返せます。

 

ざっと今はこんな感じです!

 

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