悪食少女ルピーナ☆マギカ   作:艶影 灯

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第3話

 使い魔が見つけた魔女を狩り続けて約二時間。随分前に食べた魔女の魔法が「挑発」だから行き道でも結構寄ってきてくれて助かる。これの副作用としてたまに絡んでくるナンパ男は触りたくも無いので軽く「隠蔽」で私自身を一般人からは見えない程度に存在を消した。

 手元に溜まったグリーフシードは十三個。その内五つは能力不明。他の八つは分かる限りの範囲ではどれも持っている様なものばかり。急いで食べる必要性は無いだろう。

 キュウべえ曰く、「君は食べたグリーフシードの元となった魔法少女の因果律を取り込んでいる」等と言っていたので強力な魔女なら食おうとも思うが私に傷一つ付けられない三下魔女を食っても私に傷一つ付けれる魔女と比較すれば差程強くなれないだろう。それなら、キョウコの穢れを吸わせてから食べた方が有効的だ。

 そうして、もうじき帰ろうかと今魔女を狩った見滝原の病院前でグリーフシードを吟味して昼時だし飯でも買って帰ろうたしていた頃だった。

 「残業か。これはこれは面倒な事で」

 魔女が孵化した。それにこの感じからして、前に狩った事がある奴だな。となると、新しい魔法を獲得するのは無理そうだ。

 私はグリーフシードを全て中身を抜いた「I dye you!」ナップサックに入れてから自らの隠蔽を強めて病院に入る。よりにもよって150階と言う階層で孵化してくれたのでエレベーターを使う始末だ。

 そうして、一つの病室に辿り着いた。この病室から魔女の穢れを感じる。ドアを開けるとそこには不自然に落ちたCDプレーヤーとシーツが乱れた白い病床があった。病床に触れるとまだ温かさがある辺り、飲み込まれたらしい。

 私は拳に力を込めて虚空を殴った。すると僅かな手応えを感じた後に空間がガラスの様に砕けた。私がそれに飛び込んで入ると禍々しい大量の墓標らしき十字架が立っていた。

 少なからず一人は飲み込まれている筈だ。早い所探して病床に帰ってもらおう。

 私は十字架の間にある道を進んだ。この魔女の特性は「埋葬」。捕えた人間を棺桶に入れて埋めてから死んでいる物を食べるのが特徴だ。変異体として棺桶に入れた人間を釜で焼いてから食べるのも居たが、今回は十字架の辺り変異体では無いだろう。

 同じ魔法少女を祖に持つ魔女は基本的に同じ様な結界を作り、同じ様な行動をする。普段通りなら奥の方で大きな墓穴を掘って棺桶の使い魔が人間を一人一人、詰め込んでいる事だろう。

 走り続けて五分間、三回ほど間にあった教会のドアを蹴り飛ばして新しい墓地を見続ける事を繰り返した先には二人の人間。一人は胸元に自己主張の激しい大きな赤いリボンを付けた生成色の上と短いチェック柄のミニスカートのセーラー服を着た勿忘草色の髪をした少女と白い病衣を着た浅葱鼠色の髪をした男が内側から大量の手の生えた棺桶によって詰められようとしている所だった。

 当の魔女は一般的なシャベルの金属部分に目の書かれた柄が曲がり歪な形をしたシャベルで穴を掘っている。やはりこの魔女がやる事は変わらないな。

 私は一先ず、棺桶の近くまで走り棺桶を殴り粉砕する。粉砕された棺桶は形を保てず穢れへと還り霧散した。

 一先ずは「隠蔽」を解くか。そうしないとシバいても起きない可能性がある。

 「おい、起きろ少年と少女」

 私は二人の顔を叩くが起きる様子が無い。さて、どうするか。このまま行くとお荷物を背負いながらの狩りになる。まあ女は良しとしよう。少しその双子の丘が目立つがそれはまだ良い。だが、もう片方だ。

 男は一般的に見れば顔は整っている方だが、お生憎様私は男に興味が無い。後、何なら過去に私にちょっかい出して来たあの女(たら)しナンパ男に似てるので助けたくは無い。寧ろ、「魔女様どうぞこの男を食ってください」と言いたい所だ。

 勿論、お母様なら困っている人を問答無用で助けるのでその娘である私もそれに従う訳だが。なんだろうか。この男はいっその事ここで魔女の餌にしてやった方が良い気がしてならない。揉め事を引き起こしそうな顔をしている。

 「ここは一体?なんだあの化け物は!」

 どうやら少年の方が目覚めたらしい。男の癖にそんなに驚くなみっともない。家のウルは四歳で魔女を見てもどうやって生き残るか冷静に考えていたぞ。

 大声に反応してこちらにぐしゃぐしゃと鉛筆で無造作に円を描き重ねた様な顔で叫ぶ。男の悲鳴より聞くに絶えないな。叫ぶならもう少し優雅に叫べ、貴様は獲物としては兎にすら値しない。

 「立て、少年。私は今からあのデカい化け物を始末する。その間にその少女を連れて逃げろ。小さい化け物はそれ程素早く動かない。適当に走っていたら逃げられるからその少女を抱えて走れ」

 「無理だ!僕は足が動かないんだ!」

 「そうか。なら、不本意だが一発でアレを仕留める」

 私の右手の横に召喚した棺から即座にマスケット銃を取り出す。そのマスケット銃は前回キョウコ救出の際に使った物と同様にお母様の使っていたマスケット銃の中でも特殊なマスケット銃の一つだ。

 私はそのマスケット銃をその化け物の胴体、人間の胸骨に当たる位置に照準を定める。

 「Wiedersehen(さようなら)

 右手の人差し指に力を入れると撃鉄が倒れ、小さな黒い六角形の火打石が黒い小さな当り金の黒い滑らかな曲線の火打石に当たり、弾が放出された。勢い良く放たれた弾は魔女の胴に当たると同時に勢い良く熱い光を放ち魔女の身体を灰一つ残らずに焼き滅ぼした。

 爆風に攫われてフードが後ろに倒れて耳とお父様譲りのホワイトブロンドの肩甲骨の高さにまで伸びた髪が棚引く。

 「君は一体?名前は?」

 「私の事は忘れろ。今日の出来事は悪い夢とでも思えば良い」

 徐々に景色が揺れて気付けば病室へと戻っていた。私は病床に転がっていたスコップの模様が入ったグリーフシードを拾ってから少年を鎖で持ち上げて病床に置いた。出来る限り軽薄そうな男には触れたくない。

 同業者でも無いのに教える必要は無い。寧ろ、頭の上にある耳やら髪、下手すれば顔を見られたので始末したい位だ。残念ながら私には記憶操作と言う器用な物は持ち合わせたいない以上、夢とでも思えと言うしかない。

 以前強引にやった結果、軽く廃人化した事があるので気を付けなればならない。餅は餅屋。最悪の場合、こういうのは記憶操作の魔法を持つ魔法少女がやれば良い。その記憶操作の魔法が魔法少女が居ればの話だが。

 「さらばだ。少年、手足の治療に励めよ」

 一応、別れと一言を添える。下手に悪印象を持たれて次に会った時に騒がれても面倒だ。それなら好印象、記憶されない方が余程良い。

 そして私は病院を去った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 さて、如何な物か。キョウコは現在両腕を固定している。つまりは食事が困難と言う事だ。昼時だと思いスーパーに寄ったがどうするべきか。それに、ここは見滝原市。別の魔法少女が居てもおかしくない。

 キョウコの様に縄張り意識が強ければ間違い無く私に接触して来るだろう。話し合いで済めば良いが経験則だが八割殴り合いになる。負ける事は無いにしても穢れの無駄遣いは出来る限り避けたい。

 早くキョウコの今日の昼時を用意しなければ。とにかく、トマトの水煮缶と鯖の水煮缶、乾燥木耳、ほうれん草。他にもポン酢やらニンニクチューブに塩胡椒の香辛料と言った調味料を買わなければならない。

 予め、鍋やらの調理器具はマンションに置いてある。埃やらがある可能性も考慮して水洗いすれば使えるだろう。

 にしても私の低身長がこういう時に憎たらしいのだ。

 最後に買おうと手を伸ばしたローリエの葉に手が届かない。おのれスーパー何故この様な位置にローリエの葉を配置した。許さん。

 ローリエは大人程の高さの棚の最も上に置かれていた。本当にこの配置は正気か?この国には「はじめてのおつかい」と言うテレビがあったが、子供が母親から「ローリエを買って来て」と言われたらこのスーパーは役に立たんぞ。

 「QB、そこに居るのだろ?ローリエの袋を取れ」

 「分かったよ」

 私の観察を行っているQBの一体に命じる。こういう所では便利だな。普段は勝手に部屋に入って来るストーカー紛いだがな。

 QBは私が灰色のプラスチック製の籠を棚に着けるとローリエを咥えてローリエ毎落ちてくる。やめろその身体を今日の食材に着けるな。

 「QB今すぐその買い物カゴから出ろ。さもなくば破壊する」

 そう言うとQBは出て行った。何処をほっつき歩いたのか分からないその身体を出来る限り食材に付けるな。汚らわしい。

 視線を感じ右に僅かに目をやると噴火しそうな双子富士を抱えた金髪の縦ロールが棚に身体を隠してこちらを見ている。何故こちらを見ている?

 適当に歩いて板チョコやらチョコ棒の菓子類を放り込んでいる間も尾けてまで見てる辺り偶然では無いな。

 「おい女。私に何か用か?」

 返事は無しか。私の気の所為か?珍しく考えが外れたか。私の頭はやはり出来が悪いらしい。どれ程飛び級を重ねて14でペンシルベニア大学の経済学部を片付けたと言ってもこればかりは苦手だな。

 やはり他人の頭の中は良く分からん。

 「貴女、魔女の割には上手く喋るじゃない」

 よりにもよってこのパターンか。私は得意気に笑う残念な女を見て頭を抱える。

 包装している物と思わしきビニールが擦れる音と足音。女は買い物カゴを持ちながら徐々に此方へと距離を詰めて来る。偶然鉢合わせたのか?面倒な事だ。

 私を見た魔法少女の中には私が歪な存在と気付く者が居る。大体は穢れ云々を言うまでは気付かれないがこういう相手は基本的に面倒な輩が多い。

 もう少し賢くは生きられないのだろうか?

 「誰が魔女だ。まさか、こんな公衆の面前でやり合うつもりか?」

 「まさか、そんな事はしないわ。貴女が結界を開くなら結界の中で貴女を倒せば良いし、外に出たら問題無いでしょう?」

 一度絞めてしまうか?見た感じ差程強くない。適当に炸裂マスケット銃でも一発打ち込めばそのまま死にそうな魔力。

 QBを退かせたのは悪手だったか。どうする?結界の展開にはそれなりの穢れを消費する。下手に殺しても私の今後に影響が出かねない。

 しょうがない。私は魔法少女を凝視する。すると、制服の女は目は左右の目をあらぬ方向に向かい焦点があっていない。

 「大人しく夢の中で寝ていろ三下。貴様が今回の事から得られる教訓は無策に戦いを挑まない事だ」

 「錯覚」と「催眠」を応用し作った「幻術」で嵌めておいた。暫くは大人しくするだろう。「幻惑」はコスパが「錯覚」程良くないから余り使わないがアレを使えば生涯解けない様な「幻術」に嵌める事も出来る。

 大人しくしていれば無駄な穢れを消費さずに済んだと言うのに。そう言えば、今空のグリーフシードがあったな。使った分の穢れを返済して貰う事としよう。

 私は三下に近付き、左指の中指にある指輪を卵形に戻して少し穢れの見えるソウルジェムに空のグリーフシードを当てた。

 穢れは煤の塊の様な形になりソウルジェムからグリーフシードへと吸い出される。それなりの量の穢れを貯めている辺り、余程燃費の悪い戦い方をしているのか魔女と使い魔見境無しに狩っているのかどちらかだろう。

 正直に言って使い魔狩りは利益が無い。一度魔女の結界から出た使い魔はそれが使い魔の特性でも無い限りは戻る事は無い。結界から出た所で使い魔は特に活動範囲に距離制限が無い。

 極端な話、ドイツで出た使い魔が日本に居ても何ら不思議は無い。

 使い魔を攻撃したからと魔女が出てくる事は基本無い。慈善事業として狩る位しかメリットは無いだろう。

 私も恐らくお母様が「困っている人は助ける」と言う行動原理の持ち主で無ければその辺の使い魔を狩る事等しないだろう。それ程までに使い魔狩りは利益が無く無意味だ。

 私は穢れの回収が終わったのを見てレジへと向かった。




Q.何故マミさんとさやかが手を出されないのか?
A.この狼がまな板しか興味が無い。単純に戦闘欲が抑えられる程度に弱まっていたから。

逆にまな板なら顔と肉付きが良ければ敵対したらほぼ確定で敗北後に食われます(意味深)。杏子が対象になった理由がまな板だからさ☆
アニメ版の五人組以外でいくと例えば鈴音とかキリカが対象に入る感じですね。
食われないルート?
まな板なら余程太っていないと無理です☆負けたら鎖で手足縛って口にギャグボール嵌めてソウルジェムを抑えられて死ねない地獄確定と言う救いの無さ。
これは酷い。
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