〜 稲妻街の道中 〜
〜 パーキングエリア 〜
「円堂、そこの答え間違えてる」
「うええ!?」
「その漢字は轟(とどろき)って言うんだけど、そのまま『くるまくるまくるま』って書くのは無いと思うゾ」
「おいおい…」
「そんなアツヤも分母と分子が逆だ」
「なん…だと?」
「お陰で士郎の視線がエターナルブリザードしてる」
「アー、ツー、ヤー、くーん?」
「ひっ!?(脊髄反射)」
ストライカーと言われてる超攻撃型のアツヤも超守備型の兄士郎には勝てないようだ。
クッソ情けない声を出して恥ずかしく無いのかよ。
で、今何してるかと言うと勉強も大事だと言われてるイナズマキャラバンは稲妻街へ着く前にかるーくお勉強会を始めている。 マネージャーも含めてほとんど優秀なのであまり手がかからない。 それで俺も勉強見てます。 高校生だから中学生レベルならまだなんとかなるゾ。 24歳学生です。
「破和土さん、お話があります」
「わかった。 …ここで話すか? 鬼道?」
「いえ、少し場所を変えましょう」
「わかった」
俺はエビフライの頭にホイホイとついて行き、人気の少ないところまでやってきた。
「私はあなたにお礼を言わなければならない。 帝国学園のキャプテンとして仲間の危機を救ってくれたことに」
「気にするな。 俺があんな事をやれたからやったまでだ」
「そうか……あと、あの時先輩であろうと胸ぐらを掴んでしまった。 本当に申し訳ないことをした…」
「そんなの気にすんな。 あと俺は基秀と呼び捨てにしてもいいと言っただろ? それは年齢関係なく対等にしているからだ。 だから胸ぐらを掴もうが構わないんだよ。 まぁ、それに…」
「?」
「鬼道が怒るくらい想定済みだし、それを知ってあんな事したのだから申し訳なく思わなくていい。 むしろ仲間思いの行動で良いんじゃないか? 俺も漫遊寺の後輩大事にしてるし、その気持ちは分からんでもない」
「……なんというか、よく分からない人だ」
「ああん? そのことについては理解してるだろ? 俺は正義のヒーローのようなタイプではない。 非道だってやってのける」
「……いえ、それは少し違います」
「……へぇ、何故さ?」
「あなたは裏のFFI参加選手として戦ってます。 しかしその世界でプレーしてると元あった動きに変化が起こり、そしていつしか過激的なプレーも平気で行われるようになる。 少なからず、体も、心も、変わるものです。 それはサッカー選手と言う人である以上変化は訪れます」
「なるほど。 それは帝国学園の先輩方でも見て理解したことかな?」
「そうですね。 実際にそのように変わられた選手もいましたから」
「そうか。 まぁ過激的なプレーを行えるようになったのは当たりだ。 俺もあの世界に触れて変わったのもあり得る話だ。 でも、俺にも『性格』ってのはある。 あのようなプレーに抵抗を持たず、それを『手段』として取り入れることができる人間と言うべきかな。 ……てか自分で言ってて気持ち悪いなオイ。 厨二病かよ」
そうとも。 俺は裏のIFFに影響されて過激的なプレーを行える選手になった。 もともとそんな事できる素質もあったけどな。 これでも初試合で敵の顎を砕いたりした。 それを躊躇いなく出来たから、ああ…俺ってこんなことでも出来るんだって理解した。
「だが破和土さんは少なからず佐久間に対して優しさでも動いてくれてた」
「……優しさ? なんでそう思う?」
「私は『佐久間にボールを渡さないように』とお願いしました。 その時、破和土さんは迷う事なく『任せろ』と言ってくれました。 『任せろ』とはつまり佐久間を止める術を考えてくれていた事だ。 もしそうじゃなければそんな答えを出さなかった筈だ」
「……」
「やり方は過激的なプレーでしたがそうすることが一番だと考えてくれていた。 気絶させることでその試合でシュートを打たせないい。 感情的になっていたがいま冷静に考えればとても理に適った策だった」
「でもそれは鬼道にも出来たはずだ。 俺がやらなくてもな」
「いえ、私は出来なかった。 それをやることは出来なかった。 考えることも出来なかった。 私は無力なんです。 でも破和土さんはそれができる。 だから、あの場に破和土さんがいてくれて良かったと思っている。 今頃になってですが…」
「出来ないのは仕方ない。 でもそれはあんたはチームに優しくて、それは仲間のことをよく思っている証拠だ。 どんなに遠くても対話をやめないその姿勢は佐久間や源田にとって幸せだろう。 それが結果的に救いとなるかは別として、現状を放棄しなかった鬼道は帝国のキャプテンとして良くやってるよ。 佐久間にシュートさせまいとパスを断ち続けるゲームメイク、難しすぎる方法だけど鬼道は諦めずに戦い続けた。 それは鬼道の正義であり、やり方でもあり、君なりの正解回答でもある」
「……」
「俺なら試合始まる前にズタズタに叩きのめして止めるけどな。 それでも止まらないなら足でも折って、それでそのまま滝壺の中に落として頭冷やさせるさ」
「いや、それは死ぬのでは…?」
「サッカー選手として死ぬんだ、変わりない。 心が弱っていてそこに漬け込まれるのは人間の弱さ。 仕方ない。 でも振り切るのもその者の責任だ。 ああ、仕方ない。 けど佐久間と源田は帝国学園のサッカー選手だ。 どの中学生サッカーチームよりも先を征くエリートなんだ。 ならそれ相応に覚悟するべきだろ? あんなことになってはならないんだ。 足でも折る程に止めないとならない。 それが止める者の責任だろ?」
「ふっ、やはりあなたは雷門向きな選手ではない…」
「まぁな。俺は円堂守にはなれない。 誰もあのようなサッカーバカに慣れない。 けどアレは真っ直ぐとした意味では特別強いんだ。 けれど今回の件も含めてそんなこと言ってられない。 これからの相手は未知数だ。 まっすぐで、普通で、優しいだけじゃダメ。 俺のようなプレイヤーは一人いないとダメだ。 だって…」
「『引き出し』は多い方が良いから、ですよね?」
「よく分かってるじゃん。 いや、帝国学園のキャプテンなら分かってて当然か」
「それに、パフォーマンスにならない無客なフィールドなら真面目にやってやる必要もない。 そして己の物量と非正統方で捻り潰す。 これについては帝国側としても共感できるところがある」
「それについてはなんとなくわかるけど一応聞いておこう。 それはどうして?」
「そうした方が強いと言うことの証明になり、試合に『勝てる』からだ」
「あっはっはっはっは!そりゃそうだ! それこそ帝国学園の本質だ!!」
「まぁ、わたしからすると『最高のサッカー』と言うものから遠退くが……帝国の事を考えると場合による」
「そうだな。 まぁ、何がどうとかは聞かないさ。 だって、あんなことあるクソッタレな世の中だしなぁ?」
「ふっ、全くだ」
ケラケラと二人で笑い合う。
話が終わったことを知ると何も言わず二人でイナズマキャラバンに戻り出した。
「しかし最高のサッカーか。 あんたの場合それは互いに磨かれた刃を打ち合い、どちらが折れ、どちらが斬り落とすか? そうして最高の
「ああ、そのとおりだ。 だからエイリアの騒動を終わらせ、俺は最高の日本チームを磨き上げ、そして最高の刃…いや、最高の【雷刃】をもって FFIで戦う。 そのためにこんなところで負けられない」
「ああ、良いなぁ、それ。 俺には出来ないから代わりに一番頑張ってほしい選手だな。 だからその時は頑張れよ鬼道」
「ああ、だからその期待に応えよう」
どこかスッキリとした顔でイナズマキャラバンの階段に足をかけなごらこちらを振り向き、彼はこう言い返した。
「漫遊寺から来た"清濁の聖者"よ」
「!!」
そういうと一足先にイナズマキャラバンの中に消えた。
「くっ…クックックッ……あはははっ! あっはっはっは!!!」
なるほどね〜。
澄んでいるけど、濁っていて。
正であるけど、邪でもあり。
善でもあるけど、悪でもある。
そのように正反対な気質を併せ持せながらも、どちらも受け入れている人間だと評価を表してくれてるらしい。
まさに…
いや、
「なるほどねぇ〜」
しかし面白いことを言うなぁ、あの人は。
俺は鬼道に『ヒーローではない』って否定してたけど、それは慰めとかの類に持ち込もうとするつもりは無く、こうした方向へ訂正させるための『皮肉』を込めて否定しようとしたのね。
いやはや、帝国学園のキャプテン最高クラスのゲームメイカーは馬鹿にならないなぁ。
マジで愉快だった(愉悦)
いや〜、ありがとう。
雷門黒歴史ノートにそのセリフ刻んでおくわ。
「なんか基秀が楽しそうだな、兄貴」
「そうだね、アツヤ」
「でもあれだけ笑っているのは久しぶりかもな」
「それはどういうことだい夕弥くん?」
「兄ちゃんは基本的に微笑んでる人だけど、ああやって心の底から大笑いするのはあまり無いんだ。 大体は『そうか。 良いんじゃないか?』って相手のことを尊重するように笑うんだ。 あとは愉快に感じる方向で楽しんでるくらいだな」
「なるほどね、基秀さん、そうなのか」
「たしかに、北海道まで来た時もバカ笑いとじゃなくて、愉快に笑う人だったな」
「だからあんなにも笑うのは久しぶりに見たかもな」
「……ちなみにその久しぶりって時は何に対して笑っていたのか覚えてる?」
「うーん、なんだっかな〜? わからないや」
「オイオイ…」
「まぁまぁアツヤ。 僕たちもそんな基秀さんの姿を見れたのだから、レアだと思っておこう」
「ひとをレア扱いするあたり兄貴は兄貴だよなぁ…」
「オイラ、吹雪士郎って人がわかった気がする…」
「どういうこと???」
「なんでもねーよ」
「にっしし」
「??」
♢
稲妻街にやってきた。
みんな元の場所に戻れて喜んでいた。
だが一人だけ、神妙な顔をしている人がいた。
それは…
「瞳子さん、おやつ食べません?」
「え?」
稲妻街に滞在中、俺たちは寝泊まりをするために伝説(笑)の皇帝ペンギン2号が打てるオバちゃんが管理する寮を借りることになった。
あ、瞳子さんとはもちろん別々の部屋ですよ?
何を言っているんですか。
美人さんと部屋一緒とか緊張して眠れねぇわ。
「八つ橋と緑茶ですよ」
「…じゃあ、頂こうかしら」
「はい」
誰もいないリビングで何もせずくつろぐ。 今頃円堂達は河川敷でサッカーをやっている頃だろうか? 夕弥の姿も無いので円堂達と混じっているようだ。
「基秀くん……」
「はい」
「私のことを、監督と呼ばないのは、私がその器ではないから?」
「うん」
「即答なのね」
「濁す意味も無いから」
「そう…」
「たしかに瞳子さんは監督としてここまで指示をして来たけど、あなたはなーんか違う。 あなたの心意気を別にして何かが噛み合わない」
「どう言う意味?」
「なんというか、今の瞳子さんってティーカップに味噌汁入れて飲んでるような気分なんだよ」
「なんとも噛み合わない酷い組み合わせね…」
「でしょ? 何というか雷門イレブンの円堂達は、人参、玉ねぎ、じゃがいも、わかめ、いりこ、豆腐、などなど、彩り豊かな具材として込められ、一人一人から溢れる出汁が混ざり合い、それが美味しい味噌汁になるんだ。 彼らの泥臭さがそうさせる。 なんならおでんって例えでも良い。 アレだ"青春おでん"ってやつ」
「青春おでんが何かは知らないけどあの子達を味噌汁やおでんに例えるのは何となくしっくり来るわね」
「だろ? しかし、そんな瞳子さんの器はお上品なティーカップだ。 お紅茶を淹れれば上品な味わいを楽しめる状態だ。 だが瞳子さんはそのティーカップにお味噌汁を注いで飲んでいる感じだな。 噛み合わないのに歪む表情を堪えて無理して飲んでる」
「随分な評価ね」
「そう思われて仕方ないでしょ。 まるでティーカップを持ったあなたはお茶会に遅れてしまい、なんとか行き急いで到着したけど、そこは和風のお店であり、出されたのは紅茶ではないお味噌。 具が邪魔だから中身を取り除き、ティーの中を汁だけにしてやっと紅茶らしくなった。 でも個性を取り除かれた味噌汁は美味しさを失い、ティーも味噌汁だけで紅茶とは言い難い。 噛み合わないその一品は一人の女性がやり方を間違えたからだ」
「……」
「だから前に埠頭の事も含めて俺は気になる。 瞳子さんはなんで急いでるの? なんか心配だよ」
「……」
「……そんなにも子供に言いづらいこと?」
「!」
「そうか…うん、まぁそうだよな。 たしかに俺はまだ年齢的に子供だ。 しかしあと数年もすれば大人入りなんですよ? それに瞳子さんとはそんなに歳も離れてない唯一の高校生男子。 俺なら年の近い瞳子さんの悩みくらい共有できる。 そう考えてる」
「……その必要はないわ」
「バカ言え。 それを断言できるほどあなたは強くなんかない。 俺は知ってる」
「……」
「どのみち最後は明かされてしまうと思われる道。 なら俺にだけでも先に伝えることくらいできないですか?」
「………っ、でも…」
「瞳子さん。 俺は弱くない。 むしろ強い方だ。 肉体的にも、精神的な意味でも、俺は周りよりも強い人間である。 鬼道のように俺もそこらの大人よりも大人でもある」
自慢してるように聞こえるけど、実際にこれは断言できることである。 何せ俺は転生者として瞳子さんよりも年上だ。 世間的な身分では彼女よりも劣るけど、俺はまだ彼女よりも色んな面で余裕を持って立ち回ることができる。
あとこれはセコイけど、原作知識も込めてこの先の展開を恐れずに立ち向かえる。 それまで漫遊寺で強くなったのもあるし、多大なアドバンテージを持ってサッカーをしている。
それに裏のFFIの存在も大きい。
お陰で裏の怖さと恐ろしさを知っている。
だからエイリア学園のようにインフレした奴らが相手でも俺は怖いとは思わない。 それよりもまず俺の中では恐怖感より怒りで沢山だ。 昔遊びあった幼子たちが、テロリスト紛いな事をしてる。 これがなにより嫌だ。
「俺は瞳子さんとエイリア学園に立ち向かいたい。 でもそのためにはまず瞳子さんがこの場所に来られた理由を知りたい」
「……でも、私は、あなたに言いたくないわ」
「なんでさ? 俺は瞳子さんにとって信用に値しないのかよ?」
「そうじゃないわ! そうじゃないのよ。 私は基秀くんが凄いことは数年前から知ってるわ。 むしろ信頼を置いても問題ないと考えてるくらいに評価してる」
「ありがとう。 それほどに評価してくれるのは嬉しい。 しかしそれでも俺に打ち明けてくれない瞳子さんの中で何が邪魔するの?」
ほんの少しだけ、苛立ちが湧き出てきそうになるが、感情的な気持ちを抑え、ジッと話す。
すると…
「もし……」
「…もし?」
「もし私はここで、
「頼ったら?」
「私は……監督として、大人失格よ…」
彼女は消える様に声をこぼす。 弱々しく目を伏せ、腕を腕で押さえた震えていた。 辛そうに自分を責める様に。
だから……俺は笑い飛ばした。
「ぷっ、あははは!! あっははは!!! 」
「なっ!」
「なんだよそれ。 うわっはぁ〜、そう言う事なのか〜、自分に厳しすぎィ!」
「わ、笑い事じゃないわよ!? 私はこれでもね!?」
「まったく、そこに年は関係ないでしょ。 もし年齢気にしてると言うなら、雷門の校長が雷門イレブンの子供達の力を頼りにしてるのもおかしくなるだろ。 それともそれは恥だと貶すのかい?」
「!」
「否。 誰も貶すこともなければ誰もそれを責め立てやしない。 むしろ円堂達は学校を壊されて、仲間を傷つけられて、サッカーを侵略の道具にしてはことが嫌だからそれを止めようとイナズマキャラバンに乗り込んだ。 彼らもまた打倒エイリアのために希望を託してくれることを心に響かせて立ち向かってる。 だからさ、そこに大人がとか、子供がとか、関係ないよ」
「っ」
「まだ瞳子さんに対して反感を買ってるメンバーはいるけど、瞳子さんの強い意志と気持ち、そして託されても良いと思える姿勢と心意気を示せば彼らは瞳子さんが『力を貸して』と言ってもバカにはしないさ。 むしろ全力で力を貸してくれる。 だってさ……」
「…?」
「あいつらはこんなにもお利口な子供達なんだぜ? 正義感が溢れる心強いチームだ。 そこに監督として名を果たせる瞳子さんを加えれば最強イレブンになる。 これ、決定事項だから」
「…基秀くんはには、そう見えるのね」
「仲間との信頼は最大の武器だって、それよく言われてるから(ENDU教)」
「…そう」
「そのためにまずはティーカップじゃなくて、
「えぇ…すこし意味がわからないけど、でもなんだか温かそうね」
「だって
彼女との会話で度々敬語が崩れながらも、俺は瞳子さんと視線を外す事なく会話を続ける。 瞳子さんも、俺が敬語抜けている事も知ってるけどそこを突かない。 むしろ許してくれている。 ただし、円堂達がいる時はそんな振る舞いをしないだろう。 だからいまこうして二人だけで話せてるこの時間がなんだかいい感じだ。
「さて、少し話を戻した上で俺は改めて言う。 瞳子さん、あなたの行く先を俺に教えてくれませんか? まず俺だけでも、瞳子さんと一緒に戦える人である事を証明したい。 円堂達には少しずつで構わないのでお願いします」
俺も意思を示す。
あなたと戦えることを告げる。
そしてそれが伝わるから…
「…………ありがとう」
「!」
「負けたわ。 もう…まったく、本当に」
呆れた様に、諦めた様に、彼女は笑う。
いやー、すごく可愛いっス(ノンケ)
「基秀くんは相変わらず人を困らせるのが上手わね。 数年前と変わらず、そうやって人の歳を関係なしに表面を砕こうとするのだから」
「人聞き悪いなぁ。 それは瞳子さんが少しバカなだけでしょう」
「それこそ人聞き悪いわよ」
「瞳子さんはバカである(ホモは2度刺す)」
「二度も言わないの!」
それから瞳子さんから話を伺った。
エイリア石の事。
おひさま園が正体であること。
それらは父親が作り上げた事。
そのために雷門を強くする事。
いろいろと何も隠さずに話してくれた。
それによって…
「なるほど。 つまり、エイリア学園をさっさと葬らないと宇宙人の真似にしてるお日さま園の子供がそれを黒歴史として今後苦しむ羽目になるから何とかしてやらないとダメってことだな(名推理)」
「ひどい解釈を受けた……死にたいわ…」
「いや、抹茶ソフトクリーム星人してるみどりかわ君は雷門に負けてもう撤退したけど、デザームのおさーむ君はまだまだでしょ? 早く宇宙人の囚われし肉♂体から解放してやらないと今後表社会で苦しむことになる」
「むしろ彼は宇宙人でも、そうでなくてもあんな感じだから気にならないと思うけど……そうね、今後の社会に向けると早く辞めさせないといけないわね」
「でしょ?」
「……って、ちょっと待ちなさい! いま、デザームの事をおさむ君と言ったかしら!?」
「うん、言ったけど?」
「あなたおさむ君だって正体わかってたの!?」
「うん、俺は知ってたよ? てか大体わかる。 人数が多い分名前と顔が一致してない時があるけど、大体みんなこの子か、って感じにわかります」
「ちょっと待ちなさい。 そうなると基秀くん、もしや…」
「うん、結構前から大体察していましたよ。 その上で俺は瞳子さんにいろいろと打ち明けさせました」
「」
*空白は唖然を意味します(コ↑コ↓大事)
「だから言ったじゃないですか? 瞳子さんはバカだって。 流石に俺のこと舐めすぎでしょ」
「………………基秀くん、大っっッッっ嫌いだわ」
「ふぁ!?」
美人の女性から『嫌い』って言われると流石に傷ついてしまうな。
それは自業自得だって?
そ、それ、瞳子さんにも言えることだから…
「でも、あなたは理解した上でこの旅に参加していたのならむしろ助かるわ。 はぁ……なんかピエロね、私って…」
「少しちがうゾ。 瞳子さんは急ぎ過ぎてるせいで仲間を置いて言ってる。 あれだ、電車で言う区間快速って感じだ。 別の路線に乗り換えで使われる"重要な駅"には止まって、特にそんな事も無い"不必要な駅"を飛ばして進んでいるタイプ」
「別にそんなつもりは……いえ、それでもあなたに言われたらなんだか耳が痛いわね」
「でも親がヤベェ事してるから焦るのも分かりますよ。 それは仕方ない事です。 だからさ? これからは俺と一緒に普通運行の電車に乗って、雷門の一つ一つを見ていきましょう。 なーに、大丈夫ですよ。 俺もサッカーのプレイングが斜め上にぶっ飛んでるせいで一部から警戒されてるくらいだし。 ある意味、俺と瞳子さんは似た者同士です! 両思い!」
「そこは似たくなかったわね。 あと勝手に思ってなさい」
「マジで嫌われて草も枯れる」
「でも……ありがとう。 なんだか情けないところ見せたけど、楽になったわ。 目の上に対して遠慮ないやり方はともかく…ね?」
「すみませんでしたぁぁあ!」
「……ふふっ」
じゃんぴぃんぐぅDO☆GE☆ZAを決めて謝れば瞳子さんまたもう少しだけ笑みが溢れる。 まるで緑茶のように味わいが挽きたてられ、八つ橋のように柔らかくなった瞳子さんの顔つきは数年前の彼女を見てるようだから、俺はすごく嬉しい気持ちになった。 やっと見たかった瞳子さんの姿になり、この対話は無駄でないことを感じながら冷めた緑茶に手をつけた。
つづく
鬼道との関係は良好…な筈。
互いに許しすぎないだけだが。
そんなことより瞳子監督が可愛い。
ただそれだけ感じ取ってほしい。
ではまた