イナイレップーケン   作:つヴぁるnet

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第12話 〜 大阪

 

〜 大阪 〜

 

 

さて、雷門は約4日間の調整を終えると再び旅立った。 行く先は大阪で、エイリアの楽しい楽しい秘密基地がある。 ゲームでは大変お世話になりました。

 

さて、旅立つにもまず染岡は置いていくことになったが原作よりも怪我は深くない。 理由としては俺が漫遊寺の技術で怪我の処置したからだ。 別に治した訳じゃないけど悪化を防いだ感じ。

 

そのため怪我からの復帰は早いだろう。

 

 

ちなみにシャドウについてだが俺は「来ないか?」と誘ったがイナズマキャラバンの加入は断られた。

 

まだレベルアップを目指したいと言っていた。

 

強制する理由も無いので、俺はまた会えること楽しみにすると、最後に「もう一度だ」と言って勝負を仕掛けて来た。

 

そして放たれし"真"ダークトルネードはなかなかの威力だった。

 

バックアップチームの頼もしさはシャドウを先陣によく感じられた。

 

 

 

 

そして…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜 大阪 〜

 

 

 

 

 

 

 

一ノ瀬が結婚することになった。

 

おめでとう(法律違反)

 

 

 

「嫌だー、やめろー! 死にたくなーい! 死にたくなぁーい!! 死にたくなぁぁーい!!」

 

 

 

お好み焼き店から悲鳴が聞こえるが、俺が何もせずとも円堂達が救うだろうし、この件について今回はノータッチにする。

 

それよりも大阪は久しぶりだな。

 

京都からすぐなので良く遊びに来たことある。

 

そんでバリうまいたこ焼き12コが240円で売られている商店街で度肝抜かれたのも思い出した。

 

それにしてもたこ焼き14コは本当に多いな。

 

いや、別に食べれないわけじゃないけどみんなとシェアしながら頂いても満足できる量だし、瞳子監督と観覧車に乗りながらデート付き合ってくれないかな〜?

 

 

 

「美人なおねーさん、たこ焼き4パックちょーだい」

 

 

「やーねー、こんなおバはんにナンパして」

 

 

 

え? 4パックもどうするのかって?

 

今頃試合を行ってる雷門と大阪ギャルズのハーフタイムに差し入れで渡してやるんだよ。

 

 

え?

瞳子監督とデート?

 

そんなのフラれるに決まってるだろ。

 

当たり前だよなぁ?

 

 

それから多量に買ったアツアツのたこ焼きは、一ノ瀬の運命をかけて試合をやってるところに持っていく。

 

すると前半終了間際まで来ていた。

 

 

 

 

「よぉ、相変わらず熱心で感心した」

 

 

「おや! これは雷門イレブンの中で唯一高校サッカー選手の破和土基秀!」

 

 

「ここまでどうやって来てるんだ? 自転車?」

 

 

「ええ! 自転車で後ろからついて行かせてもらってます! なかなか厳しい旅で大変ですなぁ」

 

 

「そんな長距離走らせて自転車壊れないよな?」

 

 

「もう既に二台壊れてしまいましたが! これでも野良実況を行うためのお金は支給されていまして!路銀は何も問題ありません! 買い換えるのは些か面倒ですが! このわたくし! 角間圭太は雷門ファンの一人として雷門の活躍を実況でお届けしなければまだならない使命! この程度苦でもありません!」

 

 

「そんなことするくらいならイナズマキャラバンに乗せても構わないと思うけど?」

 

 

「いえいえ! それは遠慮させていただきます! あくまで私は熱心な追っかけとして雷門の後ろをついて行くまで! 共に同じキャラバンの同行は追っかけとは呼べません! ありがたい申し出ですが、私はこうして雷門の行く先を自転車で追いかけ! そして試合を実況させてもらうのが幸福なのです!!」

 

 

 

コイツは追っかけの鑑かよ。

 

たまげたなぁ…

 

 

 

「そうかい、なら自転車でどこまでも来い。 あ、でもたこ焼きの差し入れくらいは遠慮せずに受け取るよな?」

 

 

「たこ焼きですか! この角間圭太! ささやかなハーフタイムに是非いただきましょう!!」

 

 

 

 

「エターナルフォースブリザード!!」

 

「アツヤ、その必殺名にフォースの部分はいらないでしょ」

 

「にっしし、だとしたら相手は死ぬ」

 

 

 

「ゴーール! 雷門! これで4-1! 大阪ギャルズを更に突き放したぁ!」

 

 

 

「うそや〜ん」

「つよいなぁ」

「ほんまに恐ろしかぁ」

 

 

 

こうして超攻撃型が居るからすごい頼もしい。 更に染岡も併せたSランクの『ワイバーンブリザード』も放てるのならイプシロンからも簡単に点を奪えれるだろうけど、染岡は離脱しているのでアツヤ一人に頼るしかできない。 もし染岡が残っていたら『爆熱ストーム』より強いワイバーンブリザード無双が捗った筈。

 

あ、でも爆熱ストームが弱い訳じゃないぞ? そもそもナニワの修練場で鍛えずに一人で強くなった豪炎寺の方が総合的にヤバいと思ってる。

 

やはり彼はエースストライカーだったか。

 

 

 

「おーい、お前ら、タコ焼き持ってきたぞ」

 

 

「おおー!」

「うまそうっス!」

「破和土先輩! 貰っていいのか!?」

 

 

「そのかわり二、三個にしとけ。 試合に響く」

 

 

「「「わーーい!!!」」」

 

 

 

ああ、やっぱり可愛い子供達だよな。

 

エイリアの事件なんてなければこんなにも平和にサッカーして、お腹すかせて、ご飯いっぱい食べて、またサッカーして、頑張っていただろうに。

 

 

 

「そういや目金は試合に出てるのか」

 

 

「は、はい!」

 

「と、言うよりコイツのせいで話が拗れたから試合に出させてんだよ」

「全く、いい迷惑っス」

「本当でヤンス」

 

「うっ……」

 

 

「まぁ、最近平和な試合できなかったから丁度良いだろう。 てかそれよりも何だ何だぁ? 相手から一点取られてるじゃねーか。 本拠地で四日間みっちり調整したのに早速弛んでるなぁオイ?」

 

 

「あ、あはは……」

 

 

 

まぁ『バタフライドリーム』は初見殺しだから仕方ないね。

 

 

 

「でも彼女達、凄く強いですよ…」

「ああ、たしかにそうだな」

「女子だと思って掛かったら大変っス」

 

 

「そうかい。 まぁそれだけ世界は広いと言うことだろう。 とりあえず怪我はするなよ。 さもないとお兄ちゃん泣くぞ?」

 

 

「この程度で怪我をするかよ兄ちゃん」

 

「は〜い、もとひでおにぃちゃ〜ん」

 

「あ、兄貴!?」

 

 

「「「(士郎がノっだだと…??)」」」

 

 

 

危うく「マ゚ッ(絶命)」ってなりそうだった。

 

いや、ふぶきゅんって基本イケメンでカッコいいけどさ、小柄な上にタレ目が可愛い。 そこに落ち着いたあの声で「お兄ちゃん♡」って甘えてきたら普通に死ねる自信あるから。 これに耐えれる自信のあるノンケとホモ、至急メールくれや。

 

 

 

「そんじゃ一ノ瀬のために行ってこーい」

 

 

 

それから後半戦が開始。

 

たこ焼きパワーも加わった雷門は大阪ギャルズを相手に後れをとらず戦っていた。

 

目金はまだたどたどしいけど、相手のディフェンスラインを気にしながらパスコースを見出してる。 彼はやればできる子だろう。 ただ周りが強いだけで。

 

風丸は早速ウイングの右についている。 突破能力が高くて頼もしい限りだ。 プリマドンナの踊りをしっぷうダッシュで素早く踊れば竜巻を作り上げて脱出したりとなかなか面白い事をしている。 ちなみに何故ウイングのポジションで"右"にしたかと言うと、陸上部は右に回るからだ。 それを意識させれば速く突破できるだろうと俺は考えた。 でもまずウイングを提案したのは瞳子監督だ。 彼女もまた風丸が活かせるように考えてくれていた。

 

あの人は言葉にしないだけで考えることは有能です。 だからそれをしっかりと言葉で伝えれば信頼は築けるのに、彼女も強情なのかそうしない。 監督の癖に自身の感情を優先したりと、やはりあの人は少しバカだ。

 

さて、俺の想い人の話は良しとして、士郎と夕弥が二人で旋風陣を発動してるので両サイドの壁は厚い。 真ん中には壁山と塔子がいるからディフェンダーは頼もしい。 それでも失点してるのは大阪ギャルズの彼女達が強いからだろう。 一般女子サッカー部が日本最強から点をもぎ取れると言うことは、ナニワの修練場を使えば相当強化される施設なんだろう。

 

なんか怖いところだなぁ。

 

 

試合は後半だが点取り屋のアツヤの勢いは止まらない。 大量得点製造機である超攻撃型の彼から放たれるエターナルブリザードが大炸裂している。 ボールを奪えば相手ディフェンダーはただのカカシですなぁ、と思わせるくらいの突破能力。 正直な話だとアツヤはワンマンプレーで光るタイプだ。 一応アツヤも連携は取れると思うけど、彼に任せる方針の方がまず良いだろう。

 

あとそこに豪炎寺とアフロディを投入したら一体どんな地獄絵図になるか? おそらくエイリア石(笑)になるだろうな。

 

 

てか、そもそもそんな考えが出来るのはやはり吹雪兄弟が原因だろう。 原作のように精神面が不安定な部分が彼らの中に一つもない。 アツヤはひたすら激しく轟いてるエースストライカーとして雷門に力を貸して、士郎はそんな弟を見るのが好きだから頑張ってバックアップしてる。 不安定な部分を出さずに試合を行えるから雷門も安定してレベルアップしている。

 

超攻撃型のアツヤ と 超防御型の士郎。

 

この二人は確実にエイリアを倒してくれる。

 

アツヤ生存ルートはこんなにも違うのか。

 

 

あと義弟の夕弥も"改"に進化した必殺技の旋風陣でセンタリングを許さないでいた。 ある意味これもプチ要塞だろう。 でもボールを奪えば「b」っとベンチにいる奴らにアピールしたりと調子に乗ってくれている。 まぁ俺も「b」っと返してしまう辺り兄バカなんだろうか? そんで何故か音無も「b」っと返した。 俺がやったからかハメ外したのか?

 

あ、なんか鬼道が夕弥に「早くパスしないか!」と少し怒っている。

 

シスコンエビフライに見つかったか。

 

 

 

 

 

 

それから試合は6-1で終了。

 

圧倒的である。

 

そりゃ、当たり前だよなぁ?

 

 

 

あ、でも序盤のスピードが半端なかったジェミニストームに追いついた雷門のスピードに追いついてる大阪ギャルズって凄いことになるよな?

 

アニメのバランスガバガバやん(無粋な指摘)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さて、ナニワ地下修練場はみんなもゲームで大変お世話になった筈だ。 そのかわりストーリの終盤ここの修練場を使うと途中現れるキーパーがマジでうざい。 それだけは俺も覚えてるぞ。

 

さて、話を戻すが試合勝利後、強さの秘訣とやらを知るために案内された。 地味な機械に色んなデコされてるのはともかく、見渡す限りなかなかの施設だ。 目金がレベル2辺りで悲鳴をあげながらローラーを走っている。 原作アニメのレベル1で悲鳴を上げない辺り少しは強くなったけど、まだまだ体力無いね。

 

それから使用許可をもらい、それぞれ訓練が始まった。

 

 

 

「あ、瞳子監督、これも吉良財閥のお力? やはり世の中は金か」

 

 

「勝手に自己完結されても困るわよ」

 

 

「それでこの施設は知っていた?」

 

 

「いえ、これは知らなかったわ。 まさかこんなところに作っているなんてね…」

 

 

 

おそらくここが作られたのは三年前くらいだろう。 流れでは確か5年前にエイリア石が投下して、瞳子監督の父である吉良星二郎(きらせいじろう)はサッカーで戦争を起こそうと決意した。 それから子供達を鍛えるためにこの施設を作ったのが1、2年の期間だとしよう。

 

そして完成してから直ぐに使用したことを考えると大体2、3年くらい使われていたことになるのかな?

 

 

その頃は瞳子監督も学業で忙しくてこの存在を知らなかったのだろう。

 

 

しかし大きすぎる施設だ…

 

ちゃんと耐震性能あるよな?

 

 

 

「じゃあ俺、みんなのこと見てくる」

 

 

「ええ、任せたわ」

 

 

 

 

え? 瞳子監督は来ないのかって?

 

いや、彼女は試合で采配を行う監督であり、練習をみるコーチではない。 だからみんなの練習を見てやることはできないだろう。 世界編ではエイリア編で学んだことを活かしてネオ・ジャパンを強くしていたけど、いまの彼女は皆の練習をアレコレ指示するなどは出来ない。 だから間違えてもこれを無能とは呼ばないからね? 適任じゃないと言うだけで、勘違いしたらだめだ。

 

知らないのは仕方ないことだ。

 

 

だからそのために俺がいる。

 

心身共に成長させる漫遊寺で、俺は後輩の面倒を見ているから誰かを強くするのは慣れている。 それが得意とは言わないが、出来ないことはない。 だから瞳子監督も自分ができない部分を補って貰いたいがためにイナズマキャラバンの参加を許してくれた。 俺が高校生だとしてもだ。

 

 

だから試合が始まればそこからは瞳子監督の出番。

 

その時のためには、みんなは瞳子監督に裏切らぬように強くならないとだめだ。

 

 

まぁ、そんな心配は無いだろう。

 

みんなお利口だし、練習に熱心だ。

 

 

 

 

「うぉぉぉらぁぁ!!」

 

 

 

アツヤはシュートを決めるよりロボットを破壊しようと頑張ってる。 敵のキーパーを倒すのは有効的なんだけど、普通はコース狙うのが有効なんだけどなぁ。

 

超次元のぶつかり合いを楽しむアニメの世界なのはわかるけど、ノーマルシュートに関してはなーんでクソ真面目に真ん中狙うか少し理解できないわ。 大阪ギャルズの応援してたリカ母も「コース狙いぃや!」って言ってたし。

 

あたりまえだよなぁ?

 

 

 

「そういやアツヤ、聞きたいことがあるけどさ。 兄弟で放つ"あの必殺技"は完成したのか?」

 

 

「アレか? 一応完成してるぜ」

 

 

「お、マジで? やはり天才か」

 

 

「でもエターナルブリザードが止められた時のために切り札として使うからな。 今はまだ隠しておく」

 

 

「それが懸命だ」

 

 

 

ウィーーン

 

グルグルグルグル

 

 

 

「面白いロボットだな。 そぉい!」

 

 

 

ゲシっ

 

ズバーーーン!

 

 

 

「うわ、弾き返された」

 

 

「ははは、だっせ」

 

 

「うるせぇな。 俺はどちらかといえば守備寄りなプレイヤーなんだよ」

 

 

「おいおい、漫遊寺でイプシロンと戦ったときは前線でワンマンプレーしてたじゃねーか。 しかも3点ほどもぎ取ったし」

 

 

「1回目は初見殺しに烈風拳。 2回目も烈風拳からあびせげり。 3回目は双剱・クンフーアタックにシュートチェイン合わせて決めただけ。 このような小技ばかりで仕留めただけだから。 だからアツヤのような脳筋必殺シュートは無い」

 

 

「うるせぇ! 誰が脳筋だ!!」

 

 

「でもまぁ……そうだな」

 

 

 

俺はサッカーボールを回収すると、さっきより蹴った位置からもう少し離れ、足元にボールを置く。

 

 

 

「敵を壊すつもりで、マジなシュートを打たせてくれる時間をくれるなら俺もやれないことはないな…」

 

 

 

サッカーシューズじゃないけど、靴紐をしっかりと結び、リモコンでロボットキーパーを動かし、最大レベルした後…

 

もう一体、ロボットキーパーを出した。

 

 

 

「に、二体…?」

 

 

「本来ならキーパーは一人だけど、まぁいいでしょう。 ディフェンダー毎潰すと言う意味では無駄な練習でもない」

 

 

「お、おい、まさかこの状態で決めるつもりか?」

 

 

「これでも中学生のお前らより年上の高校生だからな、少しくらい意地を見せてもいいだろう。 あとこれはアツヤだから許すけど、少しだけ断片を見せてあげようか……」

 

 

「!!」

 

 

「一回だけだ。 ちゃんと見てろ、俺もまた昔と変わったことを……」

 

 

 

ボールを踏みつけた後…

 

前方を鋭く睨み…

 

ボールを蹴ってその場から消えた…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ゴゴゴッッ!

 

ゴシャーン!!

 

ガラガラチュドーーン!!

 

 

 

 

 

 

「!!!??」

 

 

 

 

僕は弟の様子を見に行こうと思ったら遠くからものすごい音が聞こえた。 何か機材を破壊したような酷い音が聞こえた。 もしかしたら不審者でもいるのだろうか?

 

すこし警戒しながら歩いてると…

 

 

 

「おお? 士郎か、頑張ってる?」

 

 

「あ、破和土さん」

 

 

 

曲がり角から破和土さんが出てきた。

 

でも少し、彼を見て怖いと思った。

 

何が怖く感じたのか自分でも理解が出来なかったけど、ちょっと怖かった…

 

 

 

「そういや俺のことはたまに破和土って呼んでるよな? 別に俺のことは基秀一択かつ、呼び捨てで良いんだぜ?」

 

 

「いえ、僕は破和土さんにします」

 

 

「そうかい、まぁそこは任せよう。 じゃあ練習頑張れよ」

 

 

「あ、はい」

 

 

 

でも改めて会話をすれば破和土さんはお変わりない皆の兄貴的存在であることを再確認できた。

 

僕はホッとしながら彼とすれ違い、彼は姿を消した。

 

 

 

「あ、いたいた」

 

 

 

そして僕は弟のアツヤが練習してるだろう場所に向かい、そしてよく見る後ろ姿を捉えた。

 

 

 

「アツヤ、練習の調子は……え…?」

 

 

「……」

 

 

 

アツヤの見てる先には激しく散乱した機材だった。 ゴールネットの奥には無残にもバラバラにされた二体のロボットが力なくスクラップになっていた。 しかもゴールの位置が後方にズレている。 これ…って?

 

 

 

「こ、これアツヤがやったのかい?」

 

 

「……」

 

 

「……?」

 

 

「……そんな訳ないだろ」

 

 

 

否定するにも重く口を開けたアツヤ。 僕は少し異常があると思ったのでアツヤの顔が見えるように回り込み、その表情を伺ったがどこか驚きを交えて強張った顔をしていた。 でも一番感じられたのは『くやしい』と言う感情だった。 そしてこの顔はサッカーしていると何度でも見たことある顔だ。

 

まるで圧倒的な実力差を見せられたような顔だ。 自身溢れた自分の実力が、真っ向から打ち崩され、否定された時の信じられない表情…

 

 

 

「…」

 

 

 

そして僕はもう一度ゴールネット見る。

 

スクラップされたロボット達。

 

これがアツヤじゃないとしたら…

 

 

 

 

 

「兄貴……」

 

 

「?」

 

 

「俺はめちゃくちゃ練習した。 めちゃくちゃ頑張って、めちゃくちゃサッカーをやった」

 

 

「…」

 

 

「だから昔の何倍も何倍も強くなったと思ってる。 だけどさ、それでもさ……」

 

 

「……うん」

 

 

「全く届いてない結果を見せられたら、凄い勢いで打ち崩れそうになった。 こんなにも頑張ったのにその一蹴りだけで俺の努力は全否定された気分。 今は不思議と落ち着いてるけど、すごく悔しくて仕方ない気分だ…」

 

 

「でも、それは仕方ないよ……」

 

 

 

何に対しての『仕方ない』とは僕も理解していた。

 

でも、それを誰とは言わない。

 

 

 

「今は俺は雷門のエースストライカーだけど、そんなのアイツからしたらこんな称号はただ飾りに過ぎない。 だから俺はもっともっと強くなりたい!!」

 

 

 

アツヤはタオルを強く握りしめていた。

 

そしてその声は強い決意と悔しさに溢れていた。

 

 

 

「そしていつか必ず追いついて! 勝ってやる! このままじゃ終われない! 終われないんだ! そうでなければ俺自身が許さない!!」

 

 

「うん、ならもっと頑張らないとね。 彼に届くのは大変だけど」

 

 

「ハッ、それは初めて出会った時から分かってたさ! だからこそ目指す! 俺は目指したい!! 俺は目指して基秀に勝ちたいぜ兄貴!! ずっっっと抱えていた憧れに!! いつか必ず!」

 

 

 

アツヤはタオルを結び直すと「うおおおお!!」と大声を出しながら誰もいないゴールネットに向かってサッカーボールを蹴る。 ど真ん中に蹴られた一撃はもしかしたらあの人に向かった打ち込んだのかもしれない。 だがしかしそこにいるあの人は倒せたように見えなかった。 だがそれで構わないのだろう。 アツヤにとって彼がいるからこそこんなにも強いストライカーになった。

 

 

 

 

でもひとつだけ、僕も譲れないものがあった。

 

 

 

「アツヤ、僕もね、あの人には勝ちたいと思うよ。 みんなからしたらとても近い距離で接してくれる兄貴分だけど、サッカーに置いては凄く遠い存在だ。 それでも、僕は彼に追いつきたいと思う」

 

 

 

一番はアツヤなんだけだ、僕も負けず劣らず彼に追いついてみたいと思っていた。

 

 

 

「兄貴、本当はそんなの俺一人だけで良いと思って。 でも数年前のあの時、アイツが北海道から去ったあの後に二人で約束したからな。いつか必ず "基秀に勝つ"…ってな」

 

 

「うん」

 

 

「だからまずは俺たち二人で基秀に届くための一つになろう。 だから兄貴、あの必殺技をもっと強くしよう」

 

 

「え? アレを?」

 

 

「ああ、まずはあの必殺技で基秀に追いてやる。 もしそれが届かなかったら俺は兄貴を踏み台にしてでも強くなるからな」

 

 

「ふふ、それでも良いよ別に。 なら僕は踏み台にしたアツヤの足を掴んで上に登るから」

 

 

「ならその時はもう一度踏み台にしてやるさ!」

 

 

「なら何度でも掴んであげるから」

 

 

 

それからぼくたち兄弟はとある必殺技の強化に取り掛かった。 もしこの強化に基秀がいたのなら捗ると思うけどこればかりは僕達二人だけでやらないとダメだ。

 

 

男の子の意地。

 

男の子の強がり…

 

 

しかしそれで構わない。

 

そうして追いかけようとすることに意味があるから。

 

 

 

「「うおおおお!!!!」」

 

 

 

 

だから何度だってこのサッカーボールを蹴るだけ…

 

 

 

 

「「ウルフレジェンドォォ!!!」」

 

 

 

 

 

兄弟の決意は、狼の咆哮となって叫んだ…

 

 

 

つづく






吹雪兄弟好き。
ちなみに"熊殺しのアツヤ"の設定はないゾ
(アヌヌのビンビンとは関係)ないです。


ではまた
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