イナイレップーケン   作:つヴぁるnet

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第17話 〜 福岡その3

〜 福岡 〜

 

 

「破和土さん、これは…!?」

 

 

「黒いサッカーボールに仕掛けられた無線カメラだ。 この試合風景をエイリア学園に通して映してんだよ鬼道」

 

 

「なんだと!?」

 

 

「あとは言わなくても分かるというけど、そこから潰せと命令があったんだ。 その時の標的が風丸だった話だ……そうだろ、ジェネシス?」

 

 

 

「……」

 

「……」

 

 

 

ジェネシスは何も答えない。

 

そして愛する父から伝令を受けたグランは何も言葉を発さないが…

 

 

 

「なぁ…グラン…? そう言うことなのか? 俺たちのチームをそうして潰すつもりだったのか? そうやって、俺たちを潰すために……お前は俺に近づいたと言うのか!?? っ…なぁ! ヒロトぉ! 答えろよ!!」

 

 

「っ……円堂くん…」

 

 

 

円堂の悲痛な叫びにグランを演じるヒロトは苦しい顔をする。 それもそうだ。 円堂からしたら雷門の仲間を潰すために近寄ったと思われても仕方ない。 ヒロトにそのつもりが無くても世間からしたら侵略者として悪者に立たされている。 この扱いは当然だ。 生み出してしまったその罪と誤解を拭うことが叶わない立場にいる。

 

哀れとしか言いようが無い…

 

 

 

 

「風丸を下げましょう瞳子監督。 まだ打撲で済んでるはずだから。 悪化する前に早く治療します」

 

 

「言われなくてもそうするわ! 審判!」

 

 

 

審判の古株さんは反応すると選手入れ替えを申し入れる。

 

俺は風丸を抱き上げて雷門のベンチに運ぶ。

 

 

 

「ぐっ…ぅぅ…」

 

 

「か、風丸さん…」

「風丸先輩!」

 

 

 

試合は一旦止まり、風丸の容態を確認するために雷門は集まる。

 

 

 

「に、兄ちゃん、風丸はどうにかなるのか?」

 

「なる」

 

 

 

俺は風丸の人体に触れて痛むところを親指で押しながら確認する。

 

 

 

 

『専門の人以外がやると、そりゃもうきけんですがぁ〜、君は筋が良いので大丈夫だと判断させていただきまぁしたぁ。 なのでわたしが特別にすこぉぉ〜しだけおおしえしますねぇ〜、おーほほほぅ!』

 

 

 

 

ゲーム好きなあの変な中国人の特別教師が人体に関する治療法を教えてくれたから、いまこうして風丸の容態を確認できる。 漫遊寺は怪我人出やすいけどそこまで知識を吸収する必要は無いと思ってたが…

 

いや、覚えてて良かった…

 

 

 

「ぐっ、うがぁ…!」

 

 

「!!……こりゃ面倒な……」

 

 

 

エイリア学園の奴ら、ギリギリファールにならないラインで傷つけた上に、チャージを打ち込めば一番ダメージがあるところを計算している。 しかし風丸がエイリアのラフプレーを受けた時そのまま直ぐ地面に倒れたおかげで追撃を受けずに済んだ。 流石にエイリアも地べたの選手に追撃は加えきれないからな。

 

しかし、忘れていたな……

 

あのユニフォームには吉良星二郎と、その側近に付く研崎竜一と会話出来るように無線が内蔵されていたのは原作でも理解していた筈だ。

 

プロミネンスやダイヤモンドダストにも無線マイクが内蔵されてるかはわからないが、ザ・ジェネシスの称号を得た最強のエイリア学園チームだ。 そりゃユニフォームにもリミッター解除があるように一工夫されてるのは当たり前だ。

 

先ほどの黒いサッカーボールにカメラが内蔵されていた様に、選手そのものじゃなくてユニフォームとかにも警戒しなければならないのか。

 

 

 

「鬼道、試合は長く止めていられないから今は俺抜きでやってくれ」

 

 

「わかった……みんな、元の位置につけ」

 

 

「……」

「……っ」

 

 

 

その反応と恐怖は間違いではない。

 

風丸の次は「自分が」ジェネシスにズタズタにされるかもしれない。 そんな危ないフィールドに出ることを恐れるのは当たり前だ。 俺も裏FFIに出ていればそんな人達は散々見てきたからわからないことはない。

 

だから可能な限り不安は拭おう。

 

 

 

「お前ら、カメラは破壊したからエイリアの親分格がこの試合を見ることは出来ない。 だから指令を受けるようなことはないと思う」

 

 

「「「!」」」

 

 

「それに今瞳子監督が作戦を考えている。 だから今は恐れず立ち向かえ。 それに……この場でお前たちがフィールドに出なかったら雷門の代わりに誰が出れば良い?」

 

 

「「「!?」」」

 

 

 

卑怯な言い方であるのは認める。

 

だけど彼らは沢山の人達から希望を託された人類側の救世主だ。 簡単にその場所を降りることは出来ない。雷門イレブンとして最後まで立ち向かって貰わないとならない。

 

……今も考える。

 

中学生には酷だと。

 

 

 

「まだ前半まで残り半分だけど、せめてホイッスルが鳴るまでは諦めを知らない円堂と戦え……良いな?」

 

 

 

 

キャプテンがいる。

 

その事実だけが彼らを奮い立たせた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

雷門 0 - 9 ジェネシス

 

 

 

 

開始から25分が経過。

 

皆んなは既にボロボロだ。

 

これは前半終了まで持たない可能性があるな。

 

瞳子監督も作戦考えている。

 

 

 

「お?」

 

 

「くっ、みんな…」

 

 

 

風丸は苦しみながらも目覚めた。 一応俺は漫遊寺で習った技術を使って風丸に襲う痛みを取り除いた。 しかし容態はよろしく無い。 これは病院に行かないとダメだな。 試合続行は厳しい。

 

だが…

 

 

 

「俺が……出るッ! 俺が…雷門の突破口を作らないとッッ!」

 

 

「落ち着け、染岡のように片足が麻痺しているんだ。 病院でまともに動けやしない」

 

 

「嫌だ! 俺は諦めたくない! せっかくウイングとして大事なポジションを貰ったんだ! やっと俺が活かせる場所を手に入れたのに、こんなところで……」

 

 

 

心は負けていなかった。

 

でも体が追いついていなかった。

 

蹌踉めきながら立ち上がるその姿はあまりにも痛々しい。

 

 

 

「これ以上参加して、それでまた狙われたりして倒れてしまうなら次は円堂が倒れるぞ」

 

 

「!?」

 

 

「円堂はこれまで離脱してしまう仲間を見てきた。 今は皆から託された思いを抱えてる事で耐えているけど、幼馴染の風丸が倒れたらどうなる? 多分彼は無力な自分に苦しみ始めるぞ?」

 

 

「っ!」

 

 

「お前も大事だし、円堂も大事だ。 そして円堂は風丸の事が大事だ。 だからこれ以上無茶はして欲しくない筈だ」

 

 

「………じゃあ…俺は……結局…何も…」

 

 

「いやいや、まて。 そこで無力だと言うなら俺は全否定するからな? そもそもあれはジェネシスが真・帝国学園の様にイかれていただけだけの話だろ? てか一人対多数の攻撃だぞ? そりゃいくら強くてもズタズタにされるに決まってるだろ。 だから弱くも無いのに自分が無力だと勝手な妄想で堕ちるのはやめてよね(切実)」

 

 

「だ、だがっ!!」

 

 

「まぁ落ち着け。 俺が一旦この試合を終わらせてくる。 このゴタゴタが終わってから風丸の思いを受け止めてやるさ。 安心しろ。 俺が風丸の在り方を変えたんだ。 だからちゃんと責任取らせてもらう」

 

 

「!」

 

 

 

俺は靴紐を結び直したあと、タイミングを見てほんの数分だけ奮闘してくれた目金と交代。 その時の目金の眼鏡にヒビが入っていたが、俺がまた直ぐに来てくれること信頼していたようで、絶望な顔ではせずフィールドの中で自分が無力でも堂々と立ち向かい続けていた。 そして、少し泣きそうな顔になりながらもその目はまだ闘志を失われておらず、交代を譲ってくれた。

 

 

 

「は、破和土さん、お願いしますっ」

 

 

「良くやったぞ目金。 その3分間はお前の有志だ。 その眼鏡に入ったヒビは強者に立ち向かった証だ。 漫遊寺の聖者が言うのだから間違いない」

 

 

 

フィールドに戻ると雷門メンバーの表情が少しだけホッとしたように見えた。

 

円堂も俺が戻ったことでグローブのマジックテープを締め直し、皆に喝を入れる。

 

でも本当は俺じゃ無くて豪炎寺が戻ればどれだけ皆んなに安心感を与えれるだろうか?

 

それだけは本当にわからない。

 

 

 

「そうだお前ら、瞳子監督の指示だ。 ボールを受け取ったらその場でロングシュートで決めるように。 不慣れでもその場でシュートしろ」

 

 

「「「!?」」」

 

 

「この作戦の意味は負担を減らすためとのことだ。 この試合で離脱者を増やすわけにはいかないらしい」

 

 

 

俺は作戦を伝えると瞳子監督を見る。 すると小さく頷き「ありがとう」と伝えられたように気がした。 そしてこの作戦の意味を知った皆んなは瞳子監督から身を案じられ、大切にされていることを知ると少しだけ心に余裕が出てくる。

 

 

「やはり子供好きだなあの人」

 

 

これが監督としてあるべき姿だ。

 

選手を安心させるのが監督の役目だ。

 

間違っても常時ググれ監督なんかと一緒にならないな。

 

おれはとても嬉しいぞ。

 

 

 

「さて、風丸の件もあるけどここからどうしてやろうか…?」

 

 

 

もしここが裏FFIなら当然のように報復して敵プレイヤーを半殺しにしてやるけど、表の世界で輝かしく生きる雷門の子供達の前でやる訳にもいかない。 例え侵略者としてテロ活動してるジェネシスでも彼らは子供達だ。 やり方を間違ってはならない。 多少なり殺意が湧いたとしても決着の付け方を大事にしないと拗れに拗れるからちゃんと弁えないとね。 そもそも決着は俺が付けるのでは無く円堂守を筆頭に彼ら雷門イレブンがジェネシスを倒さなければならない。

 

だからその先に向かう彼らを守らなければ俺がここにいる意味なんか無い。

 

少しだけ無茶をしよう。

 

彼らが風丸にそうしてくれた様に、俺も選ばない。

 

今だけはそのつもりで…!

 

 

 

「もらった!」

 

「っ! 基秀!」

 

 

ウルビダからボールを奪う。

 

 

 

「烈風拳! お前にも烈風拳! ついでにお前にも烈風拳!」

 

 

 

周りで倒れてる雷門イレブンが巻き込まれると危ない。 俺は相手のフィールドでボールをキープしてアツヤを待つ。 しかしマークが強すぎて俺だけが孤立していた。 そして俺はジェネシスから総攻撃を受けていた。

 

 

 

「くらえぇや!!」

 

「断る!」

 

 

俺からボールを奪い取ったウィーズはその場からロングシュート…に、見せかけて胴体に攻撃してくるが、俺もそれをボレーシュートの容量で蹴り返す。 しかし重い! なんと蹴り抜いてウィーズに返すが胸元で難なくトラップされた。 ギラギラと笑うウィーズのフィジカルに俺はお手上げだ。 そもそもこいつゲームでも立向居のムゲン・ザ・ハンドを容易く突破するから普通に強い。

 

 

 

「ポー!おまえ潰す!」

 

「怨! 頭にきますよ!」

 

 

彼女の謎の口癖と俺の野獣の咆哮と共に接近。 するとサザンクロスカットで俺を焼き千切ろうとするので、そのたびにクイックドローでボールをカットする。 そこからロングシュートを行うがDFが難なく防いでしまう。 一応烈風拳でDFを妨害するけどイプシロン戦で見られているのか対策されていた。 その上体の大きなゾーハンあたりが烈風拳を踏みつけて防いだりしている。 サッカー選手としてやってる事が無茶苦茶だお前ら(おまいう)

 

 

 

「やらせませんよ?」

 

()りますねぇ」

 

 

"ライトニングアクセル"は確かに早い。 しかし動きが早い分大きく減速しなければならないのでそのタイミングと次のアクションを起こすための位置を割り出せば攻略は可能。 そのため減速する地点に飛び道具の烈風拳を置いてコーマを阻害する…が、相手は心理戦とトラップの名人だ。 それを読んで攻撃を回避する。 溢れたボールをこちらが回収するが相手はそれを見越して…

 

 

 

「「「シグマゾーン!!」」」

 

「ふぁ!?」

 

 

ジェネシスのDFが強固過ぎる! 危険を察知した俺はボールをその場に残して真上に回避する。 すれ違い様に受ける攻撃をなんとか凌ぐが、不意に体の自由が効かなくなる。 そして急に重力が襲いかかって空中から地面に叩きつけられてしまう。

 

 

「がはっ!?」

 

 

呼吸するタイミングを間違って酷く咽せてしまうが殺意を真上から感じる。

 

 

「基秀ぇ! 基秀ぇぇ!!」

 

「あのパワフル小娘が…!」

 

 

重力で選手の動きを制限するグラビテーションと、真上から襲いかかるメテオシャワーの連携はまさに殺人的な技だ。 ただでさえ勢いよく降下してくるのに重力で勢いが増すとかやりすぎ案件。 回避困難な必殺技に俺は息を呑む。

 

 

そして爆風に巻き込まれた。

 

 

 

「基秀!?」

「アニキ!?」

「にいちゃん!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

無力だ。

 

そう思いながらベンチから見ていた。

 

自分は突破口を開こうと奮闘したがジェネシスの力に屈してしまった。

 

そして動けなくなった自分の代わりに皆が負担を背負い、次々と倒れて行く。

 

その中で一人だけフィールドの真ん中でボールを持って戦っている基秀の姿。

 

 

「すごいです!」

「ええ……」

「あれが聖者…」

 

 

マネージャーの3人がそう言葉をこぼす。 ジェネシスの一人一人は規格外の強さを待っているがそれら多数を相手に戦っている彼は互角かそれ以上で立ち回っていた。 間違いなく餓狼伝説の身体強化も合わせた彼の本気を今見ている。 しかし基秀も無限の体力を持ち合わせているわけでは無い。

 

これを耐え凌ぐには……酷だ。

 

 

 

「メテオシャワー!」

 

 

 

そしてとうとう基秀もジェネシスに葬られる時が来た。

 

 

ああ…

 

 

これがジェネシス…

 

 

 

 

 

 

 

 

「やんちゃが過ぎるぞ、お前ら…」

 

 

 

「「「「「!?」」」」」

 

 

 

基秀はメテオシャワーの餌食にはなっていなかった。 その上、ウルビダの着地を狩る様にサッカーボールを掠め取り、減速しながらヒールキックでサッカーボールを浮かせると真後ろに蹴り抜いた。 そのボールは振り向いたウルビダの胴体に直撃する。 悲鳴を上げながら吹き飛ばされるウルビダだが基秀はそれだけでは終わらなかった。 名の通りその手を緩めない基秀は烈風拳で立ち上がろうとするウルビダにさらに攻撃。 フィールドの外に弾き飛ばした。

 

目の前に転がってくる。

 

 

 

 

「ぐぅぅ……もとひ…で……おにい…ちゃ……ん…!」

 

 

 

「!!??」

 

 

 

いま、何と言ったこの宇宙人は?

 

不意に周りを見渡す。

 

しかしベンチメンバーでは自分以外は聞こえなかった様だ。 たまたま地べたで這いつくばっていた自分だけが聞こえていたらしい。 それにしてもいま「お兄ちゃん」と言ったのか? 基秀と何か接点を持っているのかこの宇宙人たちは?

 

 

 

「ちぃ!!」

 

 

ウルビダは起き上がると直ぐにフィールドへ戻った。

 

何というバイタリティだ。

 

そこに女性も男性も関係ない。

 

 

 

「基秀ぇ!」

 

 

「うわっ!? もう戻って来やがった…」

 

 

 

基秀に『デデドン(絶望)』って謎の効果音が聞こえたのは気のせいだろうか? 激しい試合だから聞き慣れない音も聞こえるのだろう。 それを証拠にグラウンドはメテオシャワーなどの攻撃で凸凹になっているほどだ。 基秀のリストバンドも頬の汚れを拭うたびに汚れていく。

 

 

 

「だあ"あ"あ"あ"あ"!! しつけェェえぞテメェらぁぁあ!!!」

 

 

 

落ちて来たメテオシャワーを回避せず、むしろソレを蹴り返したりと基秀も規格外で対抗。

 

見たところまだまだ元気だ。

 

闘志は失われていなければ負けているつもりもない。

 

自分もあの様になれるだろうか…

 

 

 

なりたい…

 

 

 

強く…

 

 

強くなりたい……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さて、ここが原作アニメなら二重人格と化した士郎の狂乱故に前半の終了ホイッスルが鳴らず試合は終わりだが、ここでは前半が終了するまで試合が続いた。 しかしフィールドには円堂と吹雪兄弟だけが耐えて立っており、残りは倒れていた。

 

俺自身も倒れてないけどホイッスルと共に地面にペタリと座り込んだ。 いやー、キツいっす。 そして呼吸が定まらない。 ウルフレジェンドを見せるために餓狼伝説を行いそのまま継続していたがジェネシスの威力プレイに立ち向かうためその運動量は3倍以上。 裏FFIを思い出す様にジェネシスと闘争を繰り広げた。 特にメテオシャワー祭りとサザンクロスカットで上手に焼かれたりと身体中が、ああー!痛い!痛い! 痛いィ!! 何すんだヨォ!!

 

お陰で肺が「あぁ…イキそう…」って情けなくヒューヒュー喘いでるし。

 

それほどに今回は酷かった。

 

俺も一瞬だけレイジングストームで全部薙ぎ払おうか考えた。 何せ流星の速度で落ちてきた黒いサッカーボールを受け止めた超必殺技だ。 この必殺技ならメテオシャワー如きはどうってことないけどそれを行う暇も無ければ使う勇気もない。

 

何せこの技は仲間も巻き込んでしまう恐れがある。 時間を与えてくれるのなら威力を調整して理想的な範囲と火力で薙ぎ払うのだが、餓狼伝説での身体強化故にコントロールが上手く効かない。 そもそも俺の必殺技は闘気を乗せての攻撃なので餓狼伝説と言う強大なバフが乗ってる以上レイジングストームはとんでもない威力で放たれるだろう。 だから使えなかったし、その手段が無いからこそ今回の試合は苦しすぎた。 その上スーパーパワフルハイパーウルトラれいなちゃんがしつこくてもうムリぽ…

 

 

 

「はぁー、キッツ。 リンチだよリンチ。 何が面白いねんこんな試合」

 

 

「ほんま…に……な…」

 

 

 

倒れてるリカも本場の関西弁で同調していた。

 

しかし倒れてるディフェンス陣はピクリとも動かない。 雷門からしたらこんなのゼウス戦以来だろうな。 圧倒的な敵に叩き落されるってのは。 夕弥も慣れない試合でたおれてしまい俺の名を呼びながら魘されてる。

 

 

 

「それで? まだやるのかこの試合?」

 

「ズズズ」

 

「勝負あった…と、言っています」

 

「準備運動にもならなねぇな」

 

 

嘘つけぇ。

 

俺相手に本気だったろオメェら。

 

ここぞとばかりにイキんなや。

 

 

 

「はいはい、言いたいこと言ったら早よ帰れ。 グランが考えていたような友達サッカーにもならないから。 はぁ…キッツ」

 

 

 

俺はジト目でジェネシスを睨む。

 

今回は雷門にとってある意味良い授業になったけど、俺にとってはテロ活動に手を染めてる愚か供の集まりを見て大変気分は良くない。 瞳子監督もヒロトを見て心配そうに眺めているだけだった。

 

 

 

「ヒロト…」

 

 

「……円堂くん、またね…」

 

 

 

ヒロトも試合続行不可能と考えると特に何も手を加えない。

 

学校も破壊されないようだしこれ以上の被害はなさそうだ。

 

 

 

「………もとひで…」

 

 

ウルビダは終始俺を強く睨みながら何か述べると腕を組んでジェネシスメンバーと集まる。

 

黒い煙が渦巻くと彼らは陽花戸から去って行った。

 

そしてフィールドには雷門だけが残った。

 

 

 

 

「ぬわああああん疲れたもおおおおん」

 

 

 

まったくもって心地よくない疲労感とともにグラウンドに寝っ転がり、クッソ情けない声を出した。

 

 

 

 

「いや、大変じゃったな」

 

 

「いやいや、古株さんも大変でしたね。 あんなフィールドの中で審判して」

 

 

「いや、むしろ破和土君が注意を引きつけてたから比較的安全じゃったわい」

 

 

「まぁ、そのつもりできたし。 ともかくジェネシスの情報は集まっただろうから万々歳と言うことで」

 

 

「可愛い後輩を守るためとはいえあまり無茶し過ぎんじゃないぞい」

 

 

「何言ってるんですか。 歳もそう若くないのに日本中を運転しながら雷門イレブンのサポートを続ける古株さんに比べたらどうって事ないですよ」

 

 

「こらこら、将来がある若者が時代の終わった老ぼれ如きを気にし過ぎるな。 自分を大事にせい」

 

 

 

古株さんと軽く言葉を交わしながら俺は起き上がり、倒れてる雷門メンバーの頬を叩いたりして目を覚まさせる。 試合を見守っていた陽花戸中の選手もジェネシスが去った後を見計らって、倒れている雷門メンバーに肩を貸して起き上がらせていた。

 

俺も夕弥を背負って瞳子監督の近くまで歩く。

 

 

 

「彼らにとって過酷でしたね。 まだまだ上のランクがあって、あんな風に壮絶な力があるとは予想外でしたし」

 

 

「ええ、本当にね……」

 

 

 

マネージャーも当然だが、瞳子監督もどこか疲れ切った顔をしていた。 試合を見守る側も精神的に疲労が半端無いだろう。 そしてロングシュートによる作戦が上手くいって良かったとホッとしていた。

 

 

この作戦の意味だが、とても簡単な話。

 

ボールを持っていると風丸のように狙われるからだ。 なら一体どうしたら良いのか? それはボールを手放す事だ。 そうすれば狙われないで済むからだ。 その時、味方にパスするのではなくて、とりあえずシュートするつもりで相手陣地に蹴り飛ばす事で被害を減らすのだ。 だからあまり考えずにロングシュートしてもらう方が生存率が高いのだ。

 

瞳子監督は怪我した風丸の事を考えてこの作戦を提案した。やはり瞳子さんって奇妙な作戦思いつくけどちゃんと意味あるものを思いつくから有能だよね? 意思共有足りないだけで。

 

しかしロングシュート作戦はあくまで『プレイの権利を即座に捨てる=被害を受けないように遠去ける』って事であるが、実の所完璧ではない。 ジャッジスルー系があるようにドリブル技で相手が痛めつけてくる可能性もあった。 その時は俺が全力で阻止するつもりだったけど、ここで一つ美味しい展開に恵まれた。

 

ジェネシスの中央でチューブ役としてMFを務めるウルビダが俺に対して異様になんか攻撃して来るからだ。

 

反抗期かな?

 

パパ悲しい。

 

それでボールを受け取れば毎度のごとくメテオシャワーで意図的な攻撃してきたのだ。 衝突回数が多いのもそのはず。 俺とウルビダは同じMFであり中央に位置づく。 鬼道や一ノ瀬も中央寄りなポジションだけど、基本的に前線に上がって貰うからウルビダとの衝突は少ない。 そのため必然的に俺とぶつかることが多い……てか、ボランチやってると基本そうだからね。

 

まぁ終盤は餓狼伝説のゴリ押しで鬼道や一ノ瀬を後方に置いて敵陣で戦ったりとした。 そんな感じに俺が良く狙われてる流れができたので周りのメンバーには被害があまり行き届かないのだ。

 

いやでもしんどかった。 ぶつかれば粉々になるかもしれない大きな落下物が流星の勢いで落ちてくるのだ。 しかも着弾すれば爆発して逃げ場すら失うという恐ろしい技。 もうやだ。 メテオシャワー怖スギィ!

 

 

さて…

 

 

 

 

「円堂」

 

 

「破和土先輩…」

 

 

 

地面に座り込んで項垂れていた雷門のキャプテンに声を掛ける。

 

円堂の中で様々な感情が巡っているのだろう。

 

 

 

「今回はあまりにも敵が強すぎた。 アレに追いつくのは大変だな」

 

 

「……」

 

 

 

意気消沈してるのか反応が薄い。

 

 

 

「……ショックか? ヒロトが宇宙人で」

 

 

「……っ」

 

 

「まぁ、普通はそうだよな。 仲良くなれると思った友達が、地球の侵略者だったら、そうなるよな」

 

 

「……」

 

 

「まぁ、でも、それはお前だけじゃないさ…」

 

 

「え…?」

 

 

「俺も円堂と同じように……あの中にいるからな」

 

 

「!!?」

 

 

 

 

沢山だ。

 

 

円堂よりも沢山だ。

 

 

円堂がショックを受けたよりも沢山受けた。

 

 

けど今の俺たちは止まってはならない。

 

 

 

「まぁいまはそんなことどうでもいい。 それよりも円堂ォ!」

 

 

「!!」

 

 

「そんな情けない面をするな! お前は雷門のキャプテンだ!! 思い出せ! お前よりも傷ついた奴がいるだろ! それに豪炎寺って奴がいない間はお前が熱を失ったらダメじゃないのか! こんなところで止まるんじゃねぇぞ!」

 

 

「!! ……ッ……ああッ!! その通りだ……アイツが戻るまでは俺たちは戦わないと!! くっ…みんなぁぁ!!」

 

 

 

そう言って円堂はヘッドバンドを整え直してフラフラ立ち上がるメンバーを励ましに行った。 流石、立ち直る速さはピカイチだな。

 

 

 

「…」

 

 

 

だがもしここに俺じゃなくて、豪炎寺がいたら円堂を支えていただろうし、もしひどくなったらファイアートルネード治療で絶対完治させていただろう。 やはり、俺には豪炎寺のようなメインキャラの活躍はできないな。

 

でも、今俺がなんとか出来るような人物があるとしたら……

 

 

 

 

「風丸」

 

 

「破和土…さん…」

 

 

「強かったな、アイツら」

 

 

「……」

 

 

 

風丸は何も言わず、ボロボロになった陽花戸中のフィールドを眺めていた。

 

そして痛んでいる足を支えながらベンチから動けずにいた。

 

 

 

 

 

 

 

つづく





ゲームでは試合中におでん(全回復)を食べれるくらいだから
試合中に神のアクアくらいどうって事ないよな!!(脳死)

…って事、リストバンド装着からの大胆な伏線だったが、神のアクアを摂取した基秀はジェネシスクラスの選手を多数相手に互角以上で立ち回れるらしい。 強すぎだろコイツ。 しかもこの代物を裏FFIに持ち込む帝国学園の選手もかなりイカれてねますね。


ではまた
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