〜 福岡 〜
風丸は病院でジェネシス戦での怪我を見てもらった後、湿布などで痛みを取り除くための薬品を貰って絶対安静を言い渡される。
しかしその時の風丸は医師に「ありがとうございます」以外で言葉を発さず、常に黙り込んでいた。 ジェネシス戦での無力な自分が許せなくて、最後まで戦うことが出来なくて、悔しくて、悲しくて、それは仕方なかった…
そして病院から帰る途中、埠頭から顔を出している夕日を眺めて足が止まる。 大きく照らされる夕日に比べてあまりにもちっぽけな自分は宇宙から来たエイリア学園に侵略を受けて、それで終わってしまうのだろうかと不安を背負っていた。 その顔は優れない。
今は彼を元気付けよう。
「風丸、氷砂糖舐めるか? 元気になる上に強くなれるぞ」
「……そんなのは良いです」
「いや、コレ本当だから」
「……からかわないでください。 飴一つ舐めて強くなるなら苦労なんて…」
「だってこれ【神のアクア】の成分を混ぜた氷砂糖なんだぞ? 強くなれるし元気になれる代物だ」
「だから氷砂糖は要らな…………は? いま、何と言いました?」
「"神のアクア"を混ぜた氷砂糖」
「……」
「……」
「……!?!?」
「お、いいリアクション。 元気になったか?」
「ご、誤魔化さないでください! それより今、神のアクアって言いましたよね!? どう言う事ですか!?」
「いや、なんと言うか裏のFFIやってるとこんなモノも手に入るんだよ。 入手先としては裏に参加したとある帝国の選手が影山の目を掻い潜って神のアクアを持ち込んだ。 ソレは試作品の代物だったけど効果は本物と同じ。 そんで試合中にうまく摂取する方法を考えたんだ。 そしてその方法とは…コレだ」
リストバンドを外して裏返す。
裏側には小銭を入れれる程度のポケットが付いていた。
その中身を取り出す。
氷砂糖が数個入っていた。
「珍しくリストバンドを付けていたのはこう言う事だ。 それで氷砂糖をリストバンドの裏に隠している状態で試合中に頬の汗とかを拭うときにこっそり『ペロリ』と口に放り込んで『息を飲む』フリをしてコレを摂取する。 面白いだろ?」
「なっ…なっ!」
「今回も効果は絶大だった。 お陰でグラビテーションの重力拘束からメテオシャワーを放たれた時も神のアクアで
「……」
「つまり俺は餓狼伝説の身体強化だけじゃなくて、神のアクアによる神体強化も行っていた。 つまりドーピングと変わらないんだよ。 今回は使う必要があると思ったから試合でリストバンドを付けた訳だ。 用意しておいてよかった」
「神のアクア、なぜ、あなたが程の人が…」
「幻滅した? まぁ、別にそれも構わないさ。 俺は俺のやれることをやってお前らを守れる様に立ち回るまで。 非道だろうが邪道だろうがそこに聖者は関係ない。
鬼道とかは分かっている筈だ、俺がそうである人間性を。 神のアクアを使っている事は知らないだろうが今回もなぜあんなに動けたのかと聞いてくる筈だ。 その時に神のアクアを使用した事は告げるが、それでも鬼道は「そうか…」と理由に納得してそれだけだろう。
そして鬼道は分かっている。 雷門イレブンは純粋な力でジェネシスを倒さなければならないことを。 それを証明しなければならないことを。 だから雷門イレブンになりきれない俺のやる事なす事に干渉はせず、ただ引き出しの多い存在として付き合うだけ。 そう、俺はその程度。 そして俺もそうであることを理解している。 だからドーピングのために神のアクアを使うことに躊躇いはない。
『雷門イレブンに所属する基秀』ではない。
『雷門イレブン と 基秀』なのだから。
「やはり……神のアクアが有れば」
風丸は神のアクアの利用を考える。
でも…
「いや、お前には神のアクアは使えないな」
「!」
「円堂の気持ちを裏切れないお前が神のアクアに手を出せるわけないだろ」
「っ……!」
それこそエイリア石で心を塗りつぶすくらいにしないと彼は手を出せないだろう。
「だろ?」
「……ああ、そう…かも、な」
神のアクアを欲してしまいそうな自分の弱さに絶望してるのだろう。
風丸の目から光が消えかかっているのが証拠だった。
そして弱気になっている彼はゆっくり弱音をこぼす…
「自分は…そもそも強くないみたいだから、円堂の様に真っ直ぐはなれない。 だからと言って手段を選ばないで戦える破和土さんみたいになれない。 俺は半端者だ……弱いんだ」
「いや待て、それは否定する。 そもそも今回はジェネシスが強すぎただけの話だろ? 俺も集中砲火に対してドーピングしなければならないほどだった。 てか風丸だけじゃなくてみんなズタボロにされて、それで後半に突入せず前半だけで試合終了だ。 敗北した痛みは皆んな平等なんだよ? お前だけじゃない」
「っ、だけど! 俺はウイングとして雷門の突破口を作る役目を得たのに何も出来なかったんだぞ!? 敵が強かったなんて言い訳にならない!! 敵が俺たちより強いからこそウイングは必要なんだ! なのに! なのに……なのにっ…」
「まったく…責任感強すぎて仕方ねぇ奴だなお前は」
風丸の頭を軽く撫で、ポンポンと肩を叩くと埠頭のガードレールの上でバランスを取りながら立つ。 大げさに手を広げながらポーズを取り風丸に注意を引かせる。 そしてビシッと目の前に指を立てて言い放つ。
「一つ教えて置くけど、風丸と同格の速さを持ち合わせる吹雪士郎よりも今回のジェネシス戦でボール保持率が高かったの知ってるか?」
「ボール保持率?」
「言わばどれだけ足元でキープしていたかだ。 それについてなんだけど、風丸が試合から離脱するまでは、偶然にも吹雪士郎と同じ回数ボールが行き渡っている。 その時、ジェネシスから奪われるまでのトータル時間の中で風丸が一番長いんだよ。 ボールを受け取った回数が多い鬼道よりもな」
「!」
「これってさ、どれどけボールに食いついてるかのポテンシャルに関係するわけよ。 自分よりも圧倒的に強い敵から守り続けるってのはめちゃくちゃ厳しい。だからパスをして繋げる。 別にそのやり方は愚行ではなく、むしろチームプレイを活かしたものだ。 でも個人プレイで敵を凌駕するのも必要な強さだ。 その中で今回のジェネシス戦では風丸が一番厄介だった話だ」
「俺が、一番?」
「おうよ。 なんなら、むしろこう考えたら?」
「?」
「ジェネシスにとって風丸って選手は厄介極まり無いプレイヤーだったから潰さないとダメだった。 それはつまりジェネシスはお前の強さを恐れていた事になる」
「!」
「成長した風丸一郎太はジェネシスにとって脅威になる。 その前に芽を摘み取ってしまおうと思ったんだ。 そう、風丸、お前は恐れられている敵なんだ」
後方で「ザバーーン!」っと波が打ち付けるから『今明かされる衝撃の事実ゥ!』って感じに演出されていた。 でも今の風丸が強いのは事実だ。 皆はそれを理解している。 点取屋のアツヤと同じくらいに頼もしさを兼ね備えている。
「それってなかなか光栄だろ? 怪我したのは痛い話だけど危険視されるほど君は強いってわけだ」
「……そんな事、あるのか?」
「ある。 俺と同じで集中砲火受けた。 それはお前が強いからだよ。 結果的に俺もお前もジェネシスからボコボコにされた仲だ。 どう? ぶっちゃけ励みになった?」
「…は、励みに…って」
「そりゃ風丸は全然悪くないのにそんな風に深々と悩まれてもなぁ? 円堂のように強くないにしろ雷門にとって風丸は必要不可欠なんだってそれ一番言われてるから。 てか円堂の幼馴染なんだから豪炎寺がいない時はお前が円堂を助けろよ、このバカ丸だし一郎太」
「なっ!?」
「そもそも一番大変なのはキャプテンの円堂だろ? 雷門イレブンを設立するために集めた仲間が理不尽な出来事で病院送り。 信じあえる仲間を奪われて一番傷ついたのは円堂だ。 あの豪炎寺もいなくなり、グランを司るヒロトにも騙され、今回の試合の
「!!」
「お前も苦しいけど! お前以外も苦しくて仕方ない! お前も不安だけど、みんなも不安だ! けど泣言を堪えて戦う。 それは何故か? サッカーを侵略の道具として扱う奴らに屈することを嫌がるからだ。 風丸もサッカーの世界が汚させることが嫌だから怒りを持っているからこのイナズマキャラバンに乗り込んで福岡まで来た。 風丸、お前はここでおしまいでいいのか? 本当にいいのか? 本当に本当に本当に良いのか?」
「っ、俺は…」
「前にキャラバンの中で教えてくれたよな? 陸上部の自分が雷門イレブンに加入したのは『勝利の女神が微笑むのは諦めない奴に送られる』なんだって、そりゃ楽しそうにお話してくれただろ? 精神論の一つだけど、俺はそれを志して自分よりも強い世界へ戦いに挑むのはすごいことだと思うぞ? だからさ、今のところ雷門で一番弱い栗松や目金のことも軽蔑なんかせずに凄いと思ってる。 そんで俺は知っている。 またはテレビで見たさ。 インターナショナルの際、神のアクアのドーピングで強くなった世宇子中を相手にしても、勝利の女神は雷門イレブンに微笑み、偽物の神を打ち破ったってさ」
「……勝利の女神…」
「それは、諦めない心を持つ奴に?」
「微笑む…だ」
俺はガードレールから降りて風丸の目の前に立つ。
夕日は随分と落ちてきたがまだまだ綺麗なオレンジ色が海を彩っている。
「今は怪我したことで自分らしく無く、少し弱気になってしまってるだけだ。 もし怪我が治って万全な状態でサッカーできるようなったら、いつものように円堂らしく根性バカな練習するに決まってる。 そうでなきゃお前は烈風ダッシュなんか覚えなかっただろ。 それに俺は風丸のすごいところを見てるし、頑張り屋で、それでいて努力家であることも存じてる。 俺よりも強い奴に会いに行く眼も知ってる」
「……うん」
「だから、またサッカーボールを転がせるようになったら、ジェネシスを捻り倒せるほどに強くなろう」
「……」
「大丈夫、最初はジェミニストームの速さに追いつかなかったけど、最後はその足で追いついたろ? それは何故だかわかる? 理由は___」
「勝利の女神は諦めない奴に微笑んでくれた……だからですよね…破和土先輩?」
「円堂が大喜びする答えだ。 さすが雷門イレブンだな」
俺はギュッと抱きしめて頭を少し強めに撫でてやる。
てか男性のくせに髪の毛サラサラやん。
女性の敵だな。
「や、やめてくださいよ先輩。 そんな子供扱いな…」
「まだ子供だろ。 俺から(中身既におっさん)したらまだまだヨチヨチ歩きな小鳥だ。 夕弥にもこうやって慰めて元気づけていた。 もちろん漫遊寺の可愛い後輩もこうして励ましたさ」
少しして解放する。
そして風丸の表情を覗き込むと柔らかになっていた。
うん、風丸のメンタルケアはこんな感じかな?
まぁ、仕方ないよね。 彼らは立派だけど紛れもなく中学生の子供達。 まだ法律で守られるべき未成年なんだ。 感情が激しく上下して、それでうまく処理できない未熟な生き物。 だからこうして先人が差し伸べてやらないとダメなわけだ。 そしていつしか自分に自信を持って歩んでくれるなら俺はすごく嬉しい。
だからエイリア学園のお日さま園の子供達も…
これが全て終わったら…
いや……
それはまだ頭に考えるべきじゃない。
今は怒りを持って愚かどもを叩きのめすつもりで挑もう。
それが加入した意味なんだ。
「破和土さん」
「はい?」
「ありがとうございます」
「お礼は言うな。 俺はドーピングで切り抜けた卑怯者だ」
「でも皆を守るための手段です。 流石に驚きましたけど、でも軽蔑はしません。 あなたのお陰で脱落は…あ、いや、自分がそうなりそうな人ですね。 ははは…」
「若いから傷なんですぐ治るさ。 後は心が負けなければ風丸は大丈夫」
帰り道の海沿いに公園がある。
自販機にお金を入れて飲み物を購入して風丸に渡した。
一息しよう。
「さて、これ飲んだら陽花戸中に帰るか。 風丸がジェネシスに負けたショックでグレてしまい、夜の街の路地裏を疾風ダッシュで徘徊して居なくなったと思われても仕方ないし」
「いや、それは無いかと…」
「お、そうだな。 じゃけん肩車して帰りましょうね〜」
「いや! 待ってください! 自分で歩きます!」
「んじゃ、おんぶが良いか?」
「こんな歳になってそれは遠慮したいです!!」
「なーに言ってんだよ。 今回のジェネシス戦で倒れた時、俺がお姫様抱っこで姫丸をベンチに運んだんだぞ? 今頃だな」
「それとこれとは話が違いますから!」
おちょくることでそれなりに元気になりだした風丸を見て大丈夫だと言うことが理解できた。
しかし"風"か…
あ、そうだ(唐突)
「風丸、一つこんな話してやるよ」
「?」
「風丸は【風林火山】って言葉を知ってるよな?」
「はい。 …ええと、それが何か?」
「その用語を扱われている『属性』ってやらが密かに存在する。 あまり意識しなくていいけどその存在を追求すると結構ややこしい仕組みに気付くんだ」
「?」
「まず風林火山にはその個人に秘められた属性が存在する。 例えば円堂守は『山』だな」
「山?」
「なんかアレだよ。 山のどっしり構えて、泥まみれになっている根性バカな辺りがなんか山っぽいだろ?」
「ぷっ、あははは。 確かに、山だ」
「それで一ノ瀬だと『林』だな」
「林か。 うん、なんかそんな感じがする」
「なら一つここで問題だ。 豪炎寺は風林火山の中で何を指すと思う?」
「豪炎寺? ええと…」
「さっきのようにイメージで構わない。 なんなら名前から想像しても全然構わない」
「そうなると『火』ですかね?」
「そうだな、その通りだと…思う」
「お、思うですか…」
「だってあまり意識しなくていいからな。 でもな、この風林火山については漫遊寺の古典に書かれていた内容なんだよ」
「え?」
「大昔の事だけど、風林火山の属性が一人一人に決めつけられていた。 そして己にあるその属性を意識して己の強さを追求していたんだよ。 今で言う"ゲーム"にあるようなシステムだよなな? でも、それが存在してた…と言うか、意識されていたと行った方が良いな」
「意識ですか…」
「でもその存在に左右されず、己が追求すべき先へ進むために風林火山によって縛られていた決め事はいつしかパタリと失った。 まぁ本当に昔の話だから今はそんなの聞かないし、今でも風林火山による属性なんか本当に存在していたのかも不明な空絵な話で終わっている。 だが…」
「?」
「少なからず風林火山の属性ってやらによって、自分の強さに左右されてしまう事は今の時代もありえなくないぞ」
「なっ、そ、そうなのですか!?」
「ああ。 それで少しだけ話を飛ぶけど、君たちが扱う『超次元必殺』にも風林火山による属性は存在すると考えている良い。 そうだな……例えば『ファイアートルネード』はなんだと思う?」
「見た目からして『火』ですね」
「だな。 なら『ザ・タワー』はどうだ?」
「と、塔子の技ですよね? ええと……塔のように
「と、思うじゃん? あれは『風』だと思うんだよね。 ザ・タワーによる雷は空から撃ち出される一撃だ。 空って、その…か、風じゃん?」
「なんでそこで自信なくすんのですか…(困惑)」
「じ、実際はそこまで俺だってよくわかってねーんだよ! ザ・タワーはともかくファイアートルネードは火属性だって火を見るより明らかじゃん! いや、まんま火ですけども!」
「あ、はい」
でもザ・タワーはなんで風なんだろうね?
雷系を扱う技は大体『風』の認識でいいのかな?
多分何かしらあるでしょう…
「じゃあそうだな。 風丸が扱う『しっぷうダッシュ』はどうだ?」
「しっぷうダッシュですか? おそらく『風』?」
「うん、疾『風』だからね。 そこは間違いないと思う」
「俺もそう思います」
「なら風丸"自身の属性"はどうだ?」
「俺ですか? うーん、なんかこう、恥ずかしいような。 でも、属性で表すなら『風』だと考えます」
「うん、そうだと思う。 吹雪士郎と同じように風だと思う。 てか動きが素早い系の大体は風だって認識だな。 古典にもそれらしき文が書かれていた」
「そうですか。 それでええと、この話の先はどうなるのですか?」
「風丸は『風』属性であり『風』属性の『しっぷうダッシュ』を扱っている。 風丸自身とその超次元必殺は同じ相性なので非常に良く噛み合い技の強さが高まると考えていい。 これは古典に『属性一致』って書かれていた。 自身の持つ属性と全く違う属性の技を使うよりは同じ物を扱った方が良い話。 ここまで良い?」
「は、はい」
「なら『風』属性の風丸がこの先、新たに覚える超次元必殺は『風属性』が良いのだが、必殺技はそう簡単にあみ出せない。 その者にものすごい資質を秘めているなら、俺のようにアレコレ手を出せるけど…風丸はどうだろうか?」
「!」
「風丸は走る速さも関係してるため『烈風ダッシュ』を覚えることができた。 烈風ダッシュはしっぷうダッシュの上位互換のような技だから風丸には取得可能な必殺技だ。 でもなその烈風ダッシュは実は『火』属性なんだよ」
「!!?」
「強い技であるが風丸にとって属性一致しない属性不一致な必殺技なんだ。 それならしっぷうダッシュを極限に極めた方が強いのではないか? そう感じられる」
「なっ…そんな…」
「最近練習してる『ぶんしんディフェンス』もだがらあれは『林』属性の技だ。 漫遊寺の卒業生にそれを使う人が身近に居たからな。 俺はよく知ってる」
「なに!? バカな!!」
「林属性はやや厨二病なイメージと少し闇の香りがすると言うか……まぁ"忍者"のようだったり林のように"分裂"することが多いな。 それが正確とは言わないがともかくぶんしんディフェンスについては『林属性』な技だと見ている」
「っ…」
「そうなると、ここまで風丸が習得してきた技は殆ど属性不一致が多い。 れっぷうダッシュ、ぶんしんディフェンス、ほのおのかざみどり、ってな。 どれも風丸の風属性に合わないものだ。 そして一致してるのはしっぷうダッシュのみ。 でも初期に開発した貧弱な技だ。 これではどうにもならない」
「なら、俺は一体…」
「俺は最初に言った。 風林火山はあまり意識しなくて良い存在だ。 でもそれが少しでも関わりあるならその強さに左右されてしまうだろうな。 そうなればその存在は場合によっては非常に邪魔で仕方ない」
「そんな…」
「活かせれば強い。 しかし風丸の現状だと足枷にしかならない代物だ。 厄介だろ? 風林火山って…」
「っ、なら…俺にあった風属性って必殺技を作れば良いだけの話だ!」
「まぁそうなるな。 でもそれは少しだけ後悔する羽目になる。 もし習得したその必殺技がまた自分の属性と噛み合わない不一致なものとしたら、どうする?」
「っ」
「強い技になったのかもしれない。 でもそれのせいで敵に追いつかないのなら、作った意味が何も無い……無駄にしてしまうだけだ」
「ぁ…」
風丸はせっかく元気になったその表情はまた少し暗く沈み始める。 夕日も落ちて暗くなっているから尚その暗さが増している。 俺たち二人の日陰だけか伸びていた。
「さて、この話をしたが、風丸はいま練習中ぶんしんディフェンスは諦めようとしている?」
「破和土さんが俺と合わない属性不一致な必殺技だとしたら、なんの意味も無いのだから作る意味も…」
「そう思うよな。 効率性を考えるなら俺は開発を中断して別のを使うね。 でも一時的に即戦力になるなら開発もアリだ」
「ですが! 最終的にジェネシスへと追いつかないとなら!俺が今やってることは全くもって意味をなさないじゃ無いですか!」
「でも途中でプロミネンスが存在する。 そのプロミネンスを倒すためにはぶんしんディフェンスは必要かもしれないな。 まぁ、その必殺技も戦力にならなくなるかもだが」
「くっ、なら、俺は一体…何を…!」
「君の速さは利点だ。 風のように軽やかで素早い力は利点だ。 それに特化した能力は非常に強力だ。 でも……それすら邪魔になる。 肉体労働な体育会系が、室内でおとなしく事務作業をしてるように噛み合わず、そのまま不燃焼で終わってしまうこともありうる」
「……」
「そんなことに囚われると、堅苦しいやり方に溺れ、いつしか自分の味を活かせずにつまらなく終わってしまう。 だから風丸にこの話を持ってきた」
「ぇ…?」
「俺は風林火山による属性不一致に関してとある修行をして克服したことがある」
「え?」
「それは自分に特化した部分を残したまま、属性に囚われないようにするための力を得ることなんだ」
「囚われ…ない?」
「風林火山……聞いたところ、これらの属性っては四つ存在している……が、実はもうひとつだけ存在してるようで存在の意味を消した"もう一つの属性"が存在するんだ」
「ど、どう言うことだ?」
「俺は風林火山の表すなら『山』属性だ。
しかし俺が扱う必殺技は…
『クイックドロウ(林)』
『あびせげり(火)』
『たまのりピエロ(風)』
『プレッシャーパンチ(火)』
『旋風陣(風)』
『バーニングキャッチ(火)』
『烈風拳(風)』
『疾風拳(風)』
『ビーストファング(火)』
『ウルフレジェンド(風)』など…
沢山沢山色々と超次元必殺を扱えるが
何一つ『山』属性の技ないんだよな、これが」
「!!?!」
「でもな、俺はそれらを安定させて使っているんだ。 それは何故か? 先ほど言った"もう一つの属性って"やらだ。 それを俺が風丸に教える」
「もう一つの…属性?」
「しかしそれは風林火山から属された長所を無くしたため、属性と言って良い訳ではない。 これはあくまで『囚われない』って事だ。 だから俺は山属性なんだけどそこに囚われない力を持つのさ」
「それは…! それはなんと言うんだ! 破和土さん! 俺に何を教えると言うのですか!!?」
「君はこんな"用語"を知ってるかな?」
____ 無属性 って 存在 を…
つづく。
風林火山の理論を持ち込んだ話でした。
基秀は山属性ですが山属性の技は一つも覚えてません。
全て基礎能力だけで敵を凌駕してます。
あとダークエンペラーズ回避ルートの風丸でした。
ここから原作は一気に崩壊へと進むぞ!
(もう壊れてるけど)
たぁのぉしぃみぃだぁねぇ??(ねっとり)
ではまた