出てくればかなり鬱陶しいキーパーでした。
そんな意味では存在が好き。
ではどうぞ
〜 静岡 〜
「破和土くんから紹介を受けた『門岡秀悟』くんで良かったかな? 私の名前は鬼瓦源五郎だ、協力感謝する」
「宜しくお願いします」
熱海駅に向かうと鬼瓦さんが使いそうな車を見つけた。 そしてその車を確認すると予想通り鬼瓦さんが中で待っていた。 俺は一日ぶりのコンタクトを取り、あと一人協力者として参加してくれる人物を待っていると其の者はすぐに現れた。
ガンダムXのように広がったその黄色い髪の毛が印象的だったのを思い出したが、まぁイナイレの世界の子供は色々と凄いから髪の毛程度じゃ驚きに値しないだろう。
それから車に乗り込み、門岡秀悟の案内で彼の家までやってきた。
「漫遊寺に訪問してきた時に焼き物職人の息子とは聞いてたけど、こりゃまた大きな家だな?」
「家は会社の一つとして立っているんですよ。 中に入れば事務所であり、小さな工場もあります。 僕の部屋は別の入り口からですけど」
軽く案内を受けながら大きな家の中に招かれ、少し裏に回るとごく普通の一般家庭が築き上げていそうな扉とポストが置いてある。 どうやらこの敷地の中に入れる場所は二箇所らしい。 一つが会社、一つが家のようだ。
「とりあえず鬼瓦さんはそこの空いてる場所に車をお願いします」
「わかった」
「ねぇ、基秀? 彼と知り合いなの?」
「まぁな。 知り合ったのが3年前でな、静岡までサッカーボール持って旅してたら彼と出会ったんだ」
「ふーん」
あれは確か、静岡のデパートでバザーが開かれていた。 規模は駐車場の半分を使うほどだった。 そこで焼き物を売っていた門岡秀悟を見かけたのが最初。 普通なら村人その3みたいな感じだけど、俺はどこか印象深いキャラクターだっ事を思い出しながらファーストコンタクトを取って挨拶をした。
しかし門岡はまだ小学生であり、その年齢で焼き物してるだけで同年代にバカにされたりと少し可愛そうだった。 しかし俺は門岡の作品の出来は素晴らしいものだったので賞賛を送り、並べられていた商品の三割を購入した。 タイミング的に京都に帰ろうとしていた頃なので、それをお土産として持ち帰ったのだ。
しかしコ↑コ↓で俺は門岡に『今度漫遊寺に来て焼き物を披露してくれ』と言って学校を教えて帰った。 彼は不安を抱きながらも夏休みに来てもらい、そして焼き物を披露してくた。 その時に披露して、完成させてくれた焼き物は今も家に置いてあり、お気に入りの丼として使っている。
その丼で食べる親子丼や、ほっかほっかのご飯の上に乗せて食べる味噌ナスは絶品だ、ありがとナス(料理も旨いダジャレ+114514点)
まぁそんな感じで夏休みの始まりあたりに毎年来てくれては新たに焼き物を造ってもらい、夕弥の茶碗も置いてある。 本当に出来が素晴らしくてね、いつしか静岡の熱海市でも彼の腕前は広がり、とある人は『神の手』なんて大袈裟に言っていた。
まぁ彼は凄いことになってる髪の毛に似合わず謙虚であり、否定していたけどたしかに門岡が手がける焼き物は絶品だ。
「しかし破和土くん、彼はどう言った協力者になるのだ?」
「門岡は『樹海』に詳しいと言った方が良いんですよね」
「樹海……富士に行く途中の森道か。 しかしそれはどう言う意味だ?」
「門岡は唯一日本の中で熱帯地である樹海に足を踏み込み、サッカーで体を鍛える事を日課としています……よね?」
「ええ。 父の跡を継ぐために焼き物職人を目指してる者としてとして、サッカーで心身ともに鍛えます。 丁度近くに樹海がありますのでね…」
「なるほどそう言うことか。 つまり門岡くんは樹海に詳しい訳だな?」
「そうです。 彼は樹海で約4年間サッカーしてますのでだいたい道順も理解してるらしい」
「そのかわり、何十回迷子になったか……ひどい時は3日は彷徨いました。 だがその時に、樹海の奥地で作業音が聞こえたらと何か変な奴らがうろついてました。 そのため怪しい場所として軽く目を光らせてましたが、今のところ危害は無かったので放っておきました」
「ふむ…」
「ええと、門岡さんはその後は無事に帰れたの?」
「秀悟と呼び捨てで良いですよ蓮池さん。 それで"樹海チーム"と名乗る軍団に案内されまして、それでなんとか帰還できました」
「ああ、あの日本最強のサバゲー軍団ね? ネットで調べるとなかなか面白い連中だったよな。 鍛える理由として始めたサッカーもそれなりに強いし、あれは良い『経験』になった」
サバゲーで培った能力はバカにできなかった。
ただの貧弱一般人ならすぐに根を上げてしまう樹海の奥地で鍛え上げた彼らは、生半可なプレイングでは勝つことができない。
それに世界クラスのサバゲーはバカにしてはならない。 サバゲーと言う名の激戦区で戦い続けてきた来た"そんな彼ら"とのサッカーは『得れる経験』が多いことは間違いないだろう。
「まぁそんな訳で樹海に潜り込む際は門岡の案内が必要です」
杏はエイリア学園の"研究所"に入るための道を知ってると思うけど、それは"正面"から入った場合の話であり、今回は裏口から入る作戦だ。
それで鬼瓦さんはその途中で行き来できるようにマーキングをして、後に警察や部隊が入れ込めるようにするらしい。 そうやって内部から一気に制圧に取り掛かるようだ。 もちろん正面からも突入させるが、本命は裏からの侵入だ。
え? 俺?
ジェネシスを除いて、お日さま園のアホども薙ぎ倒して目を覚まさせた後に救済する予定だ。
なんならイナイレ2のストーリーなんか関係なしに吉良星二郎を力ずくで無力化させても良いけど、恐らくそれでは解決にならない。 雷門イレブンがハイソルジャー化したジェネシスをサッカーで倒し、吉良星二郎に現実を見せつけて目を覚まさせなければならない。
またハイソルジャーと化したジェネシスの彼らには一から成長した雷門イレブンに"負けた"と言う事実を突きつけやらないとエイリア石から心を解放できない。 それは星二郎もグラン達もだ。 だから間違ったやり方でジェネシスを砕いても、心を解放できなくて復讐なんて考え始めたのならハイソルジャーになったその体で暴れられたりと面倒だ。 どんなに原作が拗れてもサッカーだけにゴール地点は間違えない事だ。
_
「あ、
「「「待て、今の音はなんだ??」」」
ダイヤモンドダストの試合が終わった様だ。
結果は雷門の勝ち。
しかも4-2で得点数が原作の倍だ。
まずアツヤが一人でウルフレジェンドを完成させていた。 一人で2人分の動きを賄えるようになったらしい。 だがそれよりも驚いたのはアフロディのヘブンズタイムの中をしっぷうダッシュで動いていた風丸の話は変な笑いが出た。 何事にも囚われない無属性は時間にすら囚われないようだが、風丸は『刹那ブースト』を覚えてるので極めて短い時間枠を動ける技術を持っているからヘブンズタイムに追いついてるのだろう。 多分俺も動けるはず。
「とりあえず今日は休みましょう。 本格的な潜入は明日からです」
「事件は早めが好ましいとも言えるが、今回の事に関しては慎重に行く他あるまい」
「わかりました。 それと今日から寝泊まりしてもらうにも部屋は二つしかありませんので、ご相談の上でお願いします」
「なら私は車で寝るとしよう。 二つはそれぞれ使いなさい」
「鬼瓦さん?」
「一応刑事だからな、色々と情報交換も必要なんだ。 聞かれてはならない事も含めてな。 あと車での生活は慣れておるから若い者は気にするな」
「……じゃあお言葉に甘えて使わせていただきます」
「うむ。 その代わり、明日は頼むぞ」
「はい」
「うん」
「では7時ごろにお夕食です。 それまでにリビングへ来てください。 お母さんが久々の客人と言うことで腕をふるいますよ。 静岡名産の緑茶を使った茶蕎麦や富士宮焼きそば、浜松餃子など振る舞うみたいなので楽しみにしてください」
「ぜ、贅沢すぎる!!
「お、美味しそう…」
「B級グルメか、楽しみだ」
いや、本当に楽しみだ。
やはり静岡は良いなぁ!
エイリア編のせいで恐ろしいところだけど!
「あと基秀さん、久しぶりにご相手お願いします」
「! わかった、荷物置いたら早速始めようか」
「??」
首を傾げる杏も興味を持ったのか後ろをついてきた。 そして門岡の脇にはサッカーボールを抱えていたことで杏はこれから何をするか理解したようだ。ほんの少し心躍らせている。
♢
「電車で体がなまっていたので丁度いいや」
俺は上着を脱いで動きやすい格好になり、靴紐を閉める。 俺と相対する門岡はキーパーグローブのマジックテープを強く締めると自分で作り上げた自家製のゴールの前に立ち、頭を下げると目つきを鋭く構えた。
「!」
杏は雰囲気の変わりように驚きながらも、彼の実力を見極めようとする。 自分より強い奴を許さないその性格はここでも現れるらしい。 少しだけソワソワしている。
ちなみに杏の格好だが大きい麦わらぼうしをかぶってる。 あとは普通のジーパンに長袖といったごく普通私服だが、シルクの白いワンピースを着せたらすごく可愛いらしいお姿になるだろう。 このゴタゴタが終わったらボニトナを演じるほのかちゃんと一緒に着せ替え人形してやろう。
「いくぞ、門岡」
俺は踏みつけるとその場でボールを逆回転をさせる。 要はミラージュショットの始まりと同じ。 そして手元にエネルギーをため、二発撃ち放つ。
「『ダブル烈風拳(シュート技)』!!」
「低空のシュート! なら!」
時空を捻じ曲げ、シュートを抑え込む。
「『ゆがむくうかん』!!」
烈風拳の衝撃波に纏われたボールは、歪んでいる空間に削がれ、勢いをなくして門岡の手元までコロコロと転がった。 そしてボールを受け止めると投げて渡してくれる。
「なるほどね…」
低空のシュートは手で受け止め辛い。 それなら触れずに止める発想から『ゆがむくうかん』を使ったようだ。 烈風拳の衝撃波も急に空間が歪むことで勢いが削がれてしまった。 そうなればあとは地面を転がるだけのボールに変貌。 うまく弱点を突かれたな。
「なら次いくぞ。 まだ未完成だが、これがあったからこその刹那ブーストだ」
「!」
ボールを上に浮かせると俺は大きく距離を取る。
そして姿勢を低くして、まっすぐ突っ込む。
「一歩音越え…」
足音が消える…
「二歩無間…」
雑念すらその場に置くような瞬影…
「三歩絶刀……!!」
姿を消したその瞬間、ボールはひと蹴りで『三回』蹴り抜く。 瞬きしたような短時間で収束されたその力は『ディバインアロー』や『刹那ブースト』と似たような現象を生み、急にその場から放たれる。
「『無明三段突き』!!」
「力を重ねてきた!? なら!!」
門岡は腕を引っ込めた腕をピストルのように撃ち放たれ、次々と連続でパンチを繰り出された。
「『ばくれつパンチ』!!」
ボールを殴る音が広がる。
強烈な三段突きと、細かく重ねたパンチ。
そして勝ったのは…
「ぐあっ!」
こちらのシュートだった。
「破和土さん大勝利〜! …ゴフッ!?!」
「基秀ぇ!?」
おえっ…
無理した…
吐血じゃないが胃液が少し逆流してる…
水を飲んで落ち着いた。
「なんでもやりますね、本当に…」
「ああ、使えると思ったなら何でもな」
しかしこの技、実戦だとチャンスがなかなか無い。 撃ち放つにも細かな制度も必要とする。 それなら誰も邪魔できない『刹那ブースト』や上空に逃げて安全に『あびせげり』を放つ方がまだマシだ。 比較的、安全に、余裕を持って、必ず発動できる! …そんな状況が作れないからこそこの技は『未完成』だ。
技が強くても出来なければ無理。
だってここはアニメやゲームのように敵さんは悠長に待ってくれない。
当たり前だよなぁ?
「基秀、私も蹴っていい?」
「門岡が良いと言うなら良いよ」
「構いませんよ」
「よし」
杏は俺と門岡の勝負を見て疼き出したようだ。
足首を回して怪我を防止すると門岡を見る。
「あ、ちなみにエイリアの必殺技禁止な」
「うぇ!?」
「あん? もしかして『ガニメデプロトン』でも使おうとしたの? そもそもシュートに手を使ってんじゃねーよ」
「「それダブル烈風拳した人が言う!?」」
「お、そうだな」
杏は麦わら帽子を取り、ブーメランの様に投げてきたのでパスっと受け止める。 そして杏は前髪をかき分けると本気の目に切り替わる。 自分よりも強い選手は許せない…彼女とは今日初対面の門岡だが雰囲気の変わりようを感じると彼も気持ちを入れ変えた。
「すぅぅ……ふん!」
彼女は足に炎を纏うとボールの下側を蹴り抜いてボールを浮かせる。 するとボールは太陽のように燃え盛る。 杏は体を捻るともう一撃を加え、ボールを蹴り放った。
「『ヘルファイア』!!」
彼女は原作ゲーム2ではバーンの代名詞である『アトミックフレア』を覚える選手だ。 その中で酷似しているのが『ヘルファイア』なんだけど、彼女はその必殺技を原作ゲーム3で覚えることができる。 しかし既に世界の技を使うか。
「ならば…『ゴッドハンド』!!」
「!?」
「はぁぁぁあ!!!」
バン!(大破)
シュルルルル……
「ゴ、ゴッドハンド!?」
「あ、鬼瓦さん、驚きました?」
「驚いたも何も、まさか響木や円堂の他に使える奴がいたとは…」
「まぁ世界はそれだけ広いって事ですよ。 とりあえず鬼瓦さん、彼も頼りになることがわかりました?」
「…ああ、そうだな」
たまたま通りかかった鬼瓦さんは俺たちの様子を遠くから見て少しホッコリしていたようだが、門岡の必殺技に驚いていた。
「っ、まさか止められるなんて…」
「そりゃゴッドハンドを使えるほどの資質を備えた人物だよ? 弱くないに決まってる」
さすが、樹海でサッカーをしてるだけある。
ゲームでも『門岡秀吾』と言う敵キャラは非常に面倒だったのを思い出した。 特にストーリ中なんか樹海で迷っているところを野良の敵キーパーとして現れ、鬼道のツインブーストや豪炎寺のファイアトルネードみたいに半端な必殺技を止めてしまうような奴だ。 ゴッドハンド使いが弱いわけない。
「それよりも門岡のゴッドハンドにも色がついたな? 金色じゃなくて"緑色"だな」
「ええ、そうですね。 いつのまにかこんな色になっていました」
「樹海の緑色に染まったんじゃない?」
「自分はカエルか何かですか?」
それから杏は悔しさに「もう一度!」と言って門岡と互角の勝負を繰り広げた。
彼女は最強のサッカー選手になろうにもまだまだ遠いな。
「ところで破和土さんもゴッドハンドは完成したのですか?」
「半分できなかった。 てか俺の場合だと力を"留める"ってやり方が苦手なようでな? 力を放出するようなやり方が板に付いてるらしく、ゴッドハンドのようなことはできない。 とりあえず、やってみせるとぞ? 『ゴッドハンド』っと!」
ドバーと、出してキタァ!
「ぶっ!?」
そしてまたまた鬼瓦さんが吹いていた。
「まるでゴッドハンドのバーゲンセールのようだ…」
長生きしてるとこんなこともあるんだな…と言いながら鬼瓦さんはこの場を去る。 これ以上ゴッドハンドの価値を落としてしまう事を恐れて去ったように見えたのは気のせいだろう。 でも原作ゲーム3では秘伝書扱いなうえに、漫遊寺で伝承すれば増えるぞ。 やったね!
「っと、消えちまったか…」
そして生み出されたゴッドハンドは留まりを知らず、まるで「止まるんじゃねぇぞ」とばかりに拡散された。 やかましいわ。 まず拡散するのを抑えてエネルギーを型に作らないとならないし。 しかもこれでシュートを止めなきゃならないだろ。
なにが「止まるんじゃねぇぞ」だ。
いい加減にしろ。
「あ、本当だ、消えちゃった…」
「な?」
「でも形は出来てますよ?」
「まぁ一秒二秒くらいは形作れるけど長持ちしない」
「そうですか…」
「でもね、完成させる方法はある」
「え!?」
「そうなの!?」
「まぁゴッドハンドと言えなくなるけどな」
緊張感を生むために俺は杏にシュートを頼み、門岡からグローブを借りてゴールの前に立つ。
「…本気でやった方が良い?」
「お好きに」
「じゃあ潰すつもりで」
「こえーな。 もしかして反抗期?」
「……やっぱり捻り潰す気でやるね」
いい笑顔で死刑宣告だが、俺は気持ちを切り替えて心臓に手を当てる。
円堂曰くこうすればエネルギーは貯めやすいからな。
「『ヘルファイア』!!」
杏の本気の本気シュートが迫ってくる。
ボールをまとっているその炎は豪炎と化し、言葉の通り俺を捻り潰すつもりで迫ってきた。
そして俺は手を上に伸ばして必殺技を解き放つ。
「ゴッドハンド…ォォ!!」
杏のヘルファイアを受け止める。 しかしまだ未完成な技は早い段階で壊れ始めようとしていた。 バキバキと崩れ始め、間もなく敗北する事を悟らせる。
「ッッ」
たしかに俺のゴッドハンド厚みが無い。 しかも金色でも無く無属性に比例してるのか透明な色であり全くもって安心感がない。 でも俺はこれを完成に近づけるために【ゴッドハンド】ってやり方の追求を別のやり方で考える事にした。
「まずは、こう!」
ゴッドハンドってのは真上に伸ばされたその"片手"から作り上げられる。
そしてそれを目の前に『神の手』として展開するのだ。
これがゴッドハンド。
いまやっている技。
「そして、もう一つ!」
理解してやるけど完成には至らない。 でも諦めきれなかった俺はまず考え直した。 そして無意識に掲げてしまっていた固定概念を一旦しまう事にする。 それは"原点"だから『まんまの通り』やらないとダメだと言う拘りを捨てて完成のために作り上げる。
それから俺ができると思われし必殺技を考えた。
"片手"から引き出すゴッドハンドは無理だ。
でも制度を上げるために片手では無くそれを『両手』でやればどうなるだろうか?
その結果ついに完成する事が出来た。
「ダブル!! 『ゴッドハンドダブル』だ!!」
「「!!」」
ゴッドハンドダブル。 それは両手でゴッドハンドを使う事で守備範囲大と威力を上げるシンプルなやり方。 帝国の必殺である皇帝ペンギン2号を受け止めた必殺技だ。
でも俺の場合『威力』を上げるためでは無く『精度』を上げるために両手を使うことにした。 このやり方でゴッドハンドダブルを編み出し、ゴッドハンドが完成することになった。
片手で足りないなら両手でやる。
円堂大介さんも言っていた事。
理論は単純明白で理にかなっている。
ダブル烈風拳も威力を上げるために重ね掛けているのと同じだ。
「止めたぞ」
「なっ…」
「す、すごいですよ! 破和土さん!」
名前はゴッドハンドダブル。
でも威力ゴッドハンドが"改"になったくらいだろうか? ともかく俺は『神の手』を作り上げることができた。 ゴッドハンドとは言えないけどな。 片手で放つからゴッドハンドなんだ。 俺は両手で使ったからゴッドハンドではなく、それを『ダブル』とつけなければならない。
はぁ……悔しいなぁ…
「基秀のゴッドハンド、灰色だったね」
「あと少しだけ大きい感じでした」
「もしゴッドハンドを完璧に扱える使い手なら、こんなのよりも大きな神の手になるよ。 もちろん門岡も可能さ」
「!」
「でも何で灰色なんだろうね?」
「さぁあ? 灰色人生に染まるほど青春時代を殺してるつもりはないけどな……多分」
「さらに言えばゴッドハンドは輝くというより濁ってるように見えたよ?」
「(どうやってフォローしましょう…)」
俺 は 清濁の聖者 だ。
鬼道すらもそう言っていた。
澄んでるけど、濁っていて。
正であるけど、邪でもある。
善でもあるけど、悪でもある。
正反対の気質を併せ持つ在り方をしている。
それがゴッドハンドに反映してるのだろう。
だから灰色であり、輝きすら感じない濁ったような手をしていたのだろう。
まぁ、それはそれでカッコ良くて。俺は気にしていない。
気にしてるのはそれを片手で出せないことだ。
「まぁいいさ、とりあえず俺のはゴッドハンドダブルとして、ゴッドハンドを出せるという事だ」
「破和土さんでも出来ないことあるんですね」
「全知全能じゃないからな、当たり前だよな?」
「…じゃあヘルファイアも?」
「頑張れば出来ると思うけど、ヘルファイアよりも強いシュート技あるから覚えようと思わない」
「じゃ、じゃあ、私もゴッドハンドが出来ると思う?」
「うーん、杏がねぇ…」
クララは原作ゲーム3でゴッドハンドX覚えるけど……さて如何かな? どちらかといえば杏はシュートタイプなのでキーパー技なんて無縁だろう。 それこそディフェンスタイプのクララだからこそアイスブロッくんのお株を奪うような強さと素質を兼ね備えていてゴッドハンド系を覚えた。
正直に言うと、杏は無理に等しい。
だけど…
「できるんじゃないか?」
「!」
「でもそれはエイリア石のエネルギーが体から全部消えた時だけどな、レアン?」
「!」
ゴッドハンドは何かに夢中になっていて使える技だと思う。 円堂やロココはサッカーが大好きだからこそ使うことができた。 門岡はチョット特別だけど、大好きな焼き物作りで磨き上げた『神の手』と称されるほどの技術があったからこそゴッドハンドに繋がった。 俺も理論と効率と理屈で作り上げたけど、まっすぐとした憧れによって完成させた。 適正でなくてもコツコツもたゆまぬ努力によって。
でも杏は……レアンはエイリア石の力を借りた選手。 そんな『インチキ』で強くなった彼女程度の人間がゴッドハンドを使えるとは思わない。 使いたい気持ちがあっても彼女の中にあるエイリア石が【心】を蝕んでいる。 それが拭えるまでは無理に等しいだろう。
だってゴッドハンドは【 神 の 手 】と呼ぶ。
侵略者を司っている彼女が使える訳がない。
「君は蓮池杏だけど、まだ君の中に【レアン】が残っている。 それを脱ぎ捨てれるまでは絶対出来ないと断言するよ」
「……」
辛い言葉を被せるがそれだけの事を彼女はしている。
だから彼女も否定できなかった。
これまで学校を破壊してきたのだから。
「最強のサッカー選手になる夢も"レアン"で強くなったんじゃなくて"蓮池杏"として強くならない。 そうでなければ周りも認めないし、俺もそれは同じだ。 だからそのためには…」
「エイリア学園を終わらせる…」
「そうだ」
ある意味『呪縛』のようなものだ。
これが終わらないと彼女の夢は始められない。
「全て終わった時が来たら俺は杏になんでも教えてやるよ。 ゴッドハンドでも、刹那ブーストでも、烈風拳でも、羅生門でも、最強の選手になるためにどんな技術も教えてやるさ」
「っ、うん…!」
俺は勝手にかぶっていた麦わらぼうしを杏に被せる。
「さて、今日はB級グルメを食べて寝るだけだからそれまで沢山余ってる時間は練習に費やすぞ。 門岡、今日はとことんやろう」
「はい! お願いします!」
「わ、わたしも付き合うからね!」
そして門岡の練習は続行される。
門岡のゴッドハンドは充分に精度を保ち、別の方に作り上げれる事を確認すると次は烈風拳の容量で放つやり方を門岡と共に試行錯誤する。 キーパー技なので杏にはシュートを放ってもらう役を受けてもらった。 たまに必殺技を使ってもらって緊張感を程よく確保しながら繰り返した。 鬼瓦さんもゴッドハンドのバーゲンセールに慣れてきたのか再び戻ってきて少し離れたところで眺めている。
「必殺技の『かえんほうしゃ』は全身を硬直させるだろ? しかし体の一部分を柔軟化させて拳へしなやかにエネルギーを送れる様にするのだが、それは『ゆがむくうかん』を放つ時の様に集めながら一箇所に留めるんだよ。 そして『ばくれつパンチ』を放つ時の瞬発火力を『ゴッドハンド』に込める感じ。 あとはしなやかに"捻る"ことだな」
「最後の"捻る"って言葉のイメージはできました。 焼き物作りと同じですね」
「正しくは"捻り込む"だけど門岡ならできるだろう」
「はい、やってみせます」
「よし、杏、頼んだ」
「わかった……行くよ!」
「!」
俺は門岡から離れて杏の隣に戻る。
そして杏はシュートした。
「すぅぅ……ッッ、うおおおおお!!」
樹海で鍛えられた足はグッと斜め上に伸ばされ、迫り来るシュートに対してグンッ!と地面を踏み込み、捻る様に拳を突き出す。 強く握り締められたゴッドハンドの"拳"が門岡から放たれる。 彼はこう叫んだ。
「せいぎのてっけん!!」
ドゴォォン!!っと、杏が放ったハイソルジャー並みのシュートを容易く弾いた。
「やりました!基秀さん!」
「やりますねぇ」
「ほぉ、これが聖者の
門岡は大いに喜び、鬼瓦さんも目を見開いていたが新必殺技の開発を目の当たりにしてほんの少し興奮していた。
「……ねぇ、基秀」
「どうした?」
杏も短時間で技の開発が成功したことに驚くが…
「一応これ究極奥義なんだよね? ゴッドハンドはともかく雷門イレブンの究極奥義をそう簡単に習得させて良いのかな?」
「良いんじゃない? むしろ簡単に習得されるその必殺技が悪い」
「えぇ…」
そもそも正義の鉄拳に関しては当時(40年前以上)のレベルで究極だと認識されてた訳で、現時点で"ロケットこぶし"とか似たような技が出回ってるのだから正義の鉄拳も習得は簡単だと思うんだよな。 拳を捻って放つんだろ? ゴッドハンド使えるようになった俺にもできるわそんなの。
あ、でも【ムゲン・ザ・ハンド】は無理。
アレは無理に等しすぎる。
無属性とか関係なしに習得できる気がしない。
5年くらい掛ければできそうかもだけど、だからと言ってやりたくない。
「そんじゃ、日も落ちてきたしここまでな」
「はい、浜松餃子のいい香りがしてきたのでそろそろ向かいましょう」
「とんでもない奴だな…」
「はい、わたしも…そう思います」
そんな感じに杏の呆れた視線を受けながら門岡と足取り軽く食卓に向かった。
あと夜ご飯が美味しかった(小学生並の感想)
つづく
FGOは未プレイだけだ純粋にあの技好きです。
サッカーで使わせてもらいました。
え? パクリだって?
それならイギリス代表のエドガーくんのエクスカリバーの時点でそう言ってください。
Q_雷門イレブンで好きなキャラは?
A_風丸一朗太
Q_エイリア学園で好きキャラは?
A_レアン(蓮池杏)
Q_スカウトで好きキャラは?
A_門岡秀吾
全て作者の趣味で出来上がってます。
キャラの贔屓があるけど別に良いですよね。
可愛いんですから。
ではまた