〜 富士 〜
「コ↑コ↓はどこら辺かわかるか?」
「エイリア学園のスタッフが使う食堂の近くだね。 早く隠れないと見つかるかも…」
「じゃあ、アレをまず見つけよう」
「アレ?」
「段ボール箱だよ。 アレは隠密行動に優れてる」
「はいはい」
段ボール箱は却下された。 むむ、伝説の傭兵はこれひとつで何事も凌ぐと言うのに。 まぁエイリア学園に段ボール箱が置いてるはずもなく別の手段で進むことになった。 その手段とやらは王道だがダクトを通って移動することにした。 人気のない小さな倉庫からダクトに入り込み、現在移動中だ。
「?」
声が聞こえる。
___もうすぐだな。
___ああ…
___あんなガキ想いな吉良星二郎とはおさらばだ。
___ヘッヘッヘ…
「…」
エイリア石大好き野郎である剣崎派の連中だろうか? ダクトから見下ろすとニヤニヤと酒を交わしていた。 もう既に吉良星二郎を切り捨てる計画は出来ているようだ。 でも残念ながら、鬼瓦さんがいるから無理だよね。 そんな訳で捕まることは確定だからひと時の勝利の美酒でも味わってろハゲども。
「杏、場所わかる?」
「任せて。 ええと、ここは左かな…」
彼女の後ろを付いて行く。
しかし後ろから視線を感じたのか…
「って、も、基秀…」
「?」
「あ、あんまり後ろ見ないでよ…?」
「あー、はいはい」
ダクトの中を進むために屈んで動いてるのだが彼女の小ぶりなお尻が目の前にある。 長ズボンだから下着が見えるようなことはないけどそれでも恥ずかしいのだろう。 俺は視線に気をつけながら
「…」
このエイリア学園内でなにか嫌な予感がする。
少し急ぎたい気持ちに掛けられるのは多分間違いじゃないのだろう。
♢
とある場所に、わたしたちは集められる。
「君達のお父様からの命令だ。 またあのカプセルに入ってもらう」
「「「……」」」
「君達はまだエイリア石の力が足りていない。 そのためアレに入ってもう一段階強くなってもらう」
「「「……」」」
最初のうちはなんともなく大人しく従ってカプセルに入っていたがここ最近はアレに入ることを体が拒み始めていた。
「それとも? アレに入ることを拒んでお父様のお望みを裏切るとでも言うのかな?」
「「「っ……」」」
研究員の言葉に私たちは何も答えれない。
それぞれ決められたカプセルの中に入り始める。
「兄さん…」
「愛、大丈夫だ。 いつものようにあのカプセルの中で眠るだけでいい。 そしてまた起きて、それでいつものようにみんなと食堂でご飯を食べよう」
「……」
私を妹だと忘れていない兄は優しく語りかける。
しかし…
「そこの二人、今は真名で呼ばなかったか?」
「「!?」」
「このエイリア学園にいる間は与えられたネームで呼ぶことがルールだ。 それを破った者はどうなるかわかってるな?」
そう言うと研究員は拳銃らしきモノを取り出し、私の兄であるアイキューに打ち込んだ。
「うあああ! がががああぁぁ!!!」
実弾では無いが打ち込まれると強い電気ショックが走る。
ここでのルールを破った者に与えられる罰だ。
「こうなりたくなければ早く入れ!!」
「ひっ!」
誰かが小さく悲鳴をあげる。
私はアイキューを助けようとするが、アイキューは苦しみながらも『大人しく従って!』と目で訴える。
「………」
昨日の事だ。
私たちダイヤモンドダストは雷門イレブンに立ちはだかった。 ジェネシスの称号を得るため、お父さんに褒められるためにもここで雷門イレブンを打ちのめしてポイントを稼ぐつもりだ。
でも私たちダイヤモンドと互角なプロミネンスが負けてしまったのだ。 しかも4-2と大量得点を許してしまい、圧倒的な敗北を突きつけられる。 もちろんリーダーであるガゼル様は勝つつもりで試合を行った。 でもプロミネンスと互角のダイヤモンドダストだから同じ結果になったのだろうか?
しかし屈辱なのはみんなの兄貴分…だった"基秀"はその試合に参戦していなかった。 それでも彼の不在にも関わらずこの結果だ。 代わりに地に堕ちた神が代わりに加入して、闇の戦士の異名を持つ選手と、ドラゴンを力にシュートする強面の選手も試合に加入していた。 更にベンチには戦力の細かく分析しようと帝国の参謀役までが雷門イレブンに付く有様だ。
それでも基秀の穴埋めにはならないし、彼には敵わないだろう。 けれど、それはつまり私たちは基秀抜きの雷門イレブン相手に多量の得点を許したと言う事なんだ。 ダイヤモンドダストは言い訳にもならない結果を生み出した。 そして悟った。 もう私たち"程度"では雷門イレブンに勝てない。
最初はジェミニストーム相手にズタボロにされていたチームだった。 しかし一ヶ月も経たない時間で日本最強のチームを作り上げ、高ランクの私たちを打ち崩したのだ。 エイリア石なんて反則技を使ったのにも関わらず、雷門イレブンは真っ直ぐとした極限的な成長を遂げてエイリア学園を倒して行く。
これはジェネシスも倒すだろう。
基秀も無しであんなに強いチームならば。
「……」
けど敗北した私たち程度の者が今気にする結果ではない。
今の私たちがこのカプセルに入って耐えれる事が重要だ。
このカプセルはエイリア石の力を注ぐ機械であり、ある意味ドーピングの様なものを施す恐ろしい機械。 別に体を直接ほじくられる事は無く、ただエイリア石の光を浴びるだけ。 それで強くなりやすい体に作り変える。 話では人間の体に枷られたリミッターを少しずつ外し、ハイソルジャーへ成長させやすい体に改造する仕組みだと聞かされた。 その"上限値"とやらを伸ばすために私たちは定期的に放り込まれていた。
そこからサッカーで練習すれば成長する。 今では小柄な私でも壁に向けて放ったシュートでヒビを入れることが可能なくらいになった。 確かな成長を感じ、そしてオトウサマに役立つヨロコビで沢山になる。 だから繰り返した。
最初は不安だったが1回目はなんともない。 2回も3回目も関係ない。 しかし回数を重ねた6回や7回辺りで体に異常が出始めてきた。 でも体がだるいとかそんな肉体的な異常ではない。 そして8回や9回の辺りで確かにナニカが痛みだした。
「……んグッ!?」
心が痛み出してきたのだ。
そして幻覚を見始める。
もう一人の私が見えるのだ。
_アハハハ??
「!!」
それは侵略者として嘲笑う"別の私"…
私を冷たく蹴り捨てる『アイシー』の姿が幻覚に出てくる。
それは夢の中にも出てくる。
お日さま園で幸せに笑って過ごしていた『凍地愛』の私をダイヤモンドダストの『アイシー』が心を蝕んでいく。
その時、私は気づいた…
いや……思い出したのだ。
これは"やってはダメ"な事だと。
いま、
「ぁ…ぁぁ……ぁぁ…」
ここまで「お父様のため」となんの疑問も無く考えて侵略者として身を投じていた。
でも耐えられなくなった『凍地愛』が苦しみ始める。
しかしこのカプセルに入る事で『アイシー』が作り上げられ…
元々あった『凍地愛』の心は "
___ああ、そういや私たちは雷門イレブンに負けたんだっ…
___ならもっと『アイシー』として強くなって喜ばれないと…
『アハハハ!! とても気分が良いね!! ねぇ、覚えてるかな? たしかイナズマブレイクだっけ? アレを止めた時は最高に気分が良かったよ!お父様ハワタシを見てるヨねぇ!!』
「ぁぁ…だ…め……」
嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ…
やめてやめてやめてやめて…
違う違う違う違う違う違う…
そんなの"ワタシ"なんかじゃない…
ワタシ?
私じゃなくて?
あれ? ワタシなの? 私はワタシ?
いや、ワタシはワタシじゃなくて…
私はワタシは…
『うるさいな、早く消えてよ? 侵略者としてお父様を喜ばせないとダメでしょ? それなのに"凍地愛"を残しておくの? わかってると思うけど"凍地愛"はお父様にとって邪魔な存在でしょ? それとも…お父様を悲しませるんだ?』
それは…
それは……
でもそれは…
『はぁぁ…この意気地なしの凍地愛! 邪魔なんだから早く消えてよ? ワタシには必要ないから居なくなれよ。 アイシーにとって目障りだよ? だから…早く死んでヨねぇ?』
ガチャ
ピー
「はっ!!?」
「嫌だ! 嫌だ! 出して!」
「助けて! 助けてよ!」
「ガゼル様! ガゼル様はどこ!?」
「あ"あ"あ"!!」
「嫌だァァァあああ!!!」
「!、!!? 、!!、!?!?」
いろんなカプセルから声が聞こえる。
ガチャン
ピー
「ヒート!ヒートォ!?」
「うあああ!! あああああ!!」
「嫌だ!嫌だ!!」
「グぁぁぁぁアア?!!」
「ダメだ! 負けるなぁ!ダメだぁぁ…ぁ…」
「いやだ!助けて! はるやぁぁ!!」
プロミネンスも私たちと同じタイミングで蝕む…
「君達は雷門イレブンに負けた。 しかしそれでも選りすぐりの子供たちだ。 ジェミニストームやイプシロンを超えている君達のチームにはまだ可能性がある。 そのためお父様がチャンスを与えてくれたのだ。 だから今回エイリア石の投与10回目にて君たちはハイソルジャーとして完成に至る。 この投与に耐えれた者はチーム『カオス』としてジェネシスと最終対決を行ってもらう」
研究員が私たちにとって嬉しくないけど、侵略者にとって嬉しい報告をする。
でも、そんなのはどうでもいい。
もう、わタ…し、たチは…
たすけ…て…
もと……ひ……で……
♢
ここにいるお日さま園の子供達は現在どんな生活を送っているのかわからない。 軟禁状態とは言え、恐らく普通に生活をしていると思うから彼らの身の安全に関しては問題無いと思っている。
でもそれはジェミニストームやイプシロンの下級クラスのチームの話だ。 世間にエイリアの力を見せつけたとは言え、この2チームはある意味雷門イレブンの引き立て役の様な扱いだ。 本命ではない。 そして出番が終わればあとは彼らが何かやる事もないのは確かな話。 吉良星二郎もそれほど非道な人間では無いだろうから役目を終えた者たちには特に手は加えず、大人しくこのエイリア学園内で生させているはず……てか、そう信じたい限りだ。
でも原作3を見れば緑川や砂木沼はケロッとした状態で再登場してるため、それほどひどいことはされてない筈だ。 そうなるとスポットライトは既に残りの3チームにしか当てられないだろう。
イプシロン改については特になにも起きてない。 そうやって原作は元の形を崩したので沖縄では変わってプロミネンスが現れた。 プロミネンスの強敵感は拭えなかったが東京で行った試合結果を見れば4-2と圧倒した。 キャプテンのバーンと中盤のネッパーは強かったが、バーンアウト君のセーブ率が酷い故か雷門イレブンに戻ってきた豪炎寺と強化された風丸が猛威を振って勝ち越した。 こんな感じに崩壊した原作から始まるプロミネンス戦は無事に終了する。
数日後のダイヤモンドダスト戦もアフロディなどが加入した事で攻撃の幅が広がり、キーパーとしてポジションを得た立向居は失点を繰り返しながらも4-2の勝利だ。 こちらも無事にダイヤモンドダスト戦を終了する。
このように圧倒的な敗北を受けたプロミネンスとダイヤモンドダストはイプシロン同様に再挑戦を許さなかった。
雷門イレブンはジェネシスまで進んだ。
役目を終えた。
そのため、もう出てこないだろう。
でも…
けど…
ただ単に嫌な予感がしていた。
別に俺はニュータイプの様に感が鋭かったりと特殊な力は持っていない。
しかし何かが危ないと肌の騒ついて警告している。
その何かとはハッキリわからない。
根拠も無い。
でも、 早く行動を移さないと後悔する羽目になる…
そんな気がして堪らなかった。
それは…
「"カオス"……」
「え? なんか言った?」
「いや、なんでもない。 急ごう」
「う、うん…」
「………」
チーム『カオス』とはプロミネンスとダイヤモンドダストと混合チーム。 原作アニメの場合だとジェネシスの座を奪い取るため二つのチームは再編成を行って『チームカオス』と言うチーム名で登場する。 原作ゲーム2でもクリア後の要素でチームカオスが存在する。 こちらもプロミネンスとダイヤモンドダストの混合チームだ。
そんな訳でエイリア学園に双方で再編成された混合チームが存在する『可能性』が捨てきれない。 そもそもイプシロンは完全敗北のため再挑戦を許さずに出番はそのまま終了。 でもカオスに関してはジェネシスの座を狙う目的として"勝手"に創られたチームだ。 原作が崩壊した今もそれが作られるのだろうか? ダイヤモンドダストどころかプロミネンスも叩きのめした雷門イレブンだ。 心情的にも結託まで進むだろうか?
なのに…
「静かすぎる…」
「うん…」
いま俺たちはプロミネンスの食堂のダクトの中にいる。
「誰一人居ないな……」
「だな。 ともかく降りよう」
ダクトの金網を外して見下ろすが誰もいない。
テレビやウォーターサーバなど取り付けられて、寛げる空間として持ってこいの場所だ。
だから誰か一人くらいは居てもおかしくない。
「よっと!」
3、4メートルある高さから飛び降り、足腰を曲げて静かに着地する。
「あー、体が硬いな……杏?」
「……た、高い…」
「おいおい、空高く飛んでメテオシャワー打てる癖に何怯えてんだよ」
「そ、それとこれとは別だから!」
「はいはい、とりあえず降りてこい。 受け止めてやるから」
「う、うん………きゃ!」
親方ァ、ダクトから女の子が。
バランスを崩して落ちてくる杏をお姫様抱っこで受け止めてゆっくりと降ろした。 てか落ち方がめちゃくちゃ危険だったぞ。 俺がいなかったら危うく腰からイナズマブレイクしてたところだ。 そんな若い年で尾骶骨とか痛めて欲しくない。
「杏、ほかのメンバーはいるか?」
「いない……どこにもいないよ…」
「練習場か?」
向かってみる。
ナニワ地下修練場と同じ設計の広いフィールドだ。
誰一人いない…
「いないよ…」
「なら大浴場やプールには?」
ダイヤモンドダストと共有だがワイワイと楽しめそうな大きい浴場と25メートルあるプールだ。
誰一人いない…
「ここにも…」
「ならプロミネンスの個室はどうだ?」
長い廊下には一人につき一部屋ずつ取り付けられている。
プライベートは守られているようだ。
誰一人いない…
「みんな…どこに…」
「なぁ、これは杏の部屋か?」
「え? あ、う、うん…」
[ レアン ] と書かれている部屋だ。
杏は久しぶりに自室のドアに触れ、ゆっくりと開ける。
鍵は開いたままなようですんなりと開いた。
部屋の中は真っ暗なまま。
机に彼女のプライベート用品が置いてある。
「……?」
杏は電気を付ける。
彼女は少しだけ懐かしみながらも部屋を見渡すと一枚の紙が置いてあることに気づいた。
「これは……ボニトナ?」
「?」
恐らく杏がここを空けてる間に置かれた手紙と思われる。
彼女はその手紙を読み上げた。
「ええと……『もしここに戻ってきて手紙を読んでいるなら伝えることは一つです。 今すぐこのエイリア学園から早く去ってください。 決してこの意味を詮索せずに絶対に逃げてくださ__』……ここまで書いている」
「……」
「基秀、これってどういうことかな…?」
「文が途中で途切れてると言うことは急いで書いて残したメッセージ。 そして明らかに杏の身を案じている文書だ。 自分たちは何か起きてるけど、ソコに深く関わらないでほしい意思が感じ取れる……何か彼女達に起きてるのだろう」
「何か? ええと、それは_」
「それは僕が説明するよ…」
「!?」
後ろから声が聞こえる。
しかし敵意を感じない。
俺は焦らず振り向いてその声の主を確認すると…
「……緑川?」
「!」
「久しぶりだね、基秀お兄さん。 なんでここにいるのか凄く不思議で堪らないけど…」
そこにはジェミニストームのキャプテン、レーゼを演じる緑川リュウジが立っていた。
「ッ! おい! レーゼ! 何故ジェミニストームのお前がこのプロミネンスのエリアに踏み込んでいるんだ!! 格下のクラスが許可もなく踏み込ングァッ!い、痛っ!痛い痛い!」
「こんな時にレアンを引き出してんじゃねーよバカ」
緑川を問い詰めるために迫ろうとした杏の脳天をグーで真っ直ぐ叩きつける。
怯んでる内に持ち上げてベッドにぶん投げた。
「それで? プロミネンスがいない理由はなんだって?」
「ぇ…あ、は、はい。 その前にまず基秀兄さんはエイリア石の力の話は知ってるかな?」
「知ってるよ。 瞳子さんから聞いてるから俺も理解してるつもりで話して構わない」
「なら話は早いです。 ええと消えた理由、それはプロミネンスだけではなくダイヤモンドダストも含めた両チームはエイリア石のエネルギーを施すため今はいません」
「!?」
するとレアンの雰囲気から蓮池杏に戻った彼女はベッドを飛び出す。
「なんだって!? もうこれ以上エイリア石の力を得たら人格どころか精神障害まで起こしてしまうのはわかっているはず!? それなのに何故!?」
「レアン……じゃなかったね。 ええと、蓮池さんがいなかった時の事だ。 ダイヤモンドダストが雷門イレブンから敗北した後、同じく敗北したジェミニストームやイプシロンのように役目を無くしてこのエイリア学園で大人しく過ごすことになった……筈だった」
「…筈?」
「一部の研究員が『まだ利用価値がある』と言ってたのを僕はこっそり隠れて聞いたんだ」
「り、利用って…?」
「続けて」
「あの2チームは仮にもマスターランクの座を得ている。 だから10回目に及ぶエイリア石の投与に耐えれた強い選手を抜擢して『ザ・カオス』のチームを作り上げようとしている。 そのためプロミネンスとダイヤモンドダストの全選手は不在という訳だ…」
「そんな!!」
「ちなみにそれはどのくらい前?」
「丁度1時間前に移動した。 それを見た僕は誰か隠れてないかと思って探しに来たんだ」
「なっ!? やはりレーゼ!! おまえはイダァ!痛い痛い痛い!あたまグリグリしないでぇ!!」
「それで? なんで探しに来たんだ?」
「…あ、うん。 ええと、もし誰か隠れているなら僕たちジェミニストームのところに連れて、それで
「…」
「多分これもお父様の命令だと思う。 だからオレは逆らえない…いや、逆らう事が出来ない。 でもエイリア石の力が体から抜けるとジェミニストーム、いや『双子座組み』のみんなはこれまでの行いに酷く苦しみ始めて"罪"を感じるようになった。 まるで洗脳が解かれたように。 いや、洗脳されてると言っても過言で無いかな、コレは…」
緑川は力なく笑うと頭を弱々しく抑えて堪える。
やはり杏が言っていたことは間違いでは無いようだ。
「中には思ったよりもエイリア石の力が抜けて、それでこの事に反感を買った子もいたけどそれを表に出してしまい、万が一ここの研究員なんかに見つかったらまた何かされそうで危険だ。 だからオレは仲間達にその感情に出さないように強く制止させたんだ。 砂木沼も同じように『天王星組み』の皆を止めている。 だってオレ達には何もできやしないから。 せめて、まだ隠れている子がいるならジェミニストームの中に匿って、それでなんとか外に逃がそうか考えていた。 杏と同じように失踪させようと思ったんだ。 オレには、それしか、出来ないから…さ」
「……緑川、くん…」
「そうか…」
俺は一歩前に出て緑川の頭を撫でる。
「!」
「良くやった」
「!!?」
「良くみんなをまとめた。 偉いぞ」
「ぁ、ぁぁ…」
「まもなく助かる。 俺が来たから大丈夫だ」
「ぅぅ…くぅっ…っっ…も、もと、ひでっ」
抱きしめる。
加害者であり、被害者である彼を。
「でもこの騒動を終えたらお前らの事は瞳子さんと沢山沢山叱ってやるから覚悟してろ。 いいな?」
「うん…うんっ…」
「だからそれまで信じて待っていろ。 俺と雷門イレブンが全てを終わらすから…」
「っ……うん、基秀お兄さん」
「それまで双子座組をお願いする。 砂木沼にももう少しの辛抱だとそう伝えてくれ」
俺は緑川を解放すると少しだけ目を赤くしていたが、涙は流さないように堪えて自分の成すべきことを今一度覚悟を決める。
「杏、いくぞ。 場所はわかるな?」
「っ! 早く行こう!」
俺は杏を先頭にして走り出した。
「鬼に金棒……いや、寄らば大樹の陰かな」
一人残された彼はそう呟いた。
つづく
緑川くんメンタルつよつよですね。
しかしアニメ本編では学校壊しまくったのに日本代表候補としてケロッとした顔で出てきて「いやはや!その他もろもろすいません!」のアレはかなり正気疑ったよね。
普通はありえ無いから…
これが超次元サッカーだ!(白目)
ではまた