〜 富士 〜
体が痛い…
あと何発受ければ良いのか…
いや、これも敗北した事が全てだ…
「ぜぇ…ぜぇ……けっほ…」
僕たちダイヤモンドは雷門イレブンに4-2で負けてしまった。 言い訳すら許されない圧倒的な敗北を突きつけられた。 それゆえに僕たちはチームとして価値を無くしてしまった。 あれほど強くなった雷門イレブンだ。 僕たちがマスターランクだろうが関係ないのだろう。 このままジェネシスすらも倒す可能性がある。
しかし現実から逃げるようにそんなこと考えていると大砲の機械からサッカーボールが放たれる。 体を傷つけて目を覚まさせる。
「がっ……けっほ…」
ハイソルジャーとして鍛えられてるにしても大砲のように飛んでくるボールに当たれば強烈な痛みが伴う。 しかも両腕は十字架のように貼り付けられいるため腕で防ぐ事は叶わない。 しかし何かの嫌がらせなのか足だけは動くようになっていた。 だから飛んできたサッカーボールを防ぐ事が可能だ。 しかし地面から数センチ宙に浮かされ、つま先たちでなんとか地面に届くくらい。 しかし腕に嵌められてる枷が重力により皮膚や肉をめり込ませる。
「はぁ……はぁ……」
もう腕の感覚が無い。
それもそうか。
かれこれ3時間はこの状態が続いてる。
そしてまだ『 478発 』と書いている。
あと『522発』も受け止めないとならないのか…
これは…
もしかしたら死ぬかもしれない…
隣の部屋のアイツは無事だろうか?
アイツもいま僕と同じように罰を受けている。
……いや、まて。
僕は今アイツの事を『無事』と思ったのか?
はは…
まったく…
あれだけ競い合い、昔のことなんか忘れて敵対していたと言うのに…
今は心配するほどに"自分を取り戻した"と言うのか…
まぁ薄々気づいていた…
エイリア石の力で自身がどうにかなっていたくらい。
お父様のために本当の侵略者に染まってしまったくらい…
でも、もうそんな事に気付いても仕方ない。
「はは……ああ…そろそろ、500発目か…」
あの拷問の機械は100発目、200発目、300発目と決まった回数の時に鉄球のように重たいボールを発射する。
そう……黒いサッカーボールだ。
俺たちがそれを使って学校などを破壊したサッカーボールそのものだ。
しかし今となっては俺がそのサッカーボールで破壊されようとしている。
まぁ…
今までの罪の精算と言うべきだろう。
それが僕に返ってきただけの話だ。
当然ながらアレに当たれば肋骨なんか数本持っていかれる一撃だ。 それを証拠にとなりの部屋から痛々しい悲鳴が聞こえていた。 俺は無意識にその声を遮断してその痛みを受け入れていた。 そのため既に体のどこが折れているらしいがそれも数時間前の話であり、痛みもわからない。 何せあまりの辛さに意識が朦朧としてきたから。
「くっ…」
とうとうカウントは500に切り替わり、重たく装填される音が聞こえた。
弱音を吐くつもりは無いが本能が危険だと訴えてガタガタと震えだす。
……いや、本当は怖くて仕方ない。
まだアレを4回近く受けなければならないから…
100発目は左足、200発目と300発目は右足でなんとか防いだ。 だが400発目は防げずに直撃してしまい、体のどこが嫌な音が鳴り響く。 あまりの痛みに胃液をぶちまけてしまった。 なんとも無様だろう。
ガガガッ…
ガチャン…
そして500発目を撃ち放とうとする銃口が僕に照準を合わせる。
大砲の機械は敗北者を潰そうと宣告していた。
「…っ、くそっ…」
もう、ダメみたいだ。
"涼野 風介"の足が動かない。
だけど"ガゼル"としてなら動くかもしれない…
だって"ガゼル"は弱く無いから…
だけど、そんな人物を引き出してまで抗う意味は無いとしか思えない…
僕は……僕たちは……
それだけの事をしたから…
受け入れるべきなんだろう…
受け入れないとならない…
罪を拒まず受け入れてないと…
やだ…
嫌だ…
もう痛いのは嫌だ…
怖い…
嫌だよ…
もう…
「っ、ごめんなさい……瞳子姉さん…」
そして…
ごめんなさい!!
__基秀兄さん……!!
「謝るのがおせーよホセ」
え?
「!」
目を見開いた。
「ぁ…ぁぁ…!」
懐かしきその後ろ姿。
頼もしさと背負うその後ろ姿。
優しさを兼ね備えたその後ろ姿。
ここにいるみんなが大好きなその後ろ姿。
「すぅぅ……餓狼伝説…」
彼の体にとてつもない量の闘気が巡る。
そして……姿が消える。
「ノーザン…」
「!」
彼は拷問の装置である発射口の前に現れた。
そのタイミングで黒いサッカーボール放たれる。
至近距離の衝突は免れない。
だが、しかし、彼はそれを…
「インパクトォォ!!!」
蹴り返す。
悪夢が終わりを告げたようだ…
♢
「そぉい」
ポキィ
「いぎぃあ!!」
「こっちもだ」
ポキィ
「ひぃうっ!」
上から晴矢と風介の順番に足のツボを押して痛みを飛ばす。
俺のやり方は一瞬とは言え強い痛みが走るけど痛みを拭う時間が長い。 でも半分程度しか痛みを拭えない。 しかしどこからかやってきたスマホゲーが好きな特別授業の先生なら痛まないようにツボを押して「三分間待ってやる」と一時的に痛みを拭える。 凄い技術なのは認めるけどしかし一体何者なんだろうかあの中国人は? また会えないかな。
「よし、とりあえずここまではしておいた。 痛みは?」
「…な、治ってる…のか?」
「少しだけ痛みが拭えたようだ…」
杏は隣で心配そうに見ていたがうまくいった事に安心していた。
なんだよ?
おれが追い打ちかけるとでも思ったのか?
「それよりも基秀、なんでここに…?」
「愚問だな。 侵略者をぶちのめすためだろ」
「「っ…」」
「…ってのは雷門イレブンの話で、俺は君たちを助けに来たよ」
「「!!」」
「これらが終わったら瞳子さんと沢山沢山叱ってやるから覚悟してろこのアホどもが」
バキバキ!!
ボキッ!!
「「アッー!!!」
拷問は終わったけど拷問部屋で拷問受けたような声が声が響き渡る。 でもまだこの二人が元気な事に安心する…と、言っても相当ひどいな。 見たところあざだらけだし肋も何本かイかれてる。 アニメでもこのようなシーンはあったけど改めて現実で観るとインパクトがある。 痛々しい事この上ない…
あかん、キレそう……
「とりあえず俺についてこい。 その方が安全だ」
「っ、だが…俺たちは」
「うるせぇよ! ズベコベ言わずに早く来いやチューリップ頭! お前らの仲間が危ないんだよ! 手間取らずな!」
「なっ、なんだと!?」
「どういう事だ!?」
「晴矢。 10回目のエイリア石と言ったらわかるかな…」
「「!?」」
杏の言葉に晴矢と風介は酷く反応して立ち上がる。
「緑川くんが言ってた。 チームカオスの計画が始まってるって…」
衝撃を受けた晴矢と風介は言葉が詰まる。
しかしそれぞれのチームを束ねるキャプテンとして沸々と怒りが湧き上がり…
「も、基秀兄貴!」
「ああ、だから急ぐんだよ。 あくしろよ」
あとは何も言わず拷問部屋を出て走りだす。
拷問を受けていた晴矢と風介はヨタ付きながらも仲間のために堪え、俺と杏に追いつこうと急ぐ。 途中何名かセンス悪いハゲが2名現れたが、一気に突進して拳底を打ち込む『邪影拳』で先制攻撃で片方を戦闘不能にする。
もう1人は侵入者である俺に気づいて攻撃してきたが、攻撃を後ろに受け流して無防備にする『裏雲返し』で凌くと、雷光と言われる人体の急所に目掛けで攻撃する『雷光回し蹴り』をぶつけて壁に打ち付けた。
「早くいくぞ」
「(す、すごい…)」
「(やはり基秀兄貴って……)」
「2人とも! 辛いけどもっと早く走って!」
「「!!」」
杏の声に反応すると痛みを堪えてスピードをあげる。 そしてエイリア石の力を投与させられる研究室までやってくると晴矢が指紋認証でその部屋を開ける。 すると薄暗い大きな空間が解放された。 だがその空間を見て嫌な空気を感じ取る。
「「「!!」」」
それぞれカプセルの中に誰かが入っている。
いかにも何か施されてるような
中には呻き声や悲痛が聞こえる。
泣き喚いている者もいた。
「__は?」
助けてよ。 やめてよ。 いやだ。
こわいよ。 つらい。 しにたい。
やめて。 くるしい。 いたい。
出して。 みんな。 こわい。
いやだ。 たすけて。 しにたい。
出して。 しんじゃう。 いやだ。
だれか。 いやだ。 おとうさん。
こわい。 やめて。 ねえさん。
とめて。 だして。 きえる。
いやだ。 くるしい。 にいさん。
ひどい。 いたい。 たすけて。
いやだ。 こわい。 くるしい。
ごめんなさい。 ごめんなさい。 ごめんなさい。
苦しいよ。 ごめんなさい。
ごめんなさい。 助けて。 助けて。
ワタシは。 わたしは。 助けて。
ごめんなさい。 ごめんなさい。 嫌だよ。
嫌だ、嫌だ、いやだ、助けてたすけて。
助けてたすけてよ。 助けてください。
あぁ…
ねぇ?
そこにいるの?
___もとひで………????
「 」
_____プツン__
イナイレの世界は危ないとか…
危険だとか…
まぁ、そう言ってた。
言ってたさ。
でもさ、これは意味が違うよナ?
これは人を人として扱ってないよネ?
「む? 何者だね? 君た______」
「殺す」
刹那_気づいた頃には俺は動いていた。
研究員の上に飛び、一気に
「…か………はっ…」
「なっ!?」
その横にいた研究員は倒れる仲間を見て驚く。
そして首元を掴み、雷の如く地面に叩きつけた。
「あがっ…」
「……」
「!」
「「ッッ……ッッ…」」
それは拷問の時の痛みに震えてるのか、または純粋にその怒りと殺意に恐れているのかわからない。
でも…
「もとひで…」
それを見た杏は心配そうに声をかける。
だから俺は少しだけ……取り戻す。
「!!………ああ、なるほど…」
落ち着いて状況把握する。
軽く呼吸して気持ちを切り替える。
「エイリア石のせいか…」
「もと…ひで?」
この部屋に入って俺は真っ先に感受したらしい。 直接浴びて無いにしろほんの少しだけ触れるだけでこんな簡単に蝕むのかこの石は。 なるほどとしか言えないし、吉良星二郎の歪み方が体を通して理解できた。
「大丈夫だ。 大丈夫だよ、杏」
「!……うん、よかった…」
足元で倒れてる研究員二人は泡を噴いて倒れている。
もちろん死んではいない。
そりゃエイリア石の"
「さて…」
でも、エイリア石は結構力が湧いてくるな。
スゥッと、容易く染み渡る感だ。
これは良いなぁ……
「な、なんだお前は!?来るな!」
「とめろ! こいつを止めろ!!」
「電流弾を撃て!早く撃て!!」
「あ、悪夢だ! "ナイトメア"だ!!」
「おいおい? お前らが悪夢を与えた側だというのに、なんとも怠惰なことを申すか?」
先ほどまで苦しむ子供を見て笑っていたと言うのに次は子供相手に怯える研究員やハゲリアンに呆れる。
しかし悪夢か。
それはなかなか名称だ。
ならば…
「存分に怯えてゆくが良い! 羅生門! 羅生門! ラショウモン! ラショ! ラショウ! 羅生門!ダイアボー! 羅生門!ラショウモン!!」
「「「「ぎぃぃあああ!!!!」」」
「悪夢に怯えるか、惰弱な…!」
この騒動に立ち会った研究員は俺を見てこう言ったらしい。
【
そう怯えるように…
♢
さて、全てのカプセルの稼働を止めて中にいる全ての子供たちを助けた。
その中の八割の子供たちは10回目のエイリア石の投合に耐えれず、苦しみ、今も自分の中に現れる非現実的な己に悶えていた。 しかし何名かは心身ともに強かったのか耐えたものがいた。 おそらくこの者が後に『ザ・カオス』として君臨していたのだろう。
まぁそんなことはどうでもいい。
終わったことだから。
それよりも動けない者が多いため子供達を連れて移動するのは困難だ。 ジェミニストームやイプシロンには部屋に篭り、救出が来るまで出てこないように強く言っているので彼らの力を借りることは不可能。 これはもう鬼瓦さんが自衛隊や警察などを引き連れたその時に確保してもらう他あるまい。 原作でもそんな形だったからそこに望みをかけるだけだ。
あとは俺がこの子達を守る。
本当は雷門イレブンと最後まで戦っていたかったけど、俺の役目はこちらだ。
それにもともと俺は原作のキャラじゃないし、非公式な異質な存在。 だから原作の仲間達と最後までスポットライトに当たる必要なんかどこにもない不要なキャラ。 てかオリキャラなんて本来そんなものだ。 そんなのわかりきった話だ。
まぁでも、この『原作 / 世界』の流れを組み替えてしまった責任を取るために俺はあともう一踏ん張りしなければならない。
と、言うわけで早く雷門イレブン来てクレメンス。
さもないと話が進まないダルォォォ??
「基秀お兄様」
「どうした?」
「ここまで来てくれてありがとうございます」
「そりゃ君たちがヤバいことしてるから止めなければならないと思ってやって来たんだ。 当たり前だよなぁ?」
ボニトナを演じるほのかちゃんは平気なのか、ケロリとしている。
まぁどこか大人びているから精神面は強いらしい。
「てか穂香は平気そうだな」
「ええ。 あまり染まりすぎると基秀お兄様に嫌われてしまいますから」
「正直に言うと今のところ全員嫌ってる」
「あ、あら…? そうですの…」
「でもみんなのことは大好きだよ」
「もう、それはどちらの意味ですの?」
「どっちもだよ。 みんなの兄貴分として心を痛むようなことしてる君たちが嫌いになったけど、お日さま園で幸せに生きてる君たちが好きだからこうして俺は助ける」
「納得してる分嬉しいことですけど、やはりどこか矛盾してますわ。 でも、ここまで来てくれて嬉しいですわ…」
「とある
「ふふふ、お変わりなく面白い方で私は嬉しいですわ」
それでも円堂守は違う。
彼は嘘偽りなく芯を突き通す少年だ。
宇宙一のサッカーバカな主人公は格が違った。
俺なんかよりも何倍も強い人間なんだよ彼は。
「それでも俺は一般的な心を持っているつもりだ。 だから俺はお前らのことは許さないし、怒りで満ち溢れてある。 それは理解してくれるな?」
「ええ……ココを出たら沢山沢山怒ってください。 私はそうしてくれたら嬉しいですわ。 ここにいるみんなは基秀お兄様に愛されてると良くわかりますから」
「…」
穂香はこう言う人間だ。
少し話に困るんだよなぁ…
大人びてるのもまぁ問題だな。
てか瞳子さんも俺と話してる時はこんな気持ちなんだろうな。 でも瞳子さんの場合、子供の俺と対等に話をしてくれてるから辺り相当許してくれているんだろうね。
ウィーン!
ウィーン!
「!?」
『警告。 警告。』
『外部から非エイリア学園の団体がやって来ます。』
『これよりセキュリティーシステムを稼働します。』
「?」
もしかして雷門イレブンがやって来たか?
そうなると鬼瓦さんもタイミング見てやってくるな。
いや、それよりも『セキュリティーシステム』ってなんだ?
『ロックします。 ピー、カチャン』
「ふぁ!?」
そんなことを考えてあるとこの部屋のゲートがロックされてしまった。 更にカプセルが全て地面の中に引っ込むと閉じてしまい、チューブも上に吸われて引っ込む。 他にも機材が壁の奥に引っ込みんで、ごちゃごちゃしていたこの空間は平地となった。 蛍光灯が更に多く光上がり、この場所は何もない真四角な空間へと早変わりしてしまった。 こんなに広いのかココは。
「基秀、床が!」
床の表面には青白い光の線が伸びる。 それはだんだんと見たことある形に構築された。 そして両サイドからこれも良く見たことある白いポールが組み立てられると網がかけられる。 明らかにサッカーで使うゴールネットだ。
そしてペナルティエリアやコーナーなど次々とわかりやすく線が伸びて地面を描く。
するとこの場所はとある形に完成する。
それは…
「サッカーフィールド?」
ガシャン
ガシャン
ガシャン
ガシャン
「「「!!!」」」
奥の扉が開くと奥から二足歩行のロボットが現れると横に整列する。
「侵入者ニ警告」
「コノ場デ、サッカー試合ヲ申シ込ム」
「我ラニ勝テナケレバ」
「コ↑コ↓ヲ出ル事ハ出来ナイ」
「負ケレバ、コノ場合イル全員ヲ…」
「「「「排除シマス」」」」
キュィーン
「「「「 !?!? 」」」」
心の無い機械仕掛けは残酷を告げる。
「…」
陽花戸中では風丸が襲われるゲーム展開があったが、まさかこのタイミングでロボット達と戦うゲーム展開が起きるとは予想も出来なかった。
この世界は色々とおかしいけど色々とおかしいらしい(語彙力ゥ)
「どうやら、やるしか無いらしいな」
「なっ!」
杏は俺の言葉に驚く。
そして俺は立ち上がり、子供達を見渡す。
プロミネンスとダイヤモンドダストのメンバー
痛々しく思いながらも、俺はこう言った。
「動ける奴は………いるか?」
皮肉な事だ。
まさか俺が【カオス】を作り上げるなんて…
つづく
さり気なくノーザンインパクトを使う基秀兄貴はそろそろ自重して♡
("ノーザン"は『北方』の意味で吹雪兄弟のアツヤや士郎のプレイングを参考する。 士郎の動きを理解したから旋風陣を教えることも出来て、アツヤがこだわるウルフレジェンドも習得が楽だった。 インパクトは『衝撃』の意味でレイジングストームがまさにそう。 浮いたまま体を捻って蹴り殴る"あびせげり"の技量が後押し結果ノーザンインパクトは使えた設定。 今回も実行力の化け物です)
あとシリアスは'羅生モン"でぶち壊すもの(MUGENネタ)
それでカオスです(説明不足)
ではまた