イナイレップーケン   作:つヴぁるnet

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中編

さて、カラフルなサッカーボールの修理が終えたのでアルファとベータは帰ることになった。 あと俺は一度メールを瞳子に飛ばしてしばらく帰れないことを知らせる。 まぁアルファ達は時間を移動する手段を持ってるからそこら辺は心配無いだろう。 連れ去られた時の時間に帰してもらえたらそれで良いから。

 

そして俺はオメガ達とタイムジャンプする。 するとあっという間にアジトへ到着した。 そのままエルドラドの議長である『トウドウ・ヘイキチ』とコンタクトを取り現状把握を行った。 当然ながら俺の登場に驚いてたし、連れてきたアルファやベータの判断にも驚いていた。 しかし苦しい現状の機転になると考えた事も合わせて「お前はまさか本当にあの波和土基秀なのか?」と言うことでお客様として招いてくれた。 200年後の未来ではなんか有名人みたいだな俺。

 

それから議長と情報交換。

 

まぁ一方的に情報を貰う形なんだが俺の世界も他人事じゃないようで、それはヤバ目なところらしい。 世界を考えてそうそう動いたこの人には好感が持てるし、頭が良いからスラスラと話が進んだ。 そして…

 

 

「え? いまそいつらは関西にいるのか?」

 

「ああ、そうだ。 今はそこを侵略している。 そしてその場所から此方の方まで雪崩れるように襲いかかってくるだろう。 まぁここは本拠地ではない。 ここが侵略を受けることにダメージは無いがそろそろ場所を移さないとならないな」

 

「じゃあ待ってたら会えるのか」

 

「会ってどうする?」

 

「話をする。 それで辞めてもらおう」

 

「無駄だ。 一度だけ奴らと対話を取ったが奴らは怒りを持っている。 この世界を侵略して生きやすい世界に変えるためにな。 ……まぁ、その頃には奴らは生きてるかわからないがな」

 

「どう言うこと?」

 

「力にも代償がある。 セカンド・チルドレンの子供があのまま力を使って侵略したとしても20歳を超えずに死ぬだろう。 奴らもそれは理解している筈。 結果として世界を作り替えたところで生きることは不可能だ」

 

「なにそれ、随分と不毛だな。 でも怒りの矛先を持たないとならないほどか。 うーん、でも、なんか、こう、アレだな? 怒りの向け所さんが今侵略という形になっているんだな。 でも長く生きられないから無駄になることを知っている。 けど止まるんじゃねぇぞ…って状態な訳か」

 

 

 

止まるんじゃねぇぞ…

 

この名言(迷言?)の通りセカンド・チルドレンは鉄華団みたいなものだな。

 

反逆と存在を示す精神を持って前に進まなければ子供達は生きて行けないあたりコレと似ている。

 

しかも死に急いでしまってるあたりも同じ筋道を通ってそうで案外笑い話に出来ない。

 

これではかわいそうだよ。

 

 

 

「……なぁ? これ以上は双方もジリ貧だろ? だったら決着を考えるしか無いよな」

 

「どういうことだ?」

 

「戦争で白黒決めるんじゃなくて、何かの勝負を持ち込んで白黒を決める形に持っていくんだ」

 

「ふむ…例えばなんだ?」

 

「んー、そうだな。 最強の遺伝子はサッカーから来ている…から、サッカーで決めるとかどうだ?」

 

「!? …くっ、あっはっはっ!! サッカーか、なるほどな。 だがそれを飲む事になるかは少々怪しいがな」

 

 

 

 

 

_へぇぇ? なかなか面白いな、それは。

 

 

 

 

 

「「!?」」

 

 

 

どこからか声が聞こえる。

 

するとワープしてきたのか目の前に現れた。

 

 

 

「サッカーで白黒を決めるのか。 良いなぁ、それは」

 

 

「貴様はSARUか! 何しにここへ来た!」

 

 

「落ち着いてよおじさん、話をしに来たよ」

 

 

「待て、何故ここが分かった? ジャマーを掛けていたはずだ。 この場所に居ることはわからないはずだ」

 

 

「ああ、もちろんわからなかったよ。 だが…そこの人がこの世界にやってきた事で感知したんだ。 うんうん、やはりすごい力の持ち主だね。 見た目は武道に長けてるようだけど、実は頭脳も明晰だったりと"あの子"のご先祖さまだけある。 興味を抱くよ」

 

 

「ご先祖? ……ええとサルゥだっけ? 俺は基秀だ」

 

 

「知ってるよ。 この時代でも破和戸基秀は有名さ」

 

 

「そうなの? …サインいる?」

 

 

「そうだな、後でもらうよ」

 

 

「おい、馴れ合いはそこまでにしろ。 話戻させて貰うが、サッカーでの提案持ち込むのか?」

 

 

「そうだね。 それもまた魅力的…と、いうよりかは議長の言う通り僕たちにも寿命がある。 このまま頑張ればあと5年くらいで全てを侵略できるのは確かだが、その前に僕たちはまともに生きていられるかも分からない。 そうなると双方が潰し合って終わっただけの結末になるだろう。 それは後に残ったセカンド・チルドレンにも良きレールを引けない」

 

 

「じゃあ、そうなると?」

 

 

「その話を受けよう。 ラグナロクとして」

 

 

 

やはり短命故に急がなければならないらしい。 それでラグナロクの意味を聞いたが人類側の試合ルールであり純粋なサッカーだとさ。 つまり能力とかの使用が認められない人類側のルール。 そうなるとセカンド・チルドレンは能力を使わないでくれるらしい。 そこはサルゥも分かっているようで人類もちゃんと足掻けるようにしてくれた。 見下してくれるから助かる。

 

 

 

「それじゃあ開催日はどうしようか? 今すぐやるかい? 時間のない僕たちはその方がありがたいけどね」

 

 

「別に半年も待てとか言わないよ。 でもどうせならスタジアムとか決めたいし、サッカーの勘も取り戻したいし、メンバー把握もしたいから時間が欲しいな」

 

「待て基秀。 メンバー把握だと? もしや…お前も出るのか?」

 

「そうだよ(肯定)」

 

「なんだと!?」

 

 

「あっははは! これは良いや! まさかご先祖さまと試合できるなんて。 うん、これは楽しみだよ。 さて、それなら僕の方はスタジアムを決めるよ。 そっちは…」

 

 

「それで開催日だよな? そうだな。 あ、それならフットボールフロンティアが始まる次期っていつだ? もしくは開催されてた時期でも良い」

 

「?……フットボールフロンティアは1ヶ月後に開催される予定だったモノだ。 いまはこの事態故に開かれては無い」

 

「ふーん、1ヶ月後か。 それでどうだ? 少し長いか?」

 

 

「そうだね…うん、それで良いよ。 提案してくれたのはそっちでもあるからね」

 

 

 

良いみたいだ。

 

まぁ1週間とかでも全然良かったけど、1ヶ月も頂けるのはありがたいな。

 

 

 

「待て待て待て、最高議長を置いて決めるな」

 

「けど彼らも時間が惜しいはず。 むしろ1ヶ月近く見越してくれたのなら長い方だと思うよ? 気が変わらないうちにこれで決めよう」

 

 

「そうだね。 最高でも1ヶ月だ」

 

 

「だってよ?」

 

「はぁ……まったく、困った客人だ。 だが、やむを得ないか…わかった、ではいまからピッタリ1ヶ月にラグナロクにて決めよう。 それで良いな?」

 

 

「ああ、良いよ。 あと開催地は追って伝えるよ。 では楽しみにしている」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おっす!おねがいしまーす!」

 

 

「「「どういう事だ?」」」

 

 

 

試合の開催日が決まり俺はエルドラドのサッカーチームに参加した。 議長のトウドウさんは「しばらく外す」と言って代わりに坂巻十貢郎(サカマキ・トグロウ)さんが案内してくれた。 事情に関してはSALUとの話し合いを内線で終始聞いていたようで行動は早かった。 それからアルファとベータ、そしてガンマの三人に出会いコンタクトを取る。 俺が参加する事になるとそりゃ驚かれた。 何せ俺は身柄が確保=サッカーの除去なのだからこのような展開になるとは思わなかったらしい。 俺が奇行過ぎるだけだろうがサカマキさんの説明でスラスラと通った。

 

 

だがその中で気になった事がある。

 

 

 

「なぁアルファ、プロトコル・オメガの君たちは過去に遡って俺以外にも接触したのか?」

 

 

「どう言う事ですか?」

 

 

「サッカーの排除として影響力の高い人間を狙ってる訳だろ? それは俺以外にも居るはずだ。 例えば円堂守とかな?」

 

 

「NO、あなたが一番最初です。 ただ基秀がいない世界もありました。 けど破和戸基秀が存在しているその中で一番影響力を持っている世界を探した結果として狙いを定めたのはあなたです。 どんな人物よりも一番影響力を持っている破和戸基秀を探して…それは、あなたでした」

 

 

「ああ、そう言う事ね。 これは光栄と思うべきかな?」

 

 

「お任せします。 でも真っ先に狙うべき対象だったのは間違いありません。 それでこんな突拍子もない話を信じるのですか?」

 

 

「世界ってのはいくつもあるのは分かってるよ。 人にも『if』ってのはあるからね? 理解はあるさ。 例えば…俺がサッカーを選ばなかった世界線だってあるれば、プロサッカー選手を目指していた世界線もあるだろう。 大統領になった世界もあったりしてな?」

 

 

「NO、大統領はありませんでした。 何せあなたが歩む世界はどれも酷似しています。 ほんの少しの変化はありますが破和戸基秀はどれも偉人です。 もちろんこの世界で生きていた破和戸基秀も同じでした。 しかしその中で私が一番目をつけたのはこの世界ではない違う世界の破和戸基秀であること。 そこは間違いありません」

 

 

「じゃあここは別世界なんだね? そりゃすごいや」

 

 

「YES」

 

「話はそこまでにしろ、アルファ、破和戸基秀。 そろそろスマートに物事を進めろ」

 

「それでぇ〜? サカマキ様の話では私たちを鍛えるのかしらお兄さん?」

 

 

「悪い悪い、本題はこっちだな。 さて、とりあえず実力を見せて貰うよ。 あと全力で来てくれると助かる」

 

 

 

プロトコル・オメガのメンバー全員と勝負を仕掛けた。 当然彼らもエリートの集まりで、名は知っても顔は知らない奴に教えて貰うなどプライドは許さない。 それ故に舐めて掛かって来た奴は当然現れる。 しかしそれは予想済みであるので、そんな奴には即座に烈風拳を叩き込んでフィールド外に弾き飛ばしてやった。 実力の差を示す。

 

 

「本気で来いと言っている」

 

 

セカンドステージ・チルドレンと戦うのだ、しっかりと全員分を測らなければならない。 そのため本気で来てもらわないと困る。 別に俺より強ければ問題無いし、俺の手を借りる意味もない。 まぁ、俺より強い奴は一人も居なかった。

 

 

 

「チーム力は良いんだけど個人の能力の低さが目立つ。 その中で必殺技が弱い選手が目立って多いな。 これではいずれ競り負けるぞ」

 

 

「「「はぁ…はぁ…」」」

「「「ぜぇ…ゼェ…」」」

 

 

 

○○コマンドとか言ってる割にはレパートリーもそこまで多い訳でもなく、その上使う選手の能力が高いわけではない。 アルファのようなリーダー格は強いけど、これだとまだ俺の義弟(夕弥)の方が全然強い。 漫遊寺って場所が人間の成長を助けるけど、この世界も200年分技術が発展しているから選手成長を助けれているはずだ。

 

なのにあるはずの伸び代が無く、それでいて義務的に強くなっている原因は間違いなく『コーチ』がいない事だろう。

 

 

 

「はぁ…はぁ……アルファ、あいつ何者よ? 私たちは化身アームドを行って、基秀の奴は化身アームドは無しで、しかも私たち3人を相手にして互角なんてどういう事よ?」

 

「わからない。 だが破和戸基秀はそう言う強さを持っている。 流石に基秀も私たちを相手に本気でやってくれたがそれでもここまで息が上がる私たちが実力で劣っている。 それは間違いなく」

 

「この…僕が、周りと同じように蹂躙された?」

 

 

 

でもまだ足りない。

 

もっと彼らを洗っていかないとならない。

 

 

 

「サカマキさんって確かロボット関連の科学者ですよね? 俺の動きをシミュレーターにインプットして試合とか出来ませんか?」

 

「可能ではあるがどうするのだ?」

 

「それをムゲン牢獄で使うとかどうですか?」

 

「なるほど」

 

 

「「「「ふぁ!?(デデドン(絶望感))」」」」

 

 

 

 

ムゲン牢獄がどれほどか知らないけどあのベータすら顔を(しか)めるくらいにやばい所らしい。 まぁ無限牢獄は冗談にしろ俺のデータを使ってシミュレーターの試合に活かすことはサカマキさんも同意してくれた。 どのくらいシミュレートしてくれるのかはわからないけど200年後の世界だから期待して良いかも。

 

 

それで1日目は終了した。

 

戦力を測り終えた俺はサカマキさん作のタブレットを借りてメンバーの能力を数値化した。 ゲームと同じようにキックやコントロールにガードやガッツとかそんな感じに目に見えてわかりやすく。 サカマキさんも早速機械の調整に入り、シミュレーターの環境を作り上げる。

 

 

 

2日目。

 

いつも通りプロトコル・オメガと練習を行う。 まだ俺のことを警戒してる者達で多いし、サカマキさんが連れてきたとはいえやはり警戒もされている。 まだガンマも認めようとしない。 けどアルファは黙々と俺とサッカーを行っては分析しようと良く考えている。 そんな時は体を動かして感じろと助言した。 ベータも悪態つきながらも性格変貌で味付け変えつつ必死に食らいつく。 悔しい時は悔しそうに、嬉しい時は嬉しそうに、どこかのお日さまみたいなあの()を思い出す。

 

 

3日目。

 

シミュレーターとして俺の動きをシステムに取り込んだ。 もちろん化身無しで。 そのかわりプロトコル・オメガの化身アームドよりも互角以上の数字が出てサカマキさんからは「生身でこれなのか!?」と驚かれた。 化身がどれだけ強化に繋がるか知らないが、とりあえず餓狼伝説の身体強化バージョンもシミュレーターに落とし込もうとしたがエラーが起きたらしい。 サカマキさんが俺から少し目を逸らした気がした。

 

それでFWとMFとDFそれぞれの動きのシミュレートが無事に終了した。 それでサカマキさんに俺自身のシミュレートと勝負したとお願いしてシミュレーターしたけど、そのまんま俺の動きですごかった。 ちゃんと再現していて、それでいてめちゃくちゃ面白かった。 このデータをアンドロイドに注ぎ込んで作り上げたら戦力強化も見込めるとサカマキさんは少し盛り上がっていたけど俺の動きをアンドロイドに取り込むのは至難の技なので1ヶ月の期間で2体は作れたら上出来だとか。 いやそれでも原作で即興でメカ円堂とか作ったあなたはすごいと思うんですがそれは…

 

4日目。

 

メンバーの数値化が全て終えた。 それぞれ個人の苦手を克服するのは期間が短くて無理なので長所を伸ばす流れにする。 しかしその中でキーパーが弱い。 俺はしばらくキーパーを中心に育てることにした。 ほかのメンバーはサカマキさんが俺のシミュレーターでメンバー強化を図る。 ここからが本格的に始まるだろう。

 

 

8日目

 

キーパー陣には必殺技開発を行っていた。 GKザノウのドームシャウトから衝撃波系の必殺技へ派生が可能なので『レイジングストーム』のやり方とコツを教えた。 ザノウはドームシャウトのみ覚えているが、そのドームシャウト(衝撃波)に対しての練度が高いことが功を奏したのかもう覚えそうだ。 このキーパー、もしかしたらプロトコル・オメガの中で早々に化けるかもしれない。

 

ルジクも能力は高くて申し分ない。 ただジャイロセービングの安定性が見込めない。 やっぱり属性統一大事だけどそこは意識させずに強くすることを決める。 でもボールを受け止める具現化の超次元だろ? だとしたら…あの必殺技とかどうだろうか? エージェントとして素質は高いからやり方次第では強くなれるだろう。 とりあえず『シュートポケット』の必殺技習得から始めよう。 がんばれ脱、砂利の整備士だ。

 

 

10日目。

 

キーパーは一度置いて俺の動きを入れたシミュレーターと戦っているメンバーを見に行った。 もちろんちょいちょい様子を見ている。

 

それでベータがどこか自信を無くしていた。

 

 

「どうした? 難しい顔して」

 

「!……なんでもないわ…」

 

「ふーん? シミュレーターとは言え、俺に勝てなくて悔しいとかか?」

 

「っ! べ、別にそんなことは………あるけど…」

 

「今日は素直だな? もっと悪態ついて奮えよベータ」

 

「今日はそんな気はないわ…」

 

「でもベータはプロトコル・オメガの中で一番強いぞ?」

 

「知ってるけど……今は意味がないわ」

 

 

 

でもベータに関しては原作では無敗の強さを持つ。

 

可愛い顔だけじゃなくて強さも兼ね備えていたりと結構良いキャラしてるてへぺロリストだ。

 

でも今日は随分としおらしい。

 

俺はふと思い携帯を取り出してとある写真を見せた。

 

 

 

「なぁ、この子を見てみなよ」

 

「……誰?」

 

「俺のお気に入りで"蓮池杏"って女の子だ。 年齢も身長も今の君と同じくらいで、サッカーをやっている」

 

「…それがどうしたの?」

 

「この写真は2年前に撮ったもので、今の君と同じくらいの年齢と身長だが、それでも君の倍は強い頃の写真だ」

 

「!!?」

 

「男性と女性には身体的関係上に差は出る。 けど彼女はそんなの関係無しに俺に勝つかもしれない強さを持っていて、これよりもまだ強くなる女の子だ。 そしてサッカーのスタイルはベータとあまり変わらない。 つまりどういう事かわかる?」

 

「ど、どういうことよ?」

 

「ベータもこの子と同じになれるってことだよ。 ほら、自信なくしてないでサッカーやるぞ」

 

「う、うるせぇ! 俺は別に自信なくしてなんか無い! ただ……少し疲れていただけだ!」

 

「そうか」

 

「……強く…か」

 

「それでさ、杏の事を見て思い出したけどベータはダブルショットの時にバク宙して蹴るよな? その技術があるならそれを片足に集約した蹴りに変えて、そのまま別の必殺技に変えたりしないか?」

 

「変える…? 基秀お兄さんはわたしに何をするつもりかしら?」

 

「"アトミックフレア"って知ってるか? 蓮池杏も使えていた必殺技だ。 ただそれは別の人格(レアン)を持っていたから出来た技なんだ。 今は使ってないけどベータは二重人格…の、ように性格を変貌させるプレイングをしたりと何処かしら似てる。 けどアトミックフレアは自身の人格に熱意を持った選手のみ扱える技だ。 ベータなら蹴れるさ」

 

 

 

 

15日目。

 

シミュレーターを続けたり、個人指導を行ったり、プロトコル・オメガのメンバーは着々と力を付けてきた。 そして指で数え切れなくなってきたくらいの人数がシミュレーターの俺を超えたようだ。 サカマキさんも次のステップに入ろうとしていた。

 

さて、そんな俺はアルファが付き添い一度現世に帰った。 それで……うん、ちょっとした軽いホームシックです。 そしてタイムジャンプして帰ってきた時間は俺が拉致(?)されたタイミングと同じだった。 それで早々におひさま園に戻ると瞳子が迎えてくれた。 彼女から俺のことはしたら半日ぶりの再会だけど、俺からしたら15日ぶりなので感極まってギュッと抱きしめたら「ひゃん!?」と驚いて戸惑った瞳子かわいい。

 

 

「未来に行ってた??」

 

「ああ。 ちょっとかなり面倒な事があってな。 とりあえず俺はまた行ってくる」

 

「そう……とても信じ難い話だけど、そこのアルファくんが見せてくれたサッカーボールがなによりも証拠ね。 疑えなくて残念だわ」

 

 

「はい。 ……その、基秀さんに関しては申し訳な_」

 

 

「いいえ、気にしなくて大丈夫です。 彼を狙ったことに関しては少し気持ちが穏やかじゃ無かったけど、でも打ち負かした上に力を貸して未来のあなたた達をなんとかしてあげようとするその奇行に関しては、まぁ…そんな人だと思って大丈夫よ」

 

「くぅーん…」

 

「なにが『くぅーん』よ? エイリアの騒動当時の風丸くんの件や、蓮池さん件、あと静岡に乗り込んだ件もそうだけど、ほほ独断から始まるあなたのソレは否定できるのかしら?」

 

「(否定でき)ないです」

 

「つまり基秀はそれがデフォルトです。 だから存分に頼ってください。 彼について行けば間違いないわ」

 

 

「!」

 

 

「基秀、わたしはあなたを信頼してる。 本当はあまり遠くに行ってほしく無い。 例え、この時代に時間の差は無いとしても、それは間違いなくおひさま園の子供達からあなたは遠くに行ってしまっている。 だから遠くに行っても必ず戻ってきて」

 

「もちろん」

 

「そしてアルファくんのような子供達も助けてあげて。 あなたにはその力がある。 私はそうするあなたを望むから」

 

「ああ、任せろ」

 

 

 

 

16日目。

 

シミュレーターの調整でサカマキさんの研究室に向かった。 シミュレーターに俺の動きを落とし込んでたら「良い奥さんだな」と言われた。 お前見てたのかよ!?と抗議した。 最近仲良くなってきた研究チームに笑いが起こる。 どうやらアルファがサッカーボールを通して俺を監視してたらしい。 まぁ、タイムジャンプするから当たり前だよな。 それで俺が瞳子と会話するところを聞いてたらしい。 あと瞳子とは結婚してない。 これからするところだ!とサカマキさんに惚気返しながらシミュレーターのバージョンアップを行った。

 

それからシミュレーターの落とし込みを終えて昼ごはんになったので食堂に向かうと目の前にベータが座る。 最近の彼女は色々と構ってくる。 それで今日は何をしてくるのかと身構えてたら「基秀には勿体ない奥さんね」と突然瞳子の話を持ち込んで揶揄ってきた。 おかげで飲んでた水に喉がやられて咳き込んだ。 ベータと仲のいいオルカも「へぇ〜?奥さんですかぁ?」と便乗して来た。 気分を落ち着かせさた俺は「結婚はしてない」と否定したらベータは「あら、つまんない」と、やれやれなご表情。

 

でも「指輪は決めてるよ」と告げて食堂を後にしたら数秒遅れてザワザワとなって、女性陣からキャー!と黄色い歓声が聞こえた。 あとガンマからほんの少しだけ尊敬を受けた。 もちろんアルファはいつも通り。

 

 

 

17日目。

 

いつも通りの毎日。 でも皆との距離の壁は無くなって結構仲良くやっている。 中には直接アドバイスを受けようと話しかけて来たり、あのガンマがルジクを交えて食事を一緒にしようなど誘ってくれたりする。 アルファは「最近、胸に熱きものを感じる…」相談して来たのでそれが何か答えようとしたらベータが「恋してるのね!基秀に!」と揶揄ってきた。 ありもしない冗談だけどアルファは「それならまだ異性的にベータの方だと思う」って難なく答えてらベータが「…へ?」と固まった姿は印象的だった。 俺が「アイツすげーな」と言ったらエイナムが共感した。

 

そんなやりとりをしているとセカンドステージ・チルドレンから一人だけ情報を伝えにやってきた。

 

どうやら試合するスタジアムの話になったらしい。 後から聞いたがとある一角を潰してその日に新しくサッカースタジアムを作ったからそこで行うと言う話になった。 なんかその日にとかとんでもないパワーワード聞いたけどこれがセカンドステージ・チルドレンの力かと感心した。 それで俺はここまで伝えに来たセカンドステージ・チルドレンの人と廊下ですれ違ったのだが…

 

 

 

「な、なっ!!?」

 

 

俺に向けてすごく驚いた顔をしていた。

 

 

「セカンドステージ・チルドレンの人か? 出口はあっちだぞ」

 

 

 

深く干渉しない方が良いだろうか?

 

でも少しくらい情報は引き出したと考えていたら…

 

 

「あ、あなた、もしかして破和戸基秀…さん、ですか?」

 

 

「そうだけど?」

 

 

「ッッ!!」

 

 

 

またまた驚いている。

 

そんなに有名人なのか俺?

 

 

 

「ああ……生きてる…ここに、指導者が…」

 

 

「ええ? な、なに?」

 

 

「!………ご、ごめんなさい。 なんでもありませんわ。 し、失礼します…」

 

 

「待て。 勝手に意味深な事を言って帰るな。 気になるだろ。 せめて名前だけでも教えろ」

 

 

「!」

 

 

 

俺は目の前の女性を止めた。 壁ドンで。

 

流石にセカンドステージ・チルドレンにも秘密主義もあるだろうから無理は承知で名前だけならと尋ねてみる。

 

するとゆっくり口を開いて伝える。

 

 

 

「わ、わたしは"メイア"と申します。 頭脳派であるギルを率いるキャプテンです。 以後お見知りおきを…」

 

 

「メイアか。 俺は知っての通り破和戸基秀だ。 よろしく。 それで? 指導者ってどう言うこと? 200年後の世界で俺が生きてる訳でもあるまいし…」

 

 

「そ、それは…」

 

 

「……」

 

 

「……ごめんなさい。 やはり言えません。 勝手に思わせぶりな事を言ってしまって申し訳ありません……おじいさま…」

 

 

「…はい?」

 

 

「ぇ…?……………はっ!!?」

 

 

「おじい、さま?」

 

 

 

 

そういや…

 

『"頭脳も明晰"で"あの子"のご先祖さまだけある』ってサルゥの奴が言ってたよな?

 

おじいさまとは先人の事を指すわけで…

 

つまり、そういうことなのか?

 

 

 

「もしかして君は俺の遺伝子を持ってる子なのか?」

 

 

「!? っ、ど、どこでそれを…??」

 

 

「SARUから聞いた」

 

 

「!!……そうなのですね」

 

 

「それでどうなの?」

 

 

「確かに……私の中に破和戸基秀の遺伝子はあります」

 

 

「へー」

 

 

「…」

 

 

「…」

 

 

 

 

いやいやいや。

 

 

待て待て待て。

 

 

おかしい、おかしい。

 

 

それはなんかおかしい。

 

 

ええー?

 

仮に遺伝子引き継がれてる?

 

それなら俺に似てるよな?

 

どこか似ているのか?

 

まったく似てないだろ。

 

 

俺と言うよりかは瞳子さんのほうが似ていなくも無いけど…

 

 

えぇ(困惑)

 

 

本当にどうだろうコレ?

 

 

んん…

 

あ、でも、そうだな。

 

うん、あの子には似てるよな。

 

見たところ 凍地 愛(アイシー)っぽさはある。

 

けど俺が『おじいさま』ってどう言うこと?

 

 

 

 

それは…つまり 俺 と 愛 の 子孫 ってこと??

 

 

 

 

マジで?

 

 

いや、でも…

 

この世界が違うなら、否定できんぞ??

 

 

 

「わたしは破和戸基秀の遺伝子を持っている人間です。 あなたの全てが、成してきた実績が、この体に刻まれています」

 

 

「へ、へ〜、でも俺って武道派だから頭脳派なの違和感なんだけど?」

 

 

「いえ、そんなことありません。 あなたはとても聡明で賢い人です。 故に未来へ沢山を残してくれました」

 

 

「でも君たちが壊しているんでしょ? 複雑なんですがそれは…」

 

 

「……それは」

 

 

「まぁ良いさ。 これ以上壊させないために止めるんだ。 試合は覚悟してろよ」

 

 

 

 

 

 

18日目。

 

俺は調べものために練習は午前中で切り上げて自室でタブレットを開き、サカマキさんからネットワークをつなげてもらってタブレットの情報収集能力を上げる。 けど俺が調べてるのは…

 

 

 

「なるほど、未来の俺ってのは…」

 

 

 

やはりアルファの言う通り、俺はこの世界線の人間じゃないらしい。

 

別世界の200年後にやってきたのは間違いようだ。

 

それで青年の頃(現在19歳)に歩んできたことはほぼ同じだった。

 

 

 

けれど、そっから先の話だ…

 

 

20歳を超えてからの出来事。

 

吉良財閥は俺を筆頭に"フィフスセクター"って組織と戦った。 それで吉良財閥が勝ってフィフスセクターの実権を握ってそれを捻り潰そう…と、した矢先に研究していたエイリア石がフィフスセクターのスパイに奪われてそれが搬送中に暴走した。 俺はその暴走を止めたらしいが重症を負って気を失い、エイリア石は悪意を持った者に触れられたことで崩壊して跡形もなく無くなった。

 

それでもフィフスセクターはエイリア石の限りあるデータを使って人体実験のため秘密裏で研究を行っていた。 だが俺は目を覚まして吉良財閥はフィフスセクターを追ってその残党を捉えた。 実験は凍結してそれでフィフスセクターは壊滅。 ここでも被害に会いそうになった子供達を助けたらしい。 そんな俺は英雄扱いで有名人な訳だ。

 

……原作崩壊もいいところだろう。

 

 

しかし汚れと言うのは拭えきれない。

 

めでたしとはならずにわずかに生き残ったフィフスセクターは俺が寿命で亡くなりそれで吉良財閥も力が弱まったタイミングで凍結した人体実験を再開する。 時代が進んだこともあったのかエイリア石のデータを土台に研究はどんどん進む。

 

そしてそれと同時にセカンドステージ・チルドレンと言われる者が増えてきた。 元々おひさま園には俺が生きている頃にセカンドステージ・チルドレンの子供達は存在していたが問題なく普通に暮らしていた。 それもそのはず、セカンドステージ・チルドレンの存在もおひさま園が助けていたからだ。 吉良財閥のお力もありエイリア石の研究データを使ってその力を抑えたり、寿命を少しでも伸ばせるようにワクチン開発を進めていた。 けどワクチン開発の研究は思ったよりも進まなかった。 セカンドステージ・チルドレンの力が強すぎた故にその時代での研究が追いつかなかった。

 

 

だから『指導者』がなによりも『ワクチン』だった。

 

 

そして『指導者』で『ワクチン』ってのが…

 

 

 

「俺か…」

 

 

 

おひさま園の園長【破和戸基秀】の事だった。

 

しかし破和戸基秀と言う『指導者』を無くした事でセカンドステージ・チルドレンは行き場を失ってしまい、吉良財閥もいつしか弱まった。 お日さま園や吉良財閥の後継者が頑張るも俺の世代が奇跡的にうまく行きすぎただけで衰退する一方。 そして世間では"おひさま園"を中心にセカンドステージ・チルドレンが増えていた事実もあり、それを危険視した日本政府はおひさま園とそれを支援する吉良財閥を解体してしまう。

 

フィフスセクターの生き残りはそのタイミングを見て組織は度復興させて研究を進め、吉良財閥に握られていた実権を取り戻して活動を取り戻した。 セカンドステージ・チルドレンを利用した研究を進めたが、予想を遥かに超えたその力をコントロール出来ず、フィフスセクターは早々にセカンドステージ・チルドレンの力に飲まれて自爆して組織は壊滅したらしい。

 

 

「アホか。 敵対してたとは言えお前らが最後の砦だったろうが。 ほんまつっかえんわ。やめたらそんな組織? てか、辞める以前に崩壊してたわ」

 

 

まぁ、こんなこともあり世間では指導者の破和戸基秀の事を「マジで凄すぎた」と認識を改めるも200年前の人間だから今頃そんな人の名前を出しても仕方ないと言うことだとか。 それよりも侵略されてる以上は過去を気にしてる場合じゃない。 いつしか吉良財閥もおひさま園も、敵対していたフィフスセクターも存在が完全に無くなりエルドラドの今がある。

 

そんなわけでおひさま園にいたセカンドステージ・チルドレンの子供達は世間から疎まれてしまい再び孤児となり、長い時を得てSARUはフェーダーを作った……と、言うことらしい。

 

 

 

「なにこれ…」

 

 

俺と言うイレギュラーがありながらも原作の修復力と言うのは強烈に働くようであり、クロノ・ストーン編の話が始まったのか。

 

世界は別だけど。

 

 

 

でもメイアが俺を『指導者』と言ってた意味も分かった。

 

 

しかし、そうか…

 

 

破和戸基秀ってセカンドステージ・チルドレンにとってそれだけ大きな存在だったのか。

 

 

 

「世界線が別だとしてもやはり物語は"GO"に向かうのだから間違いなく俺の世界線でもセカンドステージ・チルドレンが現れる。 うーん、これはまたやること増えるなぁ」

 

 

 

この話が真実だとしても、ともかく今あるこの現状をなんとか止めよう。

 

そして過去に帰ったらこのことも知った『責任』として動こう。

 

やれやれ、本当にやることいっぱいで大変な世界だよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あとついでにこの世界の結婚相手を調べた。

 

どうやら『凍地 愛』で間違いないようだ。

 

マジか…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

つづく

 

 

 

 

 

 




メイア と 凍地愛(アイシー) 似てる…似てなくない?

ただ、アイシーも『 if 』の番外編で出せそうな雰囲気は少ながらずありましたが、本編では基秀とそれほどのつながりも無かったし、蓮池杏と立ち位置似ていてそれで被りそうで書けなかった。 なのでこうした形で基秀のお相手を"凍地愛"にした『もしもの世界線』的な番外編のif要素として設定に込めました。 この形ならばと満足してます。

そして、それはつまり…

基秀は別の世界戦の200年後に案内されたと言う事はアルファの話通り。 そうなると狩屋くんのミキシマックス案件は接触してきたアルファ達の世界で活かされず、基秀の居た世界の8年後に活かされてます。 そしてアルファはプロトコル・オメガとして過去で一番最初に接触した人物が基秀です。 そして早々に倒されてプロトコル・オメガの活動が活発にならず、歴史の変化すらも起きない。 この時点でSALUはまだ何も手を出してない。 そのため『フェイ』が時空最強イレブンとして活動してない世界なんですね。

ワンダバ? 知らない子ですね…


前編の"前書き"に書いてる通り
『設定は引き上がれない』は違う意味でこの事を指していました。
本当に時空を超えてしまったんですね。

それがイナイレップーケンのクロノ・ストーン編。

またはイナイ【レイジング・ストーム(荒れ狂う嵐)編】の名前で始まる"もしも"の物語だ。


後編につづく(ホモは二度刺す)
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