エンディングまで泣くんじゃない。
次の試合は出てこいよ、SARU…
破和戸基秀はそう言ってフィールドを後にした。
なぜあんなにも恐れなく振る舞えるのだろう? 未知なる力、強大な力、圧倒的な力、それを持って試合で捻られてきた筈だ。 プロトコル・オメガの人間達は超能力の攻撃に蹂躙されてそれが危険だからフィールドに出てこなかった。 後ろで震えていたとしてもそれは普通でおかしいことではない。 人間に代わってアンドロイドが出場したが当然の処置だろう。
けど
SARUは彼らの心を折る筈だった。
わたしは超能力による妨害の件は何も聞かされてなかったけど、試合中で苦しみ出したプロトコル・オメガの選手はSARUの意思で始まったのだった。 でもそれを乗り越えた力無き人間達の強さにわたしは心を折られた。
「メイア、大丈夫か?」
「ギリス……ええ、落ち着いたわ」
顔色の優れないキャプテンの私に皆が心配する。
「……メイアの、君のご先祖は一体何者だ?」
「……わからないわ」
「「「「……」」」」
ギリスだけではない。
ギルの皆が破和戸基秀を考える。
けど気持ちが落ち着くと私はやらなければならないことを思い出す。
「……わ、わたし、少し彼に会ってくるわ。 会って、今回の件を話さないと」
「なっ!? き、危険だ! その…ギルのチームは妨害の件について何も聞かされて無かったが、僕達も何もしてなかった。 だがそれでも被害を受けたプロトコル・オメガは怒りを持っている筈だ! そこに向かうのは…」
「それでも、わたし達は超能力を抜きにしてサッカーの試合で戦うと決めた。 力を使用せずとも勝てると信じて出てきた。 あと…少なからずおじいさまと戦えることが楽しみだった。 世間から怯えられていた超越者のわたし達相手にどこまでやるのだろうと思った。 でも、フェーダはそれを踏み躙った。 許されないことよ…」
「メイア…」
「謝罪ならキャプテンのわたしだけが行く。 大丈夫、おじいさまなら酷いことをしない…と、思う」
「けど、しかし!」
「セカンドステージ・チルドレンだからじゃない! わたしが! メイアがこの結末を、失態を、愚行を、許せないの…」
「メイア……」
「「「「キャプテン……」」」」
「お、空いてんじゃーん!」
「え!?」
「ふぁ!?」
「「「「「!!!???」」」」」
控室に一人の訪問者。
それは…
「取り込み中…か?」
破和戸基秀だった。
誰もが接近に気づかなかったから皆が固まる。
またはそこに"悪夢"がいる…
「そんじゃ手短に。 ええと、羅生門で破壊された化身に関しては、まだ生きてるほかの化身使いの力を繋げば復活する筈だから。 その処置しないと次も化身は使えないので忘れずに戻しておけよ」
「……え? あ、はい……ありがとうございます」
「うん。 それでは伝言は以上だ。 それじゃ俺は2回戦に向けて準備するよ」
「あ、はい、どうも……」
「うん、それじゃあ」
「……」
え?
「いや、あの……そ、それだけ?」
「え? それだけだけど? どうしたん?」
「あ、いや……その…」
「?」
「ほ…報復でも…されるかと」
「え? なんで?」
「!?」
訳がわからない。
何故?
「ああー、まぁ…言いたい事わかるけどお前らじゃないんだろ? 最初はまさかと思ったけど、ガラス張りの客席にいるSARUをチラチラ見て確認していた。 で、明らかにあのサルゥが仕組んだって理解できた。 事の発端はギルじゃないと知ったから別にこれと言って何か報復とかはない。 強いて言うなら化身破壊してやったことが仕返しと言うか? まま、ええわ」
「そ、それであなたは…!」
「まぁ、妨害云々は予測済みだったから。 そうでなければアンドロイドのメンバー入れなかった訳だし、超能力を阻害するプロテクトコーティングの技術なんて開発しなかった。 むしろ使ってくるだろう前提で俺はお前らを倒そうと思ったからな。 それだけだよ」
「「「「!!」」」」
「今日は勝つことしか考えてない。 次もなんとかやってみせる」
そして最後に「化身の件は忘れんなよ」と言い残して彼は去ろうとする。
「っ、待って!」
「メイア!?」
わたしは追いかける。
控室を出て彼の向かった方を確認。
急いで追いかけるとその足音に気づいて止まってくれた。
少し息を切らしながらも彼の目の前に立ち、そして頭を下げた。
「ご、ごめんなさい!」
「!」
「全てに於いて負けました! それに伴って恥さらしでした! なにもかもをぜんぶを認めます! だから…だから……」
「…」
「おじいさま、わたしは……わたしを……」
今日のわたしはおかしい。
いや、おじいさまと出会ってから変だ。
こんなにも心が痛んで仕方ない。
でも伝えないともっと痛くてそれは悲しいから…
「どうか嫌いにならないでください…」
わたし一体どうしたのだろう…
何故こんな事を言っているのだろうか?
何故に許しを乞いて愚かにも願うのだろうか?
どうしてわたしはこんなにも苦しくて仕方ない?
罵倒を受けたいの?
叩かれたいの?
許されたいの?
自分勝手を押し付けている事が何よりも痛い。
超能力を受けて痛かったのは彼なのにでも何故かわからない。
けど、わたしが破和戸基秀の遺伝子を持っていて、それで彼の強さが私という愚か者で汚れていると言うのなら、わたしは超越者である事が恥ずかしい。 おじいさまの子孫であることが恥ずかしい。 おじいさまの血を引いてる事が恥ずかしい。 破和戸基秀の遺伝子がわたしにあることが…!!
「許すも、何も、気にすることないよ?」
「ぇ…」
「あ、それで試合を通して理解したけど間違いない。 メイアは俺の遺伝子を持っている。 子孫がいる事がわかって嬉しい」
「!」
「まぁ、この世界線の俺は凍地愛って女の子と結婚して、それでメイアみたいな美しい女の子が子孫になった。 俺が生きている世界線はメイアが俺の子孫になるかわからない。 でも今日の試合で使った必殺技は間違いなく俺の力を引き継いでいる事が理解できた。 より近くで見てそれは確信だった」
「…!」
頭を撫でられる。
彼の手は……暖かくて大きい。
「君のエアーバレットは俺の代名詞でもある烈風拳とまったく同じだな。 風神の舞や旋風陣などの技術が込められた技で
「おじいさま…」
「そして情熱のラヴァーズは『恋人同士』の意味を持つ。 誰かを好きになるって素敵だよね? すごくわかりみがあるよ」
笑う。
そして嬉しく微笑む。
わたしの中にある破和戸基秀の遺伝子をおじいさまは喜んでくれる。
「そして、凍地愛の遺伝子はメイアの姿形に表れている。 そこに賢さが含まれてるからわからない。 でも…」
「?」
「すごく頑張り屋で、すごく傷つき安くて、すごく優しいあたり、ちゃんとメイアに受け継がれている。 あと少しだけ泣き虫なところも似ている」
「なっ…! お、おじいさま!」
「冗談だよ。 それで天才かどうかの話だけど、やはり愛は相対する
「?」
「情熱のラヴァーズは『愛』って言葉がに合うだろ? つまり、そう言うことじゃないかな?」
「!……そんな理由ですか。 もう…本当に……」
「情熱に愛を注ぐって素敵じゃないか!おかしい事はない!」
最後は当て付けのようなものだった。
でもそれは笑えるほどに素敵だった。
汚れる筈だった涙は嬉しくて暖かい。
そして不思議と縋りたくなる気持ちは隠せないから、わたしは彼に寄り添う。
多分いろんな人がこうやって彼に助けられてきたんだ。 だからこうなるのはもう仕方ないことなんだと自己完結して、彼に涙を押し付けながら、彼に出会えた事を喜ぶ。
何もかも負けてしまったけど、納得できるくらいに破和戸基秀は強かった。
♢
さて、2回戦が始まった。
1回戦目のスターティングメンバーと変わらずにアルファ、ベータ、ガンマのスリートップで俺は慣れたボランチを務める。 あとはエイナムとオルカを中心に守備を強固にして、キーパーはルジクに交代した。 キーパーのルジクが使うジャイロセービングを全方位では無くてシュートが迫ってくる"真正面"に集約させて別の必殺技に作り上げた。
それは…
「プロキオンネット!!」
「なに!?」
エイリア学園で最強クラスの必殺技だ。 ルジクの使うジャイロセービングは物理的な衝撃に耐えれないがプロキオンネットは訳が違う。 俺はルジクにジャイロセービングで受け流すのが苦手なら受け止めろとアドバイスをした。 でもジャイロセービング以外の必殺技を使えないし、そもそもプロトコル・オメガはキーパーの必殺技のレパートリーが少なくて新しく作るにも力不足で困っていたらしい。 だから同じ必殺技ばかりを使っていた。 だが一芸特化の関係上それに因んだ技開発が捗った。 まぁプロキオンネットを習得させるその前にまずは『シュートポケット』を習得させて、クッションする感覚を落とし込む。 それをジャイロセービングに込めて守備範囲を狭めて安定性を高める。
それを…
「シェルビットバーストォォ!!」
「やー! 旋風陣!」
「プロキオンネットォォ!!」
プロトコル・オメガ最強のキーパーに仕上がった。
原作アニメとは大違いの強さを備えたルジクに脱帽であろう。
へー、ええやん。
(キャラパワー)なんぼなん?
14万!?
ルジクの…守備力の……最高やな!
あとオルカも旋風陣が安定してる。
「もうこの試合で超能力は効かないぞこのサルゥ! 大人しく真っ直ぐに打ちのめしてくるんだな」
「ッッ! メイア! 何故だ!!」
「…」
超能力の妨害はこの試合でも使われていた。
しかしメイアが守ってくれていた。
いや、ギルの人達が俺たちを超能力から守ってくれていた。
あの後メイアは涙を拭ってからはギルのキャプテンの顔つきに戻り、そしてSARUの行動を把握してたのか「また超能力を使ってきます」と警戒を促して来た。 やはり今回もアンドロイドのチームで戦うのかと思ってたが、メイアが「私達が超能力を抑えます!」と助力を告げる。 その場から後ろで聞いてたギル達もメイアが何をするのか察したのか俺を残して皆はテレポートする。
そして試合開始前に観客スタジアムの四方八方には何かの機械を設置したギルのメンバーがいた。 すると脳内に直接メイアから「存分に奮ってください!おじいさま!」と声が届いた。 スターティングメンバーを決める直前にサカマキさんへ状況を伝えて、アンドロイドのチーム編成から急遽変更した話。
そして試合開始から超能力の妨害は一切ない!
「SARU、ダメだ! 僕ではこの数で押せない! いや! 試合しながらでは難しい!」
「ッッ! こんなことが…!」
「超能力にカマけてプレイングはお粗末だなフェイ・ルーン? もうそんなことしても意味が無いんだから普通にやったらどうだよ」
「くっ! エアーバレット!!」
「烈風拳」
「!」
「メイアがそれで相殺されていたのに何で繰り返してんだい? いや、さてはお前は追い込まれると焦りやすいタイプだな? そうかい…ならば悪夢に怯えろ!されど惰弱に溺れろ! ナイトメアギースは虚栄を喰らう! 羅生門ッッ!」
「「「「!!!」」」」
SALUの率いるザ・ラグーンの化身達は羅生門で破壊された。
もう試合で化身は使えない。
「「「化身破壊は反則過ぎるだろッ!!」」」
「「「超能力のお前らが言った事か!!」」」
「ウッキー! 今年はSARU年ィィ!!」
「黙れぇぇえ!」
「神聖なラグナロクがこれで良いのだろうか…」
「ギリス、考えたら負けよ…」
「「「(でも羅生門は本当に駄目だろ… )」」」
こんな感じに2回戦は1回戦より簡単に感じられた。
やはりSARUのチームであるザ・ラグーンはメイア率いるギル達によって超能力の妨害を妨害されており、更に羅生門にて化身が封じられたりと彼らの戦力強化は見込めない。
ストレスなく普通に戦えるので(普通って何だよ?)1回戦よりも気持ちは楽だ。
でも、SARUはそのままでは終わら無い。
やけくそ気味に大声を上げて一気に力を放つ。
ザ・ラグーンのメンバーも何かを念じて解き放った。
これは…
「シュートコマン……な、なんだと!?」
「エイナムどうした?」
「ひ、必殺技が使えない!」
「「「なんだって!?」」」
「おいおい嘘だろ、セカンドステージ・チルドレンそこまで出来るの?」
なんと超次元必殺技を封じ込めできたのだ。
いや、なんでもありだなセカンドステージ・チルドレンの能力は? まぁよく考えたら立派なサッカースタジアムを即席で作り上げるくらいだし、ホモ特有のBBの様に結構と色々やってしまえるのだろう。 BBもだけど恐ろしい。
けど必殺技の封印に関してはセカンドステージ・チルドレンも同じ状況のようだ。 どうやら俺たち"だけ"に対象を絞って超能力を使うことは相当の念力と体力が必要なので、念力をコントロールせず無差別に力を広めた事でメイア達の制御を上回った。 お陰でこの場にいる全員がノーマルなサッカープレイに収まってしまった。 今だけ超次元サッカーは無い試合だ。
てかこんなことなら最初から超能力の妨害とか無しでスポーツマンシップ全開で勤めれば良いものを。
ああもう無茶苦茶だよ。
「けど封じ込めたところで俺には関係ないよな? …餓狼伝説!」
俺は身体強化を行うとボールを真上に蹴り上げて、一気にルジクの隣まで下がった。
「基秀さん!?」
「まぁ、見てろってルジク……いや、見えるならの話だけど」
ちなみに必殺タクティクスも超次元必殺の枠であり、当然ながら餓狼伝説も超次元必殺技と同じだ。 餓狼伝説は全員の精神を合わせ、共に戦うフィールドで勝利に飢える。 それはビーストファングのように餓狼の如く闘争を求める。 精神統一にて皆と心が繋がりやすい漫遊寺だからこそ餓狼伝説が使えてそれは全員の身体強化に繋がる。 どこぞのサイヤ人如く透明なオーラも出るから超次元には変わりない。
しかし俺は俺でこれを純粋な身体強化として扱うことが出来る。 透明なオーラも出ないし、使うにしてもボッチだから必殺タクティクスとして成立もしない。 あと聖者だから、漫遊寺に認められたから、呼吸するかのように使える。
そのため超能力で超次元必殺を封じ込まれても俺にそんなのは関係ない。
故に…
「本当の必殺技とは、これを言う……ッッ!!」
俺にはもう一つあるのだ。
「一歩音超え…!」
音を置き去りに姿は消えて…
「二歩無間…!」
残像すらも捉え難いその煌めきは…
「三歩絶刀……!」
落ちてきた丸い球に向けて重ねて放たれる。
「無明三段突き…!」
超次元必殺技ではないただの【技】がSARUの真横を通り過ぎる。
ザ・ラグーンのキーパーすらも構えた時にはゴールネットを突き破って壁を破壊した。
「「………え?」」
「「な、なんだ…と??」」
「君たちは知らないだろうな。 イナズマイレブンの主人公達はどんなに理不尽が相手でもサッカーに真剣だから勝利の女神は微笑んだ。 俺は主人公と言えないけどそれでも裏表関係なくサッカーに真剣だよ。 だってイナズマイレブンの世界でそうするサッカー選手に勝るものは無いって知ってるからな。 俺も
どんなに不利な状況でもイナズマイレブンを走ってきた者達は点を奪い取って勝利を示す。
クロノストーンなら"松風天馬"はどんな苦境を強いられても諦めずに時空を超えて戦い続けた。
今ここに彼は居なくて代わりに俺が居るから、俺も相手がどんな手を使ってきて苦しさを振りまいても止めない姿勢を突きつける。
そこに無能力者も超能力者も関係ないと言うことをイナズマイレブンの中で示そう。
「何故だ……何故だ!」
「?」
「何故お前らは俺たちと渡り合う!? 俺たちは特別なんだよ! 力の無い人類よりも俺たちは新しい存在! 古い人間は淘汰されるべきなんだよ!」
「笑わせんな。 人の前へ立つ前に自分が人であることを忘れて何かを成せるわけないだろ」
「俺はお前らと同じ人間では無い! 新たな存在で! 俺が"導く"んだ! フェーダを! みんなを!」
「導くはそうじゃない。 導くはもっと理解している事だ。 今のお前では何も成されない。 強者も弱者もしかと理解してやっと導くことが始まる。 お前は力が強いだけで弱すぎだよSARU」
「弱くない! 俺たちフェーダは弱くない!」
「それでも怯えてるお前に俺は負けない」
「怯えてない!」
「ならば真っ向からサッカーで倒そうとしてみろSARU。 あんたらには強力なサッカー選手の遺伝子を抱えていてるのだろう? それとも超能力が無いと俺たちを倒せないと言うのか? そんなに俺が怖いか?」
「ちがう!チガウ! 違う!違う!!」
「じゃあ示してみろよ。 サッカー選手ならサッカーで示せ。 プロトコル・オメガはその上でザ・ラグーンを叩き伏せる。 このチームは負けないよ!! そうだろ、お前ら!」
「「「「「おう!!!」」」」」
「ッッ! 負けない! 怖くない! 勝つのは俺たちフェーダーなんだ!」
すると全てが元通りになる。
ザ・ラグーンも超能力を捨て、やっとまともを貫こうとする。
超次元サッカーはここからやっと始まったらしい。
…
…
あらゆるアクシデント、超能力の妨害はあったがラグナロクはプロトコル・オメガが勝利を収めてセカンドステージ・チルドレンのフェーダを打ち砕いた。 敗北を突きつけられて完全に戦意を失ったSARUは怯えるように「俺たちをどうするつもりだ…」と言葉を残す。
もう超能力で反逆を起こすつもりもなく心は折れてしまったようだ。 しかしフェーダをどうすることもしない議長の判断に目を見開いていた。 そのかわりワクチンを摂取して普通の人間に戻ることを強制させられた。 SARU達は処分されるかと思っていたようだが最初からセカンドステージ・チルドレンをどうにかしようと考えていたようで惨たらしい事は一切ない。
もしそうするなら次は俺がエルドラドを止めていただろう。
「はぁ…淘汰されたのはフェーダの俺たちか。 約束を破ってまでお前達にフェーダの恐ろしさを見せつけようと思ったのに、その上で負けたのなら何も言えないな…」
「だから言ったろ? お前らを能力を持っただけの幼児達ってさ。 そう、ただ凄い能力を持ってるだけだ。 それ故に完璧じゃないし、導く力なんて持ってない。 力での恐怖は導くじゃなくて従わせるだ。 導くは"理解"から始まる。 それは自身にも、他者にも、無力な人や、そうでない人も理解する必要がある。 それでやっと指導者は始まるんだよ。 あとは……経験だな、SARU」
「そっか、指導者が言うならそうなんだな。 はは…なんだ、俺たちは最初からセカンドステージ・チルドレンの救世主だった存在には勝てなかったと言うことか」
「俺はこの世界では救世主だったんだろう。 でも俺の元の世界で俺がどうなるかはわからないけどまた一つこうして知った責任がある。 それが将来的に関わると言うなら俺はお前らを苦しませないようにする。 約束しよう」
「!!……は、はは、あははは、なんだよ。 俺はたちは元からあなたには勝てないのか。 あぁ…もし破和戸基秀がこの時代に生まれてくれていたのなら俺はここまで考えないで済んだのかな?」
「そんなのわからないよ。 もしかしたら俺がセカンドステージ・チルドレン側に入ってたのかもしれなくて、SARUと共に支配してたのかもしれない」
「「「「基秀!それは勘弁してくれ!!」」」」
俺も心を通わせると言うより力を示す事ばかりしてきた。
そこは俺もSARUと同じなのかもしれない。
「ただ俺がこうして200年後の時間を飛んで今がたまたま上手く流れが出来た話だ。 人生に都合の良いなんて話は早々ない。 他の世界ではフェーダに支配されてる可能性だってあるし、或いはフェーダなんて無いかもしれない。 けど、今目の前にいるセカンドステージ・チルドレンは苦しんできた事実がある。 どうしてそうなったのかを知って、この時代で理解して、俺は次に取り組むことを決めたよ。 だから…俺の世界のセカンドステージ・チルドレンは任せろ。 SARUの代わりに果たすから」
「っ……ああ、完全に………負けたんだな」
「君がそう思うならそれで良い」
少しだけSARUに笑みが戻る。
後ろにいるザ・ラグーンも負けを認めたようにSARUと表情は同じだった。
「なぁ、基秀……そっちは、任して良いか?」
「当然だ、破和戸基秀の責任を果たそう」
SARUのやった事は許されない。
侵略もラグナロク戦の妨害も。
でもそうさせたのは世界の弱さ故だ。
何もかもこれだけ弱かったことを今日知った。
なら、
イレギュラーを起こしたその責任を持って…
そこに力があるのなら、尚更だ。
「アルファ、ベータ、ガンマ、この1ヶ月楽しかったぞ。 久しぶりにサッカーが出来て嬉しかった」
「YES、しかしお礼を言うのはこっちだ。 それと謝罪もだ。 命令とは言えあなたを狙った。 けどエルドラドとフェーダの救済になってくれた。 これほどの影響力を持った人間に出会えたことを、わたしは忘れない」
「もう、アルファったらいつまでもお堅い。 あのね…基秀お兄さん、正直に言えばわたしはあなたを認めたくなかった。 でもここまで成された以上は何もかもを認めるわ。 果てしなく強かったあなたにわたしは感謝をするわ。 基秀お兄さん」
「ベータこそお堅いのでは? けど二人に言いたいことを言われたのでスマートに決めるよ。 基秀、あなたの手腕に敬意をスマートに表する。 ありがとう」
原作ではプロトコル・オメガは天馬たちの敵でそれは強大な壁だった。 敵役だった。 でもやはりこの子達もまだおひさま園の子供たちと変わらない。 接し方も、距離の詰め方も、語りかけ方も、おひさま園と変わらない。 200年を通してプロトコル・オメガという可愛い子供たちの出会いを思い出に、これからを考えて行こう。 アルファもベータもガンマも沢山の子供達が組織の枠でサッカーするのではなく、普通の子供達としてお外でサッカーできるように。
「あ、あの…おじいさま…」
タイミングを見てメイアが出てきた。
しかし今回はギリスも一緒のようで…
「基秀さん。 メイアはあなたという指導者に憧れてギルのキャプテンを立候補したんですよ」
「ちょっと、ギリス!? いきなり何を!?」
「だから開催するスタジアムをお伝えするときにもメイアが手を上げて行きました。 もしかしたらあなたに出会えると考えたんです。 そもそも基秀さんがこの世界に来たのもメイアが察知しました。 やはり持っている遺伝子の強さが惹かれたのでしょう……少々妬きますね」
「ギリス! ギリス! ちょっと!」
「一番最後のそれが本音だろ? でもギリスみたいに一人の女性に一途なのは良いことだ。 俺もそれは同じだから応援するよ。 だから二人とも、どうか健やかにな?」
「!……言われずとも」
「ギリスったら…もう…」
「でもこれでお別れだなメイア。 この世界と、俺の世界が同じメイアになるかわからないけど、破和戸基秀って存在がこんなにも可愛らしく聡明な子供を未来に
「!!…ッ、はい! わたしも、この遺伝子の中にある破和戸基秀がセカンドステージ・チルドレンの指導者として、大きな希望だったことを! 私は! メイアは! 誇りに思います!! 」
それからアルファがサッカーボールを使って俺は元の時代に戻る。 タイムジャンプ時にトウドウ議長やサカマキさんと軽く挨拶して……静岡を見る。 200年も経てば色々と変わる。 知らないものばかりだけど、ここから眺める富士山だけは変わらない。 やはり人の手が加わるものだけが著しく変化していくのだろう。
200年後の世界に別れを告げて、俺はこの時代を後した…
…
…
「瞳子、ただいま」
「!?……ええと、15分前にまた出たばかりよ?」
「俺の中では15日ぶりなんだよ。 そんなわけで早速抱きしめ…おや?」
瞳子に近づくとその足元に女の子がいた。
一瞬だけ メイア かと思った。
けどやはり違った。
その子は…
「あ……基秀お兄ちゃん」
「愛じゃないか。 もうすぐ日にち変わるのにこんな時間まで起きてどうした?」
「あ…少し……その…」
「助かったわ。 凍地さんには、基秀がまた出かけた所と説明しなければならないところだったのよ。 でも帰って来たのならその役目もいらない見たいね。 少しお茶を淹れてくるからリビングで待っていて」
「わかった。 そんじゃ愛、行こうか?」
「う、うん…」
高校生になったばかりだけどまだまだ小さな彼女の手を引いてリビングまで歩く。 電気をつけて、二人並んでソファーに腰掛けた。 すると愛は倒れ込むように抱きしめてくる。 なんというか、愛はたまにすごく幼くなる。 エイリア学園のトラウマと、稀にアイシーの人格が出てくるらしい。 彼女の兄修次の力がないとおひさま園の中で彼女は一番弱くなる。
「どうしたんだ? 俺を探してたのか?」
「うん…」
「そうか。 実は俺も帰ってきたら愛を探そうと思ってた」
「え…?」
「出かけた先で君に凄く似ている子供が居てね、それで愛を思い出した。 最近あまり構ってあげれなかったから少し申し訳ないと思ってた」
「ううん、良いの。 基秀お兄ちゃんはみんなの為に頑張っているから。 あまり会えないのは寂しいけど、みんなと我慢できた……のに、なんか…急に……ぐすっ…なんか、会わないと、ならない気がしてね……ぅぅ、いきなりごめんね、基秀お兄ちゃん」
「良いさ。 俺はお前らのためにいる。 今は少しこうしていようか?」
「うん……今日だけは、お願い。 明日になったら、わたしは……すぅ……すぅ…」
ガチャ
「おまたせ…あら? 寝たのかしら?」
「みたいだ。 随分と寂しがっていた。 出かけてないで今日はおひさま園に居たらよかったかな?」
「そんなことしたら休まないでしょ? まぁ、200年後の未来で30日も働いていたみたいだけど。 本当にやれやれ、ね…」
「でも良い休暇だったよ? 未来を学んできた。 やはりやる事は多いし、片付ける問題も多いし、残すことも多かった。 俺一人では無理かもな」
「弱気ね? 凍地さんのが寂しがりが憑ったかしら?」
「かもな。 でも元々俺は一人で限界だよ。 聖者って結局は後ろに誰かが居ないと成り立たない存在で、一人でいても聖者の強さに意味はない。 サッカーではワンマンでどうにかなったかも知らないけど、これからは吉良財閥とも関わり、俺だけの"世界への挑戦"が始まるんだ。 でも200後の世界で頼まれたからこうしてやると決めて帰ってきた。 だから…」
膝の上で、安心したような表情で眠る小さな子供の頭を撫でる。 俺は強いけど
『
『
『
『
この世界でただイナズマイレブンを奮おう。
だから…
「俺は瞳子と共にやって行きたい」
「……ええ、わたしも。 基秀と共に…」
この世界で"俺の事"を メイア に残さない。
でも メイア の"ために"残せるものはある。
もちろんメイアだけじゃない。
プロトコル・オメガのアルファやベータにガンマのような子供達にも。
セカンドステージ・チルドレンのギリスやSARUのような子供達にも。
そして、膝の上で眠っているこの子供のためにも俺は残して行こう。
この世界で 破和戸 基秀 としている限り…
今となってはなぜクロノストーン編を書いたのか分かりません。 でも基秀でまだ何かできると思って書いたのが今回の蛇足でした。 満足はしてます。 松風天馬のように綺麗に終わらなかったし、力でねじ伏せた終わり方ですが、基秀らしく終わらせたかったので、コレがこの小説の終着点でしょう。 原作は壊すモノ。 羅生門がいい証拠。
今回の話は続編的な感じから作られました。
故に基秀のお相手は『瞳子』です。 かわいい。
これは『もしも』の世界線じゃないので200年後のメイアの中には基秀の遺伝子はありませんが、遺伝子云々関係なくセカンドステージ・チルドレンが恐怖の対象にならない未来に進む筈なので誰の遺伝子がアレコレなんて関係ないでしょう。 ただメイアはその指導者に憧れているのでそれは200年後の世界も変わらないかもしれません。
ちなみにザナークとかフェイとかは知らないです。
変わろうとする200年後の世界です。
もしかしたらフェイの母である黄名子は出産時に死なないかもしれないし、フェイも父親と拗れる事なく母親と共に幸せを築くかもしれないし、ザナークは市川の名前で未来で歌舞伎やってるのかもしれないし、アルファもベータもガンマも普通の子供として3人は絶妙な関係で学校に登校してるかもしれないし、SALUもフェーダーに囚われず長生きしているかもしれないし、三国さんがクソツヨキーパーかつ美形の男子として雷門のゴールを守る世界線とか、そりゃもう色々とあるでしょう。
あとメイアとギリス可愛いかった。
二人は健やかにてぇてぇしてほしい限りです。
はい、書いててキリがないのでここまでにします。
さて……
イナイレップーケンはこれにて終了です。
作者はホモじゃないので嘘つきになりません。
本当に終了です。
そんなわけでイナズマイレブンの作品から離れて次の小説の投稿を目指します。
またリアルで再就職目指しながら新発売するRISEな狩ゲーもしたりと4月に向けてまた忙しく始めます。
小説はこれまで通り再投稿を中心に始めていきます。
(今頃ストパンと見てるからなんかあるかも…??)
ここまで楽しい2ヶ月間でした。
ありがとうございます。
沢山の感想と評価、個人宛のメッセージ、誤字脱字の報告など、色々とありがとうございました。
また不意にこの作品思い出してまた読み返して頂けると幸いです。
終わり!閉廷! 以上!
中居さんありがとう!Flash!!
ではまた!!