〜 富士(基地) 〜
エイリア石から送られるエネルギーを補給できるドーム状の空間にイプシロンは大人しく待機していた。
「……」
「……」
「……」
「……」
しかし今日は特に口数が少ない。
いつもならエネルギーを補給してる間に試合への勝利から学校破壊後の余韻に浸っている筈だが誰も漫遊寺で起きた話をしようとしなかった。
だがそれは仕方ないことだと思う。
イプシロンにとって全く予想不可能な出会いだったから。
破和土 基秀…
自分達よりも3つか4つほど年上の青年。
まだおひさま園が平和で、笑いながら楽しく遊んでいた頃にサッカーボールを転がして現れた青年の名前…
当時の彼はまだ中学生だが、それでも皆よりも年上であり、自分より年下の幼子と遊び上手だから誰とでも付き合える愉快な人。 外で走れば楽しく、話せば面白く、悪ふざけも堪能であり、泣いてる人を慰めたり、拗れ合いの制裁したり、なんだってお日さま園でやってくれた。
でも皆の一番の思い出はサッカーだ。
彼はサッカーに長けており誰にも負けなかった。
お日さま園の中ではサッカーが人気で、上位なプレイヤーはいたが、破和土基秀は特に上手なサッカープレイヤーだった。 突如開かれたフットボールフロンティアごっこでも、彼のプレイはあらゆる場面で炸裂し、皆の興奮を無条件に引き出すほどだ。
だから彼はお日さま園の中で人気者だった。
しかし一週間が経過すれば彼はお日さま園を去り、そして彼とは出会うことは一度もなかった。 もちろん皆は悲しみ、そして涙流しながら引き止めようとする者もいた。 そんな彼は『サッカーを続けていればまた会える』と言い残し、転がるサッカーボールの上に乗りながら去った。 それほどに彼はお日さまの孤児達に大きな影響をもたらした人だった。
だから皆は信じた。
いつか体も大きくなり、サッカーボールを転がしていればどこかで会えるだろう。
そう待ち望む人で多かった。
そして、つい数時間に…
出会った…
だが敵として出会い、こちらは正体を隠しながら宇宙の侵略者として彼と出会って対立してしまった。
みんなは思った。
どうして? と……
久しく出会えた彼とサッカーが出来る楽しみすら考える余裕もなかった。 しかも彼はイプシロンから侵略される側であるため彼は立ち向かう。 静かな怒りを交えながらも学び舎を破壊させまいと試合で立ち向かってきたのど。 サッカーにおけるプレイングが劣る漫遊寺の後輩達を率いりながらも前半はイプシロンと互角に戦い点を取らせなかった。
しかし後半戦に入ると漫遊寺の選手は必殺タクティクスの疲労により動きが悪くなり、結果的に破和土基秀が主に一人でゲームメークを繰り広げながらイプシロンに対抗してきた。
あの頃より格段に強くなっている彼はエイリア石で強化してるイプシロンよりも強かった。 多数を相手しても怯まず突破口の探り続け、後半戦になっても個人プレイから一点をイプシロンから奪い取る。 しかしサッカーは一人でどうにかなる程簡単ではない。
結果的に漫遊寺は8-3で負けた。
敗者に意味は無い。 イプシロンは漫遊寺を破壊しようとした。 しかし、最後まで漫遊寺のために戦った後輩達が倒れて行く姿を眺めた彼から怒りが急遽に膨れ上がる。 そして、穏やかとは程遠い感情はイプシロンに向けられる。
_______『ユルサナイ』___
背筋が凍りつくような『殺意』…
一体何を経験すればあんな風に出来るのか?
数年見なかった彼は何で力を得たのか?
まるで人が変わったようだ。
でもそこは重要じゃない。
彼から放たれている殺意はイプシロンに対して向けている事実から逃避したかった。 背きたかった。 漫遊寺に被害をもたらそうとした自分達に対してあんなにも冷たい眼差しは、どこぞの"凍てつく闇のキャプテン"よりも冷徹で、直視することが苦しくてかなわない。
それも仕方ないことか…
だって自分達は地球の侵略者だ。
あの人とは混じり合うことは無い存在になってしまった。
だからもう……あの時のように、笑うことも、話すことも、楽しさを貰い受けることも、永遠と叶わない。
だから激しく後悔する。
自分はどうしてこんなことをしてるのか?
でも自分は宇宙人として侵略を続けなければならない。
だから…
せめて…
次は会うことがありませんように…
誰もがそう思っていた…
♢
〜 イナズマキャラバン 〜
「いやー、帝国学園は情報量が多いな。 しかも俺が軽く有名人だとは思わなかった」
「それほどにあなたは帝国の高校サッカーチームから警戒されていたのです。 裏のFFIの最重要警戒選手だと…」
「へー。 あ、ちなみにどんな方向に警戒選手な訳?」
「あまりいい噂を聞きませんが選手をひたすら薙ぎ倒すと聞いてます。 息切れを知らない必殺技は驚異的だと」
「烈風拳の事だな。 これなら腕が疲れない限りいくらでも放てるぞ? あと闘志も揺らぎなく激ているならね」
「それに……あなたのラフプレーは平気で相手を再起不能にすると」
「ああ、それは間違いない。 逆に相手がラフプレーの塊で、こちらを傷つけようとするなら逆にこちらから潰すくらいのつもりで。 だって危険な芽を積むやり方としては理想的だよね? 報復なんて後の先は意味がないからこちらから再起不能にしてやる…てか、帝国もそこらへん人のこと言えないだろ?」
「…」
「裏のFFIだから当然日本代表として帝国の選手とも組むけどソイツらはジャッジスルーとか平気でやってたぞ? まぁ荒々しいプレーで敵の戦意を削いだり、怒りを買って相手のリズムを崩したりはわかるけどさ。 俺もそのやり方は有りだと考えてるぜ………裏の世界ならな」
「やはりあなたはこのチームとは噛み合いません」
「だろうね、俺もそう思う。 でも君達が強くなるには俺がいるだろう。 エイリア学園と最後まで戦った俺の経験は君達を強くするために必要だ」
「それは分かってます。 ですが…」
「分かってる…分かってるよ、鬼道。 俺は裏のFFIに参加していて、その世界に影響されてるため荒々しいプレイが染み付き、それが純白な雷門に悪い影響をもたらしてしまう事を恐れているくらいな」
「…」
「でもそこは心配し過ぎるな。 俺も上手くコントロールできるし、雷門を悪い方向へ染めようなど思わない。 むしろ染まってはダメだから、俺も極力気をつけるさ。 でも…」
「?」
「これから現れる相手は今までよりも遥かに強い。 だからそれを凌駕するために『引き出し』は多くないとな?」
俺は自販機で飲み物を購入するとペットボトルを一本鬼道に投げ渡す。
「…」パシッ
「でもこれは理解しといて。 俺だってエイリア学園を許すまいと思ってこの旅に参加してる」
「はい」
「ふざけたテロ活動は止めないとな……」
「それは私も同感です……破和土さん」
「基秀で良いよ。 あと試合中なら呼び捨てで言っても構わない。 なんなら『ひで』でも良いぞ? あ、でも『ひでしね』の場合は許さない」
「??」
渾身のボケがスルーされたが、鬼道の心配事を拭いながらイナズマキャラバンに戻る。
純白な雷門イレブンねぇ…
なんというか鬼道は雷門に対する愛を抱きすぎだな。 それは別に悪い事じゃないけど……お前もソッチだった人間だろ? デスゾーンで敵を潰そうとしたりそれはなかなか帝国らしい働きをしていた。 もちろん雷門としての鬼道も、帝国としての鬼道も好きだけど、一つわかる事があるとしたら案外、俺と鬼道の本質は似ている。
そして鬼道もそれを理解してるだろう。
だからこそまず先に俺へ接触してきた。
でも安心して良い。
俺は違えない。
お前が妹を愛してる様に…
俺も弟を愛してるからな。
分かってるさ。
♢
円堂守がエンカウントした不動明王は『真・帝国学園』に招待すると言い、イナズマキャラバンに乗り込み、鬼道の横に座った。
とりあえず無性にバナナを渡してやりたい。
「おい、この猿ゥ!」
「あぁあん? 誰が猿だテメェ!!」
「あ? 何怒ってんの? 俺は窓にへばりついてる野生の猿に言ってんだよ」
「ウキー!」
「うわー! 本当にお猿さんがいるッス!」
「そんなところにいると危ないですヤンス!」
「わー!可愛いー!」
「それよりも猿って単語に反応するということはオメェ相当バナナ好きだな?」
「あぁん!? なんでそうなるんだ!」
「猿と呼ばれて反応するから。 だからお前はバナナが好きな猿。 はっきりわかんだね」
「にっしし」
「ウキー」
「っ、コイツら!!」
「おおっと、走行中はシートベルト締めて大人しくしてろ。 それにチンパンは脳死して横格闘振りながら全覚醒で落ちる奴だけで充分だっての」
「あとで殺してやる…」
「ウッキー! 今年は申年ィー!!」
「こ、コイツ…!!」
こんな感じに真・帝国学園に案内された。
そして愛媛の埠頭に到着した御一行は不動明王に騙されたと思ったが、海から何か飛び出してきた。
大きな船だ。
「うわー、金かかってるな〜」
「「「感想そこ!?」」」
雷門の後輩達にツッコミを入れられるけど別に俺の感想は間違ってないよな? まぁこの世界はどこも金がかかってるからな、この程度どうってことないのか。
それから影山零治がよって招き入れられた。
その時、チラリと俺の方を見たが……まぁ、元帝国学園の総帥か。
俺のデータも見たことあるなら気にもするか。
え? 俺のことか気になる?
もしかして総帥はホモ…?
そ、そういえば鬼道のことも「お前は俺の作品だ」とかグラサンをギラつかせながらニヤリと意味深な笑みでそう抜かしてるし、もしかしたらそうかもしれないな。 そしてホモということは野獣である。
そうなると総帥は野獣先輩だった?
なるほど野獣先輩"帝国の総帥"説来たなコレ。
だとしたらケツにジャッジ♂スルーされないよう気をつけないとな。
♢
ここからはざっくり話すけど、真・帝国学園と試合することになった。
でも穏やかじゃないですねぇ。
あと敵チームにMFの
かわいい(ここ重要)
「……」
さて、FWに裏切り者でおる佐久間次郎がいますね。 地面からタケノコのように出てくるペンギンの飼育員さんとして有名な人だ。 頼めばこのブリーダーさんから赤い皇帝ペンギンを一匹くれるだろうか? え? そんなことするとシュート成立しなくなる? いや、むしろそのまま成立しなくて、どうぞ。
それから、いかにもシャンプーの量が多いだろう髪の毛してるGKの源田幸次郎もいた。 パワーシールドならわかるけど、ビーストファングやったり、無限の壁やったりと、かなーり高いTPの技を扱う結構ヤベー奴だった記憶。
とりあえずここから原作通りだとこの2人は自滅するんだっけ?
うーん。
漫遊寺のかわいい後輩が倒れたようにこの二人が自滅で倒れるのも見ていて嫌だよな。
だから俺が倒そう(提案)
…と、言いたいけどペンギンスタート…じゃなくてベンチスタートなのでフィールドに出られません。 あとペンギンスタートはどちらかと言えば佐久間の方だな。
「ウォォオオ! 皇帝ペンギン1号!!」
出た。 赤く塗られたことで速さが3倍になった赤い彗星のペンギン達。 それが佐久間の足に噛みつき、蹴られたボールと一緒に飛んで行った。 円堂は受け止めるがあまりの威力に耐えきれず、ゴールネットに突き刺さる。 先制したのは真・帝国学園だ。
「瞳子監督、あのシュートヤバくないですか? 眼帯をしてるペンギンの飼育員さん倒れそうですよ?」
「……」
「それにアレを受け続けると円堂くんも危ないですし、結果的にペンギンの飼育員さんを徹底マークで止めないと大変ですよ」
「……ええ、そうね…」
興味あるのかどうかも微妙な対応だ。
困るなぁ。
「なら瞳子監督、後半俺を出してください」
「それは許可しません。 あなた対エイリア学園のため使います。 ここであなたを出そうとは思いません」
「…ごめん、じゃあ言い方変える。 瞳子さん、俺を後半出さないとあんたの好きな子供達が苦しむぞ? しょうもない理由の怪我でもし子供達の将来は潰れるとか考えないの?」
「……」
「……それでよくみんなの監督とか良く言ったな」
「ちょっと、破和土さん!?」
「それ以上はや、やめましょう破和土さん!」
「ちょっとあなた! 少し落ち着いて!」
少し瞳子さんの空気が怖くなる。
でもそれは彼女自身は俺の言ってる事は気付いてるだろう。
ただ『父さん』を止めたいがために勝利に執着してしまう。
だから難しい立場にいるからとてもしんどいのだろう。
でも私情を挟んでるのでは務まらない。
だから俺はもうひと押しようとした時だ。
不動のユニフォームからエイリア石のかけらが出てきた。
それを見た瞳子監督は目を見開いていた。
「エイリア石…っ…!」
小声で呟いたが、俺は聞こえた。
でも相当驚いてる声だな、これ。
「俺を出した方が良い。 俺ならあのペンギンの飼育員を止めれるし……相手に『勝てる』ぞ」
勝てる。
この言葉に少し反応してくれたのか、瞳子監督はこちらを見てくれた。
「………そこまで言うからには何か考えがあるのでしょうね?」
「あるよ。 だからそう言ってる。 出さないとみんなが後悔する」
「……なら後半戦、基秀くんが出なさい」
「よし」
それから佐久間を徹底マークしてボールを渡さない戦法だが、不動を中心に強烈なプレーが続く。 お陰で雷門は上手く試合の流れを持っていけない。 ただ雷門のディフェンダーにつく吹雪士郎と義弟の夕弥がなかなか強いため、佐久間にボールが回らなくなった。
でも…
「不動明王だったな。 アイツ普通に強いな」
なかなか嫌なプレーをする奴だけど、実力は確かだ。 マークの外れ方がうまいと言うか、巧みに計算を行ってプレーしてる事がよくわかる。 あと強引なプレーもだ。 裏のFFI向きな強さなこともよく分かる。 なるほどなぁ。 よし、エイリア学園のゴタゴタが終わったら後の高校卒業の俺に変わって、穴埋めのために裏のFFIにスカウトしようかな? 金も手に入るし、貧乏で苦しんでいた不動ならもしかしたら乗ってくれるかもしれない。
「…」
瞳子監督を見る。
やはりまだ子供達を子供達と思わない"フリ"をしている。
はぁ…(クソでかいため息)
馬鹿だなぁ。
お前は子供大好きだろうに。
そんな事出来るわけ無いだろう。
いつか暴いてやろうと思いつつホイッスルと共に動き出した。
後半戦に
真・帝国学園のユニフォーム好き。
ジャッジスルー2も好き。
影山は嫌い。
ではまた