気付いたら周りが百合色になってた   作:まもなう(旧ノリあき)

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ここで番組の途中ですが、特別編をお送りいたします。


特別編:バレンタインな黒髪さんと金髪さん

 

「えっと……」

 

今私は猛烈に焦っている。何故なら、明日はバレンタインだから。

今までは渡すことなんて考えもしなかったから、普段と同じように過ごしていたけど。

今年はそういうわけにはいかない。私には愛美という大事な人がいるから!

前日になって気づく私もどうかしているけど、仕方ないじゃないか!習慣がないんだから!

 

「そういうわけで、一緒にチョコレートを買おう。由真ちゃん」

 

そして習慣がないので、どんなものを買えばいいかわからない。

バレンタインってチョコを渡す日なのに、最近は何やらマシュマロやマカロンなんかも渡すことがあるらしいじゃないか。しかもそういうお店に一人で行く気も中々起きない。

そこで、この女子力Max小動物美少女大天使由真ちゃん先生にお越しいただいた。

先生、私の願いを聞いてくれ!

 

「うん、いいよ!せっかくバレンタインなんだもん。喜んで欲しいよね!」

 

「あなたは天使だ……」

 

こんな休日の夕方にデパートに呼び出して、嫌味一つ吐かない由真ちゃんには本当に頭が上がらない。後光が見える。

 

「杏ちゃんは、何を渡してあげたいの?」

 

「うん、最初に私に溶かしたチョコレートをかけて「召し上がれ♪」とかしたいと思ったんだが」

 

「うん、火傷するし危ないからやめようね」

 

「はい」

 

私は素直なので、ちゃんと言うことを聞くのだ。

 

「じゃあ、やっぱりチョコレートかな?ベタだけど、奇を衒ってなくていいんじゃないかなと思うんだけど……」

 

「ふむ」

 

「これとか」と言って由真ちゃんが指をさしたディスプレイ見本には、チ〇ルチョコより少し大きめの様々な形のチョコが入っていた。

 

「遊びがないなぁ」

 

「うん、普通は遊ばなくていいからね……」

 

「ほら漫画とかであるじゃないか。これぐらいの大きいハート形のチョコ。あれって売ってないのかな」

 

「あー、あれは多分一旦板チョコとかを溶かして、型に流し込んで作ってるんだよ」

 

「既製品を溶かして流し込んだだけで果たして手作りと呼べるのか……」

 

「あはは、本当に一から作ろうとしたら二日はかかると思うよ……」

 

「え、そんなにかかるの」

 

流石由真ちゃん先生。この打てば響く感じ。やはり私の目に狂いはなかったな。

 

「カカオの豆をすり潰すだけで、人力なら六時間ぐらいかかるんじゃないかな?」

 

「初めてチョコレートを作ろうと思った人は馬鹿では?」

 

「きっと凄い暇だったんだよ」

 

二人で偉人に好き勝手言いながら、デパートの売り場を歩く。

本当にたくさんの種類があって、目が回りそうになる。宮永様さまだ。

 

「あ、見て杏ちゃん。マカロンタワー」

 

「うわぁ凄い。まるでみやす〇んきの漫画に出てくる天国城みたい」

 

「ごめん、その例えは私じゃわからないかな……」

 

うん、おじさんじゃないとわからないと思うよ。

 

「でも確かに可愛いね。そして思った以上に高いね」

 

「マカロンって割と高級品だからねー」

 

うーむ、迷うけどやっぱり言われた通りチョコにしようかな。

 

「そういえば、お酒の入ったチョコとかもあるよね?」

 

「あるにはあるけど、あれは慣れないとあんまり美味しくないと思うよ?」

 

「え、食べたことあるの?」

 

「実は一個だけお父さんに貰って……これは秘密だからね!」

 

「大丈夫大丈夫。言わない言わない」

 

「怪しいなぁ……」

 

酷いぞ由真ちゃん先生。私は約束や秘密ごとは守る主義だ。

 

「ふぅむ。やっぱり最初のチョコにしようかな?種類が全部違ったし、色々味とか楽しめそうだし」

 

「いいと思うよ!多すぎても多分、困っちゃうしね」

 

「確かに」

 

多すぎても飽きられちゃう訳か。成程、愛情に似てるな。

 

「今何考えてたの?」

 

「真理」

 

「き、気になる……」

 

「でも人によるか。私は飽きることなんて絶対にないし」

 

「それチョコの話じゃないよね……?」

 

「真理の話」

 

混んでいる店内を縫うように歩きながら、最初に寄ったコーナーにたどり着いた。

よかった、まだ売り切れていない。

 

「まだあってよかった。由真ちゃんはどうするの?もう買った?」

 

「私は……手作りしてるから、大丈夫だよ」

 

「え、豆から?」

 

「そこからは流石にしてない!」

 

「なぁーんだ。手作り擬きじゃないか」

 

「……う、うぐ、そんなことないもん。ちゃんと頑張ってつくったんだから……!」

 

あ、ヤバイ言い過ぎた!振るえて俯きだす先生の頭を撫でて、必死に落ち着かせる。

 

「あ、あぁごめん由真ちゃん!大丈夫、ちゃんとわかってるから!ごめんね。言いすぎちゃったね」

 

「う、ううん、ごめんね。私こそ変な空気にしちゃって」

 

「いや、そこで由真ちゃんが謝るのはおかしいから。私が百悪いから」

 

相変わらず人が良すぎるぞ、由真ちゃん。

 

「……よし、復活!買いに行こっか、杏ちゃん」

 

「うん。今日は本当にありがとね」

 

「いいよ。私にできることがあれば、その時はまた頼ってね!」

 

「ママ……」

 

「産んだ覚えはないかなー……」

 

本当にありがとう大天使由真ちゃん先生。是非また頼らせてください……!

 

 

 

 

 

そして、来るバレンタイン当日。今日は日曜日なので、愛美が昨日から泊まっている。こういう時、一人暮らしっていうのは気軽に誘えて楽だ。

買っておいたチョコレートはばれないように冷蔵庫の奥底に沈めて、上にいろいろ重ねてある。

ふふふ、準備は万端だ。あとはいいタイミングで渡すだけ!

 

……と勇んでから既に日は暮れて、辺りは暗くなった。

全然渡すタイミングがないというか、変に緊張してしまって渡せないというか。

そもそもバレンタインの話題すら出さずに、家で二人でネト〇リ見るだけで終わってしまった。

 

「あーそういえばぁ」

 

「!なに?」

 

「今日バレンタインだねぇ」

 

「そ、そうだね!」

 

「ふふ、ちょっと待っててねぇ」

 

どうやって言い出そうか迷っていると、先んじて愛美が切り出してくれた。

彼女が持ってきていた鞄をガサゴソと漁ると、可愛くラッピングされた袋を私に差し出してくれた。

 

「はぁい、ハッピーバレンタイン♪」

 

「ありがとう……」

 

感無量といった趣で大切に受け取ると、そーっと袋を空けて中を見た。

これは、マシュマロだ。

 

「マシュマロだ」

 

「お店で見かけたときに可愛くてぇ、思わず買っちゃったんだぁ。ね、食べよ?」

 

「うん、頂こうか。でもその前に」

 

「んー?」

 

「私も渡したいものがあるんだ」

 

「えー!それってぇ……」

 

逸る愛美を待たせて、冷蔵庫に向かう。上に重ねたカモフラージュをどかして、取り出したるはバレンタインチョコ。ラッピングされたそれを持って、戻ってくると同時に差し出した。

 

「私からも、ハッピーバレンタイン」

 

「わぁー!超嬉しいよー!」

 

「ぐぇっ」

 

勢いよく飛びついてきた愛美を何とか受け止めて、キスをする。

彼女のとても嬉しそうな笑顔に、上手くいってよかったと安堵した。

 

「……あー、まさか昨日の用事ってぇ」

 

「正解。買いに行ってたよ。私だけじゃ不安だったから、由真ちゃんについてきてもらったけどね」

 

「なるほどねー」

 

「正直、滅茶苦茶焦ったよ。全然馴染みがなくてバレンタイン忘れてたから」

 

「ふふ、今年は関係あるもんねー?」

 

「うん。大有り。こうやって過ごせる人が居るからね」

 

「えへへー」

 

お互いににやけながら隣り合って、机にマシュマロとチョコを広げてみた。

急速に女子力を向上させた卓上に目を輝かせた愛美は、早速チョコを摘まんで口に入れた。

 

「んーふふー甘ーい」

 

「どれ、私も一つ」

 

私も貰ったマシュマロを食べてみよう。一つ摘まんで食む。

 

「む、甘い。溶ける」

 

口の中で優しい甘みを広げたマシュマロは、あっという間に唾液で溶けてしまった。

 

「どぉ?美味しい?」

 

「美味しいよ。すぐ溶けてなくなる。こんなの初めて食べた」

 

「あたしも食べていい?」

 

「どうぞどうぞ。あ、私もチョコ貰っていい?」

 

「いいよぉ!えへへ、交換のこうかーん」

 

あー可愛い。愛美の幸せ笑顔はプライスレス。ありがとう由真ちゃん先生。

甘いお菓子と、甘い時間。

浸っていると、ふと愛美が何を思いついたのか、マシュマロを咥えてこちらに突き出してきた。

 

「はい、ほーほ」

 

「……いただきます」

 

 何処か扇情的な愛美に顔を近づけて、キスをするように反対側のマシュマロを噛んだ。

 その瞬間、マシュマロを押し出した愛美の長い舌が一緒に私の口の中に入ってきた。

 溶けだしたマシュマロと愛美の舌が、私の口内を縦横無尽に駆け巡る。

 

 甘く、蕩ける。

 

「ふ……ぅ、ん……」

 

「ぁむ……ん……」

 

 お互いの唾液とマシュマロの甘さを、貪る。

 そうしていつしか甘さがなくなって、名残惜しくも唇と舌を離した。私と愛美を繋げる一本の糸が、酷く私を駆り立てた。

 

「えへへ……おいしぃね」

 

「ああ……おいしかった」

 

 次は、私の番だ。

 

 無言でチョコレートを口に咥えて、差し出す。

 

「ん」

 

「へへ、えっちすぎ……♡」

 

 蠱惑的な顔をした愛美が、その口を近づけて、チョコの反対側を咥えた。

 すかさず、私はチョコを押し出して、愛美の口の中を蹂躙する。マシュマロに比べてチョコは中々溶けない。

 二人の舌と唾液でそれを溶かしていくのは、マシュマロよりももっと、興奮する。

 垂れそうになる涎も気にせず、二人でそれを天上の料理かのように味わう。

 

「んんっ……ふ……♡」

 

「あ……んっ、ふ……♡」

 

 ぴちゃ、ぴちゃと聞こえる舌を絡ませる音が、嫌でも私の心臓を高鳴らせる。

 もう、チョコが甘いのか、愛美の舌が甘いのか、わからない。

 お互いの耳を塞ぎ合って、外の世界を遮断する。

 卑猥な音が頭の中に響き渡って、それを私と愛美が発しているんだと思うと、下腹部が熱くなる。

 時間を忘れて、二人で貪った。

 

「はぁ、ふぅ……」

 

「これ、やばぁ……えっちすぎぃ……♡」

 

「……服、酷いことになっちゃったね」

 

「いいよぉそんなのぉ♡脱いで洗濯機ぶち込んで、続きやろぉ?♡」

 

「脱いで。持っていく」

 

 私と愛美で手早く下着を残して脱いだ服を、取り敢えず適当に風呂場に投げて、シャワーをかけた。

 

 待ちきれない。足早に戻る。

 

「おまた……せ……」

 

「あ、早いよぉ♡まだ準備出来てないのにぃ♡」

 

「……ごめん、エロすぎ。もう食べていい?」

 

「いいよぉ♡たーっぷり、あたしをたべてぇ?♡」

 

 

 

ハッピー、バレンタイン。

 

 

 




R-15だから!キスだけだから!
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