気付いたら周りが百合色になってた   作:まもなう(旧ノリあき)

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由真ちゃんかわいい


聞く橋本さん 9

 

 あの凪に告白された別荘での一泊二日旅行?からはや三日。

 一人で籠もって凪について考えてみたけど、一向に答えは見つけられなかった。

 確かに凪は今までで一番一緒に居たし、勿論一番の友達だと思っているけど、いざ恋人となるとピンとこない。正直今思い返してみると、既に大体のことを凪とやっていることに気づいたのだ。やっていないのは……なことぐらいで。休日とかよくデートに行ってたし、くっついてたし。

 ということで何かきっかけが必要だと思ったわけで。ここは先輩方に相談に乗ってもらおうと由真たちに連絡をした次第で。

 

「ありがとね、急に声かけたのに」

 

「ううん、気にしないで!友達が困ってたら助けるのは当然だよ!」

 

 由真は本当にいい子だ。

 あーしが誘ったその日に返事をくれて、すぐに「お話聞くよ!」とカフェに来てくれた。有り難く甘えさせてもらおう。

 

「本当にありがとね……須藤とかが大天使とか呼んでんのも頷けるわ」

 

「須藤さん……」

 

 いや、困りながらもちょっと嬉しそうに苦笑いする由真は大天使って呼んでもいいと思う。

 いけない。早速脱線して思考がどこかに行ってしまった。気を取り直して少し真面目な顔を作ると、由真も真剣に話を聞く姿勢を作ってくれた。

 

「それで、どうしたの?」

 

「……えっとね、この間荒木の別荘行った時にさ、凪とあーしがお風呂一緒だったじゃない?」

 

「う、うん」

 

「キス、されたの」

 

「えっ、えぇぇぇえぇ!!」

 

 ごくり、と息を呑んで聞いていた由真が大声を出して驚く。

 ちょっと!ここ!お店の中だから!

 

「しっ!声大きいって!」

 

「あ、ごめんなさい……そ、それで?」

 

「……で、キスされて、告白?されたの」

 

 ……待って、あーし告白されたよね?……あれ、ちゃんと好きって言ってもらってない気がするんだけど。いや、ちゃんと凪あーしのこと好き……だよね?

 

「ひゃー……大胆」

 

「待って、あーしキスはされたけど告白はされてないかも。大丈夫だよね?あーしの独り相撲じゃないよね?」

 

「だ、大丈夫だと思うよ!……秋山さん、きっと真奈ちゃんのこと好きだと思う」

 

「マジ?」

 

「うん。……秋山さん、真奈ちゃんと離れるようになってからずっと辛そうで、気になって一度だけ聞いたんだ。最近橋本さんと一緒に居ないねって」

 

「……うん」

 

「その時にね、私がいつも一緒に居ても真奈には迷惑かもって言ってて。自分がしたいことだからってその時は終わったんだけど……やっぱり、辛そうで」

 

「っ!」

 

 わかってても、その話を聞くことはやっぱり辛い。自分の罪を突き付けられている気がして、少し俯いてしまう。

 

「あ!ごめんね、その、真奈ちゃんを攻めているわけじゃなくて……!」

 

「うん、わかってる。ごめんね、由真にまで気を遣わせちゃって」

 

 俯いたことで、気を遣わせてしまう。反省。

 

「あの、真奈ちゃんはいつから秋山さんと友達になったの?」

 

 いつから。

 何となく、カフェの大きな窓から外を眺めながら、昔を思い出す。

 

「ずっとよ。幼稚園の時から、ずっと。本当にいつも一緒だった」

 

「そう、なんだ」

 

「小さい時のあーしは今とは全然違くてね。いつも凪の後ろに隠れてたんだ」

 

「えっ、真奈ちゃんが?」

 

 そう、いつも隠れてた。幼稚園の頃も小学校の頃も。

 引っ込み思案で極端な人見知りだったあーしを、凪はいつもそばで守ってくれていた。

 いつも。

 

「そ。いっつもあーしの手を引っ張って、臆病だったあーしを背中に隠して守ってくれてたの。意外でしょ?」

 

「ほぇ~……うん、正直意外、かな?真奈ちゃんは前からカッコよかったんだって思ってたから」

 

「てことは、あーしはちゃんと変われてるってことか……」

 

 いつまでも凪に守ってもらうことが、昔のあーしの中では悔しかったのか、申し訳なかったのか。中学に入って、変わらなきゃと思って口調も変えたし雰囲気も変えた。そのことが凪にどう映ったのかはわからないけど、それまでと同じように一緒に居てくれて。

 そうだ。凪はいつだって、あーしのことを第一に考えてくれている。と、思う。

 

「……凪、いつからあーしのこと好きだったんだろ」

 

 また俯いて、昔を思い返してみるけど。

 いつも一緒に居たのに、わからなかった。

 

「うーん、それは本人に聞いてみないとわからないけど……真奈ちゃんは、どうしたいと思うの?」

 

「……わかんない。正直一緒に居た時間が長すぎて、今更恋人って目線で見ることができないかもしれない」

 

「……うん」

 

「でも、だからって離れるのは嫌。嫌いになんてなるわけないし、そんなこと考えたくもない」

 

 きっぱり言う。それは、嫌だ。

 

「秋山さんとずっと一緒に居たいって、思う?」

 

「思うわ」

 

「じゃあ、そうなんだよ」

 

「え?」

 

 意表を突かれて、思わず由真の顔をばっと見る。由真は、優しく慈しむように微笑んでいた。

 

「一緒に居たいっていう思いを、伝えてあげればいいんじゃないかな?そういうこと、真奈ちゃん言ったことある?」

 

「ない、けど……」

 

 確かに、伝えたことはないけど。

 

「今恋人として好きかどうかはわからないかもしれない。けど、秋山さんに直接それを伝えるときに、ひょっとしたら気付きがあるかもしれないよ」

 

「気付き……」

 

「その時になって、心の中から溢れてくるものもあると思うんだ」

 

「そっ……か。そう、なのかな……」

 

「私も余り偉そうなことは言えないんだけどね」

 

 「経験豊富なわけでもないし」と照れて笑う由真は、いつもより大人に見えて。

 

「……ありがと、話聞いてもらって。めっちゃ参考になった」

 

「本当!?よかったぁ……力になれたなら嬉しいよ!頑張ってね!」

 

「やっぱ、大天使だわ」

 

「もうっ、それはやめて!」

 

 持つべきものは友って言うけど。ありがとね、由真。

 

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