気付いたら周りが百合色になってた   作:まもなう(旧ノリあき)

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戦々恐々な最近
評価に感想いつもありがとうございますー!


まだ見ぬ不良さんの家に向かう小動物さん

「ひゃ~、おっきい……」

 

先生からもらった地図を頼りに、荒木さんが住んでいるというマンションを目指していた私は、いよいよその目的地を目前に放心していた。

少し遠くからでも見えていたとても高いマンションが、まさか本当に件の建物だったとは。こんな凄いところに住んでいる荒木さんって何者なんだろう。

 

「不良……って言ってたけど……」

 

所謂不良さんの住んでいるイメージと違うマンションをお出しされて、しばし茫然とする。

……はっ、いけないいけない!書類を届けなきゃ!何のために来たんだ私!

 

「凄い……入口とかエントランスとか超綺麗……」

 

入ってみれば、そこはまるで高級ホテルのよう。

私は実際にはそんな高いところなんて泊まったことがないけど、きっとこれぐらい豪華絢爛だろうなぁ。

 

「えーっと、この紙によると、荒木さんの番号は2108で……あ、あった」

 

どうしよう、緊張してきちゃった。本当に大丈夫かな、どんな人かな!?

 

「お、押すよ……2、1、0、8……」

 

ぴんぽ~んと、何度か連続で鳴る呼び出し音。それに負けないくらい、私の心臓の音がうるさく感じる。

ぶつっと独特の音が鳴ると、機械越しにハスキーな声が聞こえてきた!うぅ、出てくれたけど、出てくれたけど!

 

『……どちら様?』

 

訝し気な声色。ゆ、勇気を出すんだ私!須藤さんに話しかけたときみたいに!

 

「え、えっとあの!同じクラスの宮永由真といいまして!あの、その、先生に言われて書類を持ってきまして、あの」

 

たどたどしくカメラに向かって話す私。どうしよう、エントランスの人に変な目で見られていないかな!?

 

『……そんなに怯えなくてもいいって。取り敢えず入ってきな』

 

「は、はい!ありがとうございますっ!」

 

私がそう返事をするときには既に通話は終わっていて、エレベーターへのドアのロックが解除されていた。

よ、よし!まずは第一関門突破!

 

「それにしても、女の人の声……だったな……」

 

エレベーターに乗りながら、小さく一人ごちる。荒木さんの階はなんと21階。すごく高いところだ。

先生は荒木としか言わなかったし、不良って聞いていたから思わず自分の中で勝手に男子にしていたけど、さっきの声は多分、女の人だ。

 

「どんな人なんだろう……」

 

チーンという音とともに、エレベーターが開く。目的の階に到着したようだ。

部屋の番号を復唱しながら、荒木さんを探す。えーっと2108、2108……

 

「あ!あった、ここだ」

 

いよいよたどり着いてしまった。荒木さんの家だ。

インターホンを押す前に、大きく深呼吸をする。

すー、はー。

 

「……よし、えいっ」

 

ピンポーン。

……

ガチャ。

 

「初めまして、あの!書類を持ってきましたっ」

 

ドアが開くと同時に、頭を下げてファイルを差し出す。

これを無事受け取ってもらったら、ミッションコンプリート!

 

「……ご苦労だったね。持てなすよ、入りな」

 

「えっ」

 

てっきり渡してはいさようなら、という気持ちだったので思わず顔をあげる。

そこにいたのは、私よりも背の高いかっこいい女の人だった。

何よりもまず目に入ったのは、金のメッシュが入った髪。金髪は牧原さんで見たことがあったけど、メッシュは初めて見た。

それから、顔。正直に言って、うちのクラスのどの男子よりも綺麗でかっこいい。なのに、ちゃんと女の人ってわかる柔らかさも同居してる。

スタイルも良くって、隣で並ぶと私が年の離れた妹に見えてしまいそうだ。

余りに不意打ちで、衝撃を受けた。こんな人、私のクラスにいたんだ……

 

「……どうした?」

 

「あっ、ごめんなさい!えっと、その、あまりにも綺麗で、見とれちゃって……」

 

思わず、思ったことをそのまま口に出してしまった。どうしよう、私テンパりすぎ!?

 

「ぷっ、何それ」

 

手で口元を隠して控えめに笑う荒木さんの顔がもう超よくて、ひゃーっとなってしまう。

ずるいよぅ、どんなに気障なしぐさをしても許してしまいそうになる。

 

「ほら、外暑いでしょ?早く入りな」

 

「い、いいんですか、私なんかが」

 

「別に取って食いやしないから」

 

「……で、では、お邪魔します……」

 

なんか、成り行きで荒木さんの自宅にお邪魔することになっちゃった!私は書類を届けに来ただけなのに!

 

ただ、そんな文句とは裏腹に、前を歩く荒木さんにちょっとだけドキドキしている私もいた。

 

 

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