前回のその笑顔に、三つの出来事は。
一つ、過去の己と幼馴染の事を思い出す緑谷、幼馴染の欠点で心配になる。
二つ、爆豪若葉ことWは友達作りをしようとするが二つの地雷に囲まれ一つを踏み抜きこれを断念、途方に暮れる。
三つ、断念はしたものの中学時代の同級生とばったり再会! 良い気分でお話していた所担任の登場で驚き、渡されたおっさんくさいジャージに再度驚いたのだった。
「「「「「「「個性把握テストぉぉぉぉ!!!!????」」」」」」」
まるで裏合わせをしたかのように集まったクラスメイト達の声が無駄に広いこのグラウンドの中響きます。
私はと言うと混ざりはしなかったのですが普通に驚きすぎて声を失ってました……無駄にニヤニヤと不敵に笑ってはいますけど。
「入学式!? ガイダンスは!?」
お茶子ちゃんの講義する声が響きますが先生はそれを無慈悲にも正論にて否定。彼曰くヒーローになるのに普通の事をやっている暇はない、合理的に考えて時間の無駄とのこと。自由な学校なんですね。
ちょっとだけラッキーと思いながら先生から雄英高校の
「──確か実技入試成績のトップは爆豪だったな」
んぁ? ハイハイ、私が爆豪さんですよ。
「中学の時、ソフトボール投げ何メートル「あぁ、あれね。やる意味に必要性を感じなかったからボイコットしてやったわ」……とりあえずコイツを個性使って投げてみろ」
呆れた顔で何故かボールを渡されました。こ、後半の話聞いていなかったら今から何をしたらいいかわからないんですけど……あとボイコットしたのには別の理由がありまして……
その後先生からの誘導もありまして自分が何をやればいいのか分かったのですが。
さて、どうやってやりましょうか。先生は「その円からでなければ何してもいい」と言いますが根本的に私の個性ってこういうのにあまり向いてないんですよね。せめてモモちゃんの協力が得られれば何とかなったでしょうけど。
「はよ、思い切りな」
うん~、うん~、一か八かあれで行ってみますか? 幸い渡された数は二つのようですし。
「はいはい」
道具が入った荷物を降ろし、私は手渡された球を高く遠くへと投げます。その球は案の定普通に飛んでいき30から40メートルあたりの場所へと落ちました。
「……何してんだ?」
先生はその結果に不満足のようで何やってんだコイツと言いたげな表情でこちらを見ますが……仕方ないんです、この方法だとこの方法を使うには片方普通に投げる必要があるんですから。
「まぁまぁ、焦らないの」
クラスメイトたちの疑問の眼差しや先生からの視線にさらされながら私は持って来た道具の中からグレネードランチャーを取り出し弾倉に榴弾が入っている事を確認すると担ぎ最後の一球を手に取ります。
「何をする気だ?」
そして再度それを投げました。
「よっと」
直後グレネードランチャーを使用。空気の抜ける音と共に榴弾が飛び上がり──
「バァ~ン」
「ばーん?」
──空中で、ボールにぶつかり爆発しました。
「何をしても良いと言ったが個性を使わない単純なる技術を披露するとは思わなかったぞ」
そう、やった事は単純明快で空中で飛翔中のボールをグレネードランチャーで狙撃して爆発させ、その爆風で遠くへ飛ばしただけです。
本当ならかなり難しい事なんですがここでも実はWとしての側面が影響してまして、何故か適当に撃っても投げても目標へ必ず当たるってぐらいに射撃精度がすっごく良いんですよね……グレネード系限定ですけど。今回の場合は最初の投球でボールの特性を体が覚え、その情報を元に狙撃したって感じですね。
「あたしの個性はこんな競技へは不向きな物よ、だからこその技術と道具でその苦手をカバー。だからこそ、それだけにいい記録は出たでしょ?」
使ったグレネードランチャーに残った空薬莢を排出させながら私は多分先ほどと同じように不敵に笑ってたと思います。
「あぁ、ちゃんと記録は出てたぞ」
だって先生もそれに釣られてかこちらを見る目が笑っていたんですから。
「まず自分の最大を知る、それがヒーローの素地を形成する合理的手段だ。爆豪に関しては既に知っていたようだがな」
先生は恐らく記録が乗っているであろう携帯端末を皆へと見せると驚きの声が上がる。記録は……あ、600メートルちょっと、思ったよりは飛ばなかったんですね……がっくり。その後は先生からの「最下位は除籍処分」と言うお言葉に心底ビビりながら内心必死に記録を出し続けました。
途中デク君が先生からお叱りを受けたり、指が大変な事に成った代わりに大記録を打ち立てたりと問題なく事は進みました……先生って目に関する個性を持っているのにドライアイなんですね、勿体ない。そして……記録結果が発表されます。どれも必死に挑んだだけにワクワクしますね。
そして張り出される結果によると私の順位は堂々の一位。まぁ全力で挑んだ結果なのである意味嬉しいのですがデク君の名前が最下位の場所にあるのを目にした途端にその気持ちが一気に吹き飛び、爆発物片手に先生へ
「それにしても疲れたぁ」
「デクったら無個性で……って今は個性あったわね、でも個性を使わずに他の子達に食らいついていたんだから当然よねぇ」
「確かに、緑谷君の個性は言わば諸刃の剣、ボール投げなどならまだしも持久走などの競技には向いてないだろうからね」
「アッハッハッハ、このクソ眼鏡「クソ眼鏡!?」に対しても面白いぐらいに噛みついてたから見てるこっちは爆笑モノよ」
「あぁぁ、飯田君! わーちゃんは個性の影響で言いたい事が言えない体質らしくて、さっきのわーちゃんはきっと【個性無しで飯田君の個性と渡り合お
うとしていたから凄かったよ】って言ってるんだよ!」
「そ、そうなのか」
「さぁ~って、どうかしらね?」
「あ、ちゃんと肯定してくれたよ!」
「……次から爆豪君と喋るときは緑谷君を仲介に入れよう」
「あたしに何か文句でもあるっての?」
その直後無限女子ことお茶子ちゃんも合流して。
「飯田 天哉君に爆豪 若葉ちゃん、それに緑谷……デク君だね!」
「デク!?」
「え?」
「アッハッハッハッ、これは傑作ね!」
「彼の名前は出久君だぞ」
ちょっと私のせいで名前を間違えるアクシデントもあった者の何事もなく下校したのでした……明日から楽しみだなぁ。
※※※
「うむ……オールマイトさんが何故か気にかけている緑谷出久の件は後回しにするとしてあの問題児、どうしたものか」
俺の担任初日、予てからするつもりであったアイツの……爆豪 若葉への評価は何とも言えないモノとなる。
本当ならこの把握テストで少しでも手を抜くようならば例え一位でも除籍処分にするつもりではあったのだが、俺の予想に反しアイツは他の者には気付かれないように余裕そうな顔をしながら必死で自身の個性の特徴を理解し、その欠点を道具で補いながらテストへと挑んでいたようだった。
確かにこれまでの資料や実際に目にした言動や行動を分析するにヴィランになる可能性があるっと言うか今すぐにでもヴィラン化してもおかしくないと俺も思わないわけではない。……と言うか本人の意図しない言動に行動ってアイツも苦労してんだな。
だが、ヒーローに成りたいと本気で思っている事も今回の行動……具体的に言えば緑谷に除籍処分を言い渡すと思った時の無意識での行動でも証明もされた。うむ、まだ初日と言うこともあって分からないことだらけだがこれだけは言える。
「あいつの言動……矯正しないと仮免すら受からないぞ、こりゃ」
そう考えながら明日使う資料の書き込みを終了させた。……オールマイトさんは何で緑谷の事を気にかけているんだろうか?
あーモスティマ当たりませんでした‥‥‥‥かなすぃ。でもブレイズ当たりました! 使い方分かりませんけど。
次回予告
ついに始まる雄英高校での生活。
普通の事業に加え、最後にはヒーロー科特有の科目としてヒーロー雑学が待っていた。
「私がキタッ!」
次回【ヒーロー見参!】
次回もお楽しみに!