Aqoursとコート上の少年   作:スタビ

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第11話どうぞ。


第11話 願い

「3人とも何してるの?」

「いやー、これはそのー…」

 

ドアを開けたら、俺の知らないうちに部屋がぐちゃぐちゃになっていた。

 

「まったく…誰が最初に言い出したんだ?」

「えーっとー…」

 

3人を見る。梨子は、普通。千歌は、曜の方に視線が若干動いている。曜は…完全に曜だな、これ。目が泳いでいる。それを確認し曜の前に立つ。

 

「曜。お仕置き、いこうか?」

「え~と、勘弁してもらうのは…?」

「うん。無し」

 

笑顔を見せながら曜に言い、曜の頬を引っ張る。

 

「まったく、人の家を勝手に漁るなと教わんなかったのか?」

「ふぉふぇんなふぁい~」

 

ごめんなさいと言ったことを確認し、手を離す。

 

「いてて…ひどいよ。和人くん」

「自業自得だよ」

 

もう一度部屋を見る。こりゃ随分と散らかしたものだ。

 

「ほらさっさと片付けるぞ」

 

 

 

 

 

 

 

「こんなもんでいいだろ」

 

とりあえず元通りにし、一息つく。そして1つのことを聞く。

 

「で、なんで俺の部屋を漁ってたんだ?」

「いやー、何か面白いものないかなーと思って」

「…本当にそれだけか?」

 

散らかってたものの置き場所から考えるに、部屋の半分にも満たない範囲内に収まっている。面白いものを探すのならもっと広範囲を探すはず。一部しかやらないのは、あまりにも不自然だ。

 

「それだけ…だよ?」

 

嘘だな。何かに怖がっている表情をしている。

 

「…怒らないから正直に話してみて」

 

そう言うと3人は顔を見合わせ、梨子が口を開く。

 

「…和人くんがバレーをやらなくなった原因を知りたくて」

「…俺がバレーから離れたのは、俺が弱いからって前に言っただろう?」

 

俺が弱いから、理由はそれだけだ。他にはない、ないはず…だ…

 

「本当にそれだけなの?」

「ああ。それだけだ」

「じゃあ何で仲間から貰ったものをダンボールの奥にしまっているの」

「それは…忘れてただけだよ」

 

それ以外に他意はない。

 

「チームメイトが関係あるんじゃないの?」

「関係ないよ。みんな仲間でありライバルだった良い関係だったから」

 

レギュラーを競っていたけど、練習の雰囲気はギスギスしてなかったし、アドバイスもしあえる良好な関係だったと俺は思っている。

 

「でも…」

「でもじゃない。チームメイトは関係ない。これは俺がどうにかしないといけないんだよ」

 

技術的な弱さもあるだろうし、メンタル的な弱さもある。どっちも最終的には俺自身がどうにかするしかない。

 

「これ以上は何も言わないでくれ…」

 

気持ちの整理もつかないし、俺自身何を考え、何を思ってるのか自分でもわからなくなってきた。重苦しい空気が部屋を包む。

 

「カズくんご飯できたわよ」

「あ、うん。3人もいこう?」

 

その空気から逃れるように1番最初に部屋から出た。

 

 

 

 

 

 

「「「おお~」」」

 

母さんの手料理が机に並べられる。千歌、曜、梨子の3人もいるからそれ相応に量は多いけど、なんか…

 

「いつもより豪華じゃない?」

「気のせいよ~」

 

絶対気のせいじゃないだろ…

そうこうしてるうちに机にすべての料理が並ぶ。俺と梨子が隣同士に座り、机を挟んで千歌と曜。そして所謂誕生日席と呼ばれる位置に母さんが座る。

 

「カズくん挨拶」

「え?俺かよ…それじゃいただきます」

「「「「いただきます!」」」」

 

俺の挨拶を皮切りに、全員がどんどん食べ進めていく。

 

「おいしい!」

「よかった。口に合って」

「母さんの料理はお店に出せるレベルだからな」

「いいな~和人くんは毎日食べられるんでしょ?」

「もちろん」

 

毎日食べてても飽きが来ないくらいに母さんの料理はバリエーションが多いんだよなぁ。

 

「そういえば梨子ちゃんかわいくなったわね~」

「そんなことないですよ」

「謙遜しなくてもいいのに、ね?カズくん」

 

そこで俺に振るんかい…

 

「まあ俺も久しぶりに会ったときにかわいくなってて、最初はわからなかったよ」

「やめて、恥ずかしいから…」

 

顔を赤くして黙ってしまった。

 

「それに、梨子ちゃんだけじゃなくて、こんなかわいい子を2人も連れてくるなんて」

「別に、そんな」

「私も普通ですし…」

「俺は2人もかわいいと思うけどな」

 

どんなにひいき目で見ても、千歌も曜もかわいい部類に入るだろう。

 

「え…え~と…」

「う~…」

「あれ、2人ともどした?」

 

2人も顔を赤くして、黙ってしまった。

 

「ほほう…カズくんもなかなか罪な男だねえ」

「はい?どういうことだよ母さん」

「自分の胸に手を当てて考えてみ〜」

 

母さんはそう言うが、何かしたかはまるで記憶がない。頭の中には?しか浮かんでなかった。

そのあと3人とも元に戻り、料理を食べきり、ダイビングに行く準備を整えた。

 

「和人くん準備できた!?」

「おう。ばっちりだよ」

 

準備といっても俺は水着を持ってないから財布と携帯くらいであんまりない。

 

「よし、じゃあ行くぞー!」

「ヨーソロー!」

「あ、千歌ちゃん、曜ちゃん、梨子ちゃん、ちょっと良い?」

「?どうしましたか?」

「ちょっと来て」

 

3人は母さんの方に行く。

 

「カズくんは外に行ってて」

「ええ~、わかったよ」

 

ドアを開け、一足先に外に出る。

 

 

~~~~~~~~~~

side梨子

 

「どうしたんですか?」

 

ダイビングに行こうとした矢先に、和人くんのお母さんに呼び止められた。

 

「あなたたちカズくんの部屋で何か探してたでしょ?」

「え…?」

 

これはすごくまずい状況かも…

 

「叱ろうなんてつもりはないから。正直に話してみて」

「…和人くんがバレーをやらなくなった理由が知りたくて」

 

お母さんはそれを聞くと目を瞑り、やがて静かに口を開いた。

 

「…やっぱり3人も気になるんだね」

「やっぱり?…お母さんもなんですか?

「ええ。私もカズくんがバレーをしてる姿は好きだったからね」

「お母さんは、理由は知らないんですか?」

 

曜ちゃんがそう聞いたが、お母さんは首を横に振った。

 

「私もただ”バレーをやめたい”って聞いただけだから」

「あの…その時になんでって聞かなかったんですか?」

 

千歌ちゃんが聞く。ただ優しそうな顔が一気に悲しいものに変わった。

 

「聞かないんじゃなくって聞けなかったのよ」

「聞けなかった…?」

「カズくん凄く辛そうな顔してたから。そんなになってる自分の子供に、親の意見を押し付ける訳にはいかないもの…」

 

すごく辛い顔をしている。

 

「そこでお願いがあるの」

「お願い…ですか?」

 

何だろう。予想が出来ない。

 

「カズくんを支えて欲しいの」

「和人くんを…」

「支える…」

「…どういうこと…ですか?」

 

突然言われ、混乱する。

 

「カズくんは何でも1人でどうにかしようとしちゃうの。それだと絶対にいつか潰れちゃう。だからカズくんを支えて欲しいの、それが結果的にバレーから完全に離れても、また戻ってもどっちでも良いの。子供の未来を願う、それが親だから」

 

お母さんの気持ちを初めて知る。そして和人くんの事を一段深く知る。

私たちが和人くんに聞いた時の和人くんの表情が思い出される。凄く辛い顔をしていた。何もかも全て1人で抱えてるような。

私たちは顔を見合わせる。返事は決まっている。

 

「「「はい!」」」

「ありがとう。ごめんね、時間取らせちゃって。それじゃいってらっしゃい」

「「「行ってきます!」」」

 

和人くんのいる場所に向かう。

 

「あ、やっと来た」

「ごめんね。話が長引いちゃった」

「何の話をしてたんだ?」

「それは内緒!」

「なんだそりゃ」

「まあまあ早く行こ?」

 

そう言って歩き始める。和人くんの、大きな背中に何を背負っているのかは私には分からない。けどそれを支えてあげたい。それが私にできることだから。




なんか梨子をヒロインにした方がいい感じ出てきましたね〜でもまだ決めてません。
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