それでは第15話どうぞ
「察しが良くて助かるデース。その女神の守護者と呼ばれていたのは、和人、あなたなんじゃない?」
その金眼が瞼によって細く絞られ、俺を見据えてくる。
「…人違いじゃないか?噂だし」
内心バクバクしているが、努めて平静に切り返す。
「でも桐ヶ丘学校の生徒だってあるのよ?噂にしては詳しすぎると思わない?」
どこまで調べがついてるんだ。桐ヶ丘は小中一貫校で俺の出身校だ。
「…もし俺が女神の守護者なら、どうするんだ?」
「そんな警戒しなくたっていいのに。で?どうなの?本当に女神の守護者なの?」
しつこいな…ダイヤさんの時間を取るわけにはいかないし、それにいい加減早くみんなの所に行きたい。仕方ない…言う…か。
「…その呼び名は知らないけど、確かに俺はμ'sの手伝いをしてた」
「そうだったのですか!?」
「やっぱり、私の見立て通りね」
ダイヤさんは驚愕に満ちた顔を、鞠莉は何か企んでる様な顔を向けてくる。
「それで、俺が女神の守護者と知ってどうするんだよ?」
「Aqoursを導いて、浦の星の廃校を阻止してもらいたいの」
少し笑いながら言ってくる。1つ気になるキーワードがあった。
「…廃校?」
μ‘sの時と同じ状況だ。
「ええ。かなり苦しい状況でね。廃校が噂されてるのデース」
「で、それを阻止するためにAqoursにがんばってほしいと」
「そうデース!」
ふーん…それをなぜ生徒に押し付ける?もっと上の人間が分析をし、魅力ある学校にするべきなんじゃないのか。
「だったらあんたは何をするんだ。まさか生徒に押しつけて自分はその席から動かないなんてことはないよな?」
あえてキツめに言う。
「考えてはいるけど、そこまで効果のあるものを思いついてないのが現状ね。それまではAqoursに頑張ってほしいの」
随分簡単に言うな。μ‘sだって決して楽ではなかった。正直近くで見てた俺でさえも無理なんじゃないかと思った。校内の一部活が廃校を阻止するなんて。けど彼女たちは成し遂げた。
「…伝説って言われてるμ‘sでさえ、偶然に偶然が重なって、廃校を阻止できた。必然だったことなんて1個もなかったと言ってもいい。それと同じ働きをAqoursに求めるのはいくらなんでも酷なんじゃないのか?」
そう、必然ではない。確かに多くの会話を積み、本番を想定し、無駄のない練習を積み重ね続けていたが、それでも必然なんて言えない。第1回ラブライブでの下馬評は最後の最後までA-RISEが優勢だった。それを本番のパフォーマンスで逆転できたのは奇跡だと言ってもいいだろう。そんな奇跡が2度起こる可能性は、限りなく低い。
「まあそうかもしれないわね。けどAqoursでダメなら他のやり方もいくつか考えないといけないかもね」
鞠莉は平然とそう言う。けど俺は気に食わなかった。Aqoursでダメなら他で、だと?
「要はAqoursを利用しようってことだろ?」
「そういうことではないわ」
そういうことではない?どうだか、さっきの言い方はそう取れる発言だった。それが俺は許せなかった。ふつふつと怒りが沸き上がってくる。
「は?そういうことだろ。捨て駒としか考えていないんじゃないか?あんたの理想ばっか押し付けて、それで無理なら他へと。随分と身勝手だな」
睨みつける。ここまでイラついたのも久しぶりだ。
「ッ!?違うわよ…」
「違う?何がだ?」
問いただす。しかし鞠莉は俯いたままで、何も答えなかった。
「鞠莉がどんな生まれで育ってきたかは分からないけど、何でも自分の思うとおりになると思ったら、大間違いだぞ?我を通せば、それだけ周りの人間は傷つき、離れていく。それをわかってるのか?」
俺のこの問いかけにも答えない。ダイヤさんも黙りこんでしまっている。もうこれ以上は意味がないし、みんなを待たせてしまっている。そう思った俺はドアのところまで行き
「後悔してからじゃ遅いぜ?よく考えた方がいいと思うな」
そう言って、理事長室のドアを開け、練習場所へと歩いて行った。
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side鞠莉
和人が出て行った後の理事長室は重苦しい空気が包んでいた。さっき言われた言葉は的確に私の心を貫いてきた。
「…新城さんが言った通りですわ」
ダイヤが口を開いた。
「彼女たちに学校の存続に関わる重大なことを背負わせられません。いくら新城さんが居るとはいえ」
そう。和人もμ‘sに関わっていたとは言え、何の権力も持たないただの高校生。それに加えパフォーマンスをするのは千歌っち達。今思えば、酷いことを言ってしまってたと思う。
「私は私のやり方で廃校を阻止しますわ。後悔したくありませんので」
そう言い残し、ダイヤは出て行った。
────後悔してからじゃ遅いぜ
────後悔したくありませんので
後悔か…2年前のあの出来事から
「後悔なんてとっくにしてるわよ…」
その呟きは誰に聞かれる訳でもなく、部屋に消えていった。
主人公の新たな事実が出てきました。少しこじつけ感があるかもしれませんがそこら辺はご理解いただけると幸いです。
感想、評価お気軽にお願いします。
次回もよければどうぞ。