異世界軍の艦隊がグアムにあるエントランスから撤退するのを見届けた傷無達は
戦死した兵士の遺骨、又はドッグタグを回収しながらウマタックにいる避難した
観光客たちを各ギガフロートに載せていた。
日本側からは日本人と半数の観光客。
もう半数とグアム解放軍の重傷者をアメリカ側に載せる中で傷無は
レイン・ミューゼルを見つけたのでこう言った。
「『レイン・ミューゼル』!」
「おお、傷無じゃねえか!よく生きてたなお前らはよ!!」
そう言いながら握手を交わした2人はこう続けた。
「これからお前どうするんだ?」
アメリカのギガフロートに行くのかよとそう聞くとレイン・ミューゼルは
こう答えた。
「さっき軍部から聞いたんだけどな、今日本の技術者と共同でエントランスの封印実験を行っているらしいんだ。」
「封印って・・・マジかよ!?」
傷無はそれを聞いて驚いた。
何せエントランスを封印することが出来れば異世界軍が来ると言う心配が
なくなるからだ。
然しそんなの聞いた言葉ないなと思ってそう聞くとレイン・ミューゼルは
こう答えた。
「ウエスト・USAの話によりゃあ謎の電波が届いたらしいんだがその解析に
時間が掛るってもんだから周囲のギガフロートに協力を求めようとして発信し直したらしいぜ。」
「また傍迷惑な・・・。」
傷無はそれを聞いて呆れてしまったがレイン・ミューゼルはこう答えた。
「ま、上手く言ったらここをアメリカの中継基地兼エントランスの監視所として
機能させるようだし『ゼーガペイン』だっけ?あれの製造にここの整備基地を
使うってらしいぜ。」
先ずは復旧工事が先だけどなと言うとこう続けた。
「それとどうもその電波はここから発進されたらしいがそれが・・・
お前の母ちゃんが来た日と合致したらしいぜ。」
「つまり母さんが?・・・何が目的だ」
傷無はそれを聞いて考えているとレイン・ミューゼルは懐からある物を
出してこう言った。
出した物は・・・。
「それって」
「・・・お酒を入れる容器入れ?」
「一緒に飲もうぜ。」
酒を入れるボトルであった。
「戦勝祝いだ。功労者でもあるお前らが飲まなかったら皆飲めねえだろ?」
「確かにな。」
「今日は・・・特別だもんね。」
レイン・ミューゼルの言葉を聞いて傷無とクラウもそう答えて
レイン・ミューゼルが持ってきたグラスを手に酒を入れていた。
そして注ぎ終わると傷無はグラスを高々に掲げてこう言った。
「今日の勝利と・・・今日までに死んで逝った英霊たちに・・・安らぎを」
「「安らぎを」」
そう言って3人は酒を勢いよく飲んで・・・傷無とクラウは咽こんだ。
「「ゲホゲホ!!」」
「ハハハ!まだまだお子様だなあ!!」
レイン・ミューゼルはそう言いながらお酒の入ったボトルを・・・地面に向けて注ぎ落しながらこう言った。
「叔母さん・・・勝ったよあたし達。」
「・・・見て欲しかったなあ。」
レイン・ミューゼルはそう言いながらボトルの中にあるお酒を出し終えると
レイン・ミューゼルは傷無とクラウに向けてこう言った。
「ありがとうな、お前ら。お前らが来なかったらこんないい日が
来なかったって事は確実だしそれに・・・叔母さん達の仇も取れてアタシは・・・アタシは・・・・」
そう言いながらレイン・ミューゼルの目から・・・涙がこぼれ落ち始めた。
「あれ?・・・可笑しいな・・・嬉しいのに・・・涙が止まんねえぜ。」
くそ・・・クソと泣きながら目を擦るが・・・クラウは
レイン・ミューゼルの手を握ってこう言った。
「今日ぐらいは・・・泣いても良いんじゃないですか?」
「へ・・・?」
「私達は生きています。生きているから笑って、怒って、こうしてうれし泣きが出来るんですよ。」
「だからもう・・・泣いても良いんじゃないんですか?」
そう言うとレイン・ミューゼルはこう返した。
「け・・・年下の癖に・・・いっちょ前の事言いやがって」
そう言うとレイン・ミューゼルはこう返した。
「それじゃああたしはちょっと離れるけど・・・ついてくるなよ。」
「ああ、分かってる。」
「それじゃあ」
そう言って傷無とクラウが離れていくのを見届けたレイン・ミューゼルは
空を仰いだ。
青い空。
白い雲。
これまで見ることすらしなかったその景色を見て・・・そして・・・叔母の事を思い出して・・・。
「・・・・・・・・・・!!!!!!!!!!!」
泣き叫んだ。
これまで溜めていた分の思いを。
叔母の戦死の時でさえも泣かなかった分まで力強く。
今を生きているという事を感じながら・・・。
心の丈を込めて・・・泣いた。
「行こう。」
「うん。」
傷無とクラウは建物の陰からそれを見て・・・立ち去って行った。
今だけは・・・そっとしておこうと思い。
エントランスの近くで発電機の設備のような大きな機械が設置され、その周りをケーブルと様々な計測器やコンピューターが繋がっていた。
現在封印実験の最中なのだ。
それを見届けている傷無とクラウの・・・上空から声が聞こえた。
「ねえ、ちょっと良いかしら?」
「「??」」
それを聞いて後ろを振り向くとそこにいたのは・・・。
「貴方達があの機動兵器のパイロットさん達?」
ユリシアほどではないがスタイルが良くて、明るく、活発そうな紅い髪の毛を
ポニーテールにした傷無達よりも1,2歳若い少女が降りたつと親指立てて
自己紹介した。
「私は『マスターズ』のリーダー、『スカーレット・フェアチャイルド』!あの機動兵器ってアタラシアの?」
スカーレット・フェアチャイルドがそう聞くと傷無はこう答えた。
「いや、あれは異世界抵抗軍が組み立てた機体だ。」
「俺は『飛騨 傷無』。異世界抵抗軍所属で『ゼーガペイン』のガンナー。」
「私は『クラウシェル・アスフォード』。同じく異世界抵抗軍所属で
『ゼーガペイン』のオペレーターよ。」
そう言ってお互い敬礼するとスカーレット・フェアチャイルドは驚きながら
こう言った。
「異世界抵抗軍って・・・あの人類最後の防衛戦場『日本』の!!私貴方達の事尊敬しているのよ!!握手してくれる!?」
「え?・・・良いけど?」
「どうして?」
傷無とクラウはそう聞くとスカーレット・フェアチャイルドはこう答えた。
「何言っているのよ!人類の殆どが祖国を放棄して尚も防衛に成功して今でも戦っている正に英雄!!人類の希望を知らないのが不思議なのよ!!!」
それを聞いて傷無とクラウはたじたじなのだが
スカーレット・フェアチャイルドは更にこう続けた。
「そう言えばハートハイブリットギアチームが見当たらないんだけど
まさか・・・全滅したの?」
スカーレット・フェアチャイルドはそう聞くが傷無はこう答えた。
「いや、全員生きているよ。だけどハイブリットカウントが下らへんだから
俺らが出張って」
「傷無ーーーーー!!」
傷無が言いかける中でユリシアが上空から現れた。
そして傷無はスカーレット・フェアチャイルドに自己紹介させようとすると
ユリシアはこう呟いた。
「もしかして・・・スカーレット・フェアチャイルド!?」
そう言うとユリシアはこう続けた。
「やっぱり『スカーレット・フェアチャイルド』じゃないの!貴方もやっと
『マスターズ』の正式隊員になれたのね~~!」
ユリシアはスカーレット・フェアチャイルドに向けてそう言うが
当の本人はというと・・・。
「ユリ・・・シア?」
顔を青くしてまるで幽霊を見ているかのような表情であった。
「何よお、私を見忘れちゃったのお?」
ユリシアはスカーレット・フェアチャイルドに向けてそう聞くが
スカーレット・フェアチャイルドはこう続けた。
「嘘・・・そんな、事って」
「え?・・・ちょっと・・・何?」
ユリシアはスカーレット・フェアチャイルドの表情を見て動揺するが
スカーレット・フェアチャイルド震えながら・・・こう言った。
「ユリシア・・・貴方・・・・何で・・・未だ、生きているのよ?」
本作は暫くお休みします。