がっこうぐらし!ー絶望、そして希望ー   作:三坂

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風が仲間に加わり、一層賑やかになった学園生活部

目的地の聖イシドロス大学にむけて出発します!


第三十七話 聖イシドロス大学

風が学園生活部に加わることが決まった翌日、出発のため一同は荷物をまとめる作業に追われていた。具体的には地下貯蔵庫から食料や飲料水、そしてノートパソコンや書類など必要な物資を持っていくことにした。しかし、誰かがここを見つけたときに使えるようにするために少しばかりか食料や飲料水は残して行くことになった。それと由紀の提案で掃除もすることに‥

 

 

雪「こんなもんかな?」

風「ありがとう‥♪みんなのお陰で予定よりも早く済んだよ♪」

小春「けっこう大掛かりな作業だったからねぇ‥‥(グテぇ)」

 

 

かなり大きな作業だったため、丸一日かかることを覚悟していたが人数が多い分、作業スピードが早くなったためお昼頃にあらかた終わったのだ。

 

 

圭「やっぱ人数多いと役割分担できるからいいよね〜」

胡桃「おっ、美紀に圭じゃないか。見張りお疲れさん、どうだった?」

美紀「皆さんが作業中の間は特に異常は見られませんでした。少し離れたところにチラホラ程度はいましたが‥、それも近づいて来るわけでもありませんでしたし」

 

 

災害用放送局建物の屋上から周囲の監視をしていた美紀と圭がそれぞれバレットとアサルトライフルを背中に背負ってハシゴをつたい降りてくる。

 

 

慈「そういえば二人を見て思ったんですけど‥‥(汗)数ヶ月前は生徒がこんな大きな銃を持つなんて考えられませんでしたよ‥(汗)」

日野「‥いやぁ(汗)それを言うなら佐倉さんも銃を持つなんて俺想造できなかったすよ‥」

理琉「マッ変な奴らとゾンビから身を守るための致し方ないことだ。それにこのご時世なんだから、タイミングさえ弁えればすき放題射撃できるんだぜ?ストレス発散にはもってこい‥だ!」ニヤ

胡桃「ワ〜グンジンナノニブッソウナコトイッテル〜」

由紀「マーくん凄い‥!!」

理琉「へへっ‥!由紀にそう言われると余計嬉しく感じるよ‥♪」

小春「ロr‥いや同年代だからセーフなのか」

理琉「オイ今ロリコンって言いかけたよな()」頭グリグリ

小春「あだだだだ(((」

 

 

小春と理琉の漫才コンビみたいなやつが炸裂して、それをみたみんなから笑顔が溢れる。そんなこんなしてるうちに出発するための準備が整ったためそれぞれ車に乗り込む。

 

 

由紀「ふーさん一緒に乗ろ♪」

風「いいわよ‥♪」

 

 

ちなみに風は由紀のお誘いで慈のキャンピングカーに乗ることになった。補足だがこのキャンピングカーは災害用放送局の地下駐車場に置かれていたヤツで動かせそうだったため、頂いていくことに。全員の乗車が完了するとクラウンを先頭にキャンピングカー、そしてセレナが続いて災害用放送局を後にする。

 

 

美紀「にしても‥他の生存者に出会えて良かったですね‥♪」後ろのキャンピングカーを見つつ 

圭「ホントだね〜。久しぶり何じゃない?善良な生存者って」

日野「だな‥(汗)高校にいたときに出会ったといえば理琉と小春以外はランダルコーポレーションの特殊部隊だけだし‥」

美紀「もうあれだけでお腹いっぱいですよ‥。今後出会わないことを祈るしかないですね‥」

 

 

悪夢の高校での戦闘を振り返って思わずため息をついてしまう美紀。そんなこんな3台は再び市街地に入り、聖イシドロス大学を目指して走行することに。

 

 

胡桃「今回は迂回が少ないな〜」

理琉「たしかにナ、まっそのほうがこっちとしてはありがたいケド」

 

 

胡桃が今日は予定通り進んでいることに驚きの表情を見せてそれに賛同するかのように理琉が愛銃を整備しつつ答える。確かに胡桃の言うとおり今日はほとんど迂回をすることがなく実に快適なドライブができていた。もちろん彼らや放置車両がないというわけではないが、合ったとしても路肩に放置されてたり一体や二体ほどしか確認できず、それも避けて走れる程度しかいなかった。

 

 

小春「最近迂回ばっかりだからね〜。こんなに順調でもバチは当たらないでしょ〜」

雪「これなら大学についても食料とか燃料も余裕がありそうだね〜」

 

 

実に快晴に包まれた太陽の光に照らされつつ並木通りを3台は綺麗に並んで走行していた。

 

 

由紀「おぉ〜!今日はいい天気だね〜!」

瑠璃「眩しいのだ〜」

 

 

キャンピングカーの天井についているガラスから見える青空満点の空を見つつ目を輝かせている由紀と瑠璃。

 

 

風「なんどか屋上から天気は見てたけど‥ここまでしっかり見たのは久しぶりね〜」高校の水を飲みつつ←

悠里「確か風さんはほとんどあそこの災害用放送局で過ごしてたんですよね?」

風「だね〜。ほとんどあの中でできたからわざわざ危険な外に出る必要がなかったからね〜」

慈「あそこはほんとなんでも揃ってましたからね。移動するのがもったいないほどですよ(汗)」

太郎丸「ワフゥ」

 

 

そうこうしているうちに河川を挟むようにある住宅地を結ぶ陸橋に差し掛かる。その手前でクラウンが停車して後続の2台もそれに沿うように停車する。

 

 

日野「あ〜‥これ行けるかな‥?」

 

 

運転席のスライドガラスを開けて顔を覗かせる日野、それに釣られるように美紀と圭も顔を出す。

 

 

圭「あ〜‥どうだろう」

美紀「微妙ですね‥」

 

 

3人の視線の先には放棄された車と陸橋を封鎖しようとしたのか散乱したバリケードの柵と白黒で赤灯が目立つ警察車両、そして大型バスタイプの輸送車両が目に止まった。

 

 

日野「通れないことはないんだが‥微妙だな‥確認してくるか‥」ガチャ

 

 

そういって日野はトランシーバーを取り出して後ろの2台に通信を繋ぐ。

 

 

日野「少しこの先の様子を確認してくる。その間周囲警戒は任せたぞ」

雪「了解〜」

慈「気をつけてくださいね?」

理琉「アイわかった」

 

 

一通り返事が帰ってきたことを確認してから後部座席の空いているスペースにたてかけていた20小銃を取り出す。

 

 

美紀「あっ私も行きます」

圭「美紀が行くなら私も〜」

日野「それは構わねぇんだが‥美紀の場合だとあの中でライフル使いにくくないか?」

美紀「その心配は無用です。ハンドガンの方を使うので」スチャ

 

 

そういって美紀はハンドガンを車内から取り出してマガジンの中を確認してからリロードする。その様子を見つつ日野は20小銃、圭もHK416の作動状態の簡単な点検をしてから装備する。

 

 

日野「んじゃま行きますか」

圭「うん!」

美紀「了解‥!」

 

 

こうして3人は周囲警戒を怠らないように死角などに目を光らせながら陸橋へと足を運ぶのであった。

 

 

 

胡桃「ん〜‥(キョロキョロ)」

 

 

キャンピングカーの上に登り周囲の警戒をしている胡桃、すると近づいてくる一体に気づいて下に手合図を行う。

 

 

雪「ん、了解」

 

 

雪が反応して指示された位置へ向かう。するとそこにはヨロヨロしつつこちらに歩いてくる彼らの姿が‥、災害用放送局で見つけたサプレッサーを装備したSFP9をふともものホルダーから取り出して狙いをつける。直後、発砲。放たれた砲弾は迷いもなく彼らの頭部にヒット、壊れたおもちゃのように不気味なダンスを踊ったあとその場に倒れ込む。

 

 

雪「クリア‥っと」

 

 

確殺したことを確認してから胡桃にオッケーとの合図を送る。すると胡桃からも了解もいう合図が帰ってきて、再び元の位置へ帰る雪であった。

 

 

陸橋組‥  

 

 

圭「うへぇ‥‥想像してたけど‥‥やっぱ酷いねこりゃ‥」

 

 

陸橋の惨状を見て思わず視線をそらしてしまう圭。そうなるのも無理はないだろう、あちこちというわけではないか何人かの彼らになりそびれた遺体が無造作に壁や車に寄りかかっていた。

 

 

美紀「見た感じ‥‥封鎖しようとは試みたんですね‥」 

日野「でも、パニックに陥った市民が一気に押しかけてくれば‥‥警察官や自衛隊、あと私設部隊だけで抑えるのは無理だろうな‥それにその中に彼らが混じっていたとすれば‥」

圭「大規模パンデミック‥になったんですね‥」

 

 

そんなことを思いつつ、最後の職務を全うして力尽きた警官や兵士、そして民間人の遺体に黙祷を捧げつつ車が渡れるか調べるために奥地へと進む。

 

 

圭「ついでに武器とか手に入ったらいいんですけどね‥‥」

日野「どうだろうな‥‥これだけの激戦なら弾残ってるやつないんじゃないか?」

 

 

圭がそう口に溢すが日野はそれを否定する。彼の言うとおり銃は見つかったのだがほとんど弾切れや損傷しているものばっかりで使えそうな奴は見つかることがなかった。

 

 

美紀「日野さんの言ってた通りですね‥、やっぱあの状況下では温存ということはなかったみたいです‥」

圭「まあ‥温存しろって言う方が難しいよね‥」

日野「でも、この感じだと橋は通れそうだな。とりあえずみんなのところに戻って報告すっか」

 

 

だが橋自体は通れそうなほどの幅は残っていたため、3人は待機しているメンバーの元へ戻るのであった。    

 

 

 

理琉「ン‥?」

 

 

周囲の警戒をしていた理琉だが、こちらに戻ってくる日野達に気づいてみんなに声をかける。

 

 

理琉「3人とも帰ってきたぜ〜!」

 

 

その呼びかけに気づいた一同のもとに3人はやってくる。

 

 

日野「ただいま〜」

慈「おかえりなさい♪3人とも♪」

小春「どうだった〜?」

美紀「放置車両とかはありましたが通れるだけの道幅はありそうです」

雪「オッケー、それならこのまま進めそうね」

由紀「順調なドライブだ〜」

瑠璃「なのだ〜」

 

 

そして全員乗車したのち再び車列は動き出して放置車両の間をゆっくりと通過していきながら陸橋を渡り始める。

 

 

雪「とりあえずここが通れて良かったね〜」

理琉「アァ‥もう迂回はゴメンだぜ‥」 

胡桃「同意〜‥」

小春「そろそろ大学に着きたいよねぇ‥‥」

 

 

そんな会話をしているうちに陸橋を渡り終えることに成功し再び市街地へと入っていくのであった。陸橋を渡った先の街もやはりパンデミックの影響を受けておりあちこちに放置車両や破損した建物、時折路地に彼らの姿が確認できた。

 

 

風「ここまでガラガラなものなんだねぇ‥」

慈「まあ‥彼らになったとしても生存本能はあるみたいですから‥。今は職場か駅に集中してるんじゃないですかね?」

悠里「少ないほうがこっちとしてはありがたい‥けど‥」

由紀「なんか不器用だよねぇ‥」

瑠璃「うん〜‥」

太郎丸「わぅ‥」

 

 

それから陸橋を渡って走ること数時間‥日が傾いて来たのと同時に少し遠くに背の高い建物が見えてくる。

 

 

日野「おっ‥!どうやらあれが目的地みたいだな」

圭「ほんとだ〜。やっぱ大学は大きいよね〜」

美紀「あれが‥聖イシドロス大学‥」

 

 

その建物に気づいた一同の視線の先には、目的地である聖イシドロス大学の建物が見えてきたのであった。

 

 

 

 

 

その日の夜‥大学近くのスーパー駐車場

キャンピングカー車内にて

 

 

日野「‥さてと‥ひとまずは大学につけたんだが‥こっからが問題だな」

 

 

カーテンで光を遮断し、ランタンに照らされた車内で会議をしていた。 

 

 

雪「まっ、大学の設備が高校と同じなら必ず生存者はいるでしょうね」

慈「それは別に問題ないのですが‥一番はその人達が友好的なのかってところですね‥」

胡桃「‥風さんみたいにみんなみんな良心的じゃないからな‥ましてやこの状況‥、下手すりゃ警戒心MAXのやつと出会いかねない‥」

美紀「交渉とかで済むならいいですが‥万が一こちらに危害を加えたら‥」

理琉「‥武力衝突もありえないことはないな‥」

小春「実際にあってみないことには‥何も言えないよねぇ‥‥」

 

 

相手が誰かもわからない‥しかも有効的とも限らないためどうやって接触しようかと一同は考え込んでいた。

  

 

由紀「とりあえず、誰かいないか確認してから考えてみたら?」

悠里「だとしても‥下手には近づけないですし‥」

由紀「だから〜♪近づかなくても見れる場所ならあるよ〜」

圭「ん?そんな場所あったかな‥?」

 

 

由紀の言ってることに疑問を浮かべる圭、すると由紀はキャンピングカーの棚から地図を取り出してある場所を指差す。

 

 

由紀「ここなら行けるんじゃない?」

瑠璃「ん〜?」

 

 

その指さした先には巡ヶ丘立体駐車場の文字が‥

 

 

理琉「なるほど‥確かにィここなら大学の建物内まで見れなくても敷地内を移動してるやつを観察することができる。」

慈「私はその案に賛成です‥♪それなら両者ともに危害を与えることなく見ることができて、今後の行動がやりやすいですしね♪」

胡桃「決まりだな‥♪そうと決まれば明日早速行動開始するか」

風「見に行く人はどうするの?」

小春「ここは定番の美紀と圭、んでドライバー担当の雪でいいんじゃない?車はあんまり車高の高くないクラウンが妥当かな?」

雪「了解〜」

美紀「わかりました‥!!」

圭「いい情報持って帰れるように頑張るよ〜」

 

 

こうして明日の予定が決まったことで早めに行動できるようにするため、早めの就寝につくことに。ソファーや運転席や助手席を倒し、毛布を引いて眠りにつくことに。

 

 

由紀「おやすみぃ‥‥」スヤァ

 

 

少し長旅で疲れていたのかあっという間に夢の中に入ってしまう一同。車内では静かな寝息が聞こえていたのであった。

 

 

 

そして翌日

 

 

日野「ん‥」

 

 

みんなより少し早めに目が覚めた日野、ゆっくりと起き上がろうとして、隣りに視線を向けると少しの間動き止まる。

 

 

日野「‥なんでお前がここにいるんだ‥?」

雪「ん〜‥‥」スヤァ

 

 

なぜか雪がいつの間にか隣りにいることに疑問を浮かべる日野。だが気にしてても仕方ないで起こさないように布団からはいでて外の空気を吸う。

 

 

日野「ふぃ〜‥やっぱ外の空気はいいねぇ」

 

 

そんなこんなしていると、続々とみんなが起きてきて朝ごはんを食べたあといよいよ行動に移すのであった。

 

 

 

巡ヶ丘立体駐車場‥最上階にて

 

 

美紀「ん〜‥」

 

 

クラウンのボンネットにバイポットを展開してスコープ越しで敷地内を観察する美紀、その隣には双眼鏡を除く圭と雪の姿が‥

 

 

圭「‥中には彼らがいなさそうですね‥」

雪「それ以前にバリケードは壊されてなさそうだから誰かいるかもね」

美紀「‥まあ‥この感じだといるのは確実ですね‥」

 

 

そう言った美紀の視線の先には、何体か始末したあと放置された彼らの遺体が‥

 

 

美紀「せめて処理くらいすればいいのに‥‥」

雪「変に触れないってことがあるのかも‥、それかその余裕がないのか」

圭「ん〜‥あっ‥誰か出てきた‥!」

 

 

圭が指さした先に視線を向けるとそこには男女五人組だろうか‥いかにも血の気が多そうな(二人ほど除く)、年齢からして大学生と思われる人達が武器片手に建物から出てきた。

 

 

雪「本当だ、この感じだと見張りっぽいわね」

圭「だねぇ‥でも友好的には思えないよ‥」

美紀「どっちかというと‥血気盛んに見える‥」

雪「とりあえず、このことは帰って報告しましょ?どっちにしろあの人たちとなんとか接触しないとこの先私達が困るんだから」

美紀「‥ですね。最悪戦闘経験にとけたメンバーで行けばなんとかなるかもしれませんし‥」

圭「可能なら武力衝突は避けたいもんだよねぇ‥」

 

 

こうしてしばらく相手の様子を観察していた美紀と圭、そして雪は相手の動向がある程度確認できたためクラウンに乗り込んで気づかれないようにその場を立ち去るのであった。

 

 

?「ほほう〜、まさか私達以外にも生存者がいたなんて‥可能ならあの子達と接触したいよねぇ‥」

 

 

だがその様子を屋上から双眼鏡で見ている眼鏡の少女の姿が‥‥しかし下でみた人達とはどこか雰囲気が全く違う。何者なのか‥?




聖イシドロス大学に到着した学園生活部

彼らはどうやって大学内の生存者とコンタクトを取るのか‥

そして、屋上からみていた人物の正体とは‥!

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