がっこうぐらし!ー絶望、そして希望ー   作:三坂

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その後

パンデミック発生から6年という長い月日が経った‥‥そんなある日の巡ヶ丘市内を他の車と混じるように走る一台の高速バスが‥‥。

 

 

美紀「ふぁぁ‥‥」

 

 

座席で長旅の疲れを取るために眠っていた直樹美紀(23歳)は窓から差し込む光に照らされて目が覚める。

 

 

美紀「もう巡ヶ丘ですか‥‥久しぶりに帰ってきましたね‥‥」

 

 

眠たそうに目を擦りつつ外の景色に視線を移す美紀。あの生物災害からすでに6年も経ってるが未だに完全復興とはいかず、あちこちで建物の工事風景が目に止まる。

 

 

美紀「やはり爪痕はすぐに消えないですよね‥‥っと‥そろそろ到着するかも‥」

 

 

町中の景色に見とれていた彼女だが、巡ヶ丘バスターミナルという道路標識の案内板が目に入ると慌てて座席についている折りたたみ式の机に広げていた書類をしまい込んで降りる支度をするのであった。    

 

 

ー巡ヶ丘バスターミナルー

 

 

「巡ヶ丘バスターミナルをご利用いただきありがとうございます。まもなく10:00発の大阪行高速バスが発車いたします。ご利用のお客様は8番乗り場に―――――」

 

 

美紀「ここのバスターミナル改装したんですね‥‥前よりも綺麗になってるしお店もあるからいいかも‥」

 

 

バスから降りて、パンデミック前とは大幅に変わったバスターミナルを見渡して変わったなとふと美紀は思う。まだまだ周辺施設は復旧作業中のところはあるがそれでも利用者は前と同じほどに戻ってきていた。

 

 

美紀「えっと‥‥巡ヶ丘出版社行のバスバス‥‥「美紀ちゃん〜こっちこっち♪」あっ‥!その声は‥!」

 

 

目的のバスを探していると後ろから聞き慣れた声が聴こえてくる。その声が聞こえた方向に視線を向けると31歳になった犬吠埼風が手を振りつつやってくる。

 

 

美紀「やっぱり風さん‥!お久しぶりです!」

 

 

風「うんうん♪久しぶりだねぇ〜、元気そうでなりより‥♪」

 

 

久しぶりの再開に嬉しそうに美紀が駆け足で風の元へと駆け寄っていく。それから少し話しているうちにふと思い出したのかとある質問を投げかける。

 

 

美紀「そういえば‥‥どうして風さんはここに?確か報道局で待ちあわせしてたはずじゃ‥‥」

 

 

風「そうだったんだけどね〜、偶然この近くに用事があって来てたからそのついでにってね♪」 

 

 

そういって指さした先にはハザードを炊いて路駐スペースに停車している白色のハイブリッドカムリ(エアロ仕様)が。

 

 

美紀「もしかしてあの車‥買ったんですか?」

 

 

風「そそ♪支援金の一部でね〜。せっかくなら自分の車欲しいと思ったし、それならいいやつ買おうってね♪っとここで立ち話もなんだし乗せていくわ〜」

 

 

美紀「それじゃお言葉に甘えさせて貰いますね♪」

 

 

そうこうして二人はカムリの元へ向かい、荷物をトランクに積み込んで風が運転席へ、美紀は助手席へ乗り込む。

 

 

風「シートベルトつけた?」

 

 

美紀「はい‥!オッケーです‥!」

 

 

風「んじゃ、出発するよ〜」

 

 

美紀に確認を取りつつ自身もシートベルトを閉めてステアリングを握る。そして後ろの確認をしてから車を発進させる。

 

 

美紀「なんか乗り心地がいいですねぇ」

 

 

風「でしょ〜♪一番いいグレード買ったからね〜」

 

 

何気ない雑談を交わしつつもカムリは巡ヶ丘市内をゆっくりと走り抜けていく。時々見慣れた建物や新しい建物など着実に復興しているということは肌で感じられていた。

 

 

風「そういえば、美紀ちゃんは支援金何に使ったの?」

 

 

美紀「そうですね‥‥とりあえず免許を取りに行くときの分しか使ってませんね‥‥あれだけ多いと何に使っていいのか‥(汗)」

 

 

風「あ〜(汗)それはわかるかも、私もカムリ以外まだあんまり使ってないし‥‥」

 

 

あのパンデミックが落ち着いた頃‥‥世界を救った学園生活部や大学組は総理大臣賞などを受賞。さらに多額の支援金を支給されたのだ‥。本人たちは当たり前のことだからいらないといったが‥‥

 

 

「君たちは我々の英雄だ‥ならそれ相応のことはしないと失礼だ。」 

 

 

と総理大臣直々にお願いをされたため断ることができず最終的に由紀達が折れて受け取ることに。ちなみに受け取った金額は5千万円‥‥

いや‥‥高すぎぃ‥(汗)

 

 

 

風「圭ちゃんは元気にしてるの?」 

 

 

美紀「はい♪今は太郎丸と一緒に北海道の視察に行っています。」 

 

 

風「ほほ〜、北海道か〜けっこう遠くに言ったわねぇ」

 

 

美紀「本当は私が行きたかったのですが‥‥「美紀はあちこち言ってるんだから休みついでに原稿出しにいったら♪」‥って言われちゃって‥‥(汗)」

 

 

風「圭ちゃんらしいね〜」

 

 

話しながら町中を走ること数十分後‥‥目の前に新築ホヤホヤで巡ヶ丘出版社と書かれた建物の敷地内に車は入っていく。

 

 

風「さあ、着いたわよ〜。あっ荷物持っていくわ♪」

 

 

美紀「すみません‥(汗)わざわざ‥‥」 

 

 

風「いいのいいの♪長旅で疲れてるでしょうし♪」

 

 

車から降りたあと、風に荷物を持ってもらいながら美紀はそのあとに続いて建物内に入っていく。玄関を通り抜けるときれいな内装が目立つ正面ホールが出迎えてくれた。

 

 

美紀「おぉ〜‥‥♪」

 

 

かなり手を入れたのだろう‥‥しっかりとしつつ見惚れるような内装に美紀は足を止めて目をキラキラさせつつ見ている。その間に風は美紀の出版社への立ち入り許可書を受付で貰ってきて持ってくる。

 

 

風「どうよ〜最近改築が全部の改築が終わったの♪

 

 

美紀「なかなかいいじゃないですか♪吹き抜け窓とかデザインがお洒落ですし♪」

 

 

風「でしょ〜、んじゃとりあえず部屋に案内するからついてきて〜。詳しい話はそこでしましょ?」

 

 

美紀「了解です♪」

 

 

それから美紀は3階にある風の仕事場に向かうために後ろをついていく。途中すれ違っている人が風とすれ違うたびに挨拶をしてきておりそれに彼女は笑顔で答えている。

 

 

美紀「あの‥、少し前に電話したとき聞き忘れてたんですけど‥‥風さんはここで働いてるんですよね?」

 

 

風「ん〜、そうよ〜。いい忘れてたけどここの出版長として働いてるの〜」

 

 

美紀「しゅ出版長ですか‥!?ラジオDJからだいぶ出世しましたね‥‥(汗)」

 

 

風「いや〜よく言われるよ〜♪」テレテレ

 

 

どうやら風はラジオDJからこの巡ヶ丘出版社の出版長になったらしい。驚きを隠せない美紀に対して嬉しそうにテレテレしている風。そんなこんな話していると彼女のデスクワーク部屋に到着する。

 

 

風「っとと〜ついたよ♪ここがアタシの仕事部屋♪」

ガチャ

 

 

扉を開けて入るとデスクワークとその机の上に置いてあるパソコンや機器。左端には企画書類だろうか、たくさんの書類がファイルに入れられて立て掛けられて保管されている。

 

 

美紀「お邪魔します‥‥!」

 

 

風「とりあえず適当に部屋見てていいわよ〜お茶入れてくるから〜。」 

 

 

そういって風は隣の部屋、休憩室からお茶を入れてくるためあとにする。それを見送ったあと美紀は部屋内をキョロキョロしつつ散策している。

 

 

美紀「へぇ〜‥いろんな企画書とかありますね‥‥。あっこんな書類もあるんだ‥‥これ全部見れてるなんて流石風さんですね‥‥」

 

 

パンデミック前にはアンブレラやランダルコーポレーションなどの裏事情について様々な書類を集めていた風。そうなればこれほどの企画書を把握するなど容易いことだろう。

 

 

風「おまたせ〜」

 

 

部屋を見て回っているとオボンにお茶の入ったコップやお菓子を持って風が戻ってくる。それを確認すると美紀はソファーに腰掛けて、風もオボンをおいて座る。

 

 

美紀「それでは、これの確認をお願いしますね?」

 

 

風「はいはい〜、確認するね〜」

 

 

カバンから取り出した書類を風に渡し、それを確認した彼女は捲りながら確認している。

 

 

風「おっ、沖縄も言ってたんだ」

 

 

美紀「はい、やはり諸島とかはパンデミックの影響をあまり受けていないところがほとんどでした。」

 

 

風「ん〜やっぱりそうかぁ‥‥となればこの辺は復旧作業は早く終わってそうだね」

 

 

美紀「私が見たときはほとんどのライフラインは本土より使えていそうでした。」

 

 

風「ふむぅ‥‥、本土だと復旧範囲は広いし‥おまけに人手が足らないからね‥‥。パンデミック収束から5年も経つのに今だ完全復活できてないっていう‥‥それだけ‥爪痕が大きかったんだろうけど‥」

 

 

美紀「そう‥‥ですね‥‥」

 

 

アメリカ中西部ラクーンシティで悲劇的なパンデミック、ラクーン事件‥さらには再興計画を行うために起こした今回の巡ヶ丘を始めとした全世界を巻き込んだバイオハザード事件‥あの悪夢の出来事から既に5年も経つが今だに世界各地は復旧作業や残りのゾンビの処理などに追われている始末であった。

 

 

美紀「そういえば、レオンさんとかは元気にしてるんですか?」

 

 

そんな中、ふと美紀が風がアンブレラについて調べるきっかけを作ってくれたレオンのことが気になったのかその質問を投げかける。

 

 

風「もちろん元気してるよ〜。定期的に連絡取ってるからね。確か今もアメリカ合衆国政府のエージェントを続けてるそうよ。パンデミック前よりも忙しくなったってなげていていわよ♪」

 

 

どうやらレオンはパンデミック後もエージェントを続けているらしく、今はアメリカ内部の状況把握のため全土を飛び回っているらしい。するとレオンの話で思い出したのか、なにやら思い出す。

 

 

風「おっと、レオンのことで思いだした。確かみんなから手紙が着てるんだったわ」

 

 

そう言うと席を立ってデスクワークの元へ行き引き出しを開ける。すると中から何枚かの手紙が出てきてそれを片手に戻ってくる。

 

 

美紀「その手紙って‥」

 

 

風「そうそう♪学園生活部とかからの手紙だね〜。美紀ちゃんのところにも来てたでしょ?」

 

 

美紀「そういえば‥‥確かに来てましたね‥!‥っと言っても最近忙しくて見れてませんが‥‥(汗)」

 

 

風「それなら一緒に見ましょ〜。時間は余ってるんだし♪」

 

 

美紀「はい♪」

 

 

風「それじゃ‥記念すべき一人目の手紙は〜(ペラペラ)おっあなたの先輩の由紀ちゃんじゃない〜」

 

 

美紀「先輩‥なんですかね(汗)」

 

 

風「でも、嫌じゃないでしょ?」

 

 

美紀「‥はい♪由紀先輩は私の最高の先輩ですから♪」

 

 

 

丈槍由紀(24歳)

 

 

風「どうやら由紀ちゃんは巡ヶ丘学校で教師として働くみたいだね〜。生徒達の面倒は大変だけど楽しいって書いてあるよ〜」

 

 

美紀「先輩が先生ですか‥‥なんかめぐねえみたいな感じになりそうですね‥♪でもそれでこそ由紀先輩らしいですし、みんなから信頼されそうです♪」

 

 

手紙の内容を見て笑みを浮かべ合う二人、パンデミック収束後、由紀は慈と約束したとおり教師としての道を進むことになったようだ。学校自体もまだ復旧ができていないため青空教室の状態が続きそうだが‥‥

 

 

風「流石美紀ちゃんに信頼されている先輩ね♪っと次は理琉君か」

 

 

 

黒田理琉(24歳)

 

 

風「へぇ〜今はアメリカ陸軍の特殊作戦群を辞めて横須賀の在日米軍基地で働いてるそうよ〜」

 

 

美紀「まあ、やめた理由はだいたいわかりますがね(汗)」

 

 

風「そりゃ可愛い由紀ちゃんって子の恋人がいるんだからあたり前よね〜♪」

 

 

理琉はパンデミック収束直後は特殊作戦群にしばらく残っていたがその後辞めて今は横須賀の在日米軍基地に転属しそこで今は仕事をしている。もちろん、由紀との関係も良好で時間が合えば毎日会うラブラブぶりだ。それを示すように手紙には二人のツーショット写真が何枚か入っていた。

 

 

 

 

そんな写真をみつつスクロールしていると下の方になにか書いてあるに気づく。

 

 

風「ん?これは‥」

 

 

美紀「どうしました?」

 

 

美紀も気づいたのか、少し前のめりになって理琉の手紙を覗き込む。

 

 

風「どれどれ‥‥本日8月2日‥‥丈槍由紀と黒田理琉は‥‥入籍しました‥!!?」

 

 

美紀「つっつまり‥!けっ‥結婚ですか‥!?由紀先輩が‥!!」

 

 

風「思った以上に関係進んでいたわね‥‥(汗)ってほ〜、プロポーズは理琉から仕掛けたのか〜。意外と彼も大胆ね〜」

 

 

美紀「でも大丈夫だと思います♪二人なら」

 

 

風「奇遇ね♪私もよ♪」

 

 

恵飛須沢胡桃(24歳)

 

 

風「おっ〜、あの棒有名大学の医学部で医師免許取って卒業したらしいよ〜」

 

 

美紀「えぇ!?あそこって日本一難関って言われてるところですよ‥(汗)確か胡桃先輩勉強苦手だったような‥‥」

 

 

風「きっと相当努力したんでしょうね〜。それで卒業したあとは現場で経験積んで国連で新たに新設された医療救命団として世界各地の医療現場に赴くそうよ」

 

 

美紀「でも以外でしたね?胡桃先輩が医師を目指すなんて」   

 

 

風「そうかしら〜?人生っていうのはなんかのきっかけで大きく変わるもんだから意外と有り得る話よ〜」

 

 

美紀「確かに‥‥なら♪わたしたちも応援しないとですね♪」

 

 

風「あたぼうよ♪」

 

 

若狭悠理(24歳)&若狭瑠璃(14歳)

 

 

風「悠里さんは復興庁の対策リーダーに就任したみたいねぇ。それでなんか気の合わない先輩がいるみたいでよく揉めてるみたい」

 

 

美紀「でもなんでしょうか‥‥悠里さんなら大丈夫な気がしますね‥‥(汗)」

 

 

風「ま〜あゆう子はなんか不思議な圧力でねじ伏せる場合が多いからねぇ。きっと今頃その先輩は苦労してるでしょう(汗)」

 

 

美紀「あはは‥‥(汗)っと次は瑠璃ちゃんですね。あっもう中学2年生なんですか‥」

 

 

風「今は由紀ちゃんのサポート役として巡ヶ丘学校に通ってるらしいわ。あの頃の可愛い容姿が嘘みたいに成長したね〜♪」

 

 

美紀「確かに♪なんか将来の由紀先輩になりそうな気がしますよ〜」

 

 

風「奇遇だね〜。私もそう思ってたわよ♪」

 

 

佐倉慈(31歳)

 

 

美紀「めぐねえは教師をやめて‥‥って文部科学大臣に就任したんですか!?」

 

 

風「ありゃ〜、この中で一番の出世道じゃないかしら」

 

 

美紀「呑気に関心してる場合じゃないですよ‥‥(汗)まさかこの6年で一番変わったのがめぐねえなんて‥‥」

 

 

風「でもあの性格ならやっていけそうだけどね〜。むしろ日本を良くしてくれそうだけど♪」

 

 

美紀「有り得そうな話‥ですね‥♪」

 

 

風「実際そうでしょうよ〜」

 

 

狭山小春(25歳) 

 

 

美紀「小春さんはアメリカに戻って、新設された特殊作戦群の医療班として再び活動するそうです。」

 

 

風「んじゃ戦友だった理琉君とは離れ離れだねぇ…。少し寂しくなるんじゃない?」

 

 

美紀「いえ、そんな感じはないみたいです。定期的に連絡とっているみたいですから♪」

 

 

風「離れていても仲間‥か‥いいねぇ♪」

 

 

 

由比鶴乃(23歳)

 

 

風「鶴乃ちゃんは神浜市に戻って親が経営していた万々歳を引き継いで経営しているみたい」

 

 

美紀「‥あれだけ頑張っていたんですから‥家族と無事再開できれば良かったのですが‥‥」

 

 

パンデミックが落ち着いたあと、鶴乃は神浜市に戻り家族を探していたのだが結局見つからずじまいだった。しかし彼女はめげずに残っていた万々歳を引き継ぐことを決意したのだ。

 

 

風「今度万々歳に行ってみましょうか、みんなで」

 

 

美紀「はい‥♪きっと驚くと思いますよ♪」

 

 

綾波春井(25歳)

 

 

風「春井ちゃんは今過去の贖罪を償うために、元アンブレラ職員で構成された民間軍事アンブレラにいるみたい。そこで自分の罪を少しでも償えるように頑張ってるみたい。」

 

 

美紀「雪さんの言うとおり、責任感が強いですね‥(汗)」

 

 

風「まあねぇ〜、っとそういえば‥」

 

 

美紀と話していて思い出したのか、カバンに入っていたもう一つの手紙を取り出す風。

 

 

風「その雪ちゃんと祐也君からの手紙も来てるのよね〜

 

 

美紀「確か結婚したんでしたよね?」

 

 

風「そうよ〜。確か今は―――――――」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ー巡ヶ丘市内の墓地にてー

 

 

 

ここは元々広場だった場所であったが今はパンデミックで亡くなった人たちが眠る墓地として生まれ変わっていた。今日は平日のためか訪れる人の姿はなく静まり返っていた。

 

 

しかし、一台も止まっていない駐車場に白色の17クラウンが入ってくる。墓地入口近くに止まるとエンジンを切って中からどこか見覚えがある赤髪の女性が出てくる。

 

 

「ママ〜、これ持っていっていい?」

 

 

すると後ろのドアが開いてお供物の飲み物やお花だろうか、赤髪の少女が降りてくる。

 

 

「お〜気が利くね〜♪ありがと♪」ナデナデ

 

 

「えへへ〜♪」

 

 

褒められているプラス、頭をナデナデされていることでさらに表情が緩んでくる少女。すると数分エンジン音が駐車場の入口から聴こえてくる。

 

 

「お?きたきた」

 

 

そうつぶやきつつ視線を向けると、神奈川県警と書かれた昇降機付きの白黒210系クラウンロイヤルサルーンが入っきて少し手前で止まる。中からは二人の警察官が出てきて、その中の運転手の男性が助手席の警官に一言二言話してこちらにやってくる。

 

 

「祐也〜!遅いよ〜」

 

 

赤髪の女性、日野雪(旧名湯月)(25歳)は待ちくたびれたような表情で日野祐也(25歳)に声をかける。

 

 

日野「仕方ねぇだろ‥‥(汗)ちょっと事案対応してたんだから‥」

 

 

雪「んもー、それなら仕方ないけど」

 

 

「あっパパだ〜」ポス

 

 

日野に気づいて満面の笑みを浮かべつつ二人の子供である日野千花(4歳)が勢いよく駆け寄って抱きつく。

 

 

千花「えへへ〜、久しぶりぃ♪」スリスリ

 

 

日野「久しぶりだなぁ〜、いい子にしてたか〜?」

 

 

千花「うん♪ちゃんとママの言うこと聞いてたよ♪」ニコ

 

 

雪「お父さんに久しぶりに会えるからって楽しみにしてたんもんね〜♪」

 

 

どうやら久しぶりの再開のようで、家族団らんの雰囲気を見せる。それから少しして3人は墓地の敷地内へと入っていく。

 

 

雪「というか、勤務中に寄り道していいの?」

 

 

日野「そんな心配しなくてもちゃんと上には許可貰ってるよ。こんな大事な日に来ないでどうするんだっていうしな」

 

 

雪「なんかそれも祐也らしいよ‥♪」

 

 

千花「ママ〜、パパ〜。あれじゃない〜?」

 

 

そんなことを話していると、なにかに気づいたのか千花があるお墓に視線を向ける。その先には‥墓石に湯月惣菜と書かれたお墓が‥‥

 

 

雪「今年も来たよ‥♪父さん」

 

 

そう言いつつ、お墓の前にしゃがみ込み、千花からお花やお供物を受け取ってからお墓の前に置いたり、お花は水の入った花瓶に入れる。その間に千花と日野はお墓の掃除をしていた。

 

 

日野「にしても‥びっくりしたよな。アンブレラとの最終決戦だった巡ヶ丘駐屯地にお前の父さんがいたなんて‥な‥」

 

 

雪「うん‥‥」

 

 

あの激戦のあと、巡ヶ丘駐屯地で合流した学園生活部であったが理琉と小春が思い出したかのようにここで自衛隊のレンジャー隊が雪菜にやられたことを伝える。それを聞いた雪が血相を変えて、基地内を探し回ったところ屋上で項垂れている父を発見したのだ。半年近く放置されていたため遺体の状態は酷く判別はできなかったが近くに落ちていた写真で分かったのである。その後、彼の功績を称える意味で政府からは国民栄誉賞、自衛隊からは特別栄誉賞が授与された。

 

 

Endingsongs

一番の宝物

 

 

 

千花「これがママのお父さんのお墓なの〜?」

 

 

日野「あぁ♪そうだぞぉ?ママのお父さんはすごくカッコよくて強かったんだぞ〜」

 

 

雪「もう‥♪大げさよ‥♪」

 

 

少し話したあと、三人は静かに手を合わせて合唱する。墓地自体静寂なためセミの鳴き声や電車や車の走る音が少し離れたところから聴こえてくる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

雪「‥‥」

 

 

墓参りを終えてその場をあとにする三人、しかし雪だけはふと振り返り惣菜の墓を見つめる。

 

 

ー父さん‥‥本当に‥‥私達はたどり着けたのかな‥?ー

 

 

 

ーいや‥聞かなくてもわかるよね‥‥‥。まだまだたどり着けたわけじゃない‥これからが正念場‥でしょ♪ー

 

 

 

ー流石俺の娘だ‥‥♪本当成長したなー

 

 

 

既に父さんはこの世にいない‥。しかしそれでもなぜか声が聞こえたような気がした。

 

 

日野「なにしてるんだ〜?はやく行くぞ〜」

 

 

千花「ママ〜!はやくはやく〜!」

 

 

するとこちらを呼ぶような声が聞こえそちらに視線を向けると日野と千花がこちらに声をかけているのが見えた。

 

 

ー行きな、お前の大切な家族が待ってるぞ?ー

 

 

 

 

 

 

雪「うん‥♪だね♪じゃあ―――――――――」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

       ー行ってきます♪ー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

がっこうぐらし!

ー絶望、そして希望ー

 

END




ご愛読ありがとうございました!!
 
皆様読者のお陰で
がっこうぐらし!
ー絶望、そして希望ー

は最終回を迎えることができました!!
本当にありがとう御座います!!

今年の二月ごろにプロローグを投稿し始めて約7ヶ月ほど、途中迷走しかけましたがこうして最終回を迎えることができて嬉しく思います!


自分にとってこの小説はがっこうぐらし!について詳しく知るきっかけになった作品だと思っています。

そしてキャラ提供をさせていただいたイギー様!
ここまでお付き合い頂いた読者の皆様!
改めてお礼を申し上げます。



本当にありがとう御座います!!



またどこかでお会いいたしましょう!!








それでは!!

また!!

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