主人公がいるなんて聞いてない!! 作:酒呑ちゃんと結婚したい
桜の舞い散る4月、俺こと降谷楓は新しい高校生活に一抹の不安と期待を胸にいだきながら、見慣れない通学路を歩いていた。
そう、第一志望としていた私立進学校に入学するために中学三年間を勉強に注いできたおかげで合格することができたのである。
なぜ私立にしたのか。
その理由はあまりにも簡単で、それでいて思春期の男子には大きすぎる理由だった。
そう、制服が男女共にブレザーであるのだ。
皆は言うかもしれない。
だが少し待ってほしい。
俺の通っていた中学は女子はセーラー服、男子は学ラン、しかも学区が狭いため殆どが見知った人間なのだ。
だがしかし!この高校は私立のため学区がない。
そのため中学の頃の知り合い以外が大多数を占める。
つまるところまだ見ぬ美少女を見ることができるのである。
皆さん見かけた経験はあるだろう。
入学式で体育館に入るときに目に入る先輩たち、クラスに移動するときに見かける同級生、その中にいる圧倒的存在感を持つ、所謂
それらと同じ学校に通える可能性があるのだ。
その青春のために中学生活のすべてを勉学に注ぐことくらい、軽い、いや、軽すぎるとまで思っていた。
ただしかし、ここで2つの懸念が生まれる。
1つ目は単純、彼氏持ちである可能性だ。
ただまぁ、俺は
……流石に入学式時に彼氏がいるという
まぁ中学時代からの彼氏の場合は単純に微笑ましく思うが。
そしてもう一つの可能性、それは
こっちに関してはまぁ恐ろしいことになる。
ただでさえ進学校ということもあり頭のスペックは平均的には高い。
その上に容姿端麗や品行方正、料理上手や運動神経抜群などのバフがかかるともう手がつけられない。
「頼む…頼むから主人公だけはやめてくれ…俺らにもワンチャンスを…!」
校門を通り抜け掲示板の前に進むと、そこには全1年の名前とクラスがのった紙がはられており、ご丁寧なことに先輩たち数名が生徒の胸元にコサージュをつけていた。
その中に一人、ひときわ目立つ先輩がいる。
生徒会副会長、水瀬琴音。その本人である。
くっきりした目鼻立ち。女子としては高めの160センチ台後半の背。プロポーションはあまり目立つ方ではないものの、スラっと伸びた健康的で、それでいてどこか扇情的な足。
背中の真ん中ほどまで伸ばされた黒髪を目立たない青いシュシュでくくっており、真面目で実直な性格で知られている、まさに生徒会にふさわしい彼女だが、昨年の生徒会選挙ではこの副会長様目当てに立候補するバカどもが大量発生し、うちの中学でも話題になった。
…まぁ、その話題のソースは兄がここに通っている女子生徒が、立候補した兄をディスったものを期限起源とするため、男として聞いていて中々その兄に同情するものなのだが。
ただそんな中でも、この副会長様には浮かれた話が出てこない。
どうやら自分のタイプの異性像がきちんと確立されているそうで、その条件を満たした人以外とは付合わないと公言しているそうだ。
そんな副会長様がコサージュをつけているのだ。当然大切な第一印象を良くするために、一目見るために列ができる。
だが個人的な話、正直コサージュなんて誰がつけても変わらないし、どうせ回収されて来年の使い回されるので適当な先輩につけてもらう。
そうして騒がしい掲示板前を抜け、横目に見て覚えておいた自分のクラスへと向かう。
校舎の中は中々きれいだった。どうやら美化委員会がちゃんと仕事をているらしい。
図書委員会とサボりやすい委員会の双璧を成すはずだがこの高校では例外のようだ。
前から入ると変に悪目立ちするため、後ろのドアを開ける。
どうやら俺の他には数人、大声で喚き教室の前を占領している女子と、いかにも部活を頑張ってますという見た目をした男子がチラホラと見かけられるくらいだった。
自分の席に座り、朝電車内でログインできなかったゲームを開く。
わずか1%ほどでしか最高レアの当たらないこのゲームは課金者が多く、アプリセールスランキングでは大抵一位を取っている。
ログインを済ませ、スマホをブレザーにしまうと、目の前の椅子が動く。
「1−1 春川総司」と書かれたシールの貼られたそれはゆっくりと、しかし確実に俺の席に近づいてきた。
ふと見上げてみるとそこには……
「お、はじめまして。俺、春川総司っていうんだ。是非仲良くしてもらえると助かるな」
高身長イケメン(恐らく性格もいいのであろう。少しだが実直さが伝わってきた)が立っていた。
俺は心の中で叫んだ。
(主人公おるやんけぇぇぇぇ!!!俺の楽しい高校アオハルがぁぁぁぁ!!!)と。
これは高校入学と同時に
はじめまして。
ノリで始めたため至らぬところが多々あるとは思いますが修正等、よろしくお願いいたします。