心と身体すべてが耐え難いまでに過敏症の権化と化した。
今日、なんとしてでもれんと話をする。そう決めているのに。
「むう、学校に行く必要がないなんて・・・堕落しそうですね」
フエフキの野郎はそんなことを抜かしていたが。
炭須はフエフキの様子をちまちまと確認するようになっていた。
「こき扱うと言ったはずなの。昼までにグリーフシードを調達しろなの」
「ほい」
フエフキはグリーフシードを一瞬で用意した。
おそらく、能力を使ったのだろう。
「次やったら許さないの。そんなことしてもつまらないの」
「えー」
「えー、じゃないの!それじゃあストーリーがつまらなくなるの!」
「確かに、それもそうですね」
まったくもって、かりんの言う通りであった。
前世でやっていたオンラインゲームでもそれは当てはまる。
たいてい、チーターが跋扈することで衰退してしまうのだ。
「・・・じゃあ、ちゃんと魔女を倒してきますね」
フエフキはそう言うと出かけていった。
日中は魔法少女たちは学校にいかなくてはならない。
だから、彼のような転生者の活動にはもってこいなのだ。
それからずるずると時間は過ぎていった。
昼休みまで、れんに会うことができなかった。
そもそも、普段彼女がどこにいるのか知らないのだ。
気を紛らわすために、図書室で休むことにした。
しかし、そこはどういうわけか生徒たちで賑わっていた。
とうとうあの漫画が図書室にもやってきたのだ!
勘のいい転生者だったら、間違いなく察しただろう。
その漫画が転生者によって書かれたに違いないことを。
なぜなら、この世界には鬼滅もテコンダー朴も存在しないからだ。
内容は上記の作品を融合させたようなもの。
近所の子供たちが水のテコンドー何とかの型と叫んでいるのも見たことがあった。
その手は人を斬るためでなく人と手を繋ぐため
その口は人をレスバするためでなく人と愛を語るため
このように言っておきながら、次のコマでは
そして全集中のテコンドーで
なんてほざくような漫画なのだ。
ちなみに、柱たちの利き腕には劣等殲滅と刻んであるそうだ。
奇妙なことに、次の号が発売されるたびに男子が行方不明になりやすくなる。
読んだ反応で転生者だとバレてしまったのだろう。
なお、当然のことだがマジカルきりんは赤滅のテコンダー炭に利益的に敗北を喫した。
・・・そんなことはどうでもいいのだ。
炭須は押しつぶされそうになりながらも、なんとか図書室の奥までやってきた。
すると、そこにはれんがいるではないか!
さらに都合のいいことに、生徒たちは赤滅目当てに入口に集中している。
炭須はれんの横で本を探すふりをしながら、必要な言葉を少しだけ交わした。
「部活には・・・入ってますか?」
「いいや、入ってない」
「それなら下校時刻は同じですね・・・。
では・・・栗の木に立ち寄ってください・・・。
必要なものがドアの前に置いてあります・・・。
その後は・・・北養区の電波望遠鏡に来てください」
「・・・それは自殺行為だ」
そこは魔法少女が集会を開く場所なのだ。
「大丈夫です・・・はい」
「・・・わかった」
話はそれで終わりだった。
下校時間を迎えた後、彼はすぐに栗の木カフェの前に来た。
そして、置いてある袋を拾った。中には黒羽根のローブ。
なるほど、これで魔法少女のふりができるというものだ。
前世から女装をよくさせられていた炭須は慣れっこだった。
約束の場所には神浜市の魔法少女が集まっていた。
「・・・」
「・・・」
「・・・」
「・・・」
誰一人、言葉を交わしていなかった。これは好都合だった。
もし声など出そうものなら、リンチは確定だろう。
そこに、環いろはが一人の男を引きずりながら現れた。
「・・・これより、転生者日向の処刑を始めます」
ああ、可哀想な日向・・・。イケメンで、いろはの隣の席だったばかりに・・・。
彼は磔にされると、最後に少しだけ微笑んだように見えた。
その微笑みが誰に向けられたものだったのか、この時の炭須にはわからなかった。
いろはの攻撃が彼を貫いた。そして、彼は血を吐き出しながら息絶えた。
「・・・」
炭須は必死に冷静さを保とうとした。
よくよく考えてみれば、これが本来のまどマギなのだ。
人があっさりと死んでいくような、暗く冷えた世界・・・。
遺体は切り刻まれ、埋められた。
「・・・」
「・・・」
「・・・」
「・・・」
誰もがそれを無表情で眺めていた。
そして、各々帰り始めた。
れんは偶然を装って、ローブを着た炭須と歩く。
「・・・北養区の山中にいい場所があります」
「・・・」
「これが地図です・・・はい」
それで終わりだった。炭須は建物の裏に駆け込んで、いつもの服装に着替えた。
その夜、彼の瞼の裏にはどうしても日向の表情が浮かんできた。
あの微笑には何が込められていたのだろうか?